ドローンを操縦するためになくてはならない機器の一つに、プロポがあります。
操縦者の命令をドローンに伝えるという重要な役割をはたすプロポですが、最初はどのようなプロポを選べば良いか迷うことも少なくないでしょう。
ドローンのプロポには、さまざまな機能や役割があり、初心者のうちは混乱するのも道理です。しかし、プロポの機能を理解し自分に合ったプロポを選ぶことができれば、ドローンの可能性は飛躍的に広がります。
今回の記事では、ドローンに使用するプロポの役割や特徴、操作方法、自分に合ったプロポの選び方など、快適なドローンライフに欠かせないプロポの基礎知識を紹介します。
この記事を読んで自分に合ったプロポを選ぶことができれば、手持ちのドローンの秘めた可能性を大きく拓くきっかけとなることでしょう。
おすすめのプロポメーカー・商品については、こちらの記事で詳しく解説しています。
目次
プロポとは、ドローンを操縦するための送信機のこと
プロポは「プロポーショナルシステム」の略で、操縦者の命令をドローンに伝えるための機械です。
「送信機」「コントローラー」などと呼ばれることもありますが、ラジコンやドローンの世界では「プロポ」と呼ばれることが一般的です。
プロポを使用することで、スロットルを少し倒したら少し進む、深く倒したら遠く進む、といった直感的な操作が可能となります。また、最近のプロポにはカメラ操作などドローンの操縦以外の操作も可能なプロポも登場しています。
プロポの役割は、ドローンを直感的に操作すること
プロポの主な役割は、操縦者の命令をドローンに届けることです。
操縦者がスロットルを操作することで出した命令をプロポがドローンへ向けて送信、ドローンの受信機がその命令を受信してフライトコントローラーに伝え、そこからESCへ、そこからモーターへと命令が伝えられることでドローンが動きます。
プロポはスマホよりも直感的な操作が可能
プロポがなくても、例えば最近ではスマートホンとアプリでその役割を代替することができます。
しかし、スマートホンとは異なりプロポでは実際のスティックやボタンを操作するため、より細かく繊細な操縦が可能となります。より精密で直感的な、自由度の高い操縦・飛行を実現するためには、やはりプロポが必須と言えそうです。
多機能なプロポを使用することで操縦の幅が広がる
最近ではプロポに画面がついていたり、機能を割り当てられるボタンやスティックが複数ついていたりするものもあります。
これらを上手に活用し自分に合った機能を割り当てることで、操縦だけでなくドローン操作全体をプロポで簡潔し、より自由度の高い活用が可能となります。
プロポの用語と操作方法
プロポの持つ可能性を最大限に活用するため、まずは押さえておくべき基本的な用語と機能を紹介します。
(引用元:公益社団法人無人機研究開発機構)
スロットル
スロットルとは、ドローンの上昇・下降を制御する命令のことを言います。
また、それを制御するためのプロポ上のスティックのことをこう呼ぶこともあります。基本的にスロットルを制御するスティックを前(奥側)へ倒すと上昇、後ろ(手前側)へ倒すと下降します。
エレベーター(ピッチ)
エレベーターあるいはピッチは、ドローンの前進・後退を制御する命令のことです。
スロットルとは別のスティックを使用して制御することがほとんどです。一般的には、ピッチを制御するスティックを前(奥側)へ倒すことで前進、後ろ(手前側)へ倒すことで後退します。
エルロン(ロール)
エルロン、あるいはロールと呼ばれる操作は、ドローンの左右移動を制御する命令です。
注意しておきたいのは、エルロンはドローンを左右に回転させるのではなく、正面位置は変えないまま、ドローンを左右いずれかへ傾ける操作であるということです。
操作としては、エルロンを制御するスティックを右に傾ければドローンも右へ、左に傾ければドローンも左へ傾く、という操作方法が一般的です。
ラダー(ヨー)
ラダーあるいはヨーと呼ばれる操作は、ドローンを左右いずれかへ回転させる命令です。
エルロンと異なる点としては、ラダーはドローン全体を回転させることで、ドローンの正面方向が変わる、という点です。ラダーを制御するスティックを右へ傾ければドローンの正面が右方向へ、左へ傾ければ左方向へ回転します。
基本的には、スロットル・ピッチ・エルロン・ラダーの4つの操作を組み合わせてドローンを操縦します。
テレメトリー機能
テレメトリー機能とは、ドローン側からプロポへ向けて様々な情報を送信・プロポが受信する機能のことです。
ドローン側から送信される情報には、例えばバッテリーの残量やモーターの回転数・温度といった機体の情報、現在の高度や速度といった飛行に関する情報、GPSで算出した位置情報など多岐にわたります。
テレメトリー機能があれば、これらの情報を受信し、プロポの画面上に表示することができます。その結果、より安全で自由度の高い飛行が可能となります。
トリム調節機能
トリム調節機能とは、操作と実際の飛行のずれを調整する機能です。
ドローンをホバリング(その場で停止飛行すること)させようとした時に、左右あるいは前後にブレが生じ、うまくできないことがあります。この時、トリム調節機能を使用して細かく調整することで、ホバリングを調整し、安定させることができます。
多くの場合はスロットルの近くにトリム調節を行うためのボタンなどがあります。
ミキシング機能
ミキシング機能とは、一つのスロットル操作に対し、複数の操作を一緒に行うように設定できる機能です。
例えばあらかじめ特定の角度でのエルロン操作に対してラダー操作を紐づけておき、スムーズに旋回できるように設定する、といった活用などが考えられます。自分に必要な機能を上手にミキシングしておくことで、より直感的な操作が可能となります。
プロポを選ぶポイント
このように様々な特色を持ったプロポがドローンの世界には存在しています。その中から自分に適したプロポを選ぶためには、抑えておきたいポイントがいくつかあります。
まず最初にお勧めしたいのが、プロポを選ぶ際には必ず自分で触って確かめる、という点です。プロポの主な役割は、操縦者が直感的に操縦できるようにすることです。そのため、プロポを操作した時の感覚が最も大切です。
プロポは製品ごとにスティックやボタンの配置も違いますし、それぞれのリアクションも個体差があります。どのようなプロポが良いかは好みや相性による部分が大きいため、他の人の評価を鵜呑みにするのではなく、必ず自分で触って確かめることがおすすめです。
それを踏まえ、次のようなポイントを心に留めて検討することをお勧めします。
操作感
プロポを選ぶ上で最も大切なポイントは、操作感が自分の感覚に合うかどうか、という点です。
プロポを使ってドローンを操作する際には、スティックやボタンなどを通して行います。繊細な操作を可能とするためには、これらの物理的な入力機器と自分の感覚の相性が大変重要です。
スティックの大きさや素材は指に馴染むか、ボタンを押した際の反応感はちょうど良いかなど、感覚的な部分が大切です。プロポを選ぶ際には、ぜひ実物に触れて、実際に操作する動作をしてみながら感覚を確かめていただきたいです。
大きさと機能配置
プロポ自体の大きさやボタン・スティックの配置も大切な要素です。
プロポには、両手で収まるような小型のものから、人の顔くらいあるような大きなものまでいろいろなサイズがあります。一般的に、機能が増えればそれだけ必要な面積が増えるため、大きくなっていく傾向があります。
しかし、いくら機能が充実しているといっても、大きすぎて手にあまり、操作がおぼつかなくなってしまっては意味がありません。
また、ボタンやスティックの配置が思った通りではなく、操作の際にいちいち頭で考えないと目的の操作ができないようであれば、それも問題です。反対に、直感的に手が動く・手元を見なくても操作できるくらいにしっくりくる配置のプロポは理想的です。
実際のプロポを手に取ったときに、両手の位置関係や指の位置、狙ったボタンやスティックにスムーズに届くかといった点についてもぜひ確認してみてください。
ボタンの数と機能
独自の操作を割り当て可能なボタンやスティックの数、割り当てできる機能もプロポによって異なります。
空撮をメインで楽しみたい人はカメラの操作を割り当てられるもの、より複雑な操縦をより手軽に行いたい人はミキシング機能が充実しているもの、といった具合に、自分の好む操作に合わせて選ぶことが大切です。
ボタンの数は多ければ良いというものでもありません。無駄なボタンがあれば、それだけプロポは大きくなりますし、デッドスペースも増えます。その結果操作感が落ちてしまうこともあるため注意が必要です。
自分に合ったプロポを選ぶには、ボタンやスティックは必要な数があり、無駄に多くはないものを選ぶことをお勧めします。
音声や画像での情報出力
プロポの中には、音声で情報を読み上げてくれる機能があったり、情報を表示させるディスプレイがあったりするものもあります。
ディスプレイがあるプロポの場合、空撮中のカメラ映像をリアルタイムで確認することもできます。これらの情報に関する機能も、ドローンの飛行目的によっては大変便利です。
画面がある場合それだけプロポのサイズも大きくなってしまいますが、必要であればぜひ検討したい機能の一つです。
また、中にはスマートホンを固定する器具が付いたプロポもあります。この器具にスマートホンを固定して使用することで、プロポとアプリを同時に活用しながら操縦することができます。スマートホンが不要な際には外しておくことで軽量に扱うこともできます。
これらの機能は付加価値的な機能ではありますが、上手に活用することでより快適な操縦が可能となります。情報出力機能についてもぜひ検討したいところです。
飛行機用・ヘリ用・ドローン用
プロポには、操縦する機体によって飛行機用やヘリ用、ドローン用など、若干異なる操作感や機能を持った分類があります。
しかし実は、飛行機用やヘリ用のプロポをドローンで使用することも可能なのです。例えば飛行機用はスロットルスティックが細かく固定できるようになっています。そのため、スティックをスムーズに動かしたい人には逆に不向きです。
飛行機用だから、といって選択肢から外してしまう必要はありません。むしろ、このような操作感や機能の細かな違いを理解し、自分に合ったプロポを選ぶことが大切です。
おすすめのプロポメーカー・商品については、こちらの記事で詳しく解説しています。
プロポを選ぶときに気をつけたい点
これらの機能の違いのほかに、プロポ購入時に注意しておきたいポイントがいくつかあります。
これらのポイントは、間違ったものを選んでしまうと手持ちのドローンに使えなかったり、操作感が著しく低下したりする危険性があります。購入時にはしっかりと確認するようにしましょう。
モード1とモード2
プロポにはモード1とモード2と呼ばれる種類があります。これは、基本操作が割り当てられているスティックの違いです。
モード1の場合、向かって左側のスティックでエレベーター(前進後退)とラダー(左右旋回)を、右側のスティックでスロットル(上昇下降)とエルロン(左右移動)を操作します。
一方モード2の場合、向かって左側のスティックでスロットル(上昇下降)とラダー(左右旋回)を、右側のスティックでエレベーター(前進後退)とエルロン(左右移動)を操作します。
(引用元:公益社団法人無人機研究開発機構)
ちなみに、日本製のプロポではモード1が、海外製のプロポではモード2が多いようです。
また、メーカーによってはモードの変更を受け付けてくれることもあるようです。無償の場合も有償の場合もありますので、確認が必要です。
操作を行うスティックが異なるだけでなく、スティックごとの操作の組み合わせも異なるため、モードが変わると操縦が混乱する人も少なくありません。できるだけ自分が直感的に操作できるモードのプロポを選ぶことが大切です。
通信方式(プロトコル)
プロトコルとは、プロポからドローンに対して情報を送る通信方式のことです。
プロポでドローンを操作するためには、その2つの適合プロトコルが一致している必要があります。中には同じメーカーであってもプロトコルは異なる製品があることもあります。主なプロトコルとして、例えばFASST、FHSS、D16、DSMX、DSM2、Flyskyなどがあります。
プロポを購入する際には、操作したいドローンが同じプロトコルに適合しているのかをあらかじめ確認しておく必要があります。
技適マークがついていること
(引用元:総務省電波利用ホームページ)
日本国内で使用するプロポは、技適マークがついている必要があります。
技適マークとは「技術基準適合証明等のマーク」の略で、日本国内の基準や法律を準拠した技術であることを証明するマークです。日本国内で使用するドローンやプロポは全てこのマークがついている必要があり、ついていない機器を使用すると電波法違反に問われる可能性があります。
購入の際には、希望する製品に技適マークがついていることをしっかりと確認しておく必要があります。
まとめ
プロポは、より快適で自由なドローン操作を実現してくれます。
上手に活用することで、操作の技術は飛躍的に向上し、ドローンの可能性も大きく拓くことが期待できます。最後に、もう一度この記事の内容をまとめます。
◎プロポとは
ドローンを操作するための送信機。コントローラーなどと呼ばれることもある。
◎プロポの役割
より繊細で直感的なドローン操作を可能にする。
◎プロポの用語と操作方法
(1)スロットル
(2)エレベーター(ピッチ)
(3)エルロン(ロール)
(4)ラダー(ヨー)
(5)テレメトリー機能
(6)トリム機能
(7)ミキシング機能
◎プロポを選ぶポイント
(1)操作感
(2)大きさと機能配置
(3)ボタンの数と機能
(4)音声や画像での情報出力
(5)飛行機用・ヘリ用・ドローン用
◎プロポを選ぶときに気をつけたい点
(1)モード1とモード2
(2)通信方式(プロトコル)
(3)技適マークがついていること
実は、プロポはなくてもドローンを操作すること自体は可能です。
しかし、プロポを使用することで、繊細な操作や手元で操作できる機能の数は大きく増えます。中級者や上級者となり、よりレベルの高い操作をしたいと思った時には、必ず必要となるデバイスです。
自分がプロポに望むことを知り、自分に合ったプロポを使うことで、愛機の魅力と可能性、そしてドローンの楽しみはこれまで以上に大きくなることは間違いありません。