ドローン技術の向上により、多くの人がより手軽に、安価で、安全に航空写真を撮影することができるようになりました。
航空写真撮影サービスの中にも、ドローンプランを選べるものも増えています。
かつては航空写真といえば膨大な費用が必要で、一般市民の手には届かないもの…というイメージでした。
それが、ドローンが登場したことで多くの人が気軽にサービスを利用できるようになっています。式典やイベントの記念の、大人数での記念撮影や人文字など、記念に航空写真を残したいと思っている人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、ドローンによる航空写真撮影について、セスナ機やヘリコプターでの撮影との違いなど詳しく紹介しています。
この記事を読めば、卒業式の人文字やイベントの思い出に、気軽にドローンによる航空写真を活用できるようになります。
ドローン空撮(撮影)を依頼する際のより具体的な費用相場・依頼から完了までの流れ・依頼時に気をつけるポイントについては、こちらの記事でより詳しく解説しています!(クリックすると、記事内の「依頼」に関する章に直接飛ぶことができます。)
目次
ドローン・セスナ機・ヘリコプターによる航空写真撮影の特徴
航空写真を撮影するにはドローン以外にも方法があり、それぞれに特徴があります。
ドローン登場前に航空写真といえば、セスナ機(飛行機)もしくはヘリコプターにカメラマンが乗り込み、撮影する方法がとられていました。
ドローンとセスナ機、ヘリコプターはそれぞれ異なった特徴があります。まずはそれぞれを使用した航空写真撮影の特徴を紹介します。
ドローンは安価、航空写真も近接写真も撮影可能
ドローンによる航空写真撮影の特徴は以下の通りです。
ドローンなら安価に撮影可能
ドローン撮影による大きなメリットとして、費用が安価であるという点があります。
セスナ機やヘリコプターをチャーターしようと思うと、大変高額な費用が必要になります。セスナ機やヘリコプターの使用料、燃料費、パイロットとカメラマンの人件費、安全管理のための費用などです。総額では数十万円から、撮影内容によっては100万円以上になることもあります。
その点ドローンであれば、数万円からと大変安価に撮影可能です。ドローン機材の使用は他の航空機に比べて大変手軽ですし、操縦と撮影を1人で行うことができるため人件費も1人分で済みます。
ドローンは航空写真だけでなく、近接写真や動画も撮影可能
ドローンであれば航空撮影だけでなく、近接撮影も可能です。ドローンは小さな機体ですので、安全に被写体に近づき、近い距離での撮影ができるのです。
表情が見えるようなアップの画面から、一気に上空に上昇して広域を撮影するなど、自由度の高い撮影が可能です。そのため、式典やイベントなど、記念に残すような撮影には大変向いている方法と言えるでしょう。
また、人や大きな機体が入っていけないような場所を飛行して撮影したり、アクロバット飛行を行いながら撮影したりといった、機体の小ささや無人飛行であるという点を生かした撮影も魅力的です。
ドローンを地上高150m以上で飛行させるには特別な許可が必要
デメリットとしては地上高150m以上を飛行させる際に申請が必要なことがあります。
地上高150m以上での撮影サービスを行っていない提供者も少なくありません。
ちなみに高度150mからどの程度の範囲が撮影可能かというと、カメラの性能にもよりますが、一般的に約5ヘクタール程度撮影可能です。範囲でいうと、約300×170mです。
実際には、150mを超えないよう余裕を持った高度で飛行しますが、例えば地上100mでも約200×110mの範囲を撮影可能です。
ちなみに、こちらはGoogle Mapsで表示させた東京都庁周辺の航空写真を、約200×110mの範囲にトリミングしたものです。
実際のドローンからの撮影画像とは異なりますが、撮影可能範囲の参考になるのではないかと思います。
(引用元:Google Maps)
セスナ機は広範囲の撮影に向いている
セスナ機の大きな特徴は、次の通りです。
セスナ機では高い高度からの撮影が可能
セスナ機は航空写真に使用される航空機の中でも特に安定した機体であるため、高い高度からの撮影に向いています。
そのため、例えば大規模農場の全体写真など、広い範囲の撮影が必要なケースに向いています。
セスナ機は短時間で広範囲を撮影可能
また、航空速度も他の機体に比べて速く、移動しながらの撮影も可能です。
例えば農場の全体像の把握や長距離にわたる道路状況の確認など、長距離かつ連続した撮影が必要なケースにおいてはセスナ機での撮影が向いています。
セスナ機のデメリットは費用面と低空飛行ができない点
一方で、セスナ機をチャーターして撮影する場合、費用は比較的高額になることが少なくありません。
また、ドローンは高度150m以上での撮影に特別な許可が必要でしたが、セスナ機の場合は逆に150m以下での飛行は法律で禁じられています。高度150m以下からの航空写真撮影はドローンでなければできません。
ヘリコプターはホバリングして高い位置から撮影可能
最後に、ヘリコプターの特徴は次の通りです。
ヘリコプターはホバリング撮影が可能
セスナ機と比べたヘリコプターの大きな時長として、一箇所に止まって撮影することができる、という点があります。一箇所に止まって飛行することをホバリング、と言います。
セスナ機の場合、飛行中は原則移動を続けている必要があります。そのため、撮影のタイミングが一瞬でもずれると撮影範囲や角度が変化してしまう、難しい撮影となります。
その点ヘリコプターであればホバリングとしながら撮影範囲と角度を決め、その場で何枚も撮影して後から選ぶ、ということが可能なのです。
ちなみに、ドローンもホバリング撮影は可能です。例えばイベント会場を何時間にもわたって撮影し続けたい場合など、同じ場所の写真を多く撮影したいケースに向いています。
ヘリコプターはセスナ機同様高度150m以上での撮影が可能
セスナ機と同様に、ヘリコプターでも高度150m以上の位置からの撮影が可能です。
一方で、高度150m以下の高さでは飛行できないため、低空撮影ができない、という意味でもあります。
比較的天候の影響を受けやすい点も注意が必要
プロペラ機であるヘリコプターはセスナ機に比べて比較的天候の影響を受けやすいという特徴もあります。
撮影当日の天候によっては飛行できない可能性もあるため、注意が必要です。
ドローンとその他の機体による航空写真撮影の費用相場
航空写真の撮影費用は利用するサービスによって大きく異なりますが、一般的に次の表くらいの価格が必要となります。
実際にはこの他にオプション費用がかかることもあります。
オプション費用が発生する内容としては例えば、動画撮影やパノラマ撮影といった撮影方法によるものや、特別な申請が必要な区域内で飛行・撮影する場合の申請費用などがあります。
ドローンが向いている航空写真
ドローンによる航空写真の撮影は、セスナ機やヘリコプターの安価な代用品というだけではありません。むしろ、これらの大型航空機には実現できなかった、ドローンだけに可能な撮影内容なども少なくありません。
ここでは、特にドローン向きと言える航空撮影について紹介します。
安価・手軽に航空写真を撮りたいケース
大型のセスナ機やヘリコプターを飛ばす手間に比べて、ドローンを飛ばす手間は大幅に少なく済みます。
操縦と撮影も1人で可能ですし、飛行に関わる準備や手間も大変簡易です。このような手間が少ないため、費用も少なくて済みます。
有志でのイベントや思い出など、個人でも気軽に航空写真を撮影できるのは大きな魅力と言えます。
航空写真と、表情など近い距離からの撮影を織り交ぜたケース
ドローンの大きな特徴として、近接撮影が可能であるという点があります。
飛行機やヘリコプターと違い、ドローンは高度150m以下での撮影が可能です。また飛行も安定しており機体も小さく軽いため、安全に被写体に近づくことができます。
これまでの航空撮影では難しかった、一人一人の表情を納めた動画や写真や、低い位置から一気に高い位置まで上昇するといったダイナミックな演出が可能です。
リアルタイムで確認しながら撮影したいケース
撮影している内容をリアルタイムで確認することができるという点も、ドローンの大きなメリットのひとつです。
セスナ機やヘリコプターの場合、カメラマンが持ち込んだカメラで撮影するため、撮影した素材の確認は着陸後ということになります。
撮影している内容にリクエストはできませんし、万一気に入るものがなかった場合にも撮り直しはできません。
その点ドローンであれば、撮影している内容は常に地上からリアルタイムで確認できます。実際に撮影した写真をもとにアングルや範囲を調整したり、場所を移動したりといった細かなリクエストも可能です。
出来上がりに細かくこだわりたいケースや、詳細な指定が必要なケースではドローンでの撮影が向いています。
狭い空間での撮影
小さな機体で撮影するドローンは、セスナ機やヘリコプターが入れない場所での撮影も可能です。障害物を避けながらの撮影や、場合によっては屋内での撮影にも対応しています。
木立など背景にこだわりたいケースや体育館内での撮影など、比較的狭い空間での撮影の場合はドローンを選ぶことになります。
危険な場所での撮影
ドローンは無人機ですので、人が入っていけないような場所での撮影も可能です。
例えば、災害現場や海上撮影などの場面でもドローンによる航空写真の撮影技術が活かされています。セスナ機やヘリコプターを飛ばせない場所でも、ドローンであれば飛ばせるということもあります。
ドローンが向いていない航空写真
逆に、ドローンが向いていない航空写真というものもあります。
ここで紹介するような撮影内容を検討している場合には、ドローンではなくセスナ機やヘリコプターでの撮影を検討する必要があります。
150m以上の高度から、5ヘクタールを超えるような広さでの撮影
ドローンでの撮影のデメリットとして、高度150m以上での飛行には特別な申請が必要となるという点があります。
これは、他の航空機の飛行に支障となる危険性があるためです。そのため、残念ながらドローンでの空撮サービスの多くは150m以上での撮影に対応していません。
飛行しながらの広範囲にわたる撮影
ドローンは機体が小さい分、セスナ機やヘリコプターに比べて速度が出ません。そのため、飛行しながら広大な範囲を撮影したいと思った場合には、最適ということはできないでしょう。
一般的なドローンの飛行速度は時速60km前後、レースドローンと呼ばれる機種でも150km程度です。
ドローンで撮影できる速度としては、こちらの動画でイメージできるかと思います。
対してセスナ機の場合は時速数百kmです。短時間で広範囲を飛行して写真に収める必要がある場合にはドローンは向かないと言わざるをえません。
こちらは飛行機からの映像ですが、かなりの広範囲にわたり高速での移動・撮影が可能であることがわかります。
ドローンとセスナ機・ヘリコプターの良いところを組み合わせたセットプランも
航空写真撮影サービスの提供者によっては、ドローンとそれ以外の撮影方法を組みわせたセットプランを提供しているところもあります。
ドローンによる航空写真撮影とセスナ機、ヘリコプターによる撮影にはそれぞれに特徴とメリットデメリット、それによる向き不向きがあることがわかりました。
例えば、卒業記念の人文字を撮影するにあたり、生徒一人一人の表情も残したいし、校区全体の広い写真も残したい…という場合など、どちらの方法を選べば良いか迷うこともあるでしょう。
このようなケースでは、ドローンとヘリコプターを組み合わせたセットプランを選ぶことで、どちらのニーズも満たすことができます。
費用も両方をそれぞれ単独で依頼するよりもお得に依頼できることがほとんどです。
希望する写真に対してどのような撮影方法・プランが最適なのかについては、気軽に撮影業者に相談してみると良いでしょう。
ドローン空撮(撮影)を依頼する際のより具体的な費用相場・依頼から完了までの流れ・依頼時に気をつけるポイントについては、こちらの記事でより詳しく解説しています!(クリックすると、記事内の「依頼」に関する章に直接飛ぶことができます。)
まとめ
ドローンのカメラを利用することで、これまでよりも手軽にかつ自由に航空写真の撮影が可能になったことがわかりました。
最後に、今回の記事の内容をもう一度まとめます。
◎ドローン・セスナ機・ヘリコプターによる航空写真撮影の特徴
- ドローンは安価、近接撮影が可能
- セスナ機は広範囲の撮影に向いている
- ヘリコプターはホバリングして高い位置から撮影可能
◎ドローンとその他の機体による航空写真撮影の費用相場
◎ドローンが向いている航空写真
- 安価に手軽に航空写真をとりたいケース
- 航空写真と、表情など近い距離からの撮影を織り交ぜたケース
- 写真だけでなく動画も撮りたいケース
- リアルタイムで確認しながら撮影したいケース
- 狭い空間での撮影
- 危険な場所での撮影
◎ドローンが向いていない航空写真
- 150m以上から、5ヘクタールを超えるような広さでの高度からの撮影
- 飛行しながらの広範囲にわたる撮影
- 一眼レフなど高性能カメラによる画像が必要なケース
◎高度150m以上必要ならドローンとセスナ・ヘリコプターのセットプランも
ドローンの登場により、航空写真撮影のハードルはぐっと下がり、利用しやすいものとなりました。
イベントの記録や記念や思い出など、航空撮影を組み合わせることで、これまで以上に良い記念として残すことができるでしょう。
ドローンを上手に利用して、航空写真をより身近に、より日常的に活用できるようになると良いですね。