【用途別】ドローンの耐用年数一覧!減価償却の計算も方法別に解説

【用途別】ドローンの耐用年数一覧!減価償却の計算も方法別に解説

自社ドローンの購入価格を経費として計上するために、ドローンの耐用年数を知りたいと考えていませんか?

ドローンの耐用年数は、主に用途によって変わります。

例えば、空撮などに使う場合は「カメラ」として扱われ、基本的に耐用年数は5年です。

一方、農薬をまくような場合は7年、品物を運ぶような場合は10年など、どのような目的で使用するかによって、それぞれ耐用年数が変わります。

そこで、一般的な産業用ドローンの用途別に、耐用年数を一覧表にしました。この表を見ると、耐用年数の目安がわかります。

ドローンの用途

耐用年数

医療

5年

インフラ点検

5年

環境保護

5年

救助

5年

教育

5年

漁業

5年

空撮

5年

駆除

7年

芸術

5年

警備

5年

災害対策

5年

水中撮影

5年

スポーツレジャー

5年

測量

5年

地図作成

5年

農業

7年

物流

10年

ただし、ドローンの購入価格を減価償却する際は、耐用年数を知る他に、もう1つ大切なポイントがあります。

ドローンの購入価格によって、減価償却の計算方法が変わることです。

一般的に、購入価格が10万円未満の場合は定率法で計算し、10万円以上の場合は定額法で計算するなど、購入価格によって変わります。

ですので、耐用年数を知るとともに、自社のドローンの場合はどのように計算すればいいのか、押さえておく必要があるのです。

この記事では、初めに17種類の産業用ドローンの耐用年数を用途別に紹介します

国税庁の質疑応答事例などを参考にしながら、資産区分や活用例も詳しく紹介するので、耐用年数の目安が確認できます。

次に、わかりにくい減価償却の計算方法についても、購入価格別に例を挙げながら解説します。

この記事で分かること

・「用途別」ドローンの耐用年数を紹介(17種類)
・ドローンの耐用年数を判断する際に気をつけるべきポイント3つ
・ドローンの購入価格で償却方法が変わる!
・【減価償却】購入価格別の計算例を紹介

記事を読み終わったときには、自社で使うドローンの一般的な耐用年数と減価償却方法がわかりますよ。

適切に減価償却をすることで正確な利益を計上できるため、会社の経営状態を市場や投資家に正しく理解してもらえます。また、節税効果も得られるので、しっかりと理解しておきましょう。

ぜひ最後まで読んで、ドローンの購入価格を減価償却する際の参考にしてくださいね。

参考:減価償却資産の耐用年数等に関する省令(国税庁)

【一覧表】ドローンの耐用年数を17種類の用途別に紹介

【一覧表】ドローンの耐用年数を17種類の用途別に紹介
冒頭に記載したように、ドローンの
耐用年数は、主に用途によって変わります。

ですので、「自社はどのような目的で、どのようにドローンを利用するのか」をきちんと認識した上で、耐用年数を確認する必要があります。

以下、産業用ドローン17種類の一般的な用途別に、下記の3項目と具体的な活用例を紹介しています。

・用途
・資産区分
・耐用年数

下記の表の中で自社ドローンの用途に合うリンクをクリックすると、詳しく解説している部分に飛べますので、確認してみてくださいね。

(※それぞれ、用途に合わせて販売されている一般的なドローンを想定しています。)

ドローンの用途

耐用年数

医療

5年

インフラ点検

5年

環境保護

5年

救助

5年

教育

5年

漁業

5年

空撮

5年

駆除

7年

芸術

5年

警備

5年

災害対策

5年

水中撮影

5年

スポーツレジャー

5年

測量

5年

地図作成

5年

農業

7年

物流

10年

参考:主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁)

医療用途の場合

ドローンの用途

医療

資産の区分

「器具及び備品」の「4医療機器」

耐用年数

5年

医療用で使う場合の耐用年数は、5年です。

医療用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

災害時や過疎地などでの救急医療物資の輸送
患者の搬送など

これに当てはまっていれば基本的に医療用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4医療機器」となり、耐用年数が5年となります。

インフラ点検用途の場合

ドローンの用途

インフラ点検

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

インフラ点検で使う場合の耐用年数は、5年です。

インフラ点検でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・高所や危険な場所にあるインフラ施設(橋梁、ダム、風力発電など)の点検
・診断
など

これに当てはまっていれば基本的にインフラ点検用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

環境保護用途の場合

ドローンの用途

環境保護

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

環境保護で使う場合の耐用年数は、5年です。
環境保護用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

気象観測
・大気汚染測定
・森林火災監視
・野生動物保護
など

これに当てはまっていれば基本的に環境保護用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

救助用途の場合

ドローンの用途

救助

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

救助で使う場合の耐用年数は、5年です。

救助用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

災害現場や遭難者の捜索
・災害監視
など

これに当てはまっていれば基本的に救助用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

※救援物資輸送などの場合は、区分と耐用年数が変わる場合があるため、専門家への確認が必要です。

教育用途の場合

ドローンの用途

教育

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

教育で使う場合の耐用年数は、5年です。

教育用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

ドローン操作やプログラミングの教育
・空中撮影
・地理学の教材
など

これに当てはまっていれば基本的に教育用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

漁業用途の場合

ドローンの用途

漁業

資産の区分

「機械装置」の「28水産養殖業用設備」

耐用年数

5年

漁業で使う場合の耐用年数は、5年です。

漁業用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・赤潮の発生調査や餌まき
・海中にある港湾設備や船底の点検
・定置網などの確認
など

これに当てはまっていれば基本的に漁業用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「機械装置」の「28水産養殖業用設備」となり、耐用年数が5年となります。

空撮用途の場合

ドローンの用途

空撮

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

空撮で使う場合の耐用年数は、5年です。

空撮用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・建設現場や不動産物件、イベントや結婚式などの空中撮影など

これに当てはまっていれば基本的に空撮用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

駆除用途の場合

ドローンの用途

駆除

資産の区分

「機械装置」の「25農業用設備」

耐用年数

7年

駆除で使う場合の耐用年数は、7年です。

駆除用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

鳥獣害や害虫の駆除
・除草剤の散布
など

これに当てはまっていれば基本的に駆除用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「機械装置」の「25農業用設備」となり、耐用年数が7年となります。

芸術用途の場合

ドローンの用途

芸術

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

芸術で使う場合の耐用年数は、5年です。

芸術用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・ドローンを使ったパフォーマンスやアート作品
・映画やドラマなどの撮影
など

これに当てはまっていれば基本的に芸術用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

警備用途の場合

ドローンの用途

警備

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

警備で使う場合の耐用年数は、5年です。

警備用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・工場や倉庫、イベント会場などの警備や監視
・犯罪捜査や防犯パトロール
など

これに当てはまっていれば基本的に警備用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

災害対策用途の場合

ドローンの用途

災害対策

資産の区分

「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

災害対策で使う場合の耐用年数は、5年です。

災害対策用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・災害時の被災状況や被害範囲の把握
など

これに当てはまっていれば基本的に災害対策用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「4光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

水中撮影用途の場合

ドローンの用途

水中

資産の区分

「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

水中撮影で使う場合の耐用年数は、5年です。

水中撮影用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・メディアや報道、水族館などでの水中撮影
・海底地形図調査
・考古学調査
など

これに当てはまっていれば基本的に水中撮影用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

スポーツレジャー用途の場合

ドローンの用途

スポーツレジャー

資産の区分

「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

スポーツレジャーで使う場合の耐用年数は、5年です。

スポーツレジャー用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・スポーツ選手やレジャー客の空中撮影
など

これに当てはまっていれば基本的にスポーツレジャー用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

測量用途の場合

ドローンの用途

測量

資産の区分

「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

測量で使う場合の耐用年数は、5年です。

測量用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・土地や建物、道路や橋梁などの測量や測定など

これに当てはまっていれば基本的に測量用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

地図作成用途の場合

ドローンの用途

地図作成

資産の区分

「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

耐用年数

5年

地図作成で使う場合の耐用年数は、5年です。

地図作成用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・空中写真や衛星画像をもとにした地図作成
・地理情報の作成や更新
など

これに当てはまっていれば基本的に地図作成用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「器具及び備品」の「光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」となり、耐用年数が5年となります。

農業用途の場合

ドローンの用途

農業

資産の区分

「機械装置」の「農業用設備」

耐用年数

7年

農業で使う場合の耐用年数は、7年です。

農業用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・農薬散布
・肥料散布
・種まき
など

これに当てはまっていれば基本的に農業用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「機械装置」の「農業用設備」となり、耐用年数が7年となります。

物流用途の場合

ドローンの用途

運搬

資産の区分

「機械装置」の「運輸に附帯するサービス業用設備」

耐用年数

10年

物流で使う場合の耐用年数は、10年です。

物流用でドローンを使うというのは以下のようなシチュエーションの場合を指します。

・商品や荷物の配送や輸送

これに当てはまっていれば基本的に物流用途として扱われ、耐用年数に関わる資産区分が「機械装置」の「運輸に附帯するサービス業用設備」となり、耐用年数が10年となります。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁)

補足:ドローンのバッテリーの耐用年数は本体と同じ

ドローンのバッテリーの耐用年数は、ドローンの一部として取り付けられているものであるため、ドローンと同じ耐用年数を適用するのが適当であるとされています。

参考:減価償却資産の耐用年数等に関する省令
空撮専用ドローンの耐用年数(国税庁)

ドローンの耐用年数を判断する際に気をつけるべきポイント2つ

ドローンの耐用年数を判断する際に気をつけるべきポイント2つ

1.【用途別】ドローンの耐用年数を17種類別に紹介」で、一般的な産業用ドローンの耐用年数を紹介しました。

しかし、ドローンの耐用年数は、用途や構造、規模の違いによっても変わる場合があるので、注意が必要です。

以下、ドローンの耐用年数を判断する際に気をつけるべきポイント2つを紹介します。

ドローンの耐用年数を判断する際に気をつけるべきポイント2つ

用途に対する認識が正しいか

1つ目のポイントは、「用途に対する認識が正しいか」です。

ドローンにはさまざまな機能がありますが、実際に業務で何に使うかによって資産区分が変わります。

例えば、以下の表のように、救助用ドローンとして空中から遭難した人などの捜索を目的として使用する場合。

資産区分は「器具及び備品」の「4 光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」と考えられ、耐用年数は「5年」になります。

一方、同じ救助用でも、救援物資を運ぶなど、輸送を目的として使用する場合は、資産区分「機械装置」の「運輸に附帯するサービス業用設備」と考えられ、耐用年数は「10年」になります。

用途

構造

資産区分

耐用年数

救助用ドローン

捜索

カメラ+移動手段

「器具及び備品」の「4 光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」

5年

救援物資輸送

荷物輸送機能+移動手段

「機械装置」の「運輸に附帯するサービス業用設備」

10年

自社で使用するドローンはどのような用途で使用するのかを、しっかりと確認しておきましょう。

1.【用途別】ドローンの耐用年数を17種類別に紹介」で伝えている一般的な使い方とは違う用途で使う場合、資産区分が変わる可能性があります。その際は税務署や税理士に確認することが必要です。

参考:
空撮専用ドローンの耐用年数(国税庁)
減価償却資産の耐用年数等に関する省令

ドローンとして判断される規模や構造か

2つ目のポイントは、「ドローンとして判断される規模や構造か」です。

ドローンは、その規模や構造によっても耐用年数が異なる場合があります。

例えば、カメラが内蔵されたドローンであっても、人が乗れるような規模で構造をしている場合は「航空機」として扱われる可能性があります。

したがって、自社のドローンが、ドローンとして判断される規模や構造であるかを確認しておく必要があるのです。

ドローンの購入価格で償却方法が変わる!

ドローンの購入価格で償却方法が変わる!
ここまで、ドローンの購入金額を減価償却する際に必要な「耐用年数」(1.【用途別】ドローンの耐用年数を17種類別に紹介)と「耐用年数を考えるときに大切なポイント」について紹介しました。

ただし、冒頭で伝えたように、減価償却する際は「ドローンの購入価格によって、減価償却の計算方法が変わる」ことも押さえておく必要があります。

適切に計算しなければ、正しく減価償却できなくなってしまうため、ぜひ知っておきましょう。

この章では、自社がどの計算方法をすればよいかわかるように、ドローン購入価格別の減価償却方法を紹介します。

すぐに詳しく知りたい場合は、以下の表のリンクから各方法の説明に飛べますので、該当する購入金額のところから確認してください。

購入価格別 減価償却の計算方法>

購入価格

減価償却の計算方法

耐用年数

原則

10万円未満

少額の減価償却資産

不要

10万円以上

通常の減価償却(定額法、定率法など)

必要

特例

20万円未満

一括償却資産の特例

不要

30万円未満

少額減価償却資産(中小企業者限定)

不要

特定の条件を満たす場合

特別償却(または税額控除)可

原則必要

減価償却の計算方法は、原則として購入価格が「10万円未満なのか」「10万円以上なのか」で判断します。

中小企業ではない場合など、特例で計算することもあるため、税務署や税理士への確認が必要です。

それでは、購入価格ごとの減価償却方法について、1つずつ見ていきましょう。

購入価格10万円未満の場合

ドローンの購入価格が10万円未満の場合

少額の減価償却資産」一括で経費計上

ドローンの購入価格が10万円未満の場合、「少額の減価償却資産」として、実際に使用した事業年度に一括経費計上します。

この場合、一括で計上するため、耐用年数は必要ありません。

参考:No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示(国税庁)

<h3id=”b2″>購入価格10万円以上の場合

ドローンの購入価格が10万円以上の場合

定率法」または「定額法」で減価償却

購入価格が10万円以上の場合は、一般的には「定率法」または「定額法」で減価償却を行います。

それぞれの特徴とメリットを、以下の表にまとめました。

特徴

メリット

定率法

初めに多くの費用を計上する償却方法

定額法よりも初期の減価償却費が大きい

定額法

毎年同じ額の費用を計上する償却方法

毎年同じ額なのでわかりやすい

一般的に、これから事業を始める場合は、定額法の方が節税効果が高いといえます。定額法では、毎年同じ額を減価償却するため、初期の費用を抑えられるからです。

一方、ある程度安定した事業を営んでいる場合は、定率法の方が節税効果が高いといえます。定率法では初期の費用を抑えることができないため、減価償却費を計上することで、利益を減らすことができるからです。

ここから、定率法定額法について、それぞれ詳しく説明していきます。事前に税務署や税理士に確認して、自社に合った方法を選んでくださいね。

定率法の場合

特徴

メリット

定率法

初めに多くの費用を計上する償却方法

定額法よりも初期の減価償却費が大きい

定率法とは、固定資産の価値は使用するほど急激に下がると考え、初年度から多くの減価償却費を経費にする方法です。

この方法は、初期の利益を減らして税金を節約できるというメリットがあります。

定率法
定率法での計算方法は、以下の計算式を使います。

定率法

減価償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率

※償却保証額以下になった場合
減価償却費=改定取得価額 × 改定償却率

計算する場合は、国税庁の減価償却資産の償却率等表で、定率法の償却率や保証率などを確認する必要があります。

耐用年数5年(平成24年以降に取得)の場合は、以下を確認します。


旧定率法
減価償却資産の償却率等表をもとに加工

 

耐用年数

5年

定率法償却率

0.400

改定償却率

0.500

保証率

0.10800

償却保証額

10万8,000円

(注)平成23年12月税制改正により、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産について、定率法の償却率等が改正されています。

平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産の減価償却については、コード2105「旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)」を参照してください。

定額法の場合

特徴

メリット

定額法

毎年同じ額の費用を計上する償却方法

毎年同じ額なのでわかりやすい

定額法とは、耐用年数の期間にわたって一定額の減価が生じると仮定する償却方法です。
毎期、同じ減価償却費を計上します。

定額法イメージ
定額法での計算方法は、以下の計算式を使います。

定額法

減価償却費=取得価額 × 定額法の償却率

計算する場合は、定率法と同様に、国税庁の減価償却資産の償却率等表で、耐用年数の定額法の償却率を確認します。

減価償却資産の償却率等表
参照:減価償却資産の償却率等表(国税庁)

特例1:購入価格30万円未満の場合

ドローンの購入価格が30万円未満の場合

少額減価償却資産の特例」一括で経費を計上

一般的に、中小企業で購入価格が30万円未満の場合は「少額減価償却資産の特例」を使って、実際に使用した事業年度に一括で経費を計上します(※)。

(※)他の資産と合わせて年間総額300万円以下という条件が付されます。

特例2:購入価格20万円未満の場合

ドローンの購入価格が20万円未満の場合

一括償却資産の特例」3年で取得価額の3分の1ずつを経費計上

例外として、20万円未満の場合は「一括償却資産の特例を使って、購入した年度に関係なく、3年で取得価額の3分の1ずつを経費計上する場合もあります。

参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(国税庁)

ドローンの購入価格によって、減価償却の計算方法が変わります。

また、事業の状況や税制改正等によって変更される場合もあるため、減価償却方法を選択する際は、税務署や税理士に相談するとよいでしょう。

ドローンの購入価格別に減価償却の計算例を紹介

ドローンの購入価格別に減価償却の計算例を紹介

3.ドローンの購入価格で償却方法が変わる!」で、購入価格別の減価償却方法を紹介しました。

ただ、方法はわかったものの、実際に計算したときのイメージがよくわからない場合もあるかもしれません。

ここからは、ドローンの購入価格別に、減価償却費の計算例を紹介します。

どのように計算をしていけばよいか、具体的な金額を例に挙げて画像を入れながら解説しますので、参考にしてみてください。

10万円未満【少額の減価償却資産】として処理する場合

10万円未満【少額の減価償却資産】として処理する場

10万円未満のドローンを購入した場合は、実際に使用した年に、「少額の減価償却資産」として、取得価額の全額を一括で処理できます。

<9万円のドローンを少額の減価償却資産として処理する場合>

年数

減価償却費

残金

1年目

9万円

0円

参考:No.2100 減価償却のあらまし(国税庁)

なお、前述したように、30万円未満のドローンを購入した場合も、「少額減価償却資産の特例」を使って、実際に使用した年に一括経費計上するのが一般的です。

20万円未満【一括償却資産の特例】を使う場合

20万円未満【一括償却資産の特例】を使う場合
20万円未満の場合は「一括償却資産の特例」を使って、以下のように3年間で全体の1/3ずつを均等に償却することもできます。

<18万円のドローンを【一括償却資産の特例】を使う場合>

年数

減価償却費

残金

1年目

6万円

12万円

2年目

6万円

  6万円

3年目

6万円

      0円

減価償却のあらまし

参考:No.2100 減価償却のあらまし(国税庁)

なお、前述したように、10万円以上の場合は「定率法」か「定額法」で減価償却するのが一般的です。

10万円以上【定率法】の場合

10万円以上【定率法】の場合

10万円以上のドローンを購入して、定率法で減価償却する場合は、国税庁の減価償却資産の償却率等表で、定率法の償却率や保証率などを確認して計算します。

定率法

減価償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率

※償却保証額以下になった場合
減価償却費=改定取得価額 × 改定償却率

計算するときは、自社のドローンの耐用年数別に、以下の表の数値などを確認しましょう。


減価償却資産の償却率等表
減価償却資産の償却率等表をもとに加工

定率法で計算する場合、以下の内容を確認する必要があります。

・耐用年数
・定率法償却率(減価償却資産の償却率等表を参照)
・改定償却率(減価償却資産の償却率等表を参照)
・保証率(減価償却資産の償却率等表を参照)
・償却保証額(改定取得価額×改定償却率で計算)
・改定取得価額(残金が償却保証額を下回ったときの金額)
・改定償却率(減価償却資産の償却率等表を参照)

イメージしやすくするために、100万円で以下のドローンを購入した場合の減価償却費を、定率法でそれぞれ計算しました。

・空撮用(耐用年数5年
・農業用ドローン(耐用年数7年
・物流用ドローン(耐用年数10年

リンクで飛べますので、同じ耐用年数の例を見て、どのように減価償却費が変化するか確認してみてくださいね。

<100万円の空撮用ドローンを【定率法】で減価償却する場合>(耐用年数5年

ここでは、100万円の空撮用ドローン(耐用年数5年)を、「定率法」で減価償却する場合の説明をしていきます。

国税庁の減価償却資産の償却率等表で確認した償却率や保証率、条件などは、以下の枠の通りです。

・耐用年数:5年
・定率法償却率:0.400
・改定償却率:0.500
・保証率:0.10800
・償却保証額:10万8,000円
・事業年度の最初に使用した場合

この条件で減価償却費を計算すると、以下のようになります。

年数

減価償却費

計算

残金

1年目

  40万円  

100万円 × 0.400=40万円

 60万円 

2年目

  24万円  

残金60万円 × 0.400=24万円

 36万円 

3年目

  14万4,000円

残金36万円 × 0.400=14万4,000円

 21万6,000円

4年目

  10万8,000円

残金21万6,000円(改定取得価格)×0.500(改定償却率)=10万8,000円

 10万8,000円

5年目

  10万7,999円

残金10万8,000円-1円=10万7,999円

(※利用中の資産であることを示すために、全額償却せずに1円を残すなど)

     1円

※4年目には、通常の計算であれば、21万6,000円×0.400=8万6,400円となりますが、償却保証額10万8,000円(=100万円×保証率0.10800)を下回るため、減価償却費は改定取得価額×改定償却率により計算することになります。

定率法 減価償却例

<100万円の農業用ドローンを【定率法】で減価償却する場合>(耐用年数7年

ここでは、100万円の農業用ドローン(耐用年数7年)を、「定率法」で減価償却する場合の説明をしていきます。

国税庁の減価償却資産の償却率等表で確認した償却率や保証率、条件などは、以下の枠の通りです。

・耐用年数:7年
・定率法償却率:0.286
・改定償却率:0.334
・保証率:0.08680
・償却保証額:8万6,800円
・事業年度の最初に使用した場合

この条件で減価償却費を計算すると、以下のようになります。

年数

減価償却費

計算

残金

1年目

28万6,000円

100万円 × 0.286=28万6,000円

 71万4,000円

2年目

20万4,204円

残金71万4,000円 ×  0.286=204,204

 50万9,796円

3年目

14万5,801円

残金50万9,796円 × 0.286=14万581円

 36万3,995円

4年目

10万4,102円

残金36万3,9954円 × 0.286=10万4,102円

 25万9,893円

5年目

  8万6,804円

残金25万9,893円(改定取得価格)×0.334(改定償却率)=86,804円

 17万3,088円

6年目

  8万6,804円

残金17万3,088円 × 0.334=円

  8万6,285円

7年目

  8万6,284円

残金8万6,285円-1円= 8万6,284円

(※利用中の資産であることを示すために、全額償却せずに1円を残すなど)

     1円

※5年目には、通常の計算であれば、25万9,893円×0.286=7万4,329円となりますが、償却保証額8万6,800円(=100万円×保証率0.08680)を下回るため、減価償却費は改定取得価額×改定償却率により計算することになります。

<100万円の物流用ドローンを【定率法】で減価償却する場合>(耐用年数10年

ここでは、100万円の物流用ドローン(耐用年数10年)を、「定率法」で減価償却する場合の説明をしていきます。

国税庁の減価償却資産の償却率等表で確認した償却率や保証率、条件などは、以下の枠の通りです。

・耐用年数:10年
・定率法償却率:0.200
・改定償却率:0.250
・保証率:0.06552
・償却保証額:6万5,520円
・事業年度の最初に使用した場合

この条件で減価償却費を計算すると、以下のようになります。

年数

減価償却費

計算

残金

1年目

20万円

10万円 × 0.200=20万円

    80万円

2年目

16万円

残金80万円 × 0.200=16万円

      64万円

3年目

12万8,000円

残金64万円 × 0.200=12万8,000円

51万2,000円

4年目

10万2,400円

残金51万2,000円 × 0.200=10万2,400円

40万9,600円

5年目

8万1,920円

残金40万9.600円 × 0.200=8万1,920円

32万7,680円

6年目

6万5,536円

残金32万7,680円 × 0.200=6万5,536円

26万2,144円

7年目

6万5,536円

残金26万2,144円(改定取得価額)×0.250(改定償却率)=6万5,536円※

19万6,608円

8年目

6万5,536円

残金26万2,144円(改定取得価額)×0.250(改定償却率)=6万5,536円

13万1,072円

9年目

6万5,536円

残金13万1,072円(改定取得価額)×0.250(改定償却率)=6万5,536円

  6万5,536円

10年目

6万5,536円

残金6万5,536円-1円=6万5,535円

(利用中の資産であることを示すために、全額償却せずに1円を残す)

      1円

※7年目には、通常の計算であれば、262,144×0.200=5万2,428円となりますが、償却保証額6万5,520円(=100万円×保証率0.06552)を下回るため、減価償却費は改定取得価額×改定償却率により計算することになります。

参考:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成24年4月1日以後に取得する場合)(国税庁)

10万円以上【定額法】の場合

10万円以上【定額法】の場合
10万円以上のドローンを購入して、定額法で減価償却する場合は、国税庁の減価償却資産の償却率等表で、定額法の償却率を確認して計算します。

定額法

減価償却費=取得価額 × 定額法の償却率

計算するときは、自社のドローンの耐用年数別に以下の数値を確認しましょう。

 

減価償却資産の償却率等表

減価償却資産の償却率等表をもとに加工

・耐用年数
・定額法償却率(減価償却資産の償却率等表を参照)

イメージしやすくするために、100万円で以下のドローンを購入した場合の減価償却費を、定額法でそれぞれ計算しました。

・空撮用(耐用年数5年
・農業用ドローン(耐用年数7年
・物流用ドローン(耐用年数10年

リンクで飛べますので、同じ耐用年数の例を見て、どのように減価償却費が変化するか確認してみてくださいね。

<100万円の空撮用ドローンを【定額法】で減価償却する場合>(耐用年数5年

ここでは、100万円の空撮用ドローン(耐用年数5年)を、「定額法」で減価償却する場合の説明をしていきます。

国税庁の減価償却資産の償却率等表で確認した償却率と条件は、以下の枠の通りです。

・耐用年数:5年 
・償却率:0.200
・事業年度の最初に使用した場合

この条件で減価償却費を計算すると、以下のようになります。

年数

減価償却費

計算

残金

1年目

  20万円

100万円 × 0.200=20万円

100万円-20万円=80万円

80万円

2年目

  20万円

100万円 × 0.200=20万円

残金80万円-20万円=60万円

60万円

3年目

  20万円

100万円 × 0.200=20万円

残金60万円-20万円=40万円

40万円

4年目

  20万円

100万円 × 0.200=20万円

残金40万円-20万円=20万円

20万円

5年目

 19万9,999円  

残金20万円-19万9,999円=1円

(利用中の資産であることを示すために、全額償却せずに1円を残すなど)

1円

定額法と定率法による減価償却

参考:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)(国税庁)

<100万円の農業用ドローンを【定額法】で減価償却する場合>(耐用年数7年

ここでは、100万円の農業用ドローン(耐用年数7年)を、「定額法」で減価償却する場合の説明をしていきます。

国税庁の減価償却資産の償却率等表で確認した償却率と条件は、以下の枠の通りです。

・耐用年数:7年 
・償却率:0.143
・事業年度の最初に使用した場合

この条件で減価償却費を計算すると、以下のようになります。

年数

減価償却費

計算

残金

1年目

  14万3,000円

100万円 × 0.143=14万3,000円

100万円-14万3,000円=85万7,000円

 85万7,000円

2年目

  14万3,000円

100万円 × 0.143=14万3,000円

残金85万7,000円-14万3,000円=71万4,000円

 71万4,000円

3年目

  14万3,000円

100万円 × 0.143=14万3,000円

残金71万4,000円-14万3,000円=57万1,000円

 57万1,000円

4年目

  14万3,000円

100万円 × 0.143=14万3,000円

残金57万1,000円-14万3,000円=42万8,000円

 42万8,000円

5年目

  14万3,000円

100万円 × 0.143=14万3,000円

残金42万8,000円-14万3,000円=28万5,000円

 28万5,000円

6年目

  14万2,000円

100万円 × 0.143=14万3,000円

残金28万5,000円-14万3,000円=14万2,000円

 14万2,000円

7年目

  14万1,999円

残金14万2,000円-14万1,999円=1円

(利用中の資産であることを示すために、全額償却せずに1円を残すなど)

      1円

<100万円の物流用ドローンを【定額法】で減価償却する場合>(耐用年数10年

ここでは、100万円の物流用ドローン(耐用年数10年)を、「定額法」で減価償却する場合の説明をしていきます。

国税庁の減価償却資産の償却率等表で確認した償却率と条件は、以下の枠の通りです。

・耐用年数:10年 
・償却率:0.100
・事業年度の最初に使用した場合

この条件で減価償却費を計算すると、以下のようになります。

年数

減価償却費

計算

残金

1年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

100万円-10万円=90万円

90万円

2年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金90万円-10万円=80万円

80万円

3年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金80万円-10万円=70万円

70万円

4年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金70万円-10万円=60万円

60万円

5年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金60万円-10万円=50万円

50万円

6年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金50万円-10万円=40万円

40万円

7年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金40万円-10万円=30万円

30万円

8年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金30万円-10万円=20万円

20万円

9年目

10万円

100万円 × 0.100=10万円

残金20万円-10万円=10万円

10万円

10年目

  9万9,999円

残金10万円-9万9,999円=1円

(利用中の資産であることを示すために、全額償却せずに1円を残すなど)

  1円

まとめ

本記事では、用途別にドローンの耐用年数の判断基準例と、減価償却の計算方法を紹介しました。

ドローンの耐用年数は、「1.【用途別】ドローンの耐用年数を17種類別に紹介」で伝えたように、主に用途によって変わります。

耐用年数を判断する際は、以下の2点について合っているかどうかの確認が必要です。

・用途に対する認識が正しいか
・ドローンとして判断される規模や構造か

そして、ドローンの購入価格を減価償却する際には、10万円以上の場合、一般的には耐用年数が必要です。

また、購入価格によって減価償却の計算方法が表のように変わるため、どの計算方法でおこなうか確認します。

購入価格

減価償却の計算方法

耐用年数

原則

10万円未満

少額の減価償却資産

不要

10万円以上

通常の減価償却(定額法、定率法など)

必要

特例

20万円未満

一括償却資産の特例

不要

30万円未満

少額減価償却資産(中小企業者限定)

不要

特定の条件を満たす場合

特別償却(または税額控除)可

原則必要

ドローンの耐用年数や資産区分を正しく知ることは、自社のドローン導入において業績や信頼に関わる重要な要素です。

ドローン購入金額の減価償却を考えている企業は、税務署や税理士に相談しながら、適切な耐用年数を決めましょう。