最新のドローンでは、Wifi通信を活用してスマートホンやタブレットから制御可能なものが多くなってきました。
ところで、ドローンのWifiでの制御と送信機(プロポ)での制御について、違いは理解できていますか。Wifiでドローンを飛ばすって、結局どういう仕組みなの?と疑問に思っていませんか。「実はよくわかっていないけど、今更聞きにくい…」という人も少なくないかもしれません。
この記事では、Wifiによるドローン制御の仕組みや送信機(プロポ)での制御との違い、特徴、上手に活用するために知っておきたいポイントなど幅広く紹介します。ドローンのWifiでの制御について理解することで、ドローンライフの幅が広がり、より自由な活用が可能となることでしょう。
目次
Wifiを活用してスマホをドローンのプロポとして使用する仕組み
Wifi通信を活用することで、スマートホンやタブレットを用いてドローンを操作することが可能です。Wifiを用いたドローン操縦の仕組みを理解するために、まずはドローンの通信の仕組みについて説明します。
ドローンと送信機のみならWifiを使用せずペアリング可能
そもそもドローンは一般的には送信機(プロポ)と呼ばれる機器を用いて操作します。
送信機はコントローラーなどと呼ばれることもある機器で、一般的にはドローンの上昇や下降、方向転換などを制御するためのものです。送信機はドローンに向けて通信用の電波を発信していて、ドローンがその電波を受信することで2つのデバイスが繋がっています。
スマホやタブレットとドローンをペアリングするためにはWifiを使用する
一方スマホやタブレットを用いてドローンを制御するためには、Wifi通信を用いてドローンとスマホを繋げる必要があります。Wifi通信での接続の仕組みとしては、ドローンもしくはドローンとペアリングしている送信機がWifi電波を発し、スマホがそれを受信することで繋げる、というものです。
Wifiを用いたスマホとドローンの通信
Wifiを用いてスマホとドローンを通信させることで、次のような情報のやりとりが行われています。まず、スマホからは次のような情報をドローンに送信します。
- 上昇や左右移動などの動きに関する命令
- ズームやシャッター、撮影の開始・終了などカメラの動きに関する命令
これらの情報をWifiを通してドローンに送ることで、ドローンは実際にその命令に従った動きを返します。
逆にドローンからスマホへ送ることができる情報もあります。例えば次のようなものです。
- カメラからの映像・画像
- GPSを用いて算出した現在地・高度情報
- 現在の速度情報
- 各パーツや追加部品の状態
これらの情報をリアルタイムでスマホへ送信することで、スマホ上でドローンの最新情報を常に確認することができます。
これらの情報は基本的には全てリアルタイムで行われるため、送信機だけの場合に比べてより詳細な制御が可能となります。
Wifi通信を利用したドローン制御の仕組み
Wifi通信を利用したドローン制御の仕組みは大変シンプルで、スマートホンやタブレットとドローンをWifi経由で接続することで、デバイスでドローンを制御できるようにする、というものです。
スマホやタブレットとドローンのWifi接続の仕組みとしては、次の2つがあります。
ドローンとスマホを直接接続する
最もわかりやすいWifi接続は、スマホやタブレットとドローンを直接接続することです。
ドローンがWifi電波を発信することができる機体の場合に使用可能です。この方法で接続する場合、ドローンが発信するWifi電波をスマホが受信して接続することで、2つのデバイスの双方向的な通信が可能となります。
この方法で接続すると、スマホやタブレットだけでドローンの制御が可能となります。普段使用しているスマホを使用して操作することができるため操作に慣れやすいこと、送信機の使用方法を新たに覚える必要がないことなどが特徴です。
スマホと送信機、ドローンの3つを接続する
もうひとつの方法は、スマホと送信機、ドローンの3つを接続することです。このケースでは、送信機が発信するWifi電波をスマホが受信し、送信機とドローンは送信機が発する通信用電波を介して繋がっている、という仕組みであることが多いです。
このようなケースではドローンの操縦は送信機で行い、操縦以外の機能はスマホで行う、という使い分けが可能となります。例えば送信機で操縦しながらカメラ映像をスマホで確認する、などの使用方法が想定されます。
Wifi経由でのドローンとの接続はスマホ上で該当のWifiネットワークを選択するだけ
Wifiを使用したドローンとスマホの接続には、ほとんどの場合難しい設定は必要ありません。
ドローンや送信機の電源を入れると専用のネットワークが検出可能となります。スマホ側ではWifiの設定画面上でそのネットワークを選択して接続するだけで接続可能です。
簡単にいうと、無線LANを使用したインターネット接続と同様の操作で接続できるということです。そのため、普段スマホを使用している人であれば誰でも戸惑うことなく使用できるでしょう。
Wifiを使ったドローン制御の特徴
Wifiを使用してドローンを制御すると、スマホを経由するため様々な特徴があります。
ドローンの制御には、Wifiを使用してスマホ経由で制御する以外に送信機とドローンを直接接続して行う方法もあります。その場合、Wifiは使用せず、送信機が発する電波をドローンが受信して制御する方法が主です。
このような方法に比べてWifi制御では、主に次のような特徴があります。
スマホやタブレットで操縦できる
最も大きな特徴は、当然ですが、スマホやタブレットを使用してドローンが制御できるという点です。
普段から使用しているデバイスを使用することで戸惑いなくドローンを始めることができます。初めてドローンを触る場合でも送信機の操作を覚える必要がありません。
慣れない操作を覚える煩雑さなくドローンを始められ、操縦を楽しむ中で少しずつドローンの可能性を広げていけるという点は、ドローンをWifi制御で楽しむ上でのメリットといえそうです。
空撮映像をリアルタイムで確認できる
Wifi経由で接続したデバイスで、ドローンの空撮映像をリアルタイムに確認することができるのも大きな特徴といえます。
ドローンについてくる送信機の多くはドローンの操縦だけに特化したもので、画面がないことがほとんどです。そのため、送信機だけでドローンを使用した場合、空撮映像は着陸後に他のデバイスに取り込んで確認する必要があります。
一方Wifi経由でスマホに接続している場合、撮影している映像をWifiでリアルタイムにデバイスへ送信し、地上から確認しながら操縦することができます。動画を確認しながら、気になったポイントで静止画を撮影する、といった使用方法も可能です。
空撮を得意とするドローンにおいて、リアルタイムなカメラ映像の確認ができるという点は他には変え難い大きな魅力といえます。
専用アプリでより多くの情報を使いこなすことができる
ドローンの制御を目的として専用作られたアプリを使うことで、さらに多機能や多くの情報を活用することができます。例えば次のような機能が使用可能です。
- ドローンカメラの操作
- ドローンの現在地をリアルタイムで表示させる
- 地図を参照しながらの操縦
事前に設定しておいた撮影パターンをワンタッチで起動できる・露光オーバー時の警告が出るなど、カメラ機能が大変充実したアプリがあることも特徴的です。
専用のアプリを使用しながら操作することで、ドローンをより安全にかつより効果的に使用することができます。
Wifiを使ったドローン制御のデメリット
一方で、Wifiを経由したドローンの制御には、次に挙げるようなデメリットもあります。
これらのデメリットを補うためには、現状では送信機を使用した制御と使い分けるといった方法があります。加えて、抜本的な解決につながるよう、通信会社などを含めて各社研究・開発を進めているところです。
電波が到達する距離が比較的短い
Wifiの最も大きなデメリットは、送信機からの電波と比較して到達距離が短いという点です。
一般的な環境下において、Wifiでの制御可能な距離は100m前後といわれています。対して送信機を使用した場合、機種によっては2〜4kmほど離れた場所まで届けることができます。
そのため、できるだけ遠いところまでドローンを飛ばしたい場合などには送信機での制御の方が適しているということになります。
ドローンの送信機の中には画面がついているものや、ネットワーク通信が可能なものなど高性能なものもたくさん販売されています。リアルタイムな映像確認や情報の参照など、スマホに期待する機能を実現可能な送信機もあります。
より遠距離で飛ばしたい場合には、このような高性能な送信機の導入も検討に値するかもしれません。
また、最近では携帯電話通信網を使用したドローン制御なども行われています。携帯電話通信の電波を使用してスマホとドローンを接続することで、スマホを使用してドローンを遠隔操作可能となります。
この方法であれば、技術的には数kmどころか数百km離れた地点のドローンも操縦可能ということです。現在はまだ十分に普及している技術ではありませんが、今後より実用化されていくことが期待されます。
電波干渉や途絶のリスクがある
Wifi通信においては、電波干渉や途絶のリスクがあるという点も無視できません。
Wifi通信に使用されている電波帯は、Wifi通信だけでなく様々な通信に使用されています。そのため、別の電波の影響を受けてドローンにうまく命令が伝わらなかったり、ドローンから送られる映像にラグが生じたりといった可能性があります。
最悪の場合、電波が途絶してドローンが制御不能になるリスクすらあります。
電波干渉は例えば電波塔など強い電波を発信するものの近くや、Wifiを利用したインターネット通信が大規模に行われている建物の近くで比較的起こりやすいと言われています。飛行前にはこのような建物が近くにないかあらかじめ確認するようにしましょう。
また、中には電波障害のリスクを感知して警告を出してくれるドローンもあります。心配であればそのような機体を選ぶことも有効です。
ただし、ほとんどのドローンでは電波が途絶したからといってすぐに墜落したり、どこかへ勝手に飛んでいってしまったりといったことは起こりません。電波が途絶した場合にはその場でホバリングする・スタート地点へ自動的に戻るといった安全策がもともとプログラミングされていることがほとんどです。
電波のトラブルがあった際にも、安全策を信じて焦らず対応することが大切です。
まとめ
Wifi通信を使用したスマホやタブレットとドローン連携の仕組みは難しいものではありません。
上手に活用することで、ドローンの持つ可能性を大きく広げることができるでしょう。最後に、この記事の内容をもう一度まとめます。
◎Wifi通信を利用したドローン制御の仕組み
(1)ドローンとスマホを直接接続する(ドローンの発するWifiをスマホで受信する)
(2)スマホと送信機、ドローンの3つを接続する(送信機の発するWifiをスマホで受信、送信機とドローンは送信機の通信用電波で接続する)
◎Wifi経由でのドローンとの接続は、スマホ上で該当のWifiネットワークを選択するだけ
◎wifiを使ったドローン制御の特徴
(1)スマホやタブレットで操縦できる
(2)空撮映像をリアルタイムで確認できる
(3)専用アプリでより多くの情報を使いこなすことができる
◎Wifiを使ったドローン制御のデメリット
(4)電波が到達する距離が比較的短い
(5)電波干渉や途絶のリスクがある
Wifiを使用してスマホやタブレットと接続することで、送信機だけでは実現できなかったドローンの様々な可能性が活用可能となります。それぞれの特徴や機能を上手に活用し、より自由で広がりのあるドローンライフを楽しんでください。