プロに聞く!インタビューで見えてきたドローンによるトンネル点検への期待と可能性とは

トンネル点検では、設備の高経年化や、交通規制を伴う点検作業の効率化、人手不足などが課題になっています。

点検業務に関わる方やドローン事業をされている方の中には、「トンネル点検にドローンを導入すれば問題解決できるのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか?

確かにトンネル点検分野においては、

  • 作業者の安全確保
  • 人手不足の解消
  • データ管理による効率化
  • 災害時での活用

といった観点から、ドローンの有効活用が期待されています。

しかし、閉鎖された空間での利用という特殊な条件下ゆえ、非GPS下での安定した飛行技術の開発、電波や飛行時間の問題など技術面でクリアしなければならない課題も多く存在します。

そこで今回は、前職で企業のドローン導入サポートに携わり、ドローンのトンネル点検についても精通している橋本さん(仮名)をお迎えし、

  • ドローンによるトンネル点検の価値・メリット
  • トンネル点検におけるドローン導入を取り巻く現状
  • トンネル点検にドローンを導入するにあたっての課題

について詳しく説明していただきます。

ドローンのトンネル点検のインタビュー画像

(※プライバシー保護の観点から、インタビュー者の顔を隠して表示しております。)

また、

  • ドローンによるトンネル点検事業への参入を考えている人へのアドバイス

についてもお話しいただきました。

この記事を読めば、トンネル点検分野におけるドローン活用の需要や市場成長性、これからの課題について理解を深めることができるでしょう。

※トンネルには、道路トンネルと鉄道トンネル、送電線や通信ケーブル、ガス管などを収納する洞道(とうどう)がありますが、こちらの記事では主に道路トンネルと鉄道トンネルの点検をメインにご紹介します。

トンネル点検はどのように行われている?

トンネル点検はどのように行われている?

ー まず、トンネル点検というのは、どのような手法で行われているのでしょうか?目視点検がメインですか?

目視と打音検査がメインです。点検車を使うか歩いて目視点検し、併せて打音検査も行っています。

ー ハンマーを片手にコンクリートを叩いて点検していくということですね。

トンネル点検は、管理者が正しく点検できるよう国土交通省で定められた『道路トンネル定期点検要領』に基づいて点検が行われています。

手で触れる距離まで近づく「近接目視」が基本で、近接目視に併せて、点検用ハンマーを使ってコンクリート面を手作業で叩く「打音検査」もセットで行わなければなりません。これにより、コンクリートの損傷の種類や度合いを判別します。

【目視点検】

  • 路肩や歩道がある箇所で点検技術者の手が届くところは「徒歩」で点検
  • 高いところにあるコンクリートやトンネル付属物は「トンネル点検車」を使って点検

【打音点検】

  • 点検者は、点検ハンマーを片手にトンネルのコンクリート全面を叩き、トンネルに有害なひび割れやコンクリートが浮いている場所がないか確認
  • 損傷を見つけた場合は、チョークで損傷の種類や度合を示す番号や記号を書き、写真撮影を行う

トンネル点検車による点検の様子

(トンネル点検車による点検の様子 引用:国土交通省近畿地方整備局近畿道路メンテナスセンター資料より)

さらに点検後には、点検後のチョークの跡を目視で確認して、手元の展開図に変状の位置を記録するスケッチという作業が必要になります。

これは、例を挙げると、250メートル程度のトンネル点検において4名の作業員で1日をスケッチに費やさなければならないほど手間のかかる作業です。

トンネル点検の資格

ー この点検には資格は必要なのでしょうか?

資格については民間資格登用が行われています。コンクリートの診断の資格を自主的にとる人もいるようです。

ー ドローンを使って点検する場合でも、資格は持っていた方がいいんでしょうか?

そうですね。目視で行う点検は有資格者が行っているケースが多いようなので、ドローン点検の場合も持っていると有利かもしれません。

トンネル点検の問題点

ー 現在の点検方法にはどのような問題点がありますか?

まず大きな問題は、少子高齢化や人口減少に伴い点検作業を行う人がいなくなってしまうという問題です。トンネルの老朽化に対応するには、より効率的な維持管理が必要になるでしょう。

ー なるほど。そのためには新しい技術の活用を検討しなければならないということですね。

日本の社会インフラは多くの施設で老朽化が進行していますが、トンネルもその例にもれず、老朽化による危険性が増していることは否めません。

トンネル点検における問題点として考えられるのは、以下の4点です。

人手不足の懸念

トンネルは老朽化が進んでいるにも関わらず、人材不足により点検作業が思うように進んでいないのが現状です。

この問題を解決するためには、維持管理に関する知識や技術情報を持った人材の育成、または迅速かつ的確に点検・診断できる技術の開発が必要になります。

老朽化に対応した効率的な維持管理

点検によって得られた膨大な情報を的確に診断・評価することは、現状の人的資源では難しいため、AIによる画像診断システムなどより効率的で効果的なシステムの確率が必要となります。

コストの縮減

トンネルの維持管理・更新の役割を担っている地方自治体では、関連する予算不足によって、適切な維持管理を実施できないという現状があります。

この問題を解決するためには、安価な費用で点検・調査できる技術を導入する必要があります。

大規模災害への迅速な対応

トンネルの維持管理においては労働力不足が懸念される中、災害が発生した際、人が近づくことが困難な災害現場の調査や応急復旧を迅速かつ的確に実施するための技術の開発が求められています。

トンネル点検におけるドローン活用のメリットとは

トンネル点検におけるドローン活用のメリットとは

ー ドローン導入は、このような問題の解決に役立つということでしょうか?

問題がすべて解決するわけではありませんが、改善に繫がる一つのツールとして有効だと思います。

ー トンネル点検にドローンを活用するメリットはどんなところにあると思いますか?

まず、閉所や暗所は危険作業にも繫がるので、ドローンを活用することによって危険リスクを回避することができます。あとは点検作業の時短や、データ管理による効率化が挙げられます。

ー なるほど。では、トンネル点検分野においてドローンに期待されていることはどんなことだと思いますか?

人手不足への対応が一番じゃないでしょうか。点検技術者がいなくなる前にそれに置き換わる対策が必要なので、そこに向けて、ドローンがどこまで置き換えができるかということを見定めている段階です。

ー ドローンによる置き換えが期待されるのは目視点検だと思いますが、打音点検についてはどうでしょうか?

確かに現状は打音検査が必須で、ドローンでは叩くという作業はできません。

ですが、例えば叩いた時の音で判断しているヒビを赤外線カメラや超音波センサーを使って判断することができれば、ドローンに搭載して点検できる可能性はあると思います。

【トンネル点検におけるドローン活用のメリット】

トンネル点検におけるドローン活用のメリット

①作業者の安全確保

ドローンを導入することによって、安全に点検作業ができるというメリットがあります。

トンネル内は閉鎖された暗い空間であるため、点検作業は危険を伴います。また、洞道点検では酸欠、ガスの噴出、浸水などの危険性も。ドローンを活用すれば、これらの危険を回避することができます。

②人手不足の解消・点検作業の効率化

トンネル点検にドローンを活用することで、人手不足の問題を解消できるというのも大きなメリットです。また、作業車を移動させながらの点検に比べて効率的に点検できるというメリットもあります。

全国に道路トンネルは約11000本あり、2023年には全体の約27%、2033年には42%が、建設後50年を迎えます。

トンネルの老朽化対策として、国土交通省では5年に1回の頻度で点検を義務付けていますが、点検技術者の高齢化、深刻な人手不足が問題になっています。

点検技術者の代替としてドローンを活用できれば、これらの課題を解消することができます。

③データ管理による効率化

ドローンを活用すれば、データをクラウド管理することで業務の効率化が図れるというメリットがあります。

点検結果をクラウド上で管理可能で、AIによる画像解析を実施したり管理用アプリケーション上でレポートを共有できるなど、さまざまな面で効率化を図ることができます。

トンネル点検におけるドローン導入の現状

トンネル点検におけるドローン導入の現状

ー ドローンを導入するメリットはわかりましたが、道路トンネルの場合、ドローンによる点検であっても交通規制を行う必要がありますよね。そうなると効率的と言えるのか疑問に感じますが、実際導入している事例はあるんでしょうか?

まだ実証段階です。技術レベルが上がってドローンの方が短時間で点検できるようになれば、有効利用できるのではないかと思います。

ー 鉄道トンネルの場合はどうですか?

一部ドローンを活用しているところもありますが、こちらも道路トンネルと同じく実験段階です。

実証段階とはいえ課題が解決されれば有効性の高い方法なので、例えば東京メトロでは点検の一部にドローンを導入しながら自律飛行型ドローンの開発に着手するなど、積極的に運用を進めています。

東京地下鉄( 東京メトロ)は、ベイシスコンサルティング及び東京大学大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センターの協力のもと、非GPS環境下でのトンネル検査におけるドローンの運用を2020年2月6日(木)から半蔵門線で開始しました。

機体は完全手動操縦のレースドローンをベースに球殻状のフレーム(プロペラガード)を備えることで、鉄道運行設備の防護という課題をクリア。

今回スタートしたドローン点検は、シールドトンネルの上部や、シールドマシンの発進に使用した立坑、さらにトンネル上部にある換気用の通風孔といった箇所に適用するとしています。

以下はデモフライトの様子と、ドローンが撮影したトンネル天井部の映像です。

東京メトロでは、自律飛行型ドローンの開発にも着手。画像認識技術やAI技術を活用し、GPS電波の届かない地下空間において操縦者を必要としないドローンを飛行させることを目指しています。

将来的にはドローンを飛ばすだけでなく、そこで取得されたデータを処理し、業務に組み込むまでの研究開発にも取り組んでいく計画です。

ドローンによるトンネル点検の課題

ドローンによるトンネル点検の課題

ー 実証実験段階ということは、実用化するにあたって何か課題があるんでしょうか?

大きな課題は、非GPS環境で安全に飛行できる機体が少ないことですね。現在は飛ばすための技術開発に重点が置かれています。

GPSとは全地球測位システムのこと。宇宙に打ち上げられているGPS衛星から送られてくる信号をドローンのプロポが受信することで、現在のドローンの位置を正確に把握することができるシステムです。

このGPS技術によって、

  • 自動操縦
  • 自動帰還
  • ホバリング(上空である程度の高さと位置で止まったまま静止すること)

が可能になりました。

GPS電波が届かない場所では位置情報を認識することができないため、安定した飛行をさせるためには高い操縦技術が必要になります。

 

ー そもそも安定した飛行が難しいということなんですね。非GPS環境で安定した飛行をさせるというのはかなり難しいことなんでしょうか?

そうですね、現在の技術では人が歩く速度よりも時間がかかってしまいます。

ー そうなると、人が点検した方が早いということになりますよね。

ただ、複数人で歩くのをドローンに置き換えられるならば導入する意味はありますし、現在開発が進められているので期待できると思います。

非GPS環境を飛ばすための技術の実装

ー 非GPS環境を飛ばすにはどんな技術が必要なんでしょうか?

レーザーで周辺の形状を把握して飛ばす技術、画像認識で周辺の形状を認識する技術が必要になります。

そのような技術を使わないのであれば、自動飛行させず、球体型のガードを付けるという方法もあります。

ー あまりピンとこないのですが、それはどのような技術なんですか?

自分が今どこにいてどの方向を向いているかを認識しながら、周辺環境を把握して地図を作成するという技術です。

例えば知らない土地で目的地に向かう場合、まず周りの風景や構造物などから自分の現在地を把握し、障害物を見てどのルートで行けばよいか頭の中で地図を描きますよね。それと同じです。

簡単に言うと、カメラで取得した画像を点に置き換えて、リアルタイムでまわりの形状を3次元の中に作るようなイメージですね。

ー なるほど。たくさんの点で立体的な地図のようなものを作るんですね。

そうです。それをカメラを使ってするのがビジュアルスラム、レーザーを使ってするのがレーザースラムと呼ばれる技術です。

【SLAM技術】

GPS電波の届かない場所で位置情報を得るためには、他の技術を使ったシステムが必要になります。そこで活用されたのがSLAM技術。

SLAMとは、「Simultaneous Localization and Mapping(「位置特定と地図作成を同時に行う」という意味)」の頭文字をとったものです。

SLAM技術を使えば、自分がどこにいるのか、周辺がどうなっているのかを把握することができるため、自身と周辺にある障害物との正確な距離を算出してその情報から次にとる行動を判断することができます。

つまり、行ったことがない場所でも周辺状況を認識し、人が行うような選択や判断ができるということです。

SLAM技術は、大きく分けて以下の2種類です。

Visual SLAM技術…カメラ映像を用いたもの

カメラから取得した画像データから位置推定と地図作成を行う仕組みです。

こちらの動画はVisual SLAM技術を用いた産業用ドローンの飛行の様子です。

Lidar SLAM技術…レーザーセンサー (距離センサー)を用いたもの

照射した赤外線レーザーが物体に反射して戻ってきたのを検出して二次元または三次元の点群データを作成し、データの変化を測ることで位置推定や地図作成を行う仕組み。

ー SLAM技術を使えば非GPS環境でも安定した飛行が可能ということですか?

そうなんですが、ドローンの場合飛行するものなので、なるべく軽くするのが技術的に難しいんです。また、カメラが安定しないという課題もあります。

現在、リアルタイムでマップを作りながらドローンが正確な位置を把握するという技術を開発している最中です。

ー 技術開発にはまだ時間がかかりそうですか?

そうですね、技術のハードルが高いのでもう少し時間はかかりそうですが、ゆくゆく点検作業できる人がいなくなった時のことを想定して、そこに向けて開発が進められているところです。

【SLAM技術はドローンに適用するのが難しい】

SLAM技術は、自動車の自動運転やロボットなど、すでにさまざまなアプリケーションに適用されています。しかし、飛行するという特性を持つドローンの場合、

  • できるだけ軽くしなければならない
  • カメラが安定しない

という問題があり、搭載することの難しさが課題となっています。

ー 他にはどんな課題がありますか?

これはトンネル点検分野だけの課題ではないのですが、飛行時間の問題があげられます。

1回に飛ぶ時間が短いと、長いトンネルの場合意味があるのかということになりますよね。

あとは操縦機の電波がうまく届かないといった課題もあります。

ー 距離の長いトンネルだと飛行時間が短いことはハードルになりそうですね。トンネル内では電波がうまく届かないんですか?

電波というのは基本まっすぐ進むものなので、曲がったトンネルだとうまく届かない可能性があります。

【ドローンによるトンネル点検の課題】

ドローンを用いたトンネル点検の課題としてあげられるのは、主に以下の3点です。

①非GPS環境下での安定した飛行
②飛行時間の問題
③機体と送信機間の電波の問題

非GPS環境下で安定した飛行をするためには、前述のようなSLAM技術を取り入れた機体や球体型ガード付きの機体の導入が必要になります。SLAM技術を取り入れた機体については現在開発が進められています。

また、万が一の時に備えて操縦機を持っている場合、

  • カーブしているトンネルだと送受信が困難である
  • 電波干渉を起こしコントロールできなくなる可能性がある

といった電波の問題があります。

こういった機体と送信機間の電波問題や飛行時間の問題に関しても、メーカーの開発に期待が集まっています。

ー トンネル点検にドローンが本格的に導入されるには、技術が確立されるのを待つしかないんでしょうか?

もちろん点検事業者や所有者側もただ待っているだけではなく、この会社のこの技術を使えばできるんじゃないかとか、自分たちの環境だとこういう技術が必要ということを提案し、投資をして実験開発依頼するということもしています。

ー それだけドローンへの期待は大きいということですね。

そうですね。飛べることは技術面で障害になることもありますが、武器でもありますから。トンネルは高さがありますし、例えば足場が線路しかないといった場所でもドローンは有効に活用できるはずです。

ドローンによるトンネル点検の市場成長性は?

ドローンによるトンネル点検の市場成長性は?

ー 今後、ドローンによるトンネル点検はこれからどのように広がっていくと思いますか?

もちろん人手不足の解消という意味でのドローンへの期待は大きいですが、機体の技術開発という課題も存在します。現在の需要という意味では、工事現場や崩落現場での活用があげられるのではないでしょうか。

最初に導入しうるのは工事現場や崩落現場

ー 危険が伴う場所での活用ということですね。

はい。トンネル工事現場での活用も実証レベルですが、工事現場の場合は土や岩を崩しながら掘っていくので、人が近づくと危険な箇所をドローンを使って確認することができるというのは大きなメリットですよね。

おそらく定期点検よりも工事現場での活用から先に実用化されるのではないかと思います。

工事現場で実証実験を繰り返すことで、技術開発が進むことも期待できます。

ー 人がやっている点検をドローンに置き換えるよりも、危険が伴うような、人ができないことに活用するという方が早く実用化されるということですね。

はい、そう思います。

エアロセンス株式会社が開発している非GNSS環境対応点検ドローン、エアロボインスペクション(Aerobo Inspection)が、飛島建設株式会社と共同で、2020年8月同社施工中のトンネル工事現場において掘削中のトンネル内での自動飛行と撮影を行い、トンネル点検に有効活用可能なオルソデータと3D点群データを生成することに成功しました。

トンネル工事は大型の重機や火薬などの使用が必要で、人と接触した際には重大な事故となる危険な現場です。

掘削状況を確認する際でも細心の注意が必要なため、危険な場所をドローンが自動飛行をすることで、人に代わって安全で簡単に状況を確認することが期待されています。

 

ー 崩落などの災害時にも活用できそうですね。

そうですね。危険を回避しつつ迅速に状況を把握できるという点で、ドローンは有効活用できると思います。

トンネル点検分野へのドローン導入のポイント

ー 現在ドローンを使ったトンネル点検を行っている企業が、これからさらに市場を拡大していくためにはどのようなことが必要だと思いますか?

トンネル点検分野への導入はまだ実証段階なので、技術の安全性と実用に耐えうるものであることを繰り返しの検証の中で示すことが重要だと思います。

ー トンネル点検ならではの注意点はありますか?

トンネルは閉鎖された空間なので、開放空間よりもぶつかる可能性が高いということと、GPSが届かないためどうしても飛行が不安定になってしまうということを頭に置いておくべきです。異常発生時の安全対策を講じておくことも大切になります。

ー リスク対策や安全対策が重要だということですね。これからドローンを使ったトンネル点検分野に新規参入するということも可能でしょうか?

トンネル点検は既に点検事業者が決まっていることと、現在飛ばすための技術開発に重点が置かれている状況を考えると、ドローンを飛ばす専門の業者が参入できる段階ではないと思います。

例えば、屋内型ドローンをやっていてそのような技術を持っているのであれば、点検事業者と一緒にやるというケースは考えられるかもしれません。

ー 今すぐに参入するというよりは、動向を見つつ…という感じでしょうか?

そうですね。ドローンを使ったトンネル点検に関してはこれから市場が作られていくので、5年10年かけて研究開発していくのであれば新規参入の可能性はあるのではないでしょうか。

長期的には需要の大きい市場だと思うので、コンクリート点検でドローン活用して知見を広め、今後の市場動向をチェックするというのもいいと思います。

ー なるほど。環境が違うとはいえトンネルもコンクリートなので、そこで経験を積むという方法もあるということですね。

はい。需要が多く期待されている分野なので、将来的にチャンスはあると思います。

ー 技術開発に大きな期待がかかっているんですね!本日は貴重なお話をありがとうございました。

トンネル分野へのドローン導入のポイント

トンネル点検は、

  • すでに点検事業者が決まっている
  • 現在飛ばすための技術開発に重点が置かれている

ということを考えると、ドローン専門業者が参入できる段階ではないと言えます。

しかし、トンネル点検分野はこれから市場が作られていくので、時間をかけて研究開発していくのであれば十分参入の可能性はあると言えるでしょう。

まとめ

プロに聞く!インタビューで見えてきたドローンによるトンネル点検への期待と可能性のまとめ

トンネル点検事業へのドローン導入について、有効性やドローンによるトンネル点検の現状現状、これからの課題や導入するにあたってのポイントなど幅広く理解していただけたかと思います。

では最後にもう一度要点を確認しておきましょう。

  • トンネル点検は、徒歩または点検車での目視点検と打音点検が基本。点検後には展開図に変状の位置を記録するスケッチという作業もしなければならず、時間と手間がかかります。
  • トンネル点検の資格については民間資格登用が行われています。
  • トンネル点検の問題点は以下の4点。

 ☑人手不足の懸念

 ☑老朽化に対応した効率的な維持管理

 ☑コストの縮減

 ☑大規模災害への迅速な対応

  • トンネル点検におけるドローン活用のメリットは、以下の3点が挙げられます。

 ①作業者の安全確保

 ②人手不足の解消・点検作業の効率化

 ③データ管理による効率化

トンネル点検におけるドローン活用のメリット

  • トンネル点検におけるドローン導入は、道路トンネル、鉄道トンネルどちらも実証実験段階。しかし、課題が解決されれば有効性の高い方法であることは間違いなく、一部に導入しながら開発が行われるなど、積極的に運用が進められています。
  • ドローンを用いたトンネル点検の課題としてあげられるのは、主に以下の3点です。

 ①非GPS環境下での安定した飛行

 ②飛行時間の問題

 ③機体と送信機間の電波の問題

  • 特に一番大きな課題が非GPS環境下での安定した飛行です。そのために必要なSLAM技術は、飛行するという特性を持つドローンに適用するのが難しく、現在開発が進められています。
  • ドローンによるトンネル点検の市場成長性については、現在の需要という意味では工事現場や崩落現場での活用があげられます。
  • トンネル点検分野へのドローン導入のポイントは、以下の通り。

トンネル分野へのドローン導入のポイント

  • トンネル点検は、

 ☑すでに点検事業者が決まっている

 ☑現在飛ばすための技術開発に重点が置かれている

ということを考えると、ドローン専門業者が参入できる段階ではありませんが、時間をかけて研究開発していくのであれば十分参入の可能性はあると考えられます。

トンネル点検分野でのドローン活用は、大きな需要が見込まれているものの、現在技術開発が急がれている状況です。

トンネル特有の閉鎖された空間という条件でいかに安定した飛行を実現できるかが大きなポイント。

需要自体が大きく、これから市場が作られていく分野であることを考えると、新規参入の可能性も十分あるでしょう。

もし参入を検討しているのであれば、常に市場動向をチェックしつつ、コンクリート点検分野で知見を広めておくことをおすすめします。