今や様々な分野に導入され、今後もその市場の拡大が予想されているドローン。しかし、活躍の声を聞く一方で、ドローンによる怪我の被害も耳に入ってくるのではないでしょうか。
「ドローン使用時の怪我の原因は?」
「どんな場面で怪我をしやすいの?」
そこでこの記事では、「ドローンによる怪我の原因とその対策」をお伝えします。
この記事を読むとわかること
- 怪我をしやすいシーンとその原因
- 落下事故による怪我の原因と対策
- プロペラ接触による怪我の原因と対策
- ドローンによる怪我に対応した保険
この記事を読み終わる頃には、ドローンによる怪我の原因やそのリスク、対策のポイントを押さえることができ、より安全なドローンの取り扱い方法を知ることができますよ。
目次
ドローン使用時、怪我をしやすいシーンとその原因
ドローンによる怪我の原因は、大きく分けて2つあげられます。
【2】プロペラ接触による怪我
下の章で詳しく説明していきます。
落下事故による怪我
ドローンの落下事故による怪我の事例は数多く報告されています。
落下事故による怪我事例
- 建設現場でドローンの空撮中、大型クレーンに接触して落下。男性作業員に衝突し、作業員は顔に大怪我。(2017年2月・神奈川県)
- 公園内で行われたイベント時、上空から菓子をまいていたドローンが落下。6人が軽傷。(2017年11月・岐阜県)
- 専門学校で運動会の練習風景撮影中、ドローン落下により生徒2人が軽傷。(2019年9月・熊本)
【落下事故の4つの原因と対策】
怪我につながる落下事故の原因を、4つにまとめてみました。
1.操縦者のスキル不足
2.メンテナンス不足
3.電波障害
4.天候の急変
その原因と対策を説明します。
操縦者のスキル不足
墜落事故の原因の大半を占めるのが「操縦者のスキル不足」によるものです。
障害物との距離の把握ミスや、モニター画面を注視しすぎてドローンを衝突させてしまったりと、技術があれば回避できた事故や怪我は非常に多いです。
【対策】安全なドローン飛行をするための操作技術を身に着ける
まずは必要な操縦スキルを身に着ける必要があります。なぜならドローン飛行は操縦と並行し、撮影やモニター確認などの作業も行わなければいけません。
操作スキルが不足していると、ドローン飛行以外の作業に気を取られ、不測の事態が起きた時に充分に対応できない可能性が高くなります。
操作スキルアップの手段としては、
- ドローンシュミレーターを使う
- 感覚を掴むために反復練習(例:ホバリング→前後移動→ホリゾンタルエイト(八の字をかく))
- 反復内容の順番を変えて練習する(例:前後運動→ホリゾンタルエイト→ホバリング)
などがあげられます。ドローンスクールに通うのも効率よくスキルアップできます。
しっかり操作練習をし、安全なドローン飛行が行える技術を身に着けましょう。
◎練習も安全に行いましょう
・ATTIモードにする前にPモードで練習する
ドローンにはいくつかの操作モードがあり、その中にATTIモードとPモードがあります。
ATTIモード | 簡単にいうとマニュアル操作のことです。GPSや障害物検知が無効化になるため、自身でドローン操作をしなければならない領域が多く、初心者には不向きなモードです。 |
Pモード | 準的で、最も機体を安定させることができるモードです。飛行中のリスクを回避しやすいので、基本的な飛行の場合はこのモードを使用することが多いです。 |
操作スキルを上げるための練習は、まずはATTIモードで行いましょう。対面操作、左右側面の操作練習は必須です。
慣れてきたら、さらに技術が必要となるPモードでトライを。
メンテナス不足
次いで、事故原因で多いのがメンテナンス不足です。
機体やプロペラの傷や欠損の見落とし、バッテリー残量不足や、飛行前のキャリブレーション(本体のGPSに正しい方角を認識させる作業)を忘れるなど、飛行前の確認事項を怠ったことによる墜落事故も多く報告されています。
【対策】必ず飛行前の点検作業を。
日常的な定期点検も重要
-
機体の損傷・変形はないか
-
バッテリーの充電、温度、エラーチェック
-
GPSやコンパスの干渉状況の確認
-
モーターに異物の混入や、異音等の異常はないか
など、飛行前にしっかりとチェックしましょう。日常的にも定期点検を行うことで、フライト時のトラブルを防ぐことも可能になります。
電波障害
場所や環境によって、ドローンが電波障害や電波干渉の影響で墜落する事故も起こっています。
無線局や高圧送電からの放電、山間部などは電波の障害を受けやすく、操作不能になってしまう可能性があります。
【対策】事前のルート確認はマスト
ドローンを飛行させる際は、事前に電波障害の可能性が低い環境かどうかの確認をしましょう。
【電波の確認方法】
- 電波の状況をアプリである程度確認できる機体もある。(DJIのドローンなど)
- アナライザー(電波測定できる機械)を使う。アナライザーは高額だが、レンタルを行っているところもあるので利用してみるのも◎
【電波障害発生リスクの高い場所】
- 無線の基地局
- 電波塔
- 送電線付近
- 線路
飛行ルートに電波の発信源となる上記のものがある場所は、特に注意が必要です。他の電波の影響を受けやすい場所のフライト時は、ルートの変更や、電波障害にも強いドローンを使用するなどの対策を。
ドローンの電波干渉で実際に起きた事故の例や、より具体的な電波干渉の対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
天候の影響
屋外を飛ぶドローンは、気象状況も墜落事故の原因になり得ます。
なぜなら、雨で機体やモーターが濡れると故障の原因にもなりますし、低気温下ではバッテリーの消費が早まるなどの悪影響が出やすいため、突然のバッテリー切れによる墜落の可能性もあるからです。
突風に煽られ、ドローンの制御ができなくなる危険もあります。
【対策】降水確率・気温・風速の確認
飛行前には必ず、降水確率・気温・風速の確認をしましょう。
- 高度や時間別の風速、気温、降水状況などを表示してくれる気象情報サイトなどを利用し、天候を チェックする。
- 特に風速に注意する。メーカーが設定する耐風性能は大体10m/s。あくまで目安だが、これ以上 の風速でのフライトは控える。
- 風速が計れる「デジタル風速計」を活用する。
- 雨の可能性がある場合は、完全防水のドローンを使用する。
それでも不安に感じる天候時は、フライトの中止も考えましょう。
プロペラ接触による怪我
ドローンのプロペラは、実はかなり危険な部分になります。
なぜならプロペラは、樹脂やカーボン素材で作られた非常に硬い物が多く、マックス回転数は実に1秒間に150回転にも及び、その威力は触れれば大怪我をしてしまうほどだからです。
安全点検中やハンドキャッチ&リリース時などに、回転しているプロペラに触れてしまい、怪我をするという事例が多く見受けられます。
下の章では、プロペラによる怪我を防ぐための、正しい取り扱い方をご説明します。
プロペラの安全な取り扱い方法
ドローンのサイズやモデルに関係なく、回転中のプロペラは非常に危険な状態です。プロペラによる怪我のリスクを減らすポイント4つをご紹介します。
- 部品装着の手順
- 電源を入れる順番
- ハンドリリース&キャッチの危険性
- プロペラの危険を減らすアイテム
装着手順と、電源を入れる順番
飛行前のドローンの準備や点検の段階でも、プロペラによる怪我には注意しなくてはいけません。装着の手順、電源を入れる順番を改めて確認しましょう。
【装着の手順】
プロペラを装着してから、バッテリーの装着をします。
電源を入れる順番
【電源の順番】
誤ってプロペラが回ってしまわないように、機体本体の電源は最後に入れます。
コントローラーをスマホやタブレットに繋いでアプリを立ち上げ、その後にコントローラーの電源を入れます。次に機体本体の電源を入れ、機体とコントローラーが接続されているかの確認(バインディング)をします。
ハンドリリース&キャッチは危険
ドローンのハンドリリース、ハンドキャッチ は大変危険です。
ハンドリリースとは、地面からではなく手でドローンを持って飛ばすことで、ハンドキャッチ とは、飛行を終えて帰ってきたドローンを手で掴んで回収することです。
離着陸させたい地面が平坦ではない場合のやり方の1つですが、プロペラが回っている機体を手で持つわけですから、やはり怪我のリスクは高く、メーカーも推奨していません。
プロペラの危険を減らすアイテム
◆プロペラガード
ドローンのプロペラ周りに取り付けるカバーのようなものです。
プロペラによる怪我のリスクを軽減してくれるだけでなく、障害物への接触や、落下事の飛散を防いだりと、プロペラ自体も守ってくれるアイテムです。
◆グローブ
プロペラに直接触れてしまっても、素手よりも厚手のグローブをしていた方がその衝撃は軽減されます。
通気性や防水性に優れたものや、タッチスクリーン対応の物など、高性能グローブは1つ持っていると色々と活
躍してくれますよ。
ドローンによる怪我に対応した保険の検討も
ドローン専用の保険も様々なタイプが登場し、使用スタイルに合わせて選ぶことができます。保険は大きく分けると賠償責任保険と機体保険の2種類があります。
賠償責任保険 | 人や所有物・公共物に被害を与えてしまった場合に発生する損害を補償 |
機体保険 | ドローンの機体本体を破損した際などにかかった損害を補償 |
保険会社によって補償内容や補償金額等が異なるので、ドローンの利用シーンに合わせて、万が一の場合に備え、保険加入も検討してみてください。
まとめ
最後にこの記事を簡単にまとめました。
◎ドローン使用時、怪我を引き起こすのは大きく分けて2つのシーン。
- 落下事故
- プロペラ接触
【1】落下事故による怪我の4つの原因
◆操縦者のスキル不足
対策:安全なドローン飛行をするための操作技術を身に着ける
◆メンテナンス不足
対策:必ず飛行前の点検作業を。日常的な定期点検も重要。
◆電波障害
対策:ドローンを飛行させる際は、事前に電波障害の可能性が低い環境かどうかの確認をしましょう。
◆天候の影響
対策:飛行前には必ず、降水確率・気温・風速の確認をしましょう。
【2】プロペラ接触による怪我
◎プロペラの安全な取り扱い方法
〈装着の手順〉
①プロペラを装着
②バッテリーを装着
〈電源を入れる順番〉
①コントローラーをスマホやタブレットに繋いでアプリ立ち上げ
②コントローラー電源ON
③機体本体の電源ON
④機体とコントローラーが接続されているかの確認(バインディング)
◎ハンドリリース&キャッチは危険
メーカーも推奨しておらず、怪我のリスクも高いです。
◎プロペラの危険を減らすアイテム
- プロペラガード
- グローブ
◎ドローンによる怪我に対応した保険の検討も
保険は大きく分けると賠償責任保険と機体保険の2種類がある。検討する場合は、ドローンの利用シーンに合った補償内容のものを。
様々な怪我の原因を上げましたが、ドローンが危険だとお伝えしたいわけではありません。大切なのは、怪我や危険のリスクと、それを回避する方法を知ることです。
この記事を読んで、どういう場面で怪我をしやすいか、どういった対策があるのかを理解して、怪我のない安全なドローン飛行を行ってください。