農薬散布にドローンの導入を検討する場合、代行サービスを利用するのがいいのかドローンを購入すべきなのか迷う方も多いのではないでしょうか。
農薬散布ドローンを導入するには、
- 自分でドローンを購入する
- 民間業者のドローン農薬散布代行サービス
- 農協のドローン農薬散布代行サービス
という3つの方法があり、どの方法にもそれぞれメリットがあります。
そこでこの記事では、
- ドローンの農薬散布代行サービスのシステム
- 代行サービスを利用するメリット、デメリット
- 費用比較
- 業者の選び方
などをお伝えし、圃場に合ったドローン農薬散布で農作業の効率化を図るための提案をしていきたいと思います。
この記事を読めば、自分の圃場に合ったドローン農薬散布の方法がわかり、自信を持ってドローン導入に踏み切ることができるでしょう。
目次
ドローン農薬散布代行サービスには2種類ある
農薬散布にドローンを導入するには、自分でドローンを購入する他に代行サービスを利用する方法があり、代行サービスには以下の2種類があります。
- 民間業者のドローン農薬散布代行サービス
- 農協のドローン農薬散布代行サービス
民間業者のドローン農薬散布代行サービス
ドローンによる農薬散布は、作業効率の面でメリットが多く注目を集めていることから、農薬散布代行サービスを行う民間業者も増えています。
農薬散布するだけでなく、データ管理や薬剤プランニングなどのサービスもあわせて提供するなど、他との差別化を図る業者も。
農協のドローン農薬散布代行サービス
農薬散布用のドローンを新規導入し、農薬の空中散布を請け負う支援事業を始める農業協同組合も存在します。
以前からヘリコプターによる農業散布を請け負う農協はありましたが、「地形によっては散布が困難な場合がある」「多額の費用がかかる」「タイミングを指定できない」などの理由で利用できない農家も多いのが現状です。
そこで、ドローンを導入し、実証に取り組む流れが広まりつつあるのです。
ただし、この農協による取り組みは広がりを見せているものの、どの県や地域でも行われているわけではないので確認が必要です。
まずは管轄の農協に確認するのがおすすめ
管轄の農協でドローン農薬散布の支援事業を行っている場合には、農協を利用するのがおすすめです。
なぜなら、管轄の農協であれば地域ごとの作物や圃場環境についても熟知していおり、スムーズに作業を進めることができるから。
また、農協職員がドローン操縦を行う場合などについては民間の代行サービスよりも価格が安い場合が多いので、コストを抑えられる可能性が高いです。
ドローンによる農薬散布代行サービスの流れ
ドローンによる農薬散布代行サービスは、農場の面積や形状などの情報を伝えて打ち合わせをするだけで、指定された日時にドローンパイロットが農薬散布を行ってくれるというサービスです。
農薬は自分で準備するのが普通ですが、最適な薬剤を選んで用意してくれる会社もあります。
※農薬は、農林水産省で指定されたドローンで使用可能な農薬を準備する必要があるので要注意。
【ドローンによる農薬散布代行サービスの主な流れ】
【実例】(引用:株式会社セキド)
ドローン農薬散布の代行サービスを利用する3つのメリット
ドローンによる農薬散布を代行サービスに委託するメリットは、以下の3つ。
- ドローン飛行に関する申請をすべて代行業者がやってくれる
- ドローン操縦のための練習などの手間が省ける
- ドローンのメンテナンスの必要がない
ドローン飛行に関する申請をすべて代行業者がやってくれる
まず、農薬散布を代行サービスに依頼すると、ドローン飛行に関する申請を自分でする必要がないというのが大きなメリットと言えます。
ドローンを使って農薬等を散布する場合には、飛行開始予定日の10開庁日前までに国土交通省への申請が必要ですが、慣れていないと申請に手間取ってしまう場合も。
代行サービスを利用すればこのような手間が一切かからず、すべて業者に任せることができます。
ドローン操縦のための練習などの手間が省ける
代行サービスを利用すれば、ドローンを操縦するための練習や知識が必要ありません。
農業散布用ドローンを飛ばすためには、当然のことながら必要最低限の飛行実績や技能が必要ですが、人によっては操縦に慣れるまでに時間がかかる場合もあります。
また、操縦を誤って墜落させてしまうといった心配もなく、リスクを背負う必要がありません。
ドローンのメンテナンスの必要がない
代行サービスを利用すれば、ドローンのメンテナンスが必要ありません。
特に農薬散布ドローンの場合、農薬を入れたタンクの洗浄などメンテナンスに手間がかかりますが、サービスを利用することでこの手間が省け、結果として農薬散布にかかるトータルの時間を削減することが可能に。
農薬散布ドローン購入か代行サービスかは圃場の広さがポイント
費用面だけを考えるなら、所有する作地面積が5ha以下の場合は代行サービスを利用するのがいいでしょう。逆に5ha以上の圃場を保有しているなら、自分でドローンを購入した方が費用を安く抑えることができます。
ドローン農薬散布の代行サービスの単価相場は1反(10a)あたり2,000~3,000円程度。
仮に10aあたり2000円として、年3回散布することを想定して計算すると、以下のようになります。
作地面積が5haなら、100万円のドローンを購入した場合3年ほどでコスト回収できる計算になるので、このあたりが費用回収可能と考える目安となるでしょう。
※代行サービスの価格は民間業者の相場なので、農協に依頼する場合はこれよりも安い場合があります。
農薬散布用ラジコンヘリよりもドローンが優れているポイントとは?
農薬散布用ヘリを外注する場合の価格は、ドローン代行サービスの価格とほとんど変わりません。
ラジコンヘリよりドローンを使うメリットは以下の3つ。
- 狭い圃場や複雑な地形にも対応できる
- 希望するタイミングで散布できる
- 飛行騒音が小さい
狭い圃場や複雑な地形にも対応できる
ドローンは機体が小型で機動性が高いので、ヘリでは難しい狭い圃場や傾斜地、複雑な地形にも対応することができます。
希望するタイミングで散布できる
ドローンでの農薬散布なら、自分が希望するタイミングで散布してもらうことができるという大きなメリットがあります。
ヘリの場合、同一作物の近隣農家とタイミングを合わせる必要があるなど、希望日に散布してもらうことが難しい場合があります。
飛行騒音が小さい
ドローンはヘリに比べて飛行騒音が小さく、近隣に迷惑をかけるリスクが少ないという利点があります。
逆に農薬散布ヘリは1回の飛行で広域の散布を行うことができるという利点があります。無人ヘリコプターによる農薬散布は農協や業者に委託するのが一般的。
散布時期になったら目印の旗をたてておけば散布完了するので、手間がなく楽というメリットもあります。
農薬散布ドローンを検討するならまずは管轄の農協に問い合わせを
手作業の農薬散布からの切り替えを考えている場合、まずは管轄の農協に問い合わせてみることをおすすめします。
なぜなら農協での農薬散布ドローン支援事業は、民間の代行サービスに比べて費用が安い場合があるから。
管轄の農協でドローン農薬散布に関する支援事業がない場合は、圃場の広さや形状などから判断するといいでしょう。
圃場が5ha以内で代行サービスを利用する場合、以下の条件なら農業散布ヘリを検討するのも一つの方法です。
- 近隣の農家が農業散布ヘリを利用している
- 散布のタイミングは細かく指定しなくても構わない
- 圃場の形状が複雑でなく、平地である
ドローン農薬散布代行サービスは内容で選ぶ
費用の章でも触れましたが、ドローン農薬散布の代行サービスの単価相場は1反(10a)あたり2,000~3,000円程度。
これより安い価格であればその業者を検討し、価格的に差がない場合は以下のようなサービス内容で選びます。
- 散布する圃場、作物、成長具合を丁寧に確認してくれかどうか
- 突発的な依頼にも対応してくれるかどうか
- 農薬散布の実績があるかどうか
- 農薬散布以外のオプションも選ぶことができるか(希望する場合)
散布する圃場、作物、成長具合を丁寧に確認してくれかどうか
圃場や作物について事前に丁寧に確認を行ってくれる業者には、自分の圃場を安心して任せることができます。
初めて依頼する場合には、できれば現場確認をしてもらえるとより安心できるでしょう。
突発的な依頼にも対応してくれるかどうか
代行サービスを選ぶ際には、突発的な依頼にも対応してもらえるかどうかもチェックしましょう。
悪天候が続いた時や農作業に遅れが出た時など、突発的に散布を依頼したいケースも多いはず。
このような場合にもすぐに対応してもらえる業者を選ぶことで、作物を計画通りに生育させることができます。
農薬散布の実績があるかどうか
実績のある業者かどうかも選ぶ際の大きなポイント。農薬散布の実績を積んでいる会社は、農業に関する知識も豊富です。
ドローンの操作はプロでも農薬散布の実績があまりない業者では、細かな相談がしにくい場合も。
農薬散布以外のオプションも選ぶことができるか
これは希望する場合に限りますが、農薬散布だけでなくもう一歩進んだドローン利用を考えているなら、農薬プランニングや圃場のモニタリングなどのオプションサービスを選べる業者を選ぶのも一つの方法です。
さいごに
農薬散布ドローンの代行サービスについて紹介してきましたが、もう一度大まかな要点を確認しておきましょう。
農薬散布ドローンを導入するには、
- 自分でドローンを購入する
- 民間業者のドローン農薬散布代行サービス
- 農協のドローン農薬散布代行サービス
という3つの方法があります。
まずは管轄の農協に問い合わせ、農薬散布支援事業を行っているかどうか確認してみるのがおすすめ。
農協の支援事業がない場合、作地面積5ha以下なら農薬散布ドローン代行サービスを検討しましょう。
ドローンによる農薬散布を代行サービスに委託するメリットは、以下の3つ。
- ドローン飛行に関する申請などをすべて代行業者がやってくれる
- ドローン操縦のための練習などの手間が省ける
- ドローンのメンテナンスの必要がない
ドローン農薬散布の代行サービスの単価相場は1反(10a)あたり2,000~3,000円程度。
それより安い場合はその業者を検討し、価格に差がない場合は以下のようなサービス内容があるかどうかを確認しましょう。
- 散布する圃場、作物、成長具合を丁寧に確認してくれかどうか
- 突発的な依頼にも対応してくれるかどうか
- 農薬散布の実績があるかどうか
- 農薬散布以外のオプションも選ぶことができるか(希望する場合)
ドローンは、小さな圃場や傾斜地など日本の農業が抱える課題に対応し、作業効率性を高めることが期待されています。
農薬散布を依頼する、もしくはドローンを購入するには当然費用が発生しますが、農薬散布の重労働から解放されること、農薬散布に費やしていた時間を他の作業に充てられることを考えると決して高くはないという声が多いのは事実。
これからも農業分野でのドローン活用が進むことは間違いありません。
この記事で得られた知識を元に、あなたの圃場においてもドローンが有効に活用されることを願っています。