ドローンの飛行日誌が義務化!書き方や制度詳細、便利なアプリも紹介

ドローンの飛行日誌が義務化!書き方や制度詳細、便利なアプリも紹介

「ドローンを飛ばす場合は、飛行日誌をつけなければいけないと聞いたけれど、何をどう書けばいいの?」
「飛行日誌を簡単に作成できる方法、アプリはある?」

ドローンを飛ばすにあたって、そのような疑問をもった人も多いのではないでしょうか。

「飛行日誌」とは、ドローンを含む「無人航空機」を飛行させる者が、その飛行内容や機体についての情報などを記録するもの
です。
紙の書類、または電子データで作成し、その内容は以下の3つの記録で構成されます。

・飛行記録:
飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合やその対応などを記載する
・日常点検記録:日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果などを記載する
・点検整備記録:点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由などを記載する

航空法では、以下の「特定飛行」を行う場合、飛行日誌の作成と携行が義務付けられています。
もしこの義務に違反すれば、10万円以下の罰金を科せられる恐れがあるのです。

【航空法が定める「特定飛行」】

<飛行空域>
・150m以上の高さの上空
・空港周辺の空域
・人工集中地区(DID地区)の上空
・緊急用務空域
「緊急用務空域」とは、災害などが発生した際に、人命救助、捜索、消火などのためにヘリコプターなどが飛行するのを妨げないよう、ドローンの飛行が原則禁止される空域です。
災害に応じて国土交通大臣が指定します。

<飛行方法>
・夜間飛行
・目視外飛行
・人または物件から30m未満での飛行
・催し場所上空での飛行
・危険物の輸送
・物件投下

そこでこの記事では、ドローンの飛行日誌について知っておくべきことをまとめました。

◎飛行日誌とは?
◎飛行日誌の書き方
◎飛行日誌作成に便利なテンプレート、アプリ

最後まで読めば、知りたいことがよくわかるはずです。
この記事で、あなたが正しく飛行日誌をつけられるよう願っています。

ドローンの「飛行日誌」とは?

ドローンの「飛行日誌」とは?

2022年12月、改正航空法が施行され、ドローンに関する規制や制度も大きく変わりました。
その中のひとつが「飛行日誌の携行と記載」の義務化です。

航空法により「特定飛行」とされる飛行を行う場合は、ドローンに関する情報や飛行の情報を「飛行日誌」に記載し、実際に特定飛行をする際にはかならずそれを持っていなければならない、と定められました。

そこでまず、「飛行日誌」とは何か、それに関してどのような決まりがあるのかを知っておきましょう。
それをまとめたのが以下です。

飛行日誌

飛行日誌とは ドローンを含む「無人航空機」を飛行させる者が、その飛行内容や機体についての情報などを記録するもの
飛行日誌の構成 飛行記録 飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合やその対応など
日常点検記録 日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果など
点検整備記録 点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由など
飛行日誌の型式

以下のいずれでもよい
・紙に黒か青のボールペンで記載する
・電子データで作成する

飛行日誌に関する義務

・特定飛行をする際には、かならず飛行日誌を作成、携行しなければならない
・飛行日誌は、ドローン1機ごとに作成しなければならない
・ドローンが登録されている間は、飛行日誌を記録、保管し続けなければならない
・ドローンの所有者や使用者を変更した場合は、「飛行記録のうち総飛行時間の情報」「日常点検記録すべて」「点検整備記録すべて」を受け渡さなければならない

 

 

 ドローンの「飛行日誌」とは「飛行記録」「日常点検記録」「点検整備記録」の総称

第一に、「飛行日誌とは何か」ということから説明します。

「飛行日誌」とは、ドローンを含む「無人航空機」を飛行させる者が、その飛行内容や機体についての情報などを記録するものです。
その形は、紙の書類に黒か青のボールペンで記載するか、電子データで作成するか、どちらでも構いません。

ただ、ひと口に「飛行日誌」と言っても、実際には以下の3つの記録で構成され、3つすべての作成、携行がする必要があります。

・飛行記録:飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合やその対応などを記載する
・日常点検記録:日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果などを記載する
・点検整備記録:点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由などを記載する

また、飛行日誌はドローン1機につきひと組ずつ作成する必要があります

特定飛行をする場合は飛行日誌の作成・携行義務がある

航空法で飛行日誌の作成、携行が義務付けられているのは、「特定飛行」をする場合です。
条文では以下のように定めています。

【航空法】

(飛行日誌)

第百三十二条の八十九 無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、飛行日誌を備えなければならない。

2 特定飛行を行う者は、無人航空機を航空の用に供し、又は整備し、若しくは改造した場合には、遅滞なく飛行日誌に国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。

特定飛行とは、以下の4つの飛行空域・6つの飛行方法でドローンを飛ばすことを指します。
これらはドローンの飛行の中でも危険性が高いため、原則的に禁止されていますが、国土交通省に許可申請を行うことで、飛行が可能になります。

特定飛行については、別記事「ドローンの特定飛行10種とは?その詳細や資格との関係、許可申請方法」でくわしく説明していますので、そちらもぜひ読んでください。

【航空法が定める「特定飛行」】

<飛行空域>
・150m以上の高さの上空
・空港周辺の空域
・人工集中地区(DID地区)の上空


・緊急用務空域
 「緊急用務空域」とは、災害などが発生した際に、人命救助、捜索、消火などのためにヘリコプターなどが飛行するのを妨げないよう、ドローンの飛行が原則禁止される空域です。
 災害に応じて国土交通大臣が指定します。
特定飛行

出典:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続

<飛行方法>
・夜間飛行
・目視外飛行
・人または物件から30m未満での飛行
・催し場所上空での飛行
・危険物の輸送
・物件投下

承認手続

出典:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続

つまり、上記の特定飛行のいずれかを行う場合は、まず国土交通省に許可申請を行い、飛行日誌を作成・記載し、飛行当日は飛行日誌を持ち歩く、ということが必要だというわけです。

飛行日誌の携行義務は、もしドローンを飛ばした際に不具合やトラブルが起きた場合、その原因を特定して再発防止に活かすために課せられるものです。
そのため、飛行時に何かあればすぐ飛行日誌の内容を確認したり、必要があれば人に提示したりできるようにする必要があるのです。

ドローンが国土交通省に登録されている間は、飛行日誌を記録・保管し続けなければならない

また、作成した飛行日誌は、そのドローンが国土交通省に登録されている間は、記録と保管を続けなければなりません
もしドローンの所有者や使用者を変更した場合は、元の所有者・使用者から新しい所有者・使用者に以下のものを受け渡す義務もあります。

・飛行記録のうち総飛行時間の情報
・日常点検記録すべて
・点検整備記録すべて 

特定飛行以外でも飛行日誌は作成しておくべき

前述のように、飛行日誌が義務付けられているのは「特定飛行」を行う場合です。
が、国土交通省では特定飛行以外の飛行であっても、つねに飛行日誌を記載することが望ましいとしています。

というのも、ドローンの「機体認証」を申請する際に必要になるからです。

「機体認証」とは、「特定飛行を行うドローンなどの無人航空機について、その強度、構造や性能について検査を行い、機体の安全性を確保する認証制度」です。
この認証を受ける際に書類審査があるのですが、その際に、申請書とともに以下の添付書類を提出しなければなりません。

【機体認証申請の添付書類】

① 申請書の添付書類
イ) 無人航空機飛行規程
ロ) 整備又は改造に関する技術的記録及び総飛行時間を記載した書類
ハ) 無人航空機の重量及び重心位置の算出に必要な事項を記載した書類
ニ) 無人航空機の設計者等において整備後の確認をした旨を証する書類

  1. 検査合格書等(無人航空機適合確認書(様式2))

無人航空機の設計者等が無人航空機の整備等を実施した場合は、次に掲げる事項が記載され、また直近の点検整備により安全基準への適合性を確認したことを証する無人航空機適合確認証を提出するものとする。
a.整備等を行った設計者等の名称設計者の名称又設計者から指定を受けた認定整備工場等の名称とする。
b.無人航空機の設計者の所在地設計者の主たる事務所の所在地とする
c.設計者名、型式及び製造番号
適合確認が行われた無人航空機の設計者名、型式及び製造番号とする。
ホ) 前四号に掲げるもののほか、参考事項を記載した書類

  1. 無人航空機現状報告書(様式1)

出典:国土交通省「無人航空機の検査に関する一般方針

この赤字部分の情報は、飛行日誌に記録するものです。
つまり、機体認証の申請をするなら、飛行日誌が必須ということになります。

もし「いまは特定飛行しないので、飛行日誌はつける必要ない」と思っていても、機体認証で必要になることを考えて、最初から作成しておくことをおすすめします。

飛行日誌を作成・携行しなければ罰則がある

また、飛行日誌の作成・携行義務に違反すると、罰則があります。
特定飛行を行う際に、「飛行日誌を持っていない」「飛行日誌に記載すべき事項を記載していない」「飛行日誌に虚偽の記載を行った」場合は、航空法第157条の11にのっとって、10万円以下の罰金が科せられる可能性があるのです。

そうならないよう、特定飛行をする際にはかならず飛行日誌を正確に記載し、ドローンを飛ばす際には忘れずに持って歩くようにしましょう。
電子データで作成する場合は、PCやスマホなどのデバイスを持っていて、そこから飛行日誌を参照できればOKです。

国土交通省の無人航空機の飛行日誌の取扱要領には、以下のように定められています。

(7)操縦者は無人航空機を飛行させる場合、飛行日誌を紙媒体又は電磁的記録により常時携行し、確認事項が発生した際に参照又は提示が可能な状態としておかなければならない。

「常時携行」「参照または提示が可能な状態」であればいいわけです。

飛行日誌を手軽に作成できるスマホアプリなどもあります。
3.飛行日誌作成に便利なテンプレート・アプリで紹介しますので、そちらも読んで、利用を検討してみてください。

ドローンの飛行日誌の書き方

ドローンの飛行日誌の書き方

ここまで、飛行日誌とはどんなものか、また飛行日誌に関する制度や決まりについて説明しました。
では、実際の飛行日誌は、どのように作成すればいいのでしょうか?
この章では、飛行日誌に含まれる以下の3つの文書について、それぞれの書き方を解説します。

・飛行記録:飛行後に作成
 →飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合やその対応などを記載する
・日常点検記録:飛行の前と後にそれぞれ点検・記録
 →日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果などを記載する
・点検整備記録:メーカーが定めている点検推奨時間(それがなければ20時間の飛行ごと)に点検整備、記録
 →点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由などを記載する

ドローンの飛行記録の書き方

まず、飛行記録の書き方からです。
飛行記録は、「飛行後」に作成するものです。

飛行記録の取り扱い

飛行記録を作成する際には、以下のようにしてください。
・操縦者は、ドローンを飛行させた際には「1飛行ごと」に飛行記録をつける
 →「1飛行」とは、ドローンの電源を作動させたあとに出発地から離陸させ、目的地に着陸して電源を停止させたときまでを指す
 →一度着陸して電源を切らず、また離陸して別の場所に向かう場合は、最終目的地で電源停止したときまでを「1飛行」とする
  その場合は、途中の着陸を「経由地」として飛行記録に記載する

・事前に国土交通省に通報した飛行計画と飛行記録がかならずしも一致する必要はない
 →飛行記録には、実際の飛行実績を正確に記録する

・紙の書類として飛行記録を作成する場合は、操縦者は過去のすべての記録を携行する必要はない 
 直近の点検整備以降の飛行記録を携行すればよい
 →それ以前の記録については、必要があれば参照や提示ができる状態で保管する

飛行記録の記載事項

飛行記録には、以下のことを記載する必要があります。

【飛行記録の記載事項】

ア)無人航空機の登録記号(試験飛行機等で登録記号を受けていない場合は当該試験飛行に係る届出番号。以下同じ。)、種類及び型式(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)
  →国土交通大臣により通知された無人航空機の登録記号を記入する。

イ)無人航空機の型式認証書番号(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)

ウ)機体認証の区分及び機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機に限る)

エ)無人航空機の設計製造者及び製造番号

オ)無人航空機の飛行に関する次の記録
・飛行年月日 →飛行を行った年月日を西暦で記入する。
・操縦者の氏名及び無人航空機操縦者技能証明書番号(無人航空機操縦者技能証明書の交付を受けている場合に限る)
・飛行の目的及び経路
  →飛行目的については、次の例にならって記入する。
   例:空撮、報道取材、警備、農林水産業、測量、環境調査、設備メンテナンス、インフラ点検・保守、資材管理、輸送・宅配、自然観測、事故・災害、趣味、研究開発、その他
   また、特定飛行を行った場合にあっては、対象となる飛行の形態を次の例にならってあわせて記入する。
   例:空港等周辺、地表又は水面から 150m 以上、人口集中地区(DID)上空、夜間、目視外、人又は物件から 30m 未満、催し場所上空、危険物輸送、物件投下の飛行
・飛行させた飛行禁止空域及び飛行の方法
・離陸場所及び離陸時刻
  →離陸場所は、離陸地点の緯度/経度(世界測地系)または正確な位置が把握可能な地名・固有名称等の情報を次の例にならって記入する。
   例:地名の場合は都道府県名+市区郡名+町村名(必要に応じ丁目・番地等のより詳細な情報)を、固有名称の場合は○○運動場、○○公園、○○工場等の情報
  →離陸時刻は、日本標準時(JST)の 24 時間制(00:00~23:59)の1分単位で記入する。

飛行記録の書式と記載例

飛行記録の書式は以下です。

書式

出典:国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱要領

また、ケースごとの記載例がいくつかありますので、以下を参考に記載してください。

【遠隔操作を行う運用の場合(送電線点検)】

遠隔操作

【設備点検、3Dデータ取得等飛行継続型の場合】

設備点検

【レンタル事業者の場合】
rental

【監督者の下に行う訓練飛行の場合】
訓練飛行【農薬等空中散布の飛行の場合】
空中散布
【ラジコン、ドローンレース等の飛行の場合】趣味目的

出典:国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱いに関するガイドライン

ドローンの日常点検記録の書き方

次に、日常点検記録についてです。
日常点検記録は、飛行の前と後」にそれぞれ点検・記録します。

日常点検記録の取り扱い

日常点検記録は、以下のように取り扱ってください。

・操縦者は、ドローンを飛行させた際には「1飛行ごと」に日常点検記録をつける
・日常点検の項目は、機体認証の有無などによって異なるが、基本的には「飛行マニュアル」で定められた日常点検を実施し、その結果を記載する

航空局標準飛行マニュアル】

・飛行場所を特定した申請:航空局標準マニュアル01

・飛行場所を特定しない申請:航空局標準マニュアル02

・空中散布:航空局標準マニュアル(空中散布)

・研究開発:航空局標準マニュアル(研究開発)

・インフラ点検:航空局標準マニュアル01(インフラ点検/場所を特定した申請)
                        航空局標準マニュアル02(インフラ点検/場所を特定しない申請)

・日常点検の項目と様式をメーカー側が指定している場合は、それに従う
・紙の書類として日常点検記録を作成する場合は、操縦者は過去のすべての記録を携行する必要はない
 直近の点検整備以降の日常点検記録を携行すればよい
 →それ以前の記録については、必要があれば参照や提示ができる状態で保管する

日常点検記録の記載事項

日常点検記録には、以下の項目を記載します。
ただし、メーカー側で点検項目や点検記録の書式が指定されている場合は、そちらに従ってください

【日常点検記録の記載事項】

ア)無人航空機の登録記号(試験飛行機等で登録記号を受けていない場合は当該試験飛行に係る届出番号。以下同じ。)、種類及び型式(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)
  →国土交通大臣により通知された無人航空機の登録記号を記入する。

イ)無人航空機の型式認証書番号(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)

ウ)機体認証の区分及び機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機に限る)

エ)無人航空機の設計製造者及び製造番号

オ)日常点検に関する次の記録
・実施の年月日及び場所 →実施の年月日は西暦で記入する。
・実施者の氏名
 ・点検項目ごとの日常点検の結果
  →日常点検表の各項目を実施し、それぞれの結果欄に「正常」又は「異常」等の文言で記入する。
・その他特記事項

※ア)からエ)までの各事項は、無人航空機の概要として日常点検記録の冒頭にまとめて記載できる
 →日常点検記録の各ページに記載する必要はない

日常点検記録の書式と記載例

日常点検記録の書式は以下です。
ただし、前述のようにメーカー側で指定された書式があれば、そちらを用いてください

日常点検記録

出典:国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱要領

記載する際には、以下の記載例を参考にしてください。

【機体認証・型式認証を受けた型式の無人航空機の場合】
無人航空機
【認証を受けていない型式の無人航空機の場合】
認証
【その他の無人航空機の場合】
その他

出典:国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱いに関するガイドライン

ドローンの点検整備記録の書き方

最後に、点検整備記録についても説明します。

点検整備記録は、メーカーが定めている点検推奨時間があれば、その時間に従って点検整備し、記録しましょう。
特に定めがなければ、国土交通省の「無人航空機飛行マニュアル」の定めに従って「20時間の飛行ごと」に点検整備、記録してください。

点検整備記録の取り扱い

点検整備記録の取り扱いは、以下のようにしてください。

・ドローンの使用者や、使用者から点検整備を請け負った設計製造者などが、定期的な点検整備や改造を行った際に、その都度記載する
・使用者は、指定された点検整備の内容以外にも、ドローンの故障や不具合があればその原因を探り、何が原因だったか、どのように是正処置したかなど、整備作業の実施状況についても記載する必要がある
・操縦者は、ドローンを飛行させる際には、紙の文書か電子データかにかかわらずすべての点検整備記録を他の記録とともに携行する
 →紙媒体の場合、飛行記録と日常点検記録は直近のもののみ携行すればよいが、点検整備記録はすべて携行しなければならないので要注意

点検整備記録の記載事項

点検整備記録には、以下の項目を記載します。

【点検整備記録の記載事項】

ア)無人航空機の登録記号(試験飛行機等で登録記号を受けていない場合は当該試験飛行に係る届出番号。以下同じ。)、種類及び型式(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)
  →国土交通大臣により通知された無人航空機の登録記号を記入する。

イ)無人航空機の型式認証書番号(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)

ウ)機体認証の区分及び機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機に限る)

エ)無人航空機の設計製造者及び製造番号

オ)点検、修理、改造又は整備に関する次の記録
・実施の年月日及び場所 →実施年月日は、作業を開始した年月日を西暦で記入する。
・実施者の氏名
 ・点検、修理、改造及び整備の内容(部品を交換した場合にあっては、当該交換部品名を含む)
  →次の内容を記入する。
・装備品等の交換記録(交換された部品名、部位等)
・定期点検の実施記録
・空撮用カメラ、薬剤散布装置等の取付け・取卸し記録
   ・その他点検整備等の記録
 ・実施の理由
 ・最近の機体認証後の総飛行時間
  →前回の機体認証に係る検査を受検するにあたり実施した点検整備以降の総飛行時間を記入する。
  →機体認証を受けていない無人航空機は、点検整備作業を実施した時点での総飛行時間を記入する。
・その他特記事項

※点検整備記録は、点検整備を実施した者が記入する

※2022年12月5日以前から飛行実績があるドローンについては、点検整備記録の1行目に以下の文章を記載し、次の行に「〆」を記載する
 「令和4年 12 月5日付けで施行された改正航空法以降の累積飛行時間を記録する。」

※前回の点検整備と区別しやすくするために、上下各1行をあけて記載し、あけた行には「〆」を記載する

※メーカーなどでの点検整備で、機体ボディを交換するなど新品同様の状態になった場合でも、機体登録記号や製造番号が変わらない限りは、飛行時間は累積する

点検整備記録の書式と記載例

点検整備記録の書式は以下です。

点検整備記録

出典:国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱要領

また、記載例は以下の通りですので、参考にしてください。

【機体認証・型式認証を受けた型式の無人航空機の場合】
受けた型式
【認証を受けていない型式の無人航空機の場合】
受けていない型式

【その他の無人航空機の場合】
その他の無人航空機

ドローンの飛行日誌作成に便利なテンプレート、アプリ

ドローンの飛行日誌作成に便利なテンプレート、アプリ

以上、飛行日誌の記入のしかたを解説しました。
が、ここまで読んで「飛行日誌を作成するのは大変そう」と不安になってしまった人もいるのではないでしょうか。

そんな人は、飛行日誌を手軽に作成できるテンプレートやアプリを利用するといいでしょう。

決められた項目を入力するだけで作成できますし、PCやスマートフォンでいつでも内容を確認できますので、携行を忘れることもないはずです。

この章では、それらのいくつかを紹介します。使いやすいものを選んで利用してみてください。

ドローンの飛行日誌のテンプレート

まず、飛行日誌のテンプレートです。

◎国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱要領に記載されている書式
 →2章で紹介した、国土交通省の書式です。
  ただ、PDF形式なので、紙で記録する場合には使えますが、データで記録したい場合には向かないでしょう。

◎一般社団法人DRC協会「【注意喚起】飛行日誌の作成義務についてページ
 →無人航空機管理団体であるDRC協会の公式サイトでは、上記のページで「飛行日誌作成用excelファイル」を公開しています。
  ダウンロードして利用するといいでしょう。

ドローンの飛行日誌作成アプリ、WEBサービス

飛行日誌作成アプリやWEBサービスもあります。

以下にいくつか紹介しましょう。

◎ドローン飛行日誌作成・情報管理サービス「BLUE SKY
ドローンの飛行日誌作成アプリ、WEBサービス

出典:ブルーイノベーション株式会社「BLUE SKY

 

JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)の会員限定の無料サービスで、会員になると利用できます。
航空局が求める飛行日誌に必要な項目をカバーし、飛行ログと自動で同期します。

飛行日誌のレポートもワンクリックで自動生成、掲載項目のカスタマイズも可能です。

◎飛行日誌作成サービス「FwriteDown
FwriteDown

出典:Paix Avi合同会社「FwriteDown

 

スマホで簡単に飛行記録や整備記録を入力できるアプリです。

複数機体の飛行日誌を一元管理したり、操縦者ごとに記録を管理することもできます。

10機・10人まで登録できるスタンダードプランは利用料無料、登録機体数・操縦者数制限なしのプレミアムプランは月額利用料 4,990円(税込)と、価格もリーズナブルです。

◎ドローン飛行管理アプリ「Flight Report Cloud
Flight Report Cloud

出典:東洋テック株式会社「Flight Report Cloud

 

PCやスマホで飛行日誌を簡単に作成、クラウドで管理できるアプリです。

飛行ログから飛行時間を集計したり、飛行場所を登録したりでき、国土交通省で定められた飛行日誌を作成絵、提出用Excelに出力します。

利用料は、ライトプラン月額1,320円(税込)(年額15,400円(税込))〜で、14日間無料トライアルもできます。

まとめ

いかがでしたか?

ドローンの飛行日誌について、知りたいことがわかったのではないでしょうか。
ではあらためて、記事の要点をまとめておきましょう。

◎「飛行日誌」とは、ドローンを含む「無人航空機」を飛行させる者が、その飛行内容や機体についての情報などを記録するもので、以下の3点で構成される
 ・飛行記録:飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合やその対応などを記載する
 ・日常点検記録:日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果などを記載する
 ・点検整備記録:点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由などを記載する
◎特定飛行をする場合は飛行日誌の作成・携行義務がある

【航空法が定める「特定飛行」】

<飛行空域>
・150m以上の高さの上空
・空港周辺の空域
・人工集中地区(DID地区)の上空
・緊急用務空域
「緊急用務空域」とは、災害などが発生した際に、人命救助、捜索、消火などのためにヘリコプターなどが飛行するのを妨げないよう、ドローンの飛行が原則禁止される空域です。
 災害に応じて国土交通大臣が指定します。

<飛行方法>
・夜間飛行
・目視外飛行
・人または物件から30m未満での飛行
・催し場所上空での飛行
・危険物の輸送
・物件投下

◎飛行日誌作成に便利なテンプレート、アプリがある

以上を踏まえて、あなたが正しく飛行日誌をつけ、安全なドローン飛行を行えるよう願っています。