「ドローンって、自作できるもの?」
「市販のドローンだと自分の用途にあったものが見つからないので、自作してみたい。どうすればいいの?」
この記事を開いた方は、きっとそんな希望や疑問を持っていることでしょう。
結論からいえば、ドローンは自作できます。
法的にも問題ないですし、簡単に自作できるキットも市販されています。
費用も、キットで作るなら2万5,000円程度から、パーツから集めて作る場合で10万円程度から可能です。
ドローンを自作するのには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット |
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|
---|---|---|
デメリット |
|
これを踏まえて、「作ってみたい」となれば、以下の10ステップで進めてください。
2)フレームにESCを取り付ける
3)ESCにモーターを接続し、モーターをフレームに取り付ける
4)フライトコントローラーをESCに接続してフレームに取り付ける
5)受信機を取り付ける
6)カメラを取り付ける
7)VTXを取り付ける
8)送信機を設定する
9)電源を入れて確認する
10)ファームウェアを設定する
この記事では、ドローンの自作を考えている人のために、どんな方法があるか、何が必要かなどをくわしく説明していきます。
◎ドローンの自作は合法
◎ドローンを自作する2つの方法
◎ドローンを自作する費用相場
◎ドローンを自作するメリット・デメリット
◎ドローンを自作するために必要なこと
◎ドローンを自作するために知っておきたい「仕組み」
◎ドローンを自作する方法10ステップ
◎ドローンを自作するために必要なパーツと選ぶポイント
◎ドローンのパーツ購入方法・購入場所
◎ドローンの自作、飛行に必要な免許・許可など
最後まで読めば、知りたかったことがわかるはずです。
この記事で、あなたが自分だけのドローンを手にすることができるよう願っています。
目次
ドローンは自作できる!
この記事を読んでいる人はきっと、「ドローンを自分で作ってみたいけれど、できるのかな?」「どうすれば自作できる?」と疑問に思っているはずです。
そこでまず、その疑問に答えておきましょう。
ドローンの自作は合法
結論からいえば、ドローンを自分で作ることはできますし、法律的にも問題ありません。
たとえば「電子工作が好きで、ラジコン飛行機などを作ったことがあるので、今度はドローンに挑戦してみたい」という人や、「ドローンレースを始めたので、自分で機体を作ってカスタマイズしたい」という人も、好きなようにドローンを自作することができます。
ただ、それを飛ばすためには、「送信機に『技適マーク』がついていなければならない」「場合によってはアマチュア無線免許や無線局の開局申請が必要」といった法的規制もあります。
それについては、「8.ドローンの自作、飛行に必要な免許・許可など」で説明しますので、そちらをよく読んでください。
ドローンを自作する方法は2つ
ドローンを自作するには、大きくわけて2つの方法があります。
- 市販のキットを組み立てる方法
- 自力で部品を集めて作成する方法
それぞれ説明しましょう。
市販のキットを組み立てる
もっとも簡単なのは、市販されているドローン工作キットを購入して、説明書に従って組み立てる方法です。
国内外のメーカーがキットを販売していて、子どもでも組み立てられるトイドローンから、空撮もできる本格的なドローンまで、目的や価格、難易度に応じて選ぶことができます。
たとえばAmazonでは、以下のようなキットを購入可能です。
◎HAWK’S WORK F450 ドローンキット/HAWK’S WORK/49,800円(税込)
Pixhawkのフライトコントローラーを搭載した、ホイールベース(=対角線上にある2つのモーターの中心の距離)450mmサイズのドローンが作成できるキットです。
制作ガイドブックと動画があり、さらに通常はんだ付けが必要な部分はすでにはんだで固定されているので、初心者でも組み立てやすくなっています。
これは送信機・受信機がセットになっていますが、送信機・受信機なしのキットもあります。
◎Perfk ミニ RC クアッドコプター/Perfk/5,260円(税込)
サイズ約185 x 50mmの小型ドローン制作キットです。
スマートフォンで制御するタイプで、小さいながらもリアルタイム送信FPVとビデオ記録機能が搭載されています。
「ドローンのしくみをくわしく理解するのは難しいし面倒」としり込みしている人も、まず第一歩としてこのような製品から始めてみれば、意外に簡単に自作ドローンを楽しめるでしょう。
自力で部品を集めて作成する
もっと本格的に「オリジナルのドローンを作りたい!」という人であれば、自分でパーツ選びから始めて組み立てる方法に挑戦してみてください。
この方法だと、一度作って飛ばしてみた上で、自分の目的や好みに合わせて改良していくことができるため、自作ならではの楽しみやメリットをより感じることができるでしょう。
(自作のメリットについては、「2.ドローンを自作するメリット・デメリット」で説明します。)
ただ、市販のキットを組み立てるのに比べて、ドローンが飛ぶしくみやファームウェア(=機体やカメラなどを制御するソフトウェア)などについて、ある程度知っておく必要があります。
それについては、「4.ドローンを自作するために知っておきたい『仕組み』」で簡単にわかりやすく解説しますので、パーツ選びに取り掛かる前にぜひ読んで理解しておいてください。
ドローンを自作する費用相場
ところで、ドローンを自作する際に気になることのひとつが、「いくらくらいでできるのか?」という費用相場でしょう。
各パーツの費用相場については、「6.ドローンを自作するために必要なパーツと選ぶポイント」で挙げますので参照してください。
ここでは、それらも踏まえてトータルでだいたいいくらかかるのかを説明しておきましょう。
ドローンを自作する費用は、「どんな機能を持たせるのか」「どのパーツを使うか」「どの程度の性能を求めるか」などによって千差万別です。
一概にいくらとは言えません。
ただ、だいたいの目安としては、以下のように考えておくといいでしょう。
- キットで作る場合:2万5,000円程度〜
- パーツから集める場合:10万円程度〜
(小型ドローン、トイドローンなどはもっと安価でできる場合もあり)
ドローンを自作するメリット・デメリット
さて、ドローンを自作できることはわかりましたが、そもそもドローンを自作する意味とは何でしょうか?
最近では、空撮などができるドローンの完成品が数千円程度から手に入りますし、飛ばす目的によってさまざまなタイプ、スペックの製品がありますので選択肢も豊富です。
そんな中で、あえてドローンを自作することには、いくつかのメリットがあります。
また一方で、デメリットもありますので、どちらも知った上で、最終的に「自作するか、完成品を買うか」を決めるといいでしょう。
メリット |
|
|
---|---|---|
デメリット |
|
自作のメリット
まず、以下の2つのメリットから説明します。
- オリジナルのドローンを作ることができ、自由にカスタマイズも可能である
- ドローンに関する知識が深まる
オリジナルのドローンを作ることができ、自由にカスタマイズも可能である
ドローンを自作する第一のメリットは、自分だけのオリジナルの機体を作ることができるという点でしょう。
ドローンを飛ばしたい人には、たとえば「ドローンレースに参加したいので、飛行スピードが速く、細かいコントロールができる機体にしたい」とか、「全国各地に持ち歩いて空撮したいので、できるだけ小型軽量で、最低限の撮影機能だけ備えたものがほしい」など、それぞれに異なる目的や好みがあるでしょう。
その希望に沿った機体が市販されていればいいのですが、「しっくりくるものがない」というケースも出てきます。
そんな場合は、自作することで希望通りのドローンを手にすることができるのです。
もし、自作した機体が「期待したほど速く飛べない」「もう少し軽いほうがいい」など、希望に沿わなかった場合でも、自作機であればあとから自由にカスタマイズすることもできます。
目的にかなう機能を備えていて、操縦しやすい自分だけの愛機を作ることができるのは、大きな利点であり楽しみにもなるでしょう。
ドローンに関する知識が深まる
もうひとつのメリットは、自作をするうちにドローンに関する知識と理解が深まることです。
キットを組み立てるだけでも、ドローンにはどんなパーツが必要で、それぞれどんな役目を担っているか、ある程度知ることができるでしょう。
ましてやパーツ集めから自分で取り組むのであれば、ドローンが飛ぶしくみや機体の構造、ファームウェアの機能などについて、少なくとも基本的な知識は学ぶ必要が生じます。
それらの知識が身につけば、ドローンを飛ばす技術も高まるでしょうし、もし故障や不具合があった場合も、自分でメンテナンスできるようになるはずです。
自作のデメリット
一方で、以下に挙げるようなデメリット、注意点もあります。
- 場合によっては完成品を購入するより割高になる
- パーツから揃えて自作する場合は、知識や技術が必要になる
- 量産機に比べて各種申請が煩雑になる
どういうことでしょうか?
場合によっては完成品を購入するより割高になる
まず、ドローンを自作すると、似たようなスペックの完成品を購入するより割高になる可能性があります。
よく、「ドローンを自作するメリットは、低価格でできること」と言われることがあります。
たしかにそういうケースもありますが、その反面、自作のほうがトータルの費用は高くなる場合も多いのです。
たとえばトイドローンなどの手軽なものであれば、完成品は5,000〜6,000円程度から手に入ります。
それに対してパーツをひとつずつ揃えるとなると、ドローンのフレームやプロペラ、モーターは安くてもそれぞれ数百円から、フライトコントローラーは5,000円程度から、ESC(=モーターの回転速度をコントロールする部品)も1,000円程度からで、さらに送信機、受信機などさまざまなパーツが必要になるので、少なくとも万単位の費用がかかるでしょう。
もしレース用などスペックを重視して自作する場合は、パーツにもこだわることになるでしょうから、制作費はさらに高額になることが予想されます。
つまり、「費用を抑えるために自作したい」と考えても、結果として高くついてしまった、となる恐れがありますので、その場合はまずパーツの価格を調べてみて、トータルの費用を完成品の価格と比較する必要がある、というわけです。
パーツから揃えて自作する場合は、知識や技術が必要になる
「ドローンに関する知識が深まる」で説明したように、ドローンをパーツから自分で揃えて電子工作する場合は、ある程度の知識を身につけることが必要です。
これはメリットでもありますが、裏を返せば「物理は苦手」という人にとっては苦行と感じるかもしれません。
また、電子工作ではパーツのはんだづけなどの作業が発生するので、「手先がすごく不器用」「工作はしたことがない」という人にとっても、ハードルは高めになりそうです。
その場合は、まずは簡単な組み立てだけでできるキットから始めてみてください。
そこで「これより難しいなら自分にはできないな」と判断すれば、自作せずに市販のドローンを購入すればいいですし、「キットを組み立たら、ドローンの構造や原理が少しわかってきた」となれば、パーツから揃える自作に挑戦してみてもいいでしょう。
量産機に比べて各種申請が煩雑になる
3つめのデメリットとして、自作機は市販の量産機に比べて手続きが煩雑になるという点も挙げられます。
たとえば、ドローンの「機体認証」を取得する手続きです。
機体認証を取得したドローンは、特定飛行の許可・承認の申請が一部不要になったり、これまでできなかった「カテゴリーⅢ(=第三者の上空での特定飛行)」が可能になったりします。
そのため、特にビジネス目的でドローンを利用したい人などが、今後多く取得すると考えられます。
この「機体認証」を取得するには、ドローンの所有者が、国土交通省または民間の登録検査機関で「設計」「製造過程」「現状」の3段階の検査を受けなければなりません。
自作機の場合も、所有者自身が検査を申請して、上記3つともクリアする必要があります。
ただ、あらかじめメーカー側で「設計」「製造過程」の検査をクリアした機体(=「型式認証」を取得した機体)を購入した場合は、所有者側では「現状」の検査のみで機体認証が与えられるのです。
つまり、自作機は市販の「型式認証」済みの機体に比べて受ける検査も多く、費用も余分にかかってしまうというわけです。
この機体認証については、別記事「ドローンの機体(型式)認証|やり方は?いつから?一覧やDJI機も」でくわしく説明していますので、必要があれば読んでみてください。
ドローンを自作するために必要なこと
さて、ここまで読んで「やっぱりドローンを自分で作ってみよう」と決めた人も多いでしょう。
その場合は、いろいろ知っておくべきことがありますので、ここからはそれらについて説明していきます。
まず、「ドローンを自作する」といっても、ただパーツを組み合わせればそれでOKではありません。
きちんと飛行できる機体を作り、完成したら法律を守って正しく飛ばすためには、以下のことが必須です。
- 仕組みを理解する
- パーツを揃える
- 免許や許可をとる
それぞれ簡単に説明します。
仕組みを理解する
まず、自作に取り掛かる前に必要なのは、ドローンの仕組みを理解することです。
この「仕組み」とは、大きくわけると以下の2点です。
- ドローンが飛行する原理
- ドローンの構造
ドローンの飛行原理は、パーツ選びに深く関わってきます。
たとえば、プロペラひとつとってもその大きさ、羽の数、羽のひねり具合などさまざまに異なる製品があります。
そこで、「プロペラのひねりが大きいほど、機体に推進力が加わる」ということを知っていれば、自分の作りたいドローンにはどのプロペラが適しているかを判断できるわけです。
また、ドローンの構造は、組み立てる際にはもちろん知っておかなければなりません。
さらに、組み上げたあとにちゃんと飛ばなかったり、故障したりした際に、「どこに問題があるのか」を発見して改良するためにも必要な知識です。
これらについては、「4.ドローンを自作するために知っておきたい『仕組み』」でわかりやすく説明しますので、そちらを読んでください。
パーツを揃える
次に、必要なパーツを揃えます。
キットを組み立てる場合は、基本的に必要なものはあらかじめ揃った状態で販売されているでしょう。
それに対して、一から自作する場合や、市販のキットにはない機能やパーツを追加したい場合には、必要なパーツをひとつずつ集めなければなりません。
基本的なドローンに必要なパーツは以下です。
- フレーム
- プロペラ
- モーター
- フライトコントローラー
- ESC (電子式スピードコントローラー)
- バッテリー
- 受信機
- 送信機(プロポ)
- FPVカメラ
- VTX
これらのパーツそれぞれの説明と、選び方については「6.ドローンを自作するために必要なパーツと選ぶポイント」でくわしく説明しますので、そちらを参考にして揃えてください。
免許や許可をとる
さらに、自作したドローンを飛ばすには、法律で定められた免許や許可をとる必要もあります。
というのも、ドローンに関しては、「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」などさまざまな法律で規制が設けられているためです。
一般的には、以下のような免許や許可が必要になります。
- 無線免許:不要な場合あり
- 無線局の開局申請:不要な場合あり
- 機体登録:100g以上の機体なら必須/100g未満なら必要なし
- 飛行申請:100g以上の機体は、多くの場合で必要/100g未満なら特定飛行の許可申請は必要なし
これについては、「8.ドローンの自作、飛行に必要な免許・許可など」で説明します。
また、くわしい申請方法が知りたい場合は、別記事「【チャート付】ドローンの飛行申請が必要な全パターンとその申請方法」「【ドローンの無線資格(免許)】必要な2ケースと取得方法・開局申請まで紹介」を参照してください。
ドローンを自作するために知っておきたい「仕組み」
では、いよいよドローン自作のための準備を始めましょう。
まず、前章で挙げたドローンの「仕組み」について理解してください。
この章では、以下についてわかりやすく説明します。
- ドローンはなぜ飛ぶのか?
- ドローンの構造はどうなっているのか?
ドローンはなぜ飛ぶのか?
「ドローンがなぜ飛ぶのか?」、その答えを端的にいうと、「プロペラの回転により『揚力』が生じるから」です。
「揚力」とは、大気中や水中で動いている物体に対して、垂直・上向きに働く力を指します。
ドローンは、プロペラを回転させることでこの「揚力」を生み、上空に浮かび上がることができるのです。
この仕組みを図解しましたので、以下を見てください。
【ドローンが飛ぶ仕組み】
1)ドローンには、「揚力」「重力」「推力」「抗力」という4つの力がつねに働いています。
2)「揚力」が「重力」より大きければドローンは浮き上がり、「推力」が「抗力」より大きければ前に進みます。
3)「揚力」を発生させるには、角度のついたプロペラを回転させます。
そうすると、図のように空気が下に押し下げられ、反対に機体を上空に浮かび上がらせる「揚力」が生じるというわけです。
出典:防衛省・自衛隊 陸上自衛隊第2飛行隊ホームページ「ヘリコプターの原理」
4)また、ドローンには複数のプロペラがありますが、隣り合うプロペラは逆回転するようになっています。
これにより、お互いのプロペラが推力を打ち消しあうため、ドローンはどちらかの方向に横移動することなく空中で安定した飛行姿勢を保つことができます。
5)このプロペラの動きをそれぞれ変化させることで、揚力、推力などの力をコントロールし、ドローンを左右・上下に移動させることができます。
①左右の移動
・右に進めたい場合:右側のプロペラの回転速度を遅くして、左側を速くする
・左に進めたい場合:左側のプロペラの回転速度を遅くして、右側を速くする
②上下の移動
・上昇したい場合:すべてのプロペラの回転速度を速めて、揚力を強くする
・下降したい場合:すべてのプロペラの回転速度を遅くして、揚力を弱める
以上が、ドローンが飛ぶ仕組みです。
最低限でもこれを理解することが、ドローン自作の第一歩ですので、覚えておいてください。
ドローンの構造はどうなっているのか?
次に、ドローンの構造を見ていきましょう。
基本的なドローンは、各パーツを以下のように組み合わせて、機体の基礎となる「フレーム」に搭載している、と考えればいいでしょう。
そしてこれらの各パーツが、以下のように機能することでドローンの飛行が可能になります。
1)送信機:操縦者からの操作指示を、信号としてドローン本体の受信機へ送る
▼
2)受信機:操作指示の信号を受け取り、フライトコントローラーに伝える
▼
3)フライトコントローラー:その信号をもとに、操作指示通りに動くには各プロペラをどう回転させればいいか=各モーターの適切な回転速度を算出し、各ESCに指令を出す
▼
4)ESC:フライトコントローラーからの指令にしたがって、各モーターの回転速度を適切に制御する
この基本構造に、カメラや映像関連機器を追加したり、測量や農薬散布などの目的に必要な部品を搭載したりすることで、自作ドローンが完成するわけです。
ドローンを自作する方法10ステップ
さて、ドローンの仕組みがわかったところで、いよいよ実際に自作してみようとなった際には、どのように作業を進めればいいのでしょうか?
細かい工程は、どんなドローンを作るかによって異なりますが、ここでは基本的な流れの例を10ステップで説明します。
2)フレームにESCを取り付ける
3)ESCにモーターを接続し、モーターをフレームに取り付ける
4)フライトコントローラーをESCに接続してフレームに取り付ける
5)受信機を取り付ける
6)カメラを取り付ける
7)VTXを取り付ける
8)送信機を設定する
9)電源を入れて確認する
10)ファームウェアを設定する
パーツを購入する
まず、どのようなドローンを作るのかを決めた上で、必要なパーツを揃えます。
主に必要なパーツは以下です。
パーツ名 |
役割 |
---|---|
フレーム | ドローン本体の「骨組み」 これに各パーツを搭載する |
プロペラ | ドローンの「羽根」 プロペラが回転することで「揚力」や「推力」を生み出し、ドローンを飛行させる |
モーター |
ドローンを飛ばすための動力源 |
フライト コントローラー |
ドローンの飛行をコントロールする制御基盤 |
ESC |
モーターの回転速度をコントロールするパーツ
|
バッテリー |
ドローンの電源となる充電池 |
送信機 (プロポ) |
ドローンを遠隔で操縦するためのコントローラー |
受信機 |
ドローンの機体に搭載して、送信機からの信号を受信するパーツ |
FPVカメラ | |
VTX |
ドローンに搭載したカメラから、FPVゴーグルやモニターに画像を送信する装置 |
パーツそれぞれの選び方は「6.ドローンを自作するために必要なパーツと選ぶポイント」を、購入方法は「7.ドローンのパーツ購入方法・購入場所」を参照しながら揃えてください。
フレームにESCを取り付ける
パーツが揃ったら本体を組み立てます。
まずはフレームにESCを取り付けましょう。
ESCには取り付け方向が決められています。
どちらを前面にすればいいかは、本体に矢印で示されていたり、モーターの取り付け番号で判断できたり(モーター4つタイプの場合、「2=右前」「4=左前」、「1=右後ろ」「3=左後ろ」)しますので、正しい向きで取り付けてください。
ESCにモーターを接続し、モーターをフレームに取り付ける
次に、ESCにモーターを接続します。
モーターから出ている3本のケーブルを、ESCの3つの端子にそれぞれはんだづけしましょう。
モーターとESCが接続できたら、各モーターをフレームに取り付けます。
その際には、取り付け位置をフレームの向きと合わせてください。
ESCの「2」の位置に取り付けたモーターはフレームの右前に取り付け、「4」のモーターは左前に、「1」は右後ろ、「3」は左後ろに取り付けましょう。
フライトコントローラーをESCに接続してフレームに取り付ける
次に、フライトコントローラーをESCに接続します。
フライトコントローラーとESCとの接続方法は、製品によって以下のようなタイプにわかれます。
- はんだづけするタイプ
- ピン端子で接続するタイプ
- コネクタケーブルで接続するタイプ
いずれの場合も、まずフライトコントローラーの基盤図面をよく見て、それに従って配線してください。
もし間違った配線で接続してしまうと、フライトコントローラーが故障してしまう恐れがあります。
接続ができたら、フライトコントローラーをフレームに取り付けます。
フライトコントローラーにも、ESC同様に取り付けの向きが決められていますので、どちらが前になるか確認して取り付けてください。
ちなみに、一般的には下から「フレーム→ESC→フライトコントローラー」の順で取り付けますが、それぞれの間にクッションとして、シリコンやゴム製の衝撃緩衝リングを挟むといいでしょう。
受信機を取り付ける
受信機をフライトコントローラーに接続、取り付けます。
フライトコントローラーの図面を見て、受信機取り付け用の端子に、受信機から出ている3本のケーブルをはんだづけしましょう。
取り付けたら、受信機と送信機を同期させ、通信できるように設定します。
設定方法は取扱説明書に記載されていますので、それに従ってください。
カメラを取り付ける
FPVカメラもフライトコントローラーに接続します。
カメラからは、基本的には3本のケーブルが出ていますが、接続のしかたは何タイプか異なります。
- 3本すべてフライトコントローラーに接続する
- ビデオ端子をフライトコントローラーに接続し、あとの2本はVTXに接続する など
どのように配線すればいいのかは、カメラの説明書やフライトコントローラーの説明書で確認しましょう。
配線のしかたがわかったら、所定の端子にはんだづけします。
VTXを取り付ける
次はVTXの取り付けです。
VTXの配線は、基本的にはフライトコントローラーとはんだづけで接続しますが、カメラとの接続が必要なものもあります。
これも各パーツの説明書を見て、指示通りに接続しましょう。
配線ができたら、VTXをフレームに取り付けます。
一般的には、下から「フレーム→ESC→フライトコントローラー→VTX」の順で組み上げてください。
VTXは、使用中に熱を持ちやすいパーツですので、その下のフライトコントローラーとはできるだけ間隔を取れるように組み立てる必要があります。
フレームに支柱(=スタンドオフ)を立てて、VTXはそのいちばん上部に取り付けるといいでしょう。
ここまでで、ドローン本体の組み立ては完了です。
送信機を設定する
機体が組み上がったら、次はそれを操縦するための送信機の設定を行います。
送信機は、以下のような設定ができるものがあります。
機種によってどんな設定が可能かは異なりますが、自分が使いやすいように設定しましょう。
- スティックのモード設定:モード1とモード2の切り替えや、自由設定が可能
- 画像転送設定:ドローンから転送される画像を「標準モード」か「HDモード」か選択 など
電源を入れて確認する
ここまでできたら、電源を入れてすべて正常に起動するか確認します。
もし起動しないものがあったり、不具合があったりした場合は、説明書を見直して敗戦に問題がないかチェックしてください。
問題なく正常に起動すればOKです。
ファームウェアを設定する
最後に、ファームウェアの設定をします。
ファームウェアとは、ドローンの機体やカメラなど各パーツを制御するためのソフトウェアです。
フライトコントローラーにインストールされていて、OpenPilot、Cleanflightなどさまざまな種類がありますが、現在は「Betaflight(ベータフライト)」というオープンソースのものが主流になっています。
ベータフライトでは、以下のような設定が可能です。
- 機体の水平キャリブレーション
- 受信機の受信モード
- スティックの動きに対するドローンの動き
(小さな操作で機体を大きく動かしたり、微妙な操作が行えるようにしたりと調整可能) など
ベータフライトの設定をするには、以下の手順で行います。
1)Betaflight Configurator(ベータフライトコンフィグレーター)をパソコンにインストールする
▼
2)フライトコントローラーとパソコンをUSBケーブルで接続する
▼
3)パソコン上でベータフライトを起動させ、各種設定を行う
ベータフライトとベータフライトコンフィグレーターのダウンロードは、以下のサイトから行えます。
基本的に英語表示ですが、インストール後に立ち上げると言語選択ができますので、日本語表記に変えることが可能です。
それを見ながら、自分が使いやすいように各種設定を行なってください。
ドローンを自作するために必要なパーツと選ぶポイント
ドローンを自作する流れがわかりました。
が、実際に取り掛かる際に、まず重要なのはパーツ集めです。
一般的なドローンを構成するパーツについて、それぞれの役目や選ぶ基準、費用目安などを一覧にまとめましたので、以下を見てください。
パーツ名
|
役割 | 選ぶ基準 | 費用目安 |
---|---|---|---|
フレーム | ドローン本体の「骨組み」 これに各パーツを搭載する |
|
|
プロペラ | ドローンの「羽根」 プロペラが回転することで「揚力」や「推力」を生み出し、ドローンを飛行させる |
|
|
モーター |
ドローンを飛ばすための動力源 |
|
|
フライト コントローラー |
ドローンの飛行をコントロールする制御基盤 |
|
5,000〜3万円程度 |
ESC |
モーターの回転速度をコントロールするパーツ
|
|
|
バッテリー |
ドローンの電源となる充電池 |
|
1個あたり500〜2,500円程度 |
送信機 (プロポ) |
ドローンを遠隔で操縦するためのコントローラー |
|
7,000〜数万円程度が一般的 |
受信機 |
ドローンの機体に搭載して、送信機からの信号を受信するパーツ |
|
2,500円前後 |
FPVカメラ |
ドローンの視点でリアルタイムに画像をゴーグルやモニターに送信できるカメラ |
|
性能によって異なるが、1,500〜3万円程度のものが多い |
VTX |
ドローンに搭載したカメラから、FPVゴーグルやモニターに画像を送信する装置 |
|
3,000〜5,000円程度 |
では、それぞれ説明していきましょう。
フレーム
「フレーム」とは、ドローン機体の基礎となるパーツです。
自作する際には、このフレームにモーターやプロペラ、フライトコントローラーなどの各パーツを搭載していきます。
手軽なものであれば3,000円程度から、ある程度本格的なものなら1万5,000〜3万円程度で入手できます。
【フレームの商品例】
◎225mm FPVレーシングドローンフレーム カーボンファイバー 5インチ クアッドコプター フリースタイルフレームキット/5,971円(税込)
フレームにはさまざまな大きさのものがあり、1箇所のモーター取り付け位置の中心から、対角線上のモーター取り付け位置の中心までの長さをmm(ミリメートル)単位で表します。
フレーム選びで重要なのは、サイズによって搭載できるプロペラの大きさが制限されることです。
フレームに対して大きすぎるプロペラを搭載してしまうと、機体部分や他のプロペラにぶつかってしまってうまく回転しません。
各フレームの仕様には、適合するプロペラのサイズが記載されていますので、それを守ってください。
プロペラが大きければそれだけ浮力(=静止状態で上向きにかかる力)も大きくなりますが、それを動かすためのモーターの出力もより大きなものが必要になります。
そのため、目的に合わせてフレーム、プロペラ、モーターを選ぶとよいでしょう。
一般的には、目的ごとに以下のサイズのフレームが用いられるケースが多いようです。
競技用 |
レース用 |
参加する大会の規定に準ずる |
---|---|---|
フリースタイル用 |
150mm、180mm、230mm程度が多い |
|
フリーフライトを楽しむ用 |
100mm、120mm程度が多い |
|
屋内で飛ばす用 |
65mm、80mm程度 |
プロペラ
「プロペラ」は、ドローンの「羽根」です。
モーターによってプロペラが回転することで「揚力」や「推力」を生み出し、ドローンを飛行させます。
費用は1枚で数百円から、4枚、8枚などのセットでは1,000〜3,000円程度から手に入ります。
【プロペラの商品例】
◎DJI Mini 3 Pro プロペラ グレー/DJI/1,209円(税込)
プロペラは、ドローンの飛び方を決める重要なパーツです。
その選び方のポイントは以下の4点ですので、それぞれ説明しましょう。
- プロペラの枚数
- プロペラのサイズ
- プロペラのピッチ(=1回転した際に進む距離)
- プロペラの素材
プロペラの枚数
ドローンのプロペラ枚数は、2枚、3枚、4枚のものが主流です。
一般的に、枚数が多いほど機動性が高まり、急旋回や素早い方向転換などのコントロールがしやすくなりますが、一方で自機のプロペラによって乱気流が起こり、機体が不安定になる「プロップウォッシュ」という現象が起こることもあります。
反対に、枚数が少ないと乱気流は発生しにくいため、ホバリング(=空中での静止飛行)は安定します。
また、スピードも出やすくなりますが、細かいコントロールは難しくなりがちです。
ただ、これらはプロペラの枚数だけで決まるのではなく、フレームのサイズやモーターの出力などほかのパーツとのバランスによっても変わってきます。
そのため、一応以下の基準を参考に選びつつ、思うような飛行にならなければあとで枚数を変えてみるなど、改良を加えるのもいいでしょう。
2枚羽根の特徴 |
|
---|---|
3枚羽根の特徴 |
|
4枚羽根の特徴 |
|
プロペラのサイズ
プロペラのサイズは、前述したようにフレームのサイズによって制限されます。
選んだフレームの仕様を見れば、適合するプロペラサイズが記載されていますので、その範囲内で選びましょう。
プロペラのピッチ
プロペラの「ピッチ」とは、プロペラが1回転した際に進む距離のことです。
単位は「インチ」や「mm(ミリメートル)」で表されます。
(また、プロペラの羽根のねじれ度合いのことも「ピッチ」と呼びます。)
ピッチが大きいプロペラほど、1回転で長い距離を進むことができるということですので、「推進力が大きい」と言えます。
そのため、モーターも「トルク(=回転させる力)」が大きいものが必要です。
つまり、プロペラのピッチ選びは、以下のようにモーター選びと連動しているわけです。
ピッチが大きいプロペラ | トルクが大きいモーター=低回転のモーターが必要 |
---|---|
ピッチが小さいプロペラ | トルクが小さいモーター=高回転のモーターが適している |
モーター選びについては、「6-3.モーター」を参照してください。
ちなみにピッチだけで選ぶとしたら、ひとつの基準として以下を目安にしてもいいでしょう。
レース用など機動性を 重視する場合 |
ピッチはプロペラサイズの約8割 →5インチのプロペラなら、ピッチは「5×0.8=4インチ」程度 |
---|---|
空撮用など機動性は 重視しない場合 |
ピッチはプロペラサイズの約4〜5割 →5インチのプロペラなら、ピッチは「5×0.4〜0.5=2〜2.5インチ」程度 |
プロペラの素材
また、プロペラの素材も重要です。
ドローンのプロペラは、主に「ナイロングラスファイバー」「ポリカーボネイト」などを用いて作られています。
ナイロングラスファイバーは比較的硬い素材なので、飛行中に空気抵抗で変形しにくく、モーターの回転力を無駄なく推進力に変えることができます。
そのため、レース用など速度を重視したい場合に適しています。
ただ、柔軟性に欠けるため、何かにぶつかったり墜落したりした際に、プロペラが折れやすいのが難点です。
一方ポリカーボネイトは、ナイロングラスファイバーよりも柔軟性のある素材です。
衝突や墜落があっても、折れたり破損したりする可能性は比較的低いので、初心者向けだと言えるでしょう。
そのかわり、風の抵抗を受けると羽根が変形しやすいので、急な動きに対応しにくいのはデメリットです。
これらの特性を踏まえて、以下の基準で素材を決めるといいでしょう。
ナイロングラスファイバー |
→レース用などに適している |
---|---|
ポリカーボネイト |
→初心者向け |
モーター
「モーター」は、ドローンを飛ばすための動力源になるパーツです。
バッテリーから電源を受けたモーターが回転することで、モーターに接続されたプロペラも回転し、揚力や推力を生み出してドローンを動かします。
価格は1つ数百〜5,000円程度のものが多く、クアッドコプター(=プロペラ4つのドローン)向けに4個セットで1,000〜1万円前後で販売されているものもよくあります。
【モーターの商品例】
◎ポータブル高性能ドローンモーター/2,820円(税込)
モーター選びのポイントとなるのは、以下の3点です。
- ブラシモーターかブラシレスモーターか
- モーターのサイズ
- モーターのKV値
ブラシモーターかブラシレスモーターか
モーターは、「ブラシモーター」と「ブラシレスモーター」の2種に大別されます。
「ブラシモーター」は、ブラシ(=電極)から回転軸に巻かれたコイルに電流を流して回転させる仕組みで、使用しているうちにブラシが摩耗するのが難点です。
一方「ブラシレスモーター」は、ブラシがないので劣化しにくく、モーターの回転も安定しているという長所がありますが、比較的高価です。
最近のドローンでは、ブラシレスモーターが多く使われる傾向ですが、念のため両者の比較をまとめておきましょう。
ブラシモーター |
|
---|---|
ブラシレスモーター |
→ドローンにはブラシレスモーターが使われることが多い |
モーターのサイズ
モーターにはさまざまなサイズのものがありますが、プロペラと同様にフレームによって適合するサイズが決まっています。
フレームを確認した上で、適したサイズのモーターを選んでください。
ちなみにモーターサイズは4桁の数字で表され、前半2桁が「コイルの直径」、後半2桁は「コイルの高さ」(単位はmm)を示します。
モーターのKV値
もうひとつ重要なのが、モーターの「KV値」です。
「KV値」とは、「1ボルトの電圧で1分間にモーターが回る回転数」を表しています。
KV値が大きいほどモーターの回転数が高く、反対に「トルク(=回転させる力)」は小さくなります。
一方で、KV値が小さければ回転数は低く、トルクが大きくなるのです。
機体が大きく重く、プロペラのサイズやピッチが大きいものほど、大きなトルクが必要になるため、低回転のモーター=KV値の低いモーターが必要になります。
逆に、小型軽量のドローンなら、高回転のモーター=KV値の高いモーターが適しています。
KV値の高いモーター |
回転数が高くトルクが小さい →小型軽量のドローンに適する |
---|---|
KV値の低いモーター |
回転数が低くトルクが大きい →大型重量のドローンに適する |
フライトコントローラー
「フライトコントローラー」は、ドローンの飛行をコントロールする制御基盤です。
操縦者が送信機から送った操作信号を、受信機を介してフライトコントローラーが受け取り、その指示に基づいてモーターの回転数などを計算、ESCを制御してドローンを指示通りに動かします。
フライトコントローラーは基盤ですので、演算を行うチップが搭載されています。
そのチップの性能などのスペックによって価格は異なりますが、おおむね5,000〜3万円程度で入手できます。
【フライトコントローラーの商品例】
◎フライトコントローラー 30A/4,460円(税込)
フライトコントローラーを選ぶポイントは、主に以下の3点です。
- フライトコントローラーのチップ
- フライトコントローラーのUART系統数
- フライトコントローラーの通信方式
フライトコントローラーのチップ
前述したように、フライトコントローラーにはチップが搭載されています。
ドローンの場合、チップは主に以下の4種類です。
チップの種類 |
駆動周波数 | 内部メモリ | UART | 性能 |
---|---|---|---|---|
F7 |
216MHz | 1MB | 8系統 |
高性能・高速演算 低性能・低速演算 |
F4 |
168MHz |
1MB | 3系統 | |
F3 |
72MHz | 256kB | 3系統 | |
Naze32 |
72MHz | 128kB | 2系統 |
※URAT:通信回路。シリアル信号とパラレル信号の変換を行う。
レース用など高いスペックを求める場合は、「F7」チップのフライトコントローラーがいいでしょう。
反対に、小型ドローンで遊んで楽しむだけなら、「F4」「F3」などでも十分かもしれません。
フライトコントローラーのUART系統数
前項の表に、「UART」という項目がありますが、この系統数もポイントです。
「UART」とは、フライトコントローラーに搭載されている通信回路で、通信の際に、シリアル信号をパラレル信号に変換する、あるいはその逆を行います。
もっとわかりやすく言えば、フライトコントローラーに受信機やVTX、GPSなどのパーツを外付けするための端子になるものです。
そのため、外付けパーツの数に合わせたUARTの系統数が必要なのです。
もし、4つ以上のパーツを外付けするなら、F4やF3チップのフライトコントローラーでは系統数が足りないので、F7のものでなければなりません。
まずどのパーツが外付けになるかを確認した上で、系統数が足りるフライトことローラーを選びましょう。
フライトコントローラーの通信方式
また、フライトコントローラーと受信機の通信方式が同じ規格であることも必須です。
もし規格が異なっていると、信号のやり取りができません。
ドローンで使われる通信方式にはいくつかの規格がありますが、代表的なものは以下です。
- PWM:アナログ方式/配線ケーブル1本あたり1つのモーターを制御する
- PPM:アナログ方式/配線ケーブル1本あたり8つまでのモーターを制御する
- S.BUS:デジタル方式/配線ケーブル1本あたり18チャネルまでの信号を制御する など
基本的には、アナログよりデジタルの規格のほうが通信が安定します。
あとは、受信機との兼ね合いも考えて選ぶといいでしょう。
ESC (電子式スピードコントローラー)
「ESC(=Electric Speed Controller)」は、モーターの回転速度をコントロールするパーツです。
バッテリーとモーターの間に接続し、フライトコントローラーからの司令に従ってモーターの回転速度を制御、指示通りにドローンを飛行させる役割を担っています。
ESCには大きくわけて以下の2タイプがあります。
- 単体タイプ:ひとつのESCでひとつのモーターを制御する
- 4in1タイプ:ひとつのESCで4つのモーターを制御する
費用相場は、単体タイプで1,000〜2,000円程度、4in1タイプなら5,000〜1万5,000円程度のものが多いようです。
【ESCの商品例】
ESCを選ぶポイントは、主に以下の3点です。
- 単体タイプか4in1タイプか
- ESCのプロトコル
- ESCのON抵抗値
単体タイプか4in1タイプか
まず前述したように、ESCには「単体タイプ」と「4in1タイプ」の2種があります。
単体タイプはひとつのESCがひとつのモーターを制御する仕組みになっているため、たとえばプロペラが4つあるクアッドコプターなら、ESCも4つ必要です。
対して4in1タイプは、ひとつのESCが4つのモーターを制御することができます。
クアッドコプターの場合でも、ESCはひとつで足りるわけです。
ESCのプロトコル
ふたつめのポイントは、ESCがモーターの回転を制御するプロトコル(=通信方法)です。
ESCのプロトコルは、ワンショット、マルチショット、DSHOTといった種類があります。
このうちワンショットとマルチショットはアナログ式、DSHOTはデジタル式で制御するもので、アナログよりも、デジタルのDSHOTのほうが処理速度が速くなります。
ESCのON抵抗値
もうひとつのポイントは、「ON抵抗値」です。
これは、トランジスタの一種・MOSFETを動作(=オン)させたときの抵抗値で、この値が小さいほどESC内でのエネルギーのロスが少なく、バッテリー効率がよくなります。
また、抵抗値が低いということは発熱量も少なくなるので、ESCの動作環境としても良好な状態を保てるはずです。
いくつかのESCで迷った際には、ON抵抗値が低いものを選ぶといいでしょう。
ESCの選び方については、別記事「ESCでドローンをレベルアップ!最新ESCの概要と機能、選ぶ上でのポイント」でもくわしく開設していますので、参照してください。
バッテリー
「バッテリー」は、ドローンの電源となる充電池です。
一般的なバッテリーには、ニッケル水素バッテリー、リチウムフェライトバッテリー、リチウムポリマーバッテリーなどがありますが、ドローンで用いられるのはリチウムポリマーが主流になっています。
リチウムポリマーバッテリー=通称「リポバッテリー」は、軽量でコンパクトながら、大容量・高出力という特徴があり、空を飛ばすドローンに適しているためです。
充電して繰り返し使うことができますが、通常の使用で1〜2年程度、100回程度の放電で寿命になる消耗品です。
そのため数個セットで販売されているものも多く、1個あたり500〜2,500円ほどで購入できます。
【リポバッテリーの商品例】
◎Octelect 2個 3.7V 1000mAh 803040Lipoバッテリー充電式リチウムポリマーイオンバッテリーパック/1,999円
リポバッテリーを選ぶ際の主なポイントは以下です。
- リポバッテリーのセル数(S)
- リポバッテリーの容量
- リポバッテリーの充放電許容量(放電レート)
リポバッテリーのセル数(S)
リポバッテリーは「セル」という単位で構成されていて、複数のセルをまとめたものを「バッテリーパック」と言います。
このセルの数が多いほど電圧が大きくなるので、モーターの出力も大きくなります。
つまり、プロペラを回す力が大きくなるというわけです。
ドローンの場合、1〜4セルのバッテリーが使われることが多く、セル数ごとの電圧は以下の数値です。
- 1セル:3.7V
- 2セル:7.4V
- 3セル:11.1V
- 4セル:14.8V
リポバッテリーの容量
バッテリー選びでは、やはり容量はもっとも重要な要素でしょう。
容量とは、そのバッテリーが1回で蓄えることができる電気の量を指します。
「放電容量」とも呼ばれ、単位は「mAh(ミリアンペアアワー)」です。
「1000mAh」のバッテリーであれば、「1時間で1A(アンペア)の電流が使える」ということです。
容量が大きければ、より長時間の飛行が可能になったり、重量のあるドローンを飛ばすことができたりといったメリットがあります。
反面、容量が大きくなるほど、一般的にはバッテリーが重くなりがちですので、一概に「大容量のほうがいい」とは言い切れません。
バッテリーの消費量は、ドローンの重さや機能、飛ばし方などさまざまな要因によって異なります。
前述したように、消耗品でもありますので、使ってみて「もっと容量が大きいものが欲しい」となったら取り替えるなど、自分のドローンに適した容量のものを見つけてください。
リポバッテリーの充放電許容量(放電レート)
「容量」が電気を蓄える量を指すのに対して、蓄えた電気をどれくらい流すことができるかを表すのが「充放電許容量(=放電レート)」です。
単位は「C」で、「1C」は「バッテリーが1時間で流せる電流量」を示します。
この数値が大きいほど、一度に多くの電力を供給できることになります。
また、充電の際も同様なので、Cが大きいバッテリーほど急速充電が可能です。
送信機(プロポ)
「送信機」は、ドローンを遠隔で操縦するためのコントローラーで、別名「プロポ」とも呼ばれます。
トリガー(レバー)で操作する「ホイラータイプ」と、左右2本のスティックで操作する「スティックタイプ」がありますが、ドローンの場合はチャンネル数が多い「スティックタイプ」が用いられます。
ドローンのパーツの中では比較的高価なものですが、価格帯は幅広く、7,000〜数万円程度が一般的です。
【送信機(プロポ)の商品例】
◎JUMPER T-LITE V2 2.4Gプロポ送信機/1万2,975円
ドローンは、操縦者の手元にある送信機からの指令を、機体に搭載した受信機が受け取って、指示通りに飛行します。
そのため、送信機と受信機はセットで考え、同じ通信方式のものを選ばなければなりません。
その一方で、もし複数のドローンを所有する場合、受信機は各機ごとに1つずつ搭載する必要がありますが、送信機は1台でもかまいません。
むしろ、操縦者の手に馴染んで使いやすい送信機を、複数台のドローンに共通して使うほうがよいでしょう。
そのため自作ドローンの送信機は、特に慎重に選んでください。
選ぶポイントは以下です。
- 技適マークがついているかどうか
- 送信機の通信方式(プロトコル)
- 送信機の操作方法:モード1かモード2か
技適マークがついているかどうか
送信機を選ぶ際には、かならず「技適マーク」がついているものを選びましょう。
「技適(=技術基準適合証明)マーク」とは、「電波法令で定めている技術基準に適合している無線機であることを証明するマーク」です。
ドローンは、電波を利用して操縦するものなので、本来は電波法によって「無線局」の免許を受ける必要があります。
ただ、「2.4GHzで10mW以下の技適マークありのドローン」なら、免許不要とも定められていて、市販の大手メーカー製ドローンの多くはこれに該当しています。
自作ドローンの場合も、技適マークつきの送信機を選べば、無線局免許を取得しなくてすみますので、かならず確認してください。
送信機の通信方式(プロトコル)
前述したように、送信機と受信機の通信方式が一致していれば、複数のドローンを持っていても送信機は1台ですみます。
そのため、送信機の通信方式(=プロトコル)にどれを選ぶかは、非常に重要なポイントです。
主なプロトコルには、FASST、FHSS、D16、D8、DSMX、DSM2、Flyskyなどがあります。
初心者であれば、安定している「D8」「D16」などを選ぶのもいいでしょう。
あるいは、複数の通信方式に対応している「マルチプロトコル」の送信機もあります。
複数台のドローンを1台の送信機で操縦する予定であれば、マルチプロトコルを選んでおくと安心かもしれません。
送信機の操作方法:モード1かモード2か
もうひとつ重要なポイントとして、送信機の「操作モード」があります。
スティックタイプの送信機には、左右2本のスティックがありますが、そのそれぞれにどんな操作が割り当てられているかによって、「モード1」と「モード2」の2タイプにわけられます。
出典:公益社団法人 無人機研究開発機構「マルチコプターの操作モードについて」
- スロットル:高度の上下
- エルロン:左右の移動
- エレベーター:前後の移動
- ラダー:左右の回転
モード1は、右のスティックでドローンを「上下」「左右」に、左のスティックで「前後」「左右回転」に動かします。
モード2は、スロットルとエレベーターが逆になっていて、右で「前後」「左右」、左で「上下」「左右回転」の動きをします。
昔の日本製のラジコンヘリではモード1が多かったようで、その操作経験がある人は、同じ操作方法の送信機を選ぶほうが使いやすいでしょう。
一方、中国やアメリカなどの製品はモード2が主流のようで、特に「モード1がいい」という希望がなければこちらを選んだほうがいいかもしれません。
というのも、モード2は「前後」「左右」の平面的な動きを右手、「上下」「回転」という立体的な動きは左手とわけられているため、感覚的に操作しやすいのです。
操作モードは、送信機の購入後にメーカーが変更してくれるケースもありますし、自分で分解して変更することも可能です。
が、あらかじめ自分が使いやすいモードの送信機を購入するほうが、不具合などのリスクがなく安心に使えます。
送信機の選び方については、別記事「プロポでドローンの可能性が劇的に広がる!プロポ選びのポイントを紹介」「直感的なドローン操作に!プロポの選び方と最新おすすめプロポ6選」でさらにくわしく説明していますので、そちらもぜひ参照してください。
受信機
「受信機」は、ドローンの機体に搭載して、送信機からの信号を受信するパーツです。
前項でも説明したように、受信機と送信機の通信方式が一致していなければドローンは飛ばせませんので、まず送信機を決めてから受信機を決めるといいでしょう。
受信機は小さなパーツなので、送信機に比べて価格は控えめで、おおむね2,500円前後で購入できます。
【受信機の商品例】
◎RadioMaster R81 2.4GHz 8CHレシーバー SBUS出力 FrSky D8プロトコル RSSI機能付 レーシングドローン用/2,746円
受信機を選ぶ際には、以下のことを確認しましょう。
- 送信機との通信方式(プロトコル)
- フライトコントローラーとの通信方式(プロトコル)
送信機との通信方式(プロトコル)
まず、前項で説明したように、送信機と受信機の通信方式が一致することが大前提です。
先に選んだ送信機と同じプロトコルの受信機を選びましょう。
フライトコントローラーとの通信方式(プロトコル)
また、受信機は送信機から受信した信号をフライトコントローラーに伝える役割も担っていますが、ここでも通信方式が複数あり、両者の方式が一致している必要があります。
受信機とフライトコントローラーとの通信方法は、PWMやPPM、S.BUS、XBUS、iBus、Spektrum、Crossfireといったものが主です。
PWMとPPMなどはアナログ方式、S.BUS、XBUSはデジタル方式ですが、デジタルのほうがアナログよりも通信が安定しやすいでしょう。
FPVカメラ
「FPV」とは「First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)」の略で、ドローンから見た「一人称視点」という意味です。
FPVに対応したドローンでは、操縦者はFPVゴーグルなどを装着し、FPVカメラからの映像をリアルタイムで見ながら操縦することができます。
まるで自分がドローンになったような感覚で操作が可能なので、多くのドローンに導入されています。
自作ドローンをFPV対応にするのであれば、「FPVカメラ」を搭載する必要があるでしょう。
FPVカメラは、ドローンの前方に取り付けるもので、小型軽量であること、タイムラグなく画像を転送できることが求められます。
価格は性能によって異なりますが、1,500〜3万円程度のものが多いようです。
【FPVカメラの商品例】
◎RunCam フェニックス HD デジタル スターライト FPVカメラ/1万4,667円
FPVカメラの選ぶポイントは以下です。
- FPVカメラのサイズ
- FPVカメラのイメージセンサー
- FPVカメラのアスペクト比
- FPVカメラのビデオエンコード
- FPVカメラのTVL値
- FPVカメラのFOV値
FPVカメラのサイズ
まず、FPVカメラのサイズです。
ドローンに搭載するカメラですから、小型軽量であることが基本ですが、目的が空撮である場合は画質などにもこだわりたいでしょう。
必要十分なスペックがありつつ、軽くて小さいものを選んでください。
注意したいのは、フレームに取り付ける際の取り付け穴です。
FPVカメラの側面に取り付け穴が2つあるのですが、その間隔には「28㎜」「21mm」「19mm」「14mm」などの種類があります。
この間隔が、フレームの取り付け穴の間隔と合っていないと、取り付けることができませんので、事前に確認しておきましょう。
FPVカメラのイメージセンサー
「イメージセンサー」とは、カメラのレンズから入ってきた光を電気信号に変換する半導体です。
デジタルカメラにおいては、いわば人間の「網膜」のような役割を果たします。
FPVカメラのイメージセンサーには、「CCD」と「CMOS」の2タイプがあります。
CCDのほうが画質がよく振動にも強く、暗い場所でもはっきり映すことができますが、消費電力が大きいのが弱みです。
反面CMOSは、消費電力が少なく、価格も低めな傾向があります。
画質も向上著しく、CCDに劣らないものも出てきているようです。
目的に合わせて、どちらか適したほうを選ぶとよいでしょう。
FPVカメラのアスペクト比
「アスペクト比」とは、画面の縦横の比率で、「4:3」と「16:9」の2タイプあります。
一般的に、CCDカメラの場合は4:3、CMOSカメラなら16:9と4:3の両方がありますが、CMOSでの4:3は、16:9の画面から両サイドを切り取った状態になります。
FPVカメラのアスペクト比は、FPVゴーグルの比率と合わせる必要があるでしょう。
もし4:3のカメラで映した画像を16:9のゴーグルで見ると、横長に引き伸ばされたように見えてしまいますし、逆の場合は、横から押し潰したような縦長の画になってしまうからです。
どんなFPVカメラを使いたいか、そのアスペクト比はどちらのタイプかを確認した上で、FPVゴーグルを決めるといいでしょう。
FPVカメラのビデオエンコード
「ビデオエンコード」とは、動画ファイルの映像や音声のデータを圧縮、暗号化して、視聴しやすい別の型式データに変換する作業を指します。
これには、日本やアメリカ、韓国で用いられる「NTSC」と、ヨーロッパや中国、オーストラリアでも使われている「PAL」という2方式があります。
解像度が優れていて、きれいな画像を映すことができるのはPALですが、フレームレート(=1秒あたりの処理画像枚数)が優っていて、なめらかな動画を撮影できるのはNTSCです。
これも、目的によってどちらか適したほうを選びましょう。
FPVカメラのTVL値
「TVL」は、画面に対して水平方向(=横方向)の走査線です。
この値が高いほど、走査線数が多いということで、高解像度の画像を映すことができます。
一般的なFPVカメラでは600~1200TVLですので、用途によって選びわけるといいでしょう。
ただ、「600TVLより1200TVLのほうが2倍鮮明」かというとそうではありません。
ドローンでは、電波で画像を送信するため、その過程でどうしても解像度が下がってしまいます。
そのため、多少TVL値に差があっても、実際に受け取る画像にはあまり差がないというケースもありますので、そのつもりでいてください。
FPVカメラのFOV値
「FOV」は画像の対角線の長さで、この値が大きいほど「視野角(=画面を斜めから見ても正常に見える範囲)」が広くなります。
視野角を広く取りたければ、FOV値の大きいものを選びましょう。
VTX
「VTX」は、ドローンに搭載したカメラから、FPVゴーグルやモニターに画像を送信する装置です。
価格は、3,000〜5,000円程度のものが多いようです。
【VTXの商品例】
◎RunCam フェニックス HD デジタル スターライト FPVカメラ/1万4,667円
VTXを選ぶポイントは以下です。
- VTXの送信出力
VTXの送信出力
VTXは、製品ごとに電波の送信出力が異なります。
FPV用には、25mW・100mW・200mW・600mW・800mWなどのものがあり、複数の出力をスイッチで切り替えることもできます。
出力が大きいほど、電波を飛ばせる距離が長くなるため、屋外で離れた場所まで飛ばす場合は、600mWや800mWが適しているでしょう。
反対に、屋内など狭い場所を飛ばす場合は、出力が大きすぎると、壁や天井などで電波が跳ね返り、画像が乱れる恐れがあります。
そのため、25mWや200mWなどを用いるほうがいいでしょう。
ドローンレースの大会では、規定で200mWなど出力値が定められているケースもありますので、事前に確認してください。
ドローンのパーツ購入方法・購入場所
ここまでで、ドローンの自作で必要なパーツについてくわしく理解できたかと思います。
が、これらのパーツはどこで購入すればいいのでしょうか?
その主な方法を挙げておきましょう。
- ECサイト
- ドローンメーカーの公式オンラインショップ
- ドローンパーツを扱う専門店のオンラインショップ
- ドローンやラジコン専門の実店舗
ECサイト
まず、手軽なのは「Amazon」や「楽天」などのECサイトです。
さまざまなメーカーのパーツを比較した上で、購入することができます。
ただ、幅広い品揃えから選ぶことはできますが、海外製品などは情報が少なく、良し悪しの判断がしにくいこともあります。
ドローンメーカーの公式オンラインショップ
次に、「DJIストア」、「Parrotオンラインショップ」など、ドローンメーカーの公式オンラインショップで購入する方法です。
ドローンメーカーの正規品が購入できるので、信頼性が高いのがメリットです。
ただ、メーカーによっては、バラ売りしていないパーツもありますので、ここですべてが揃うとは限りません。
その場合は、ほかの購入方法もあわせて利用しましょう。
ドローンパーツを扱う専門店のオンラインショップ
また、ドローンのパーツを扱っている専門店の中で、オンラインショップを展開しているところもあります。
たとえば、「スーパーラジコン オンラインショップ」、「ヘリモンスター」などです。
これらを利用すれば、専門店で販売されているパーツを自宅から手軽に購入できます。
が、もしわからないことがあった場合、問い合わせは電話ではなくメールや問い合わせフォームで受け付けるショップも多いので注意してください。
実店舗のように、すぐに回答や説明を受けられるとは限らず、急ぎの場合には適さないかもしれません。
ドローンやラジコン専門の実店舗
上記の3つはオンラインショップですが、もちろん実店舗で購入するという手もあります。
ドローンやラジコン専門店に出向いて、実際に手にとってみて購入するのです。
納得いくパーツがすべて揃うまで、何店舗かに脚を運ぶ手間はありますが、その場でドローンにくわしい店舗スタッフにいろいろと教えてもらうこともできるでしょう。
手軽さでいえば、やはり通販で揃えるのが楽ですが、初心者の場合は実店舗でパーツを見て、わからないことは教えてもらいながら選ぶのも、いい勉強になるはずです。
ドローンの自作、飛行に必要な免許・許可など
ここまでで、ドローンを自作する基本的な方法を説明しました。
が、「3.ドローンを自作するために必要なこと」で挙げた3つの必須事項のうち3番目の、「3-3.免許や許可をとる」ことがまだ残っています。
自作したドローンを飛ばすために必要な免許、許可は主に以下です。
- 無線免許:不要な場合あり
- 無線局の開局申請:不要な場合あり
- 機体登録・機体認証:必須
- 飛行申請:多くの場合で必要
いずれも実際に自作ドローンを飛ばす前に免許や許可などを受ける必要がありますので、それぞれ説明しましょう。
無線免許
まず、無線の免許が必要になる場合があります。
ドローンを飛ばす際には、操縦者の手元の送信機からドローンに搭載した受信機に電波信号を送って操作します。
そのため、操縦者は無線の免許を受ける必要があるのです。
ただし、すべての場合で必要とは限りません。
要不要は以下のようにわかれます。
無線免許は |
以下のすべてを満たす場合 ・使用する周波数帯が2.4GHz ・送信機の送信出力が10mW/MHz以下 ・送信機の送信モジュールに技適マークあり →市販の一般的なドローンの多くはこれに該当します。 |
---|---|
無線免許が |
・使用する周波数帯が169MHz、送信出力10mWの産業用ドローン ・使用する周波数帯が2.4GHz、送信出力最大1Wの産業用ドローン ・使用する周波数帯が5.7GHz、送信出力最大1Wの産業用ドローン →「第三級陸上特殊無線技士」の免許が必要です。 ・使用する周波数帯が5.8Ghzで映像伝送をするFPVドローン →個人で使用する場合は「第四級アマチュア無線技士」以上の免許、 ビジネス目的の場合は「第三級陸上特殊無線技士」以上の免許が必要です。 |
これらの免許について、取得方法などさらにくわしい情報は、別記事「【ドローンの無線資格(免許)】必要な2ケースと取得方法・開局申請まで紹介」で解説していますので、ぜひそちらも読んでください。
無線局の開局申請
また、無線免許が必要な場合には、同時に総務省に対して無線局の開局申請も必要です。
これは、ドローンに「VTX」が搭載されているためです。
「VTX」は、「6-10.VTX」で説明したように、ドローンに搭載したカメラに映った画像を、操縦者のFPV用ゴーグルやモニターに無線送信する装置です。
そのため、「VTX自体が無線局」であると考えられ、開局申請が求められているというわけです。
ただし、無線免許と同様に、「使用する周波数帯が2.4GHzで送信機の送信出力が10mW/MHz以下、送信機の送信モジュールに技適マークあり」のドローンについては、開局申請は必要ありません。
つまり、開局申請の要不要も、以下のようにわかれます。
開局申請は |
以下のすべてを満たす場合 ・使用する周波数帯が2.4GHz ・送信機の送信出力が10mW/MHz以下 ・送信機の送信モジュールに技適マークあり →市販の一般的なドローンの多くはこれに該当します。 |
---|---|
開局申請が |
・使用する周波数帯が169MHz、送信出力10mWの産業用ドローン |
申請は、総務省の「電波利用 電子申請・届出システム Lite」から行うか、書面を揃えて提出します。
くわしくは、同じく別記事「【ドローンの無線資格(免許)】必要な2ケースと取得方法・開局申請まで紹介」を参照してください。
機体登録・機体認証
さらに、自作したドローンの機体について、「機体登録」が必須で、場合によっては「機体認証」も必要です。
機体登録
重さ100g以上のドローンは、すべて国土交通省に「機体登録」することが法律で義務付けられています。
これは、ドローン各機を所有者と紐付けするためです。
もし危険な飛行や不審な飛行をしている機体があっても、所有者を特定して管理できるため、ドローン飛行の安全性を保つことができます。
機体登録の申請は、以下のいずれかの方法で行います。
- 「ドローン情報基盤システム(=登録システム)」によりオンラインで提出
- 郵送により申請書を提出
→所定の登録申請書と本人確認書類を郵送する
【「ドローン情報基盤システム(=登録システム)」での登録の流れ】
くわしい登録方法は、別記事「【画像49枚】ドローン登録システムの登録手順を個人・法人共に解説」に画像付きで解説されていますので、そちらを見ながら進めてください。
機体認証
また、自作ドローンの場合、もし飛行の際に許可申請が必要な「特定飛行」を行うのであれば、「機体認証」も受けておくといいでしょう。
「機体認証」とは、「特定飛行」とされる飛行を行うドローンに対して、その機体が国の定める安全基準に適合するかを検査し、安全性を確保するための制度です。
「量産機に比べて各種申請が煩雑になる」でも触れましたが、機体認証をドローンの国家資格である「技能証明」とをあわせて取得すると、特定飛行の中でも「有人地帯における補助者なし目視外飛行」が可能になったり、一部の特定飛行に関して許可・承認が不要になったりといったメリットがあるので、ビジネスなどでたびたび特定飛行をする予定がある人は、認証を受けておくといいでしょう。
自作ドローンの場合、どんな特定飛行を行うかによって、「第一種機体認証」「第二種機体認証」のいずれかにわかれます。
特定飛行の内容特定飛行の内容 | 必要な機体認証 | 検査機関 |
---|---|---|
<カテゴリーⅡ> |
第二種機体認証 または第一種機体認証 |
・第二種機体認証 ・第一種機体認証 |
<カテゴリーⅢ> |
第一種機体認証 |
国(国土交通省) |
自作ドローンの場合、受ける検査の内容は以下です。
- 設計:事前に設計図などを提出する
- 製造過程:作業工程の指示書などの書類の検査と、立ち会い検査を受ける
- 現状の検査:上記の検査を踏まえて、書類と実機の実地検査を受ける
→申請者が実地検査場所を用意して、実機を持参して検査を行う
市販の完成品ドローンの場合は、設計検査と製造過程検査はメーカー側が行うので、ユーザーは現状検査のみ受ければいいのですが、自作ドローンの場合はすべて自分で検査を受け、機体認証の申請を行わなければなりません。
検査にはかなり時間もかかります。
くわしくは、国土交通省ホームページの「機体認証等」のページを参照して、手続きを進めてください。
【参照ページ】
▶︎国土交通省「機体認証等」ページ
▷機体認証の申請から認証書の交付までのフローと必要な書類等については、
「無人航空機の検査に関する一般方針」
また、機体認証についてもっとくわしく知りたい場合は、別記事「ドローンの機体(型式)認証|やり方は?いつから?一覧やDJI機も」を参照してください。
飛行申請
機体が完成し、必要な免許や許可などが受けられたら、いよいよ自作ドローンを飛ばすことができます。
が、ドローンを無許可で自由に飛ばせる場所や状況は実は少なく、多くの場合は国土交通省などに「飛行申請」を行わなければなりません。
「飛行申請」は、大きく以下の2つにわかれています。
- ドローンを飛ばす「場所」に対しての「飛行許可」申請
- ドローンを飛ばす「方法」に対しての「飛行承認」申請
それぞれ申請が必要なのは、以下に該当する場合です。
申請の種類 | 概要 | ||||||||
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重量100g以上のドローン | 重量100g未満の ドローン |
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ドローンを飛ばす場所に対しての「飛行許可」申請 | 以下の「飛行禁止区域」の上空でドローンを飛ばす場合は、事前に飛行許可申請をしなければならない | ||||||||
航空法により申請が必要な場合 | |||||||||
・150m以上の高さの上空 ・人口集中地区(DID地区) ・空港周辺 |
・空港周辺 | ||||||||
小型無人機等飛行禁止法により申請が必要な場合 | |||||||||
・国の重要施設(国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所)の周辺300mエリア ・外国公館の周辺300mエリア ・防衛関係施設の周辺300mエリア ・新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港の周辺300mエリア ・原子力事業所の周辺300mエリア |
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その他の法律、条例により申請が必要な場合 | |||||||||
・第三者の私有地 ・条例や管理者がドローンを禁止している公園 ・管理者がドローンを禁止している川、海岸 ・その他、各都道府県・市区町村が条例などでドローンを禁止している場所 |
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ドローンを飛ばす方法に対しての「飛行承認」申請 |
以下の方法でドローンを飛ばす場合は、事前に飛行承認申請をしなければならない →ただし、ドローンの飛行ルートの下やその周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じた上で、「第一種または第二種機体認証」と「一等または二等操縦者技能証明」の両方を取得した人が①の飛行を行う場合は、承認申請は不要 |
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不要 |
申請先や申請方法については、別記事「【チャート付】ドローンの飛行申請が必要な全パターンとその申請方法」でくわしく説明していますので、そちらを見ながら申請してください。
まとめ
いかがでしたか?
ドローンの自作について、知りたいことがわかったかと思います。
ではあらためて、記事のポイントを押さえておきましょう。
◎ドローンの自作は合法
- キットで作る場合:2万5,000円程度〜
- パーツから集める場合:10万円程度〜
◎ドローンを自作するメリット・デメリットは、
メリット |
・オリジナルのドローンを作ることができ、自由にカスタマイズも可能である ・ドローンに関する知識が深まる |
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デメリット |
・場合によっては完成品を購入するより割高になる |
◎ドローンを自作する方法10ステップは、
2)フレームにESCを取り付ける
3)ESCにモーターを接続し、モーターをフレームに取り付ける
4)フライトコントローラーをESCに接続してフレームに取り付ける
5)受信機を取り付ける
6)カメラを取り付ける
7)VTXを取り付ける
8)送信機を設定する
9)電源を入れて確認する
10)ファームウェアを設定する
以上を踏まえて、あなたが希望に沿ったドローンを自作できるよう願っています。