ドローンの安定飛行の秘密は「姿勢制御」!その仕組みを徹底解説

ドローン 姿勢制御

近年、活躍の場を広げ、目にする機会も多くなったドローン。

「なぜドローンは安定した姿勢で飛ぶことができるのだろう」

ふとそんな疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。ドローンの機体がバランスを崩すことなく飛行できる要因の一つに「姿勢制御」という機能があります。

「姿勢制御とは?」
「その仕組みは?」

この記事ではドローンの姿勢制御について詳しく解説していきます。

この記事を読むとわかること

  • ドローンの姿勢制御とは
  • 姿勢制御の仕組み
  • GPSなしでも安定した飛行が可能な「ビジョンポジショニングシステム」とは
  • 姿勢制御機能の過信に注意

記事を読めば、ドローンの姿勢制御がどのようなもので、ドローンにどういった働きをしているかを知ることができます。

ドローンの基本的内部構造を理解していると、トラブル時に役立てる場面があるかもしれませんよ。

ドローンの安定した飛行を可能にしているのは「姿勢制御」

ドローン 姿勢制御

自由自在に空を飛ぶドローン。ドローンが横風などで流されて行かずに指示通りの場所を飛べるのは、現在位置を把握し位置修正ができる「GPS」のおかげです。

そして、その「GPS」と「姿勢制御」システムが連動することにより、さらに正確で安定した自律飛行が可能となります。

姿勢制御とは、簡単にいうと飛行中のドローンの姿勢を維持する(安定させる)ように制御するものです。ドローンの機体を水平にさせ、思うままの方向に飛ばすよう働く機能です。

ドローンの姿勢制御の仕組み

ドローンとパソコン

ドローンの安定した飛行を可能にしている「姿勢制御の仕組み」について詳しく解説していきます。

プロペラの回転制御

そもそも、ドローンがなぜ浮遊したり、左右・上下自在に飛行できるのかというと、プロペラの動きが関係してきます。プロペラひとつにつき1個のモー ターが付いており、個別に回転スピードや方向を制御することができます。

ドローン4枚のプロペラの「回転速度」と「回転する方向」を変えることで、ドローンの進行方向を変えたり、空中で止まったりといった動きが可能になるのです。

【ドローンが浮遊している時のプロペラの回転】

ドローンが浮遊している時、隣り合うプロペラは逆回転しています。なぜなら、プロペラの回転時に発生する「逆方向に回転しようとする力」を相殺し合い、機体の向きを一定に保つ為です。

ドローンとプロペラ

【左右に進行する時のプロペラの動き】

ドローンの機体を右に動かしたい時は、右側のプロペラ2つの回転を遅くさせ、左側の2つを早くします。左に動かしたい時も同様に、左側のプロペラを遅く、右側のプロペラを早く回転させます。

進行方向とは反対側にあるプロペラ2枚を早く回転させることにより、機体が傾き、動かしたい方向へ進んでいきます。

ドローンとプロペラ

【上昇・下降する時のプロペラの動き】

ドローンを上昇させたい時は、4つのプロペラが速く回転します。逆に、下降させたい時は、4つのプロペラの回転は遅くなります。

ドローンとプロペラ

センサーによる制御

ドローンには、機体の姿勢や速度を調節し、自律飛行するための様々なセンサーが備わっています。

主なセンサーは、加速度センサーや角速度センサー、地磁気センサー、気圧センサーなどがあります。その中で、姿勢制御に関係するのが、加速度センサーと角速度センサー(ジャイロセンサー)の2つです。

【姿勢制御の関係する主なセンサー】

加速度センサー 加速度センサーとは、ドローンのスピードの変化量を検知するものです。速度の変化値により、その傾きや動きなどがわかります。
角速度センサー(ジャイロセンサー) ジャイロセンサーとも呼ばれる角速度センサーは、ドローンの角度変化量により、機体の傾きや向きがわかります。

この2つのセンサーが作用し合うことで、傾きや速度を制御し、安定した機体の姿勢を維持しています。

【安定したドローン飛行には欠かせないプロペラ制御と姿勢制御】

ドローンを移動させる時は、機体を傾け進行方向へ動かします。
その傾きを維持し、安定させるのがプロペラ制御と、姿勢制御に関係するセンサーです。
主にこの2つの制御により、ドローンの自在なフライトが可能になっています。

GPSがない環境下でもドローンを安定させる「ビジョンポジショニングシステム」

ドローンと男性

ドローンはGPSを受信して自身の位置確認をし、風などに流されることなくフライトできます。そして姿勢制御システムと連動し、より安定した飛行が可能となるとお伝えしました。

しかし、GPSの届かない屋内や山奥でも「ビジョンポジショニングシステム」により、機体を水平に保ち、正確な飛行が可能となります。

【ビジョンポジショニングシステムとは】

機種によって多少違いはありますが、ドローンの機体下部に搭載されている「ビジョンセンサー(2つのカメラ)」と「超音波センサー」の働きで、非GPS環境でもホバリング(空中で静止すること)や障害物を探知することができます。

【それぞれのセンサーの働き】

ビジョンセンサー(カメラ) 2つのカメラによる画像データで、地面との距離を割り出す。
超音波センサー 高度を測定し、高度維持を行う。

非GPS環境の中でもドローンの姿勢を安定させる便利な機能ですが、弱点もあります。ビジョンポジショニングシステムが正常に機能しない可能性の高い条件をまとめました。

ビジョンポジショニングシステムの弱点

【暗い場所】光量の少ない暗所では、カメラが認識できないため作動しない可能性が高い。

【模様のない床】モノクロ(単色)の床や、同一パターンが繰り返されるタイルなどは、カメラで正確な地面の特徴を把握できないため、作動しない可能性が高い。

【水面】水の上は表面が連続的に変化し続けるので、下部の特徴をセンサーが確認できず、作動しない可能性が高い。

【高い場所での飛行】​​機能限界高度が10m程度なので、高い場所での飛行は出来ない。推奨されている高度は30cm〜6m程度。

また、ドローンの位置把握を行うGPSの代わりに、土木の軽量などに使われている「レーザー光」を応用し、GPSのない場所でも安定した飛行を可能にしたドローンも登場しています。

非GPSの環境下でも、姿勢制御や位置確認が機能することにより、倉庫内在庫管理や橋梁下の点検などにも使用できるため、ドローンの活躍の幅がさらに広がっています。

姿勢制御の働きがあるからといっても、油断は禁物

ドローン

姿勢制御などの自律飛行システムが備わっているからといって、それに頼ってばかりいては怪我や事故へ繋がってしまいます。

山間部や大きな建物がある場所では電波の受信状況が悪くなり、通信が遮断されてしまうこともありますし、強い突風に煽られ、姿勢制御が機能しないケースも。

一つ一つ独立した回転で、ドローンを自在に動かすプロペラも、1つでも不備があると安定した飛行はできません。姿勢制御や自律飛行システムを過信せず、スキルの向上と日々のメンテナンスをしっかりと行いましょう。

まとめ

ドローンの姿勢制御についてまとめてみました。

◎ドローンの安定した飛行を可能にしているのは「姿勢制御」

姿勢制御とは…飛行中のドローンの姿勢を維持する(安定させる)ように制御する機能。

◎ドローンの姿勢制御の仕組み

・プロペラの回転制御
プロペラひとつにつき1個のモー ターが付いており、個別に回転スピードや方向を制御することができる。

 【プロペラの回転方向と速度】

機体が浮遊している時 隣り合うプロペラは逆回転している。
機体を左右に動かす時 進行方向とは反対側にあるプロペラ2枚が早く回転する。
機体を上昇・下降させる時 上昇:4つのプロペラが速く回転する。
下降:4つのプロペラが遅く回転する。

・センサーによる制御
加速度センサー・角速度センサーが作用し合うことで、傾きや速度を制御し、安定した機体の姿勢を維持している。

◆安定したドローン飛行には欠かせないプロペラ制御と姿勢制御

ドローンを移動させる時は、機体を傾け進行方向へ動かす。プロペラ制御と、姿勢制御に関係するセンサーがその傾きを維持し、安定させる。

主にこの2つの制御により、ドローンの自在なフライトが可能になっている。

◎GPSなしでも安定した飛行が可能「ビジョンポジショニングシステム」

GPSの届かない屋内や山奥でも機体を水平に保ち、正確な飛行を行える「ビジョンポジショニングシステム」という機能がある。また、GPSの代わりに、土木の軽量などに使われている「レーザー光」を応用した機体が登場。

GPSのない場所でも安定した飛行が可能となり、ドローンの活躍の場が広がっている。

◎姿勢制御の働きがあるからといっても、油断は禁物

電波の受信状況が悪い場所や、強い突風に煽られた際など、姿勢制御が機能しないケースもある。ドローンを自在に動かすプロペラも、1つでも不備があると安定した飛行はできない。

スキルの向上と日々のメンテナンスをしっかりと行うことが大切。この記事では、ドローンの姿勢制御についてご紹介しました。ドローンの基本的な仕組みを理解することは、安全なフライトにつながります。

正しい知識を生かして、仕事や生活の中でドローンを活躍させてください。