ドローンの飛行禁止区域全14パターン!地図・アプリでの確認方法も

「ドローンを飛ばしたいけれど、飛行禁止区域はどこ?」
「自分がドローンを飛ばしたいエリアが飛行禁止かどうか、簡単に知る方法はある?」

ドローンを持っていて、そんな疑問を持っている人も多いでしょう。

ドローンには、「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」などの法律や、都道府県・市区町村の条例などで飛行禁止の区域が定められています。

ただ、その中にも「許可を取ればドローンを飛ばせる区域」と「許可も得られない区域」があるので両者の区別を知っておかなければなりません。

具体的な区域は以下の通りです。

法律・条例

場所

原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域

航空法

150m以上の高さの上空

空港周辺の空域

人口集中地区(DID地区)の上空

小型無人機等飛行禁止法

国の重要施設(国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所)とその周辺300mの上空

外国公館とその周辺300mの上空

防衛関係施設とその周辺300mの上空

空港(新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港)とその周辺300mの上空

原子力事業所とその周辺300mの上空

民法

私有地の上空

道路交通法

  • 道路でドローンを離発着させる場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に補助者を配置する場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に看板などを設置する場合

その他の法律

  • 公園:管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり
  • 国有林:「入林届」の提出が必要
  • 川、海岸:管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり
  • 海上:ドローンの飛行によって船舶交通の安全に支障を及ぼす恐れがある場合は許可が必要

都道府県・市区町村の条例

各都道府県・市区町村が定める場所
→公園、公共施設などで禁止される場合が多い

飛行禁止の区域

航空法

緊急用務空域

状況により飛行禁止になる区域

特措法

オリンピックなど大きなイベントなどの際に、特別の指定される飛行禁止区域

ただ、これをすべて確認するのは大変なので、飛行禁止区域を地図で確認できるWebサービスやアプリなどを利用するのもいいでしょう。

そこでこの記事では、ドローンの飛行禁止区域について知っておくべきことを解説します。

◎ドローンの飛行禁止区域とは

◎飛行禁止区域にも「許可をもらえば飛ばすことができる区域」がある

◎ドローンの重さ(100g以上/未満)によって飛行禁止区域は異なる

◎飛行禁止区域でドローンを飛ばせば罰則がある

◎ドローンの飛行禁止区域を確認する方法

◎ドローンの飛行禁止区域

◎原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域

◎飛行禁止の区域

最後まで読めば、知りたいことがわかるはずです。

この記事で、あなたが飛行禁止区域以外のエリアで合法にドローンを飛ばせるよう願っています。

ドローンの飛行禁止区域とは

ドローンの飛行禁止区域とは

まず最初に、ドローンの「飛行禁止区域」とはどんなものでしょうか?

実際に飛行が禁止されている場所を一覧で見てみましょう。

法律・条例

場所

許可申請先

原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域

航空法

150m以上の高さの上空

国土交通大臣

空港周辺の空域

人口集中地区(DID地区)の上空

小型無人機等飛行禁止法

国の重要施設(国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所)とその周辺300mの上空

  • 施設の管理者
  • 都道府県公安委員会

※皇居の場合は皇宮警察本部長

外国公館とその周辺300mの上空

  • 施設の管理者
  • 都道府県公安委員会

防衛関係施設とその周辺300mの上空

  • 施設の管理者
  • 都道府県公安委員会

※周辺に海域が含まれる場合は、管轄の海上保安部

空港(新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港)とその周辺300mの上空

  • 施設の管理者
  • 都道府県公安委員会

※周辺に海域が含まれる場合は、管轄の海上保安部

原子力事業所とその周辺300mの上空

  • 施設の管理者
  • 都道府県公安委員会

民法

私有地の上空

土地の所有者・管理者

道路交通法

  • 道路でドローンを離発着させる場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に補助者を配置する場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に看板などを設置する場合

管轄の警察署

その他の法律

  • 公園:「都市公園法」「自然公園法」では許可不要だが、公園の管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり
  • 国有林:「国有林野の管理経営に関する法律」で「入林届」の提出が必要
  • 川、海岸:「河川法」「海岸法」では許可不要だが、河川や海岸の管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり
  • 海上:「港則法」「海上交通安全法」では許可不要だが、ドローンの飛行によって船舶交通の安全に支障を及ぼす恐れがある場合は許可が必要
  • 管理者
  • 港の場合は港長
  • 海上の場合は海上保安監部、海上保安本部

都道府県・市区町村の条例

各都道府県・市区町村が定める場所
→公園、公共施設などで禁止される場合が多い

各都道府県・市区町村が定めた者

飛行禁止の区域

航空法

緊急用務空域

──

状況により飛行禁止になる区域

特措法

オリンピックなど大きなイベントなどの際に、特別の指定される飛行禁止区域

──

ここからは、この表を踏まえて「ドローンの飛行禁止区域」について知っておくべきことをわかりやすく説明していきます。

まずは飛行禁止区域の基礎知識からです。

  • ドローンには法律で決められた飛行禁止の区域がある
  • 飛行禁止区域にも「許可を貰えば飛ばすことができる区域」がある
  • ドローンの重さ(100g以上/未満)によって飛行禁止区域は異なる
  • 飛行禁止区域でドローンを飛ばせば罰則がある

それぞれ解説していきましょう。

もし、上記の表のそれぞれの区域について具体的に知りたいという場合は、原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域から読んでください。

ドローンには法律で決められた飛行禁止の区域がある

ドローンには、法律で「原則的に飛ばしてはいけない」と定められているエリアがあり、これを「飛行禁止区域」と呼んでいます。

たとえば、人が大勢いる場所や空港の周辺など、ドローンが危険につながる恐れのある場所などです。

ドローンに関して規制する法律は、主に「航空法」「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(小型無人機等飛行禁止法)」のふたつです。

「飛行禁止区域」というと、「航空法」で定められたエリアのみに注目されることもありますが、実際はこのふたつの法律それぞれに、飛行禁止の区域を定めています。

また、ドローンに特化した法律ではありませんが、「民法」「道路交通法」などの条文の中にも、ドローンの飛行に関わるものがあるため、それらも守らなければなりません。

飛行禁止区域にも「許可を貰えば飛ばすことができる区域」がある

ただ、「飛行禁止区域」の中にも「絶対に飛ばしてはいけない区域」と、「原則的に飛ばしてはいけないが、管轄の省庁や警察、管理者などに許可をもらえば飛ばすことができる区域」とがあります。

後者は、事前に定められた手続きをすれば、ドローンを飛ばすことが可能です。

具体的な禁止区域は上記の表の通りですが、さらに詳しくはドローンの飛行禁止区域でくわしく説明します。

ドローンの重さ(100g以上/未満)によって飛行禁止区域は異なる

実は、ドローンの飛行禁止区域は、その重さによって異なります。

というのも、「航空法」の対象となるのは重量100g以上のドローンに限られていて、100g未満のドローンは航空法の制限を受けないからです。

そのため、航空法で定められた飛行禁止区域は、100g未満のドローンには適用されません

一方で、「小型無人機等飛行禁止法」など航空法以外の法律は、ドローンの重さに関わらず適用されるため、これらの法律が定める飛行禁止区域はすべてのドローンに適用されます。

わかりやすくまとめると、以下のようになります。

「航空法」による
飛行禁止区域・ルール

「小型無人機等飛行禁止法」など
他の法律による飛行禁止区域・ルール

100g以上のドローン

適用される

適用される

100g未満のドローン

適用されない

航空法のみに注目すると、「100g未満のドローンであれば飛行禁止区域はない、どこでも飛ばせる」と勘違いするかもしれませんが、実際には他の法律で飛行を禁止されているエリアがあります。

「無許可でどこでも飛ばせるドローン」というものはありませんので、注意してください。

飛行禁止区域でドローンを飛ばせば罰則がある

法律で定められた飛行禁止区域で、許可なくドローンを飛ばした場合には罰則があります。

罰則の内容は法律によって異なり、「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」ではそれぞれ以下のように定められています。

「航空法」の飛行禁止区域で
無許可で飛行させた場合

50万円以下の罰金

「小型無人機等飛行禁止法」の
飛行禁止区域で無許可で飛行させた場合

1年以下の懲役または50万円以下の罰金

実際に、2017年に福岡の飛行禁止区域で無許可でドローンを飛ばした男性がはじめて逮捕されたのを皮切りに、逮捕や書類送検のニュースがときどき報じられます。

ニュースにならないものも多数あると予想されますので、「違反しても見つからなければ大丈夫」とたかをくくらずに、飛行禁止のルールはかならず厳守してください。

ドローンの飛行禁止区域をアプリ・地図で確認する方法

ドローンの飛行禁止区域をアプリ・地図で確認する方法

これで、ドローンの飛行禁止区域がどのように定められているかがわかりました。

が、「具体的にこの地域が飛行禁止かどうか確かめたい」という人も多いでしょう。

そこに、特定のエリアが飛行禁止区域に該当するかを確認する方法を紹介しておきましょう。

それは以下の2種です。

  • アプリで確認する:DID、空港、重要施設周辺などの飛行禁止エリアが確認できる
  • 国土地理院の地図で確認する:最新のDIDのみ確認できる

ただ、「これならいろいろなエリアがわかるアプリだけ利用すればいい」かというと、そうではありません。

一長一短あります。

まず、アプリはさまざまな飛行禁止エリアをひと目で確認することができますが、中にはエリア表示の正確性に欠けるケースもあるようです。

その点、国土地理院の地図なら精度は確実です。

ただ、DIDしか表示されないため、空港や重要施設周辺の禁止エリアなどはわかりません。

そこで、まずアプリで飛行禁止区域全般を確認し、その上で国土地理院の地図で正確なDIDを確認する、というのが安心でしょう。

では、それぞれについてくわしく説明します。

Webサービス、アプリ

まず、飛行禁止区域を確認できるWebサービスやアプリがあるので利用するといいでしょう。

代表的なものとしては、以下があります。

SORAPASS

SORAPASSは、無料で利用できるドローン専用飛行支援地図サービスです。

アプリではなくWebサービスなので、利用登録さえすれば誰でもすぐに使えますし、操作や機能もシンプルなので、ドローン初心者向けに使いやすいでしょう。

といっても、地図検索や、「人口集中地区」「空港」「飛行可能施設」「その他重要施設」の中から選んだエリアだけを表示させることができるなど、基本機能は十分です。

また、有料プランもあり、そちらでは上空の風速・風向情報、日の出・日の入り情報なども閲覧可能になりますので、飛行許可の要不要判断に役立ちます。

費用

無料

特徴

  • 「航空法」による飛行禁止区域がわかるだけでなく、「小型無人機等飛行禁止法」で飛行禁止されている国の重要施設、防衛関連施設、原子力施設などの禁止エリアも表示される
  • ドローンの操縦ライセンスを発行しているJUIDAの飛行試験場が表示されるので、近くの練習場が見つけられる
  • 人口集中地区(DID):赤色
  • 空港周辺:赤色
  • 自衛隊基地、原子力施設など:黄色
  • JUIDA飛行試験場:青色

SORAPASS ドローン専用飛行支援地図

出典:SORAPASS

◎DJI安全飛行:DJIホームページの「フライトマップ」

DJIは世界シェア7割以上を誇る中国のドローンメーカーです。

日本でも利用している人は多いですが、「フライトマップ」はそのDJIの公式サイト内で利用できるサービスです。

飛行禁止区域がわかるだけでなく、「おすすめ飛行可能空域」も表示されるので、飛ばせる場所を探している人は使ってみるといいでしょう。

費用

無料

特徴

  • DJIの公式サイト内で利用できるので、アカウント登録やインストールなどが必要ない
  • 空港周辺の飛行禁止区域がわかりやすいので、空港が比較的近い場合に便利
  • 「おすすめ飛行可能空域」がひと目でわかるので、最寄りでドローンを飛ばせる場所が見つけやすい
  • 許認可空域(飛行許可が必要なエリア):青色
  • 警告空域(DJIが独自に安全上不安があるとしたエリア):黄色
  • おすすめ飛行可能空域(ドローンを飛ばせる場所):緑色    など

DJI安全飛行 フライトマップ

出典:DJI安全飛行

ドローンフライトナビ

無料で利用できる飛行禁止区域アプリです。

航空法だけでなく、小型無人機等飛行禁止法の飛行禁止区域もまとめて表示され、特に空港の禁止エリアがわかりやすいのが特徴です。

スマートフォンのみ対応のアプリですが、評価は4.5と高く、「飛行禁止区域の確認はスマホでしたい」という人には使い勝手のいいアプリだと言えるでしょう。

費用

無料

特徴

  • 「航空法」による飛行禁止区域に加えて、「小型無人機等飛行禁止法」による飛行禁止区域も表示される
  • 空港は、周辺エリアだけでなく上記8空港で禁止エリアとされている「進入表面」なども表示されるため、空港の禁止エリアがわかりやすい
  • 人口集中地区(DID):赤色
  • 空港等の周辺:緑色
  • 空港飛行禁止空域:紫色
  • 小型無人機等飛行禁止法による飛行禁止区域:黄色

ドローンフライトナビ フライトマップ

出典:ドローンフライトナビ

国土地理院の地図

さて、この章の冒頭でも触れたように、アプリの中にはエリア表示があまり正確でないケースもあるようです。

その点、国土地理院の地図であれば確実ですので、アプリなどと合わせて利用してください。

ただし、こちらで表示されるのはDIDのみです。

現在は2020年に定められたDIDを確認することができます。

◎国土地理院「地理院地図

【東京湾周辺のDID】(赤いエリア)

東京湾周辺のDID

出典:国土地理院「地理院地図

ドローンの飛行禁止区域

ドローンの飛行禁止区域

では、ここからは実際にドローンの飛行が禁止されている区域とはどんなところか、ひとつずつ具体的にみていきましょう。

前述したように、飛行禁止といっても中には許可をとれば飛行可能な区域もありますので、その場合はどこに許可を取ればいいのかも含めて解説します。

法律・条例

場所

許可申請先

原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域

航空法

150m以上の高さの上空

国土交通大臣

空港周辺の空域

人口集中地区(DID地区)の上空

小型無人機等飛行禁止法

  • 国の重要施設とその周辺300mの上空
  • 外国公館とその周辺300mの上空
  • 防衛関係施設とその周辺300mの上空
  • 空港とその周辺300mの上空
  • 原子力事業所とその周辺300mの上空
  • 施設の管理者
  • 都道府県公安委員会

※皇居の場合は皇宮警察本部長

※周辺に海域が含まれる場合は、管轄の海上保安部

民法

私有地の上空

土地の所有者・管理者

道路交通法

  • 道路でドローンを離発着させる場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に補助者を配置する場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に看板などを設置する場合

管轄の警察署

その他の法律

  • 公園
  • 国有林
  • 川、海岸
  • 海上   など
  • 管理者
  • 港の場合は港長
  • 海上の場合は海上保安監部、海上保安本部

都道府県・市区町村の条例

各都道府県・市区町村が定める場所
→公園、公共施設などで禁止される場合が多い

各都道府県・市区町村が定めた者

飛行禁止の区域

航空法

緊急用務空域

──

状況により飛行禁止になる区域

特措法

オリンピックなど大きなイベントなどの際に、特別の指定される飛行禁止区域

──

では、それぞれ説明していきましょう。

原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域

原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域

まず、飛行禁止区域の中でも、許可を取ればドローンを飛ばすことができるエリアです。

主に「航空法」の禁止区域と「小型無人機等飛行禁止法」の禁止区域ですが、それ以外にもありますので注意してください。

ちなみに許可申請先や申請方法は、別記事【チャート付】ドローンの飛行申請が必要な全パターンとその申請方法にくわしく掲載していますので、実際に申請する際にはそちらを参照してください。

150m以上の高さの上空(100g以上のドローンの場合)

地表または水面から150m以上の高さの空域は、航空法によりドローンの飛行が原則禁じられています。

これは、航空機が飛ぶことができるもっとも低い高度が150mと定められているためで、これ以上の高さでドローンを飛ばすと航空機と接触するなど事故のリスクが生じます。

許可申請先

そこで、もし150m以上の高さでドローンを飛ばしたい場合には、まずその空域を管轄する管制機関に連絡して調整してください。

その上で、航空法が飛行禁止区域の飛行許可申請の手続きとして定めている、国土交通大臣への許可申請を行います。

管制機関の問い合わせ先は、以下に掲載されています。

空域を管轄する管制機関の連絡先等

国土交通大臣への許可申請は、ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)からオンラインで行うのが一般的です。(郵送でも可能です)

空港周辺の空域(100g以上のドローンの場合)

空港周辺の空域は、航空機の安全を確保するために、ドローンの飛行を原則禁止しています。

どのエリアが「空港周辺」にあたるのかは、国土交通省「​​空港等設置管理者・空域を管轄する機関の連絡先についてページで、「進入表面等の設定状況(広域図・詳細図)」の「管制圏等」の図面で確認してください。

以下のような図で表示されます。

【関東の進入表面等の設定状況(管制圏等)】

関東の進入表面等の設定状況(管制圏等)

出典:国土交通省「​​空港等設置管理者・空域を管轄する機関の連絡先について

また、高さも含めた飛行禁止範囲は、「空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域」と定義されています。

具体的には以下の図を参照してください。

◎新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の場合

 →以下の図に示す空港の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面若しくは延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、進入表面若しくは転移表面の下の空域又は空港の敷地の上空の空域

空港の許可が必要な空域1

空港の許可が必要な空域2

出典:国土交通省「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン

◎その他空港やヘリポート

 →以下の図に示すその他空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域

空港の許可が必要な空域1

空港の許可が必要な空域2

出典:国土交通省「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン

許可申請先

もしこれらの空域でドローンを飛ばしたい場合は、まずその空域を管轄する管制機関に連絡して調整してください。

その上で、航空法が飛行禁止区域の飛行許可申請の手続きとして定めている、国土交通大臣への許可申請を行います。

管制機関の問い合わせ先は、以下に掲載されています。

空域を管轄する管制機関の連絡先等

国土交通大臣への許可申請は、ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)からオンラインで行うのが一般的です。(郵送でも可能です)

人工集中地区(DID地区)の上空(100g以上のドローンの場合)

人口集中地区は「DID地区」とも呼ばれ、やはりドローンの飛行は原則禁止です。

5年ごとに実施される国勢調査にもとづいて設定されるため、該当エリアが5年ごとに変わります

最新のDID地区がどこであるかは、国土地理院の「地理院地図で確認してください。

【東京周辺のDID地区】

東京周辺のDID地区

出典:国土地理院「地理院地図

許可申請先

このエリアに該当する場所でドローンを飛ばしたい場合は、国土交通大臣の許可が必要です。

許可申請は、ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)からオンラインで行うのが一般的です。(郵送でも可能です)

国の重要施設の周辺上空

「小型無人機等飛行禁止法」では、「国の重要施設およびその周囲おおむね300mの周辺地域の上空」でのドローン飛行を禁じています。

ここでいう「重要施設」とは、以下の施設です。

  • 国会議事堂等
  • 内閣総理大臣官邸等
  • 危機管理行政機関
  • 最高裁判所庁舎
  • 皇居・御所
  • 政党事務所

くわしい指定施設は、警察庁「小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係で確認してください。

許可申請先

これらの施設周辺でドローンを飛ばしたいときは、まず各施設の管理者から同意を得た上で、都道府県公安委員会に「通報」する必要があります。

また皇居、御所の場合は、皇宮警察本部長にも通報します。

ただ、公安委員会、皇宮警察への通報は直接するのではなく、管轄の警察署を通じて行います。

ドローンの飛行許可を申請する人は、「施設の同意をとる→管轄の警察署に所定の通報書を提出する」という手続きをすれば結構です。

それぞれの施設の管轄警察と連絡先は、以下のリンク先で確認してください。

警察庁「小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係

外国公館の周辺上空

各国の大使館や領事館といった外国公館とその周辺300mの上空も、ドローンの飛行禁止区域です。

ただ、警察庁「小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係を見ると、2022年12月現在はこの法律の対象施設として指定されている外国公館はありません。

今後指定されるものがあるかもしれませんので、外国公館の近くでドローンの飛行を計画する際には、上記のページを確認しましょう。

許可申請先

もし外国公館の周辺でドローンを飛ばしたい場合は、施設の管理者と都道府県公安委員会の許可が必要です。

まず施設の管理者に同意を得た上で、公安委員会への許可は直接連絡するのではなく、管轄の警察署に「通報書」を提出すれば結構です。

防衛関係施設の周辺上空

防衛関係施設とは、自衛隊施設と在日米軍施設を指します。

これらの施設とその周辺300mの上空は飛行禁止区域ですので、もしドローンを飛ばす際には必ず許可をとってください。

施設の一覧は、警察庁「小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係で確認できます。

許可申請先

許可申請は、施設の管理者の同意を得た上で、管轄の警察署に所定の「通報書」を提出、警察署から都道府県公安委員会へ通報してもらいます。

また、施設に海域が含まれる場合は、管轄の海上保安部にも通報が必要です。

管轄の警察署は、警察庁「小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係で確認してください。

空港の周辺上空

空港周辺は、「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」の両方で飛行禁止区域に指定されています

ただ、航空法では100g以上のドローンに限り、すべての空港周辺で飛行禁止なのに対して、小型無人機等飛行禁止法ではすべてのドローンに対して、新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港周辺での飛行を禁止しているという違いがあります。

飛行禁止の空港

飛行禁止されるドローン

小型無人機等飛行禁止法

新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港とその周辺300m

すべてのドローン

航空法

すべての空港の、国土交通大臣が定めた空域

重量100g以上のドローン

小型無人機等飛行禁止法で飛行禁止されている8空港の飛行禁止空域は、以下で確認できます。

国土交通省「​​小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定

【成田国際空港で許可が必要なエリア】

成田国際空港で許可が必要なエリア

出典:国土交通省「小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定

許可申請先

この8空港の該当エリアでドローンを飛ばしたい場合は、以下の許可を得てください。

  • 空港管理者
  • 管轄の警察署(警察署を経由して都道府県公安委員会にも通報)
  • 管区海上保安部長(海域を含む対象施設周辺地域を飛行する場合)
    ※航空法に基づく許可を得ている場合でも、同意や事前通報は必要

原子力事業所の周辺上空

原子力発電所など原子力事業所とその周辺300mも、ドローンは原則飛行禁止です。

実際に飛行禁止の対象となっている施設は、以下の通りです。

◎対象施設周辺地域

1)名 称:北海道電力株式会社 泊発電所
    所在地:北海道古宇郡泊村大字堀株村

2) 名 称:東北電力株式会社 東通原子力発電所
    所在地:青森県下北郡東通村大字白糠字前坂下三十四番地四

3) 名 称:東北電力株式会社 女川原子力発電所
    所在地:宮城県牡鹿郡女川町塚浜字前田一

4) 名 称:東京電力ホールディングス株式会社 福島第一原子力発電所
    所在地:福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原二十二

5) 名 称:東京電力ホールディングス株式会社 福島第二原子力発電所
    所在地:福島県双葉郡楢葉町大字波倉字小浜作十二番地

6) 名 称:東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所
    所在地:新潟県柏崎市青山町十六番地四十六

7) 名 称:中部電力株式会社 浜岡原子力発電所
    所在地:静岡県御前崎市佐倉五千五百六十一番地

8) 名 称:北陸電力株式会社 志賀原子力発電所
    所在地:石川県羽作郡志賀町赤住一番地

9) 名 称:関西電力株式会社 美浜発電所
    所在地:福井県三方郡美浜町丹生第六十六号五番地の三

10) 名 称:関西電力株式会社 高浜発電所
    所在地:福井県大飯郡高浜町田ノ浦第一号

11) 名 称:関西電力株式会社 大飯発電所
    所在地:福井県大飯郡おおい町大島一字吉見一番地一

12) 名 称:中国電力株式会社 島根原子力発電所
    所在地:島根県松江市鹿島町片句六百五十四番地一

13) 名 称:四国電力株式会社 伊方発電所
    所在地:愛媛県西宇和郡伊方町九町三番耕地四十番地三

14) 名 称:九州電力株式会社 玄海原子力発電所
    所在地:佐賀県東松浦郡玄海町大字今村字浅湖四千百十二番地一

15) 名 称:九州電力株式会社 川内原子力発電所
    所在地:鹿児島県薩摩川内市久見崎町字小平千七百五十八番地一

16) 名 称:日本原子力発電株式会社 東海第二発電所
    所在地:茨城県那珂郡東海村大字白方字白根一番一

17) 名 称:日本原子力発電株式会社 敦賀発電所
    所在地:福井県敦賀市明神町一番地

18) 名 称:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 高速増殖原型炉もんじゅ
    所在地:福井県敦賀市白木二丁目一番地

19) 名 称:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子炉廃止措置研究開発センター
    所在地:福井県敦賀市明神町三番地

20) 名 称:日本原燃株式会社 再処理事業所
    所在地:青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字沖付

21) 名 称:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所
    所在地:茨城県那珂郡東海村大字村松字真砂山四番三十三

22) 名 称:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センター
    所在地:茨城県東茨城郡大洗町成田町四千二番地

出典:原子力規制委員会
小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設(原子力事業所)及び対象施設周辺地域

許可申請先

これらの施設や周辺でドローンを飛ばしたい場合は、上記の各事業所の管理者に同意を得た上で、管轄の警察署に所定の「通報書」を提出し、警察署を通じて都道府県公安委員会にも通報します。

私有地の上空

さて、ドローンの飛行禁止区域は、「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」による禁止区域だけではありません。

その他の法律でも、ドローンの飛行に関係して制限が加わるものがあります。

ひとつは「民法」による、私有地の上空での飛行です。

土地の所有権は、地面だけでなく上空と地下にもおよびますので、その土地の所有者の承諾なくドローンを上空に飛ばすのは民法に違反します。

私有地というと、個人の住宅が思い浮かびますが、それだけではありません。

不特定多数の人が出入りするビルも、法人か個人の持ち物であるケースが多くありますし、広場や公園のようなスペースも、誰かの所有地である可能性があります。

「このビルの前の広場は誰でも入れるから、私有地ではないだろう」と思っても、実際はビルを所有する企業の土地であったとすると、勝手にドローンを飛ばすのは民法に違反する行為にあたるのです。

許可申請先

そのような違法行為をしてしまわないために、ドローンを飛ばす前にはそこが私有地ではないかを確認しましょう。

もし私有地であっても、その所有者に許可を得た上でならドローンを飛ばすことはできます

ただし、そこがDID地区であれば、航空法により国土交通大臣の許可も必要ですし、国の重要施設の近くなら、その施設の管理者の同意と警察署への通報もしなければなりません。

道路での離発着

道路上は、飛行禁止区域ではありません。

単に道路の上でドローンを飛ばすのであれば、それを規制する法律はないのが現状です。

ただ、ドローンを道路の上で離発着させる場合には、「道路交通法」によって管轄の警察署に「道路使用許可申請書」を提出する必要があります。

また、ドローンを飛ばすために、そのエリアに第三者が立ち入らないよう補助者を道路に立たせたり、道路上に看板を立てたりする場合も、道路使用許可が必要です。

許可申請先

申請の際には、以下の必要書類を管轄の警察署に提出してください。

  • 道路使用許可申請書(2通)
  • 道路使用許可申請書の添付書類
    →道路使用の場所又は区間の付近の見取図
     道路使用の方法又は形態等を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類

その他の法律による飛行禁止区域

また、その他にも以下のエリアが飛行禁止区域になる場合があります。

公園

公園ごとに「禁止」「許可が必要」「無許可で飛行可」と異なる

ドローンの飛行が禁止されているケースが多々あり

  • 都道府県立の公園で、都道府県条例で禁止されているケース
  • 公園の管理者が禁止と定めているケース  など

→その地域の条例を確認し、禁止されていなければ管理者に確認する

 管理者が禁止すれば、ドローンを飛ばすことはできない
 管理者が許可申請を求めた場合は、所定の手続きで許可をもらう

川、海岸

法的には飛行禁止区域ではない

ただ、その川や海岸の管理者がドローンを禁止していたり、許可申請を求めたりするケースがある

管理事務所などに確認して、禁止であればドローンを飛ばすことはできない
 管理者が許可申請を求めた場合は、所定の手続きで許可をもらう

海の上

法的には飛行禁止区域ではない

ただ、ドローンの飛行によって船舶交通の安全に支障を及ぼす恐れがある場合は、管轄の港長または海上保安部に申請して許可をもらう

国有林

法的には飛行禁止区域ではない

ただ、操縦者が国有林に入る場合は、入林届が必要になる場合あり

→事前に国有林の管理者に確認、入林届を求められたら提出する

都道府県・市区町村の条例で定める飛行禁止区域

法律では禁止されていないエリアでも、都道府県や市区町村の条例などで飛行禁止と定められている場所もあります。

その場合は、「法律では禁止されていないから」という理由で条例を無視することはできません。

自治体の定めたルールに従ってください。

各自治体の条例については、国土交通省無人航空機の飛行を制限する条例等に一覧でまとめていますので、リンクから確認しましょう。

申請先・問い合わせ先も掲載されていますので、許可申請が必要な場合はそちらに連絡するといいでしょう。

飛行禁止の区域

飛行禁止の区域

さてここまでは、原則飛行禁止でも許可を得ればドローンを飛ばせる区域を挙げました。

一方で、基本的に許可申請もできない飛行禁止区域もあります。

それは以下です。

  • 緊急用務空域
  • その他、許可申請を受け付けない区域

緊急用無空域

「緊急用無空域」とは、警察や消防が緊急の活動を行うために、航空機を利用することを想定して、ドローンの飛行が禁止される空域です。

そのため、緊急時などに応じてエリアが指定され、これに指定された空域ではその他の許可があってもドローンを飛ばすことはできません。

また、ドローンの操縦者には、飛行前にかならず緊急用無空域を確認することが義務付けられています。

現在どのエリアが緊急用無空域であるかは、以下で確認できます。

ただし、「災害等の報道取材やインフラ点検・保守など、『緊急用務空域』の指定の変更又は解除を待たずして飛行させることが真に必要と認められる飛行」に限っては、新たに国土交通大臣の飛行許可を取得することでドローンを飛ばせる可能性があります。

特措法によって飛行禁止になる区域

さらに、特措法によって飛行禁止区域が追加されることがあります。

たとえば近年では、「令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」によって、大会関係施設とその敷地、周辺300mの上空などが飛行禁止区域に指定されました。

これについても、国土交通省航空局ホームページにお知らせが掲載されますので、飛行前には緊急用務区域とあわせてかならず確認してください。

その他、許可申請を受け付けない区域

また、その他の法律による飛行禁止区域」「都道府県・市区町村の条例で定める飛行禁止区域の中で、条例や管理者に確認した結果、完全に飛行禁止で許可申請も受け付けない場所では飛行を諦めるしかありません

もし航空法にのっとってそのエリアの飛行許可を国土交通大臣から得ていたとしても、たとえば公園や河川などの管理者が「ドローン禁止」のルールを設けていれば、その場所を避けてドローンを飛ばす必要があります。

まとめ

いかがでしたか?

ドローンの飛行禁止区域について、知りたいことがわかったかと思います。

ではあらためて、記事のポイントを振り返ってみましょう。

◎ドローンの飛行禁止区域は、「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」などの法律や、都道府県・市区町村の条例などによって定められている

◎ドローンの重さ(100g以上/未満)によって飛行禁止区域は異なる

「航空法」による
飛行禁止区域・ルール

「小型無人機等飛行禁止法」など
他の法律による飛行禁止区域・ルール

100g以上のドローン

適用される

適用される

100g未満のドローン

適用されない

◎飛行禁止区域の中でも「許可をもらえば飛ばすことができる区域」は、

  • 150m以上の高さの上空
  • 空港周辺の空域
  • 人口集中地区(DID地区)の上空
  • 国の重要施設(国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所)とその周辺300mの上空
  • 外国公館とその周辺300mの上空
  • 防衛関係施設とその周辺300mの上空
  • 空港(新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港)とその周辺300mの上空
  • 原子力事業所とその周辺300mの上空
  • 私有地の上空
  • 道路でドローンを離発着させる場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に補助者を配置する場合
  • ドローンを飛ばすために道路上に看板などを設置する場合
  • 公園:公園の管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり
  • 川、海岸:河川や海岸の管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり
  • 海上:ドローンの飛行によって船舶交通の安全に支障を及ぼす恐れがある場合は許可が必要
  • 各都道府県・市区町村が定める場所

◎飛行禁止の区域

  • 緊急用務空域
  • オリンピックなど大きなイベントなどの際に、特別の指定される飛行禁止区域

これを踏まえて、あなたがドローンを飛行禁止区域以外で正しく飛ばせるよう願っています。