「ドローンを飛ばしたいけれど、何か許可は必要?」
「飛ばすときに、『この場合はどこに許可を取ればいいのか』がわからなくて迷う」
そんな疑問や悩みを持っている方は多いでしょう。
ドローンを飛ばす際には、「飛ばす場所」に対する許可と「飛ばす方法」に対する許可の2種があり、その要不要を判断しなければなりません。
許可が必要なケースを簡単にまとめると、以下のようになります。
【飛ばす際に許可が必要な「場所」】
法律・条例 |
場所 |
---|---|
航空法 |
|
小型無人機等飛行禁止法 |
以下の施設とその周辺300mの上空
|
民法 |
|
道路交通法 |
|
その他の法律 |
|
都道府県・市区町村条例 |
|
【飛ばす際に許可が必要な「飛行方法」】
法律 |
飛行方法 |
||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
航空法 |
→ただし、ドローンの飛行ルートの下やその周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じた上で、「第一種または第二種機体認証」と「一等または二等操縦者技能証明」の両方を取得した人が①の飛行を行う場合は、承認申請は不要 |
もし、必要な許可を取らずにドローンを飛ばしてしまうと、法律によって罰金などを課せられてします恐れがあります。そのようなことがないよう、「どこで、どんな風に飛ばす場合に許可が必要か」を正しく理解しておく必要があるでしょう。
そこでこの記事では、ドローンを飛ばすにあたって必要な許可について、わかりやすく説明していきます。
この記事でご紹介する内容
◎飛行許可の要不要がわかるチャート図
◎ドローンを飛ばす際には「場所」と「方法」について許可が必要な場合がある
◎ドローンは「重量100g未満」「100g以上」で必要な許可が異なる
◎飛行許可の申請には「個別申請」と「包括申請」がある
◎許可申請は誰でもできる
◎ドローンを飛ばす際に許可が必要な場所
◎ドローンを飛ばす際に許可が必要な飛行方法
◎ドローンを飛ばす際の許可の申請先
最後まで読めば、ドローンを飛ばす上ではどの様なケースで許可が必要なのかが判断できる様になるでしょう。
目次
ドローン飛行許可の要不要をチャート図で判断しよう
ドローンを飛ばす際には、「どこで飛ばすか」「どんな飛ばし方をするか」によって、さまざまな許可が必要です。
そこで、自分が飛ばそうと思ったときにどんな許可が必要か(あるいは不要か)を、簡単に判断できるチャート図を作りました。
ドローンの飛行許可に関するルールは、大きく分けると「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」「その他の法律/条例など」の3つに分けられます。
そのため下記3つのチャート図を見れば、大まかな判断が可能です。
出典:国土交通省
※特定飛行:下記のいずれかに該当する飛行
空港等の周辺/150m以上の上空/催し場所の上空/危険物の輸送/物件の投下
人口集中地区/夜間での飛行/目視外での飛行/人又は物件との距離が30m未満
ただ、このチャート図では「許可の要不要」はわかりますが、「それぞれの許可について、もっとくわしく知りたい」という方もいるでしょう。
そこで、次章からはドローンの「許可」についての基礎知識を説明し、3章から必要な許可について、ひとつずつわかりやすく説明していきます。
ドローンを飛ばす際の「許可」に関する基礎知識
ドローンを飛ばすには、多くの場合何らかの許可を得る必要があります。
管轄する国土交通省に飛行の許可承認を申請したり、飛ばす場所の管理者、所有者に同意をもらったりと、どこでどのような飛ばし方をするのかによって、必要な許可はさまざまです。
もし許可なくドローンを飛ばせば、場合によっては罰金などを科される恐れもあるのです。
そこでまず、ドローンを飛ばす際の「許可」について、基本的な知識から知っていきましょう。
ドローンを飛ばす際には「場所」と「方法」について許可が必要な場合がある
ドローンを飛ばす際に必要な許可は、大きく分けて以下の2種です。
- 「飛ばす場所」に関する許可
- 「飛ばす方法」に関する許可
ドローンを「飛ばす場所」に関する許可
そもそもドローンは、どこででも飛ばしていいわけではありません。
「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」といった法律や、地方自治体の条例などによって、飛ばしてはいけない場所=飛行禁止区域が定められています。
また、「原則的に飛行禁止だけれど、事前に申請して許可が得られれば飛ばしてもいい場所」というものもあります。
たとえば人がいる市街地上空などは、もしドローンが墜落すればけが人などの被害が出るでしょう。
そこで、事故やトラブルを未然に防いで安全な運航をするために、許可制にしているのです。
(実際に、許可がなければドローンを飛ばせないのはどんな場所か、「航空法で許可が必要な場所」でくわしく説明しますので、後ほど読んでみてください。)
ちなみに、人がいる市街地などを「人口集中地区(DID)」といい、以下のように国土地理院の地図で確認できます。
このように、許可がいるエリアを確認できる地図やアプリなどもあり、別記事「ドローンを無許可で飛ばせる場所はどこ?探し方、飛ばせない場所も詳しく解説」で紹介していますので、必要があればそちらを参照してください。
【東京湾周辺のDID】(赤いエリア)
出典:国土地理院「地理院地図」
ドローンを「飛ばす方法」に関する許可
また、場所だけでなく、「飛ばす方法」にも許可が必要な場合があります。
こちらは「航空法」によって規制されていて、たとえば夜間の飛行、お祭りやイベントなどの上空での飛行、危険物の輸送などが該当します。
(くわしくは「ドローンを飛ばす際に許可が必要な飛行方法」で解説します。)
【航空法で原則飛行禁止、許可を得れば飛行できると定められた空域・方法】
出典:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」より加工
※「緊急用務空域」とは、災害などが発生した際に、人命救助、捜索、消火などのためにヘリコプターなどが飛行するのを妨げないよう、ドローンの飛行が原則禁止される空域です。災害に応じて国土交通大臣が指定します。ドローンの飛行申請をすることはできますが、インフラ点検や報道など重要な目的がある場合にしか許可されないため、一般の個人では許可が得られないものと思ってください。
ちなみに、飛ばす場所と方法によっては、どちらかの許可のみ必要なケースもありますし、両方の許可が必要な場合もあります。
また、無許可で飛ばせるケースもあるので、この記事を最後まで読んで正しく判断してください。
ドローンは「重量100g未満」「100g以上」で必要な許可が異なる
また、ドローンに関する規制は、機体の重さによって異なる場合があります。
というのも、ドローンを規制する主な法律は、前述した「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」のふたつですが、このうち航空法の対象となるのは「重量100g以上のドローン」に限られているからです。
そのため、航空法で「許可が必要」と定められている飛行空域・飛行方法でも、100g未満のドローンなら飛ばすことができるのです。
小型無人機等飛行禁止法は100g未満のドローンにも適用される
ただ、重さによって許可の要不要が変わるのは、「航空法」のみで、「小型無人機等飛行禁止法」では重さに関わらず許可が必要な飛行空域を定めています。
また、その他ドローンに関わる条項がある法律や、都道府県・市区町村の条例も、重量は関係なく適用されます。
「100g未満のドローンなら、何の許可もなく自由に飛ばせる」と誤解している人もいるかもしれませんが、そうではないので注意してください。
100g未満のドローンなら許可がいらないケース |
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---|---|
重量に関わらずすべてのドローンに許可が必要なケース |
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飛行許可の申請には「個別申請」と「包括申請」がある
また、航空法に定められたドローンの飛行許可を得るには、「個別申請」と「包括申請」という2つの方法があります。
- 個別申請:ドローンの飛行1回ごとに申請を出す方法
- 包括申請:同じ申請者が一定期間内に繰り返し、継続して飛行を行う場合に、それらをまとめて申請する方法
それぞれの違いは以下の通りです。
包括申請ができるのは、ビジネス目的でドローンを利用する事業者だけです。趣味目的の場合は、包括申請はできないので個別申請をします。
というのも、事業でドローンを利用する企業がいちいち個別申請をするのは現実的ではないからです。
たとえば、宅配業者がドローンで配達するケースを考えてみましょう。配達1回ごとに個別申請が必要となると、膨大な手続きになりますし、許可や承認が下りるまでは日数がかかるため、荷物をすぐに届けられません。
そこで、手間と時間を省き、事業で活用しやすくするために「包括申請」が認められているというわけです。
ビジネスでドローンを利用しようという人は、「申請可能な飛行形態」に該当するのであれば包括申請をするといいでしょう。包括申請について、くわしい方法などは別記事「ドローンは包括申請がおすすめ!その理由や申請条件、注意点も解説」を参照してください。
許可申請は誰でもできる
ドローンに関する許可の申請は、特別な資格なく誰でもできます。
趣味で飛ばす個人の場合も、自分で手続きできますので安心してください。
航空法に関する許可は、専用サイト「ドローン情報基盤システム2.0」でオンライン申請するのが一般的です。
(郵送でも可能です。)
また、「自分で手続きするのは大変」という人や、「大量に申請しなければならないので、誰かに代わりにやってほしい」という企業は、行政書士に依頼して申請を代行してもらうこともできます。
飛行許可の申請に関しては、別記事「【チャート付】ドローンの飛行申請が必要な全パターンとその申請方法」でくわしい手続きを解説していますので、そちらを見ながら申請してください。
ドローンを飛ばす際に許可が必要な場所
では、実際にドローンを飛ばす際に、許可が必要な場所について具体的に見ていきましょう。
それぞれを表にまとめましたので、まずは以下を見てください。
法律・条例 |
場所 |
許可申請先 |
---|---|---|
航空法 |
|
国土交通大臣 |
小型無人機等飛行禁止法 |
以下の施設とその周辺300mの上空
|
施設の管理者 管轄の警察署 など |
民法 |
|
土地の所有者 |
道路交通法 |
|
管轄の警察署 |
その他の法律 |
|
|
都道府県・市区町村条例 |
|
各都道府県・市区町村が定めた者 |
ドローンを飛ばす際に許可が必要な場所は、法律によって異なります。
たとえば空港周辺で飛ばす場合、新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港は「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」の2つの法律の対象になっているので、許可申請も2種類提出しなければなりません。
また、人口集中地区(DID)の上空でドローンを飛ばすために、近くの道路で離発着させるのであれば、「航空法」による国土交通大臣への許可申請とあわせて、「道路交通法」による道路使用許可を管轄の警察署に申請する必要があります。
このように、複数の許可が必要になるケースも多々ありますので、各法律を見落とさないように確認してください。
では、これを踏まえてそれぞれくわしく説明します。
航空法で許可が必要な場所
まず、「航空法」で許可が必要な場所は以下です。
- 150m以上の高さの上空
- 空港周辺の空域
- 人工集中地区(DID地区)の上空
出典:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」
「緊急用務空域」については、前述したように災害時に設定されるもので、一般の個人では許可が得られないので除外します。
それ以外の3つについて、それぞれ説明していきましょう。
150m以上の高さの上空
「地表または水面から150m以上の高さの空域」は、「航空法」によりドローンの飛行が原則禁止されているため、飛ばす際には国土交通大臣の許可を得なければなりません。
これは、飛行機が飛ぶことができるもっとも低い高度が150mと定められているためです。
もしドローンが150m以上の高さを無許可で飛べば、飛行機と接触したり衝突したりする危険があるでしょう。
そのため、もし150m以上の高さでドローンを飛ばしたい場合には、国土交通省の許可に加えて、その空域を管轄する管制機関との調整も必要とされています。
ちなみに、「地表から」150mという点がポイントです。
山の上で飛ばす場合は山の地面から150m、地面が周りより下がった場所で飛ばす場合は、その低い場所から150mと考えます。
たとえば、標高1,000mの山の頂上で飛ばす場合、そこから150m=標高1,150m未満なら許可は必要ありません。
空港周辺の空域
空港周辺の空域も、ドローンの飛行は原則禁止で、飛ばす際には許可が必要なエリアとなっています。
具体的には、空港からおおむね6km以内の範囲で、以下のように立体的に禁止エリアが設定されています。
出典:国土交通省「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン 」
空港ごとのくわしい範囲は、国土交通省「空港等設置管理者・空域を管轄する機関の連絡先について」でその空港の管理者を調べた上で、確認してください。
ただし、新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港に関しては、「小型無人機等飛行禁止法」での規定に従います。
それについては「空港」で説明しますので、そちらを参照してください。
人工集中地区(DID地区)の上空
「航空法」では、人口が集中しているエリア=「人口集中地区(DID)」の上空でドローンを飛ばす際にも許可が必要とされています。
DID地区に指定されているエリアは、国土地理院の「地理院地図」で確認できます。
【東京湾周辺のDID】(赤いエリア)
出典:国土地理院「地理院地図」
上記の地図で赤く表示されているのは、東京湾周辺のDIDですが、これを見てわかるように都市部のほとんどは人口集中地区に含まれますので許可が必要です。
ただし、DID地区であっても、以下の条件が揃っている場合は、許可がなくても飛ばすことができます。
- ドローンの国家資格を持っていること(一等資格、二等資格いずれでも可)
- 機体認証(ドローンの性能などが安全基準に適合していることの認証)を受けていること
- 立入管理措置(ドローンの飛行経路に第三者の立入りを制限すること)を講じること
この国家資格と機体認証の制度は、2022年12月に開始されたばかりで、その詳細は別記事「【2023年2月最新】ドローンの国家資格(免許)制度!費用・いつから・取り方・免除についてなど全まとめ」で説明していますので、そちらもぜひ読んでください。
小型無人機等飛行禁止法で許可が必要な場所
次に、「小型無人機等飛行禁止法」によって許可が必要と定められている場所は、以下の施設とその周辺約300mの上空です。
- 国の重要な施設(国会議事堂、首相官邸、皇居など)
- 外国公館
- 防衛関連施設
- 空港
- 原子力事業所
国の重要施設とその周辺300mの上空
ドローンに関する主な法律として、「航空法」のほかに「小型無人機等飛行禁止法」という法律があり、これによってドローンの飛行に許可が求められる場所もあります。
その第一が、「国の重要施設とその周辺上空」です。
「国の重要施設」とは、具体的には以下の施設で、「周辺上空」とはこれらの周辺300mの上空を指します。
- 国会議事堂等
- 内閣総理大臣官邸等
- 危機管理行政機関
- 最高裁判所庁舎
- 皇居・御所
- 政党事務所 など
つまり、これらの周辺300m以内でドローンを飛ばすためには、その施設の管理者と管轄の警察から許可を得なければならなのです。
外国公館の周辺上空
同じく「小型無人機等飛行禁止法」によって、「外国公館」の周辺300mの上空でも許可が必要とされています。
ここでいう「外国公館」とは、各国の大使館や領事館です。
もしドローンを飛ばしたい場合は、施設の管理者と管轄の警察の許可を得なければなりません。
防衛関係施設の周辺上空
「防衛関係施設」とその周辺300mの上空も、「小型無人機等飛行禁止法」によって許可が必要なエリアです。
「防衛関連施設」とは、自衛隊施設と在日米軍施設のことです。
該当する施設と許可が必要なエリアは、以下のリンク先で確認できますので、必要なときは調べてください。
▶︎防衛省「自衛隊の対象防衛関係施設一覧」
▶︎防衛省「在日米軍の対象防衛関係施設の一覧」
【防衛省市ヶ谷庁舎で許可が必要なエリア】
出典:防衛省「自衛隊の対象防衛関係施設一覧」
ちなみに、東京周辺には「小型無人機等飛行禁止法」によって許可が必要な「国の重要施設」「外国公館」「防衛関係施設」が以下のように集中しています。
【東京都心部における対象施設周辺地域図】
出典:警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」
これと、「航空法」で許可が必要な「人口集中地区(DID)」を合わせてみるだけでも、東京都心では許可なくドローンを飛ばせる場所はほぼないことがわかるでしょう。
出典:国土地理院「地理院地図」
空港
航空法では空港の周辺での飛行に許可が必要でしたが、「小型無人機等飛行禁止法」もまた、空港に関する規制を設けています。
ただ、こちらで規制される空港は、新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港のみです。
これらに対しては、以下の図で示されるエリアが許可が必要な空域となってます。
くわしいエリアや許可の連絡先などは、国土交通省「小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定」で確認できますので、ドローンを飛ばす際にはかならず許可をとってください。
【成田国際空港で許可が必要なエリア】
出典:国土交通省「小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定」
原子力事業所の周辺上空
「小型無人機等飛行禁止法」ではもうひとつ、「原子力事業所」と周辺300mの上空も許可が必要な施設と定められています。
「原子力事業所」とは原子力発電所を指し、具体的には以下の施設が対象です。
このエリアでドローンを飛ばすには、施設の管理者と管轄の警察署の許可を取らなければなりません。
◎対象施設周辺地域
1)北海道電力株式会社 泊発電所
所在地:北海道古宇郡泊村大字堀株村
2)東北電力株式会社 東通原子力発電所
所在地:青森県下北郡東通村大字白糠字前坂下三十四番地四
3)東北電力株式会社 女川原子力発電所
所在地:宮城県牡鹿郡女川町塚浜字前田一
4)東京電力ホールディングス株式会社 福島第一原子力発電所
所在地:福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原二十二
5)東京電力ホールディングス株式会社 福島第二原子力発電所
所在地:福島県双葉郡楢葉町大字波倉字小浜作十二番地
6)東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所
所在地:新潟県柏崎市青山町十六番地四十六
7)中部電力株式会社 浜岡原子力発電所
所在地:静岡県御前崎市佐倉五千五百六十一番地
8)北陸電力株式会社 志賀原子力発電所
所在地:石川県羽作郡志賀町赤住一番地
9)関西電力株式会社 美浜発電所
所在地:福井県三方郡美浜町丹生第六十六号五番地の三
10)関西電力株式会社 高浜発電所
所在地:福井県大飯郡高浜町田ノ浦第一号
11)関西電力株式会社 大飯発電所
所在地:福井県大飯郡おおい町大島一字吉見一番地一
12)中国電力株式会社 島根原子力発電所
所在地:島根県松江市鹿島町片句六百五十四番地一
13)四国電力株式会社 伊方発電所
所在地:愛媛県西宇和郡伊方町九町三番耕地四十番地三
14)九州電力株式会社 玄海原子力発電所
所在地:佐賀県東松浦郡玄海町大字今村字浅湖四千百十二番地一
15)九州電力株式会社 川内原子力発電所
所在地:鹿児島県薩摩川内市久見崎町字小平千七百五十八番地一
16)日本原子力発電株式会社 東海第二発電所
所在地:茨城県那珂郡東海村大字白方字白根一番一
17)日本原子力発電株式会社 敦賀発電所
所在地:福井県敦賀市明神町一番地
18)国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 高速増殖原型炉もんじゅ
所在地:福井県敦賀市白木二丁目一番地
19)国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子炉廃止措置研究開発センター
所在地:福井県敦賀市明神町三番地
20)日本原燃株式会社 再処理事業所
所在地:青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字沖付
21)国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所
所在地:茨城県那珂郡東海村大字村松字真砂山四番三十三
22)国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センター
所在地:茨城県東茨城郡大洗町成田町四千二番地
出典:原子力規制委員会
「小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設(原子力事業所)及び対象施設周辺地域」
その他の法律で許可が必要な場所
ドローンに関する主な法律は「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」ですが、それ以外の法律でもドローンの飛行場所に関連するものがあり、許可が必要になります。
たとえば以下のようなものです。
- 民法:私有地上空
- 道路交通法:道路での離発着
- その他法律:公園、国有林、川、海岸、海上など
- 都道府県・市区町村条例:自治体によって規定あり
これらについても説明しておきましょう。
【民法】私有地の上空
「民法」では、私有地の上空を無許可でドローンを飛ばすことを禁じています。
飛ばす際には、その土地の所有者に許可を得なければいけません。
住宅街の上を飛ばすとなれば、通るルートの下の各住宅の持ち主に許可を取らなければなりませんし、ビルやマンション、遊戯施設など不特定多数の人が自由に出入りする場所であっても、所有者はいますのでその人や管理者の許可が必要です。
▶︎民法:第207条、第709条
ただ、これに関しては、内閣官房小型無人機等対策推進室と法務省が、「すべての土地所有者の許可が絶対に必要というわけではない、判断はケースバイケース」という考え方を出しています。
【土地所有権の範囲についての基本的考え方】
民法においては、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」(第 207 条)と規定されているが、その所有権が及ぶ土地上の空間の範囲は、一般に、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」とされている。
このため、第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではないものと解される。
この場合の土地所有者の「利益の存する限度」の具体的範囲については、一律に設定することは困難であり、当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして、事案ごとに判断されることになる。
出典:内閣官房小型無人機等対策推進室「無人航空機の飛行と土地所有権の関係について」
つまり、場合によっては許可なく飛ばしても問題ない、でもその判断の具体的な基準はない、というのが政府の判断です。
もし「許可を取ればいいのかいらないのかわからない」と迷った場合は、念のために許可をとったほうが安心だと言えそうです。
【道路交通法】道路での離発着
一方で、道路(公道)の上空は、ドローンを飛ばす際に特に許可は必要ありません。
ただ、道路上でドローンを離発着させる場合や、第三者がドローンの飛行ルートに立ち入らないよう管理するために看板などを立てる場合は、「道路交通法」によって「道路使用許可」が求められます。
この許可は、管轄の警察署に所定の申請書を提出することで得られます。
▶︎道路交通法:第76、77、78条
【その他法律】公園、国有林、川、海岸、海上など
このほかにも、以下のような場所は法律によってドローンの飛行に許可が必要な場合があります。
- 公園:「都市公園法」「自然公園法」では許可不要
ただ、公園の管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合がある - 国有林:ドローンの飛行自体に許可は不要
ただ、「国有林野の管理経営に関する法律」によって「入林届」の提出が求められる - 川、海岸:「河川法」「海岸法」では許可不要
ただ、河川や海岸の管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合がある - 海上:「港則法」「海上交通安全法」では許可不要
ただ、ドローンの飛行によって船舶交通の安全に支障を及ぼす恐れがある場合は許可が必要
▶︎都市公園法
▶︎自然公園法
▶︎国有林野の管理経営に関する法律
▶︎河川法
▶︎海岸法
▶︎港則法
▶︎海上交通安全法
【都道府県・市区町村条例】自治体によって許可が必要
ここまでは国の法律によって許可が求められる事例でした。
一方で、都道府県や市区町村が定めた条例によって、ドローンの飛行に許可を求められる場合もあります。
たとえば以下のような例です。
◎愛知県岡崎市:ドローンを飛ばす行為は、操縦不能になった場合などに第三者に危険が及んだり、施設が破損されたりする恐れがあるため禁止。
ただし、屋外の施設に関しては、市長の許可を受ければ飛ばしてもよい。
→「岡崎市中央総合公園スポーツ施設条例」第4条、第6条による
◎東京都:海上公園内(水域も含む)においては、ドローンの飛行は原則禁止。
ただし、知事の許可を得た場合には飛ばしてもよい。
→「東京都海上公園条例」第17条による
◎神奈川県相模原市:都市公園において、ドローンの飛行は原則禁止。
ただし、飛行や撮影などの目的が明確・合理的で、映画、ドラマ、雑誌などの撮影、イベントなど市長が認めるものに限り許可する。
→「相模原市都市公園条例」第3条、第5条による
出典:国土交通省「無人航空機の飛行を制限する条例等」より抜粋、編集
自治体の条例は非常に数多いため、ここにすべて記載することはできませんが、国土交通省が「無人航空機の飛行を制限する条例等」という一覧表を公開しています。
ドローンを飛ばす前に、そのエリアで条例によって許可が求められていないか、このリストでチェックしましょう。
その上で、許可が必要であればかならず申請してください。
ドローンを飛ばす際に許可が必要な飛行方法
次に、ドローンを飛ばす方法です。
「航空法」では、以下のような飛行方法は原則禁止されていて、もしこのような飛ばし方をする場合には許可が必要と定められています。
【許可が必要な飛行方法】
① |
夜間の飛行 |
目視外の飛行 |
|
人や物との距離が30m未満になる飛行 |
|
② |
お祭りやイベントなどの上空での飛行 |
危険物の輸送(農薬散布など含む) |
|
物を投下すること(農薬散布など含む) |
→ただし、ドローンの飛行ルートの下やその周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じた上で、「第一種または第二種機体認証」と「一等または二等操縦者技能証明」の両方を取得した人が①の飛行を行う場合は、承認申請は不要
それぞれ説明しましょう。
夜間の飛行
まず、「夜間の飛行」です。
「航空法」で認められているのは「日中」の飛行で、夜間の飛行は危険性が高まるので原則的に禁止されています。
そのため、夜に飛ばしたい場合には許可申請が必要です。
ちなみにここでいう「夜間」とは、「国立天文台が発表する日没の時刻から日の出の時刻まで」を指します。
つまり、日によって「夜間」とされる時間は異なるわけです。
もし、夕方や明け方にドローンを飛ばしたい場合は、日没・日の出の時間をあらかじめ確認した上で、その間にかかるのであれば許可申請をしましょう。
ただし、ドローンの飛行ルートの下やその周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じた上で、「第一種または第二種機体認証」と「一等または二等操縦者技能証明」の両方を取得した人が飛行を行う場合は、承認申請は不要です。
目視外の飛行
次に、「目視外の飛行」も許可が必要です。
「目視」とは、直接肉眼で見ることを指します。
もっとくわしく説明すると、「目視」と「目視外」の区別は以下のように考えられます。
目視に含まれる |
|
---|---|
目視に含まれない |
|
「航空法」にのっとれば、許可がいらない「目視」の範囲内の飛行とは、ドローンの操縦者本人が、肉眼(メガネかコンタクトレンズ装着は可)で、ドローンの位置や飛行姿勢を把握できて、飛んでいる周辺に人やものがないかどうかの確認も確実に行える状態での飛行に限られます。
それができない場合、たとえばモニターを見ながら操縦したいときなどは、目視外飛行の許可をとらなければなりません。
FPVドローンの飛行は目視外に該当する
ドローンの中には、「FPV(=First Person View/一人称視点)」という機能を備えているものがあります。
これは、ドローンに搭載したカメラに映し出される映像を、操縦者がモニターやヘッドマウントディスプレイなどでリアルタイムで見ることができるものです。
いわば、人がドローン視点でものを見ることができるわけです。
そのため、これを「目視」と勘違いしている人もいるようですが、FPVでの飛行は目視外です。
許可申請が必要なものですので、注意してください。
ただし、いずれの場合も、ドローンの飛行ルートの下やその周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じた上で、「第一種または第二種機体認証」と「一等または二等操縦者技能証明」の両方を取得した人が飛行を行う場合は、承認申請は不要です。
人や物との距離が30m未満になる飛行
「人や物との距離が30m未満」の飛行も、許可が必要です。
たとえば、「人やものに近づいての撮影」などです。
ただ、ここでいう「人」とは、ドローンの操縦者自身と、補助者などの関係者を除きます。
つまり、操縦者や補助者がドローンと30m以上近づく飛行に関しては、航空法の許可は不要ということです。
また、ここでいう「物」とは、以下のように定められています。
「物」に含まれる |
|
---|---|
「物」に含まれない |
a)土地(田畑用地及び舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道の線路等であって土地と一体となっているものを含む。) |
出典:国土交通省「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」
また、ドローンの飛行ルートの下やその周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じた上で、「第一種または第二種機体認証」と「一等または二等操縦者技能証明」の両方を取得した人が飛行を行う場合は、承認申請は不要です。
お祭りやイベントなどの上空での飛行
「ドローンでスポーツの試合を空撮したい」「お祭りで踊りを披露するので、ドローンで撮影したい」などと考える人も多いでしょう。
が、お祭りやイベントなど「多数の者の集合する催し」での飛行は、原則的に禁止されていますので、飛ばしたい場合は許可を取らなくてはなりません。
ここでいう「お祭りやイベント」は、航空法では「祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催し」と記されています。
具体的には、以下のようなものが該当します。
該当するもの |
祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート、町内会の盆踊り大会、デモ(示威行為) 等 |
---|---|
該当しないもの |
自然発生的なもの(例えば、混雑による人混み、信号待ち 等) |
出典:国土交通省「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」
危険物の輸送(農薬散布など含む)
ドローンは、ものを輸送する役割も期待されていますが、もし危険物を輸送中に落下させてしまえば、その下にいる人や周辺エリアに被害を及ぼすリスクがあります。
そのため、危険物の輸送は原則禁止で、実施する際には許可が必要です。
たとえば、遠隔地に燃料や薬を届けたい場合などが想定されます。
また、農業ではドローンによる農薬散布も行われていますが、農薬の輸送も危険物として許可が必要となっています。
物を投下すること(農薬散布など含む)
また、ドローンからものを落とすことも禁止されていて、行いたい場合は許可が必要です。
たとえば、水や農薬の散布はこれにあたるため、無許可では行えません。
一方で、ドローンで物資を輸送した場合に、届け先で物資を上空から投下せずに、地表まで降りて置くのであれば、これには該当しないため、航空法上は許可なく行えます。
ドローンを飛ばす際の許可の申請先
さて、チャートで「許可が必要」となった場合は、許可の申請をしなければなりません。
では、どこにどんな方法で申請すればいいのでしょうか?
以下を見てください。
必要な許可に対して、許可の申請先を表にまとめました。
これで「どこに許可を取ればいいのか」を確認しましょう。
その上で、くわしい申請方法は、別記事「【チャート付】ドローンの飛行申請が必要な全パターンとその申請方法」に解説していますので、実際に許可をとる際にはそちらを読んでください。
法律・条例 |
許可が必要な要件 |
許可申請先 |
---|---|---|
航空法 |
<飛行場所>
|
国土交通大臣 |
<飛行方法>
|
||
小型無人機等飛行禁止法 |
国の重要な施設(国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所)とその周辺300mの上空 |
|
皇居、御所ととその周辺300mの上空 |
|
|
外国公館とその周辺300mの上空 |
|
|
防衛関連施設とその周辺300mの上空 |
※周辺に海域が含まれる場合は、管轄の海上保安部 |
|
空港(新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港)とその周辺300mの上空 |
※周辺に海域が含まれる場合は、管轄の海上保安部 |
|
原子力事業所とその周辺300mの上空 |
|
|
民法 |
私有地 |
土地の所有者 |
道路交通法 |
|
管轄の警察署 |
都市公園法 自然公園法 |
都市公園、自然公園は法律では許可不要だが、公園の管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり |
公園の管理者 |
国有林野の管理経営に関する法律 |
国有林はドローンの飛行に関しては許可不要だが、「入林届」の提出が必要 |
国有林の管理者 |
河川法 海岸法 |
川や海岸は法律では許可不要だが、管理者が許可申請を求めたり、ドローンを禁止する場合あり |
河川、海岸の管理者 |
港則法 海上交通安全法 |
海上でのドローンの飛行が以下の該当する場合
|
|
都道府県・市区町村条例 |
各都道府県・市区町村によって異なる |
各都道府県・市区町村が定めた者 |
まとめ
いかがでしたか?どの様なケースでドローンの飛行許可が必要になるかについて、知りたいことがわかったかと思います。
ではあらためて、記事の要点をまとめてみましょう。
◎ドローンを飛ばす際には「場所」と「方法」について許可が必要な場合がある
◎ドローンは「重量100g未満」「100g以上」で必要な許可が異なる
◎飛行許可の申請には「個別申請」と「包括申請」がある
◎許可申請は誰でもできる
◎ドローンを飛ばす際に許可が必要な場所は、下記の通り
法律・条例 |
場所 |
---|---|
航空法 |
|
小型無人機等飛行禁止法 |
以下の施設とその周辺300mの上空
|
民法 |
|
道路交通法 |
|
その他の法律 |
|
都道府県・市区町村条例 |
|
◎ドローンを飛ばす際に許可が必要な飛行方法は、下記の通り
法律 |
飛行方法 |
||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
航空法 |
→ただし、ドローンの飛行ルートの下やその周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じた上で、「第一種または第二種機体認証」と「一等または二等操縦者技能証明」の両方を取得した人が①の飛行を行う場合は、承認申請は不要 |
以上を踏まえて、あなたが正しく許可をとった上で、ドローンを飛ばせるよう願っています。