ドローンのリモートIDとは?搭載義務/免除の条件や価格・登録方法

ドローンのリモートIDとは?搭載義務/免除の条件や価格・登録方法

ドローンの機体登録制度の創設に伴い、登録機には「リモートID機能」の実装も求められるようになりました。

ですが、リモートIDという機能自体があまり馴染みのないものだけに、

「そもそもリモートID機能って何?」
「実装するにはどういった選択肢があるのか?」
「費用はどのくらいかかるの?」

といった疑問を抱え、困っていませんか?

そこで本記事では、リモートID機能を実装するために知っておきたいさまざまなことについて詳しく解説、そうした疑問に丁寧にお答えしていきます。

さらに、「リモートID機器を買ってきて後付けすべき?それとも機器が内蔵されているドローンに買い替えるべき?」など多くのユーザーが迷うであろうことも取り上げています。

お読みいただいた後には、リモートID機能の実装義務化の全容がわかるとともに、ドローンユーザーとして具体的に何をすればよいかも明確になっているはずです。

リモートID機能について少しでも不安や疑問点をお持ちの方、対応に戸惑っている方は、ぜひお読みください!

目次

リモートIDは“電波で伝えるナンバープレート”

リモートIDは“電波で伝えるナンバープレート”

[出典]「リモートIDの導入について」(内閣官房小型無人機等対策推進室)

2022年6月20日以降、機体重量100g以上のドローンには「リモートID機能」を備えることが求められるようになりました。

リモートID機能とは、機体固有の識別情報を電波で発信することにより、離れた場所からでも「飛行しているのはどんな機体か?」を認識できるようにする機能のこと。

物理的な表示ではないため目には見えませんが、いわば電波で伝えるナンバープレートのようなものです。

未登録の機体や不審な飛行を判別・特定できるようにして空の安全を確保する目的で導入されました。

発信される識別記号の内容

リモートID機能により発信される識別情報には静的情報と動的情報があり、それぞれ下図のような情報が含まれます。

発信される識別記号の内容

どこをどう飛行しているかを知らせる動的情報は、電波で発信するリモートID機能ならではの識別情報といえるでしょう。

100g以上のドローンはリモートID機能の実装が必要に

100g以上のドローンはリモートID機能の実装が必要に

リモートID機能の実装義務は、2022年6月20日より施行されている機体登録制度の一環です。

機体登録制度は文字通り「機体を登録すること」を義務付けるものです。

しかし、ただ登録するだけではなく、登録内容を明示することも併せて義務付けられており、制度全体としては下記の3つの対応が求められています。

①機体登録システムに機体を登録する

②付与された登録記号を機体に物理的に表示する

③登録記号を含む各種識別情報をリモートID機能で発信する

上記③(上図の赤枠箇所)に当たるのが、本記事で取り上げるリモートID機能の実装義務です。

(機体登録制度についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください)

《リモートID機能を備えていなければ飛ばせない》

リモートID機能の実装は推奨や努力義務ではなく、法律(航空法)に明確に定められた義務です。したがって、対象となる機体重量100g以上のドローンは、リモートID機能を備えていなければ飛行させることができません。

未実装にもかかわらず飛行させるのは、ナンバープレートをつけていない車を運転するのと同様に法律違反であり、罰則(50万円以下の罰金)も規定されています。

リモートID機能を実装する方法は2パターン

リモートID機能を実装する方法は2パターン

リモートID機能を実装する方法には2つのパターンがあります。

 

【パターン1】リモートID対応機種を購入する

リモートID機能を備えるにはリモートID機器を搭載する必要がありますが、リモートID機器がはじめから内蔵されている機種(リモートID対応機種)が複数あります。

リモートID機能にもともと対応しているそうした機種を購入すれば、実装義務を履行できます。

(リモートID機能対応機種については「リモートID機能対応機種かどうかの確認方法」の章で後述)

既に所有しているドローンがリモートID対応機種であれば、既に実装済みということですので、実装のための何らかの追加対応は必要ありません。

 

【パターン2】リモートID機器を後付けする

リモートID機能に対応していない機種(リモートID機器を内蔵していない機種)については、外付け型リモートID機器を別途購入し、後付けすることで対応可能です。

(外付け型リモートID機器については「外付け型リモートID機器の仕様と価格」の章にて後述)

《リモートID機器は規格を満たしているものを》

内蔵されているのであれ後付けするのであれ、搭載リモートID機器は国土交通省の定める規格を満たすものでなくてはなりません。

(規格を満たすための要件の詳細については「リモート ID 機器等及びアプリケーションが備えるべき要件」、規格を満たしている製品については「適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧」をご参照ください)

とはいえ、日本国内でリモートID機能対応機種として販売されているドローンや、今回の義務化に伴い販売されているリモートID機器は、基本的にどれも規格に準拠していますので、神経質になる必要はありません。

リモートID機能実装が免除されるケース

原則として機体重量100g以上のドローンのすべてにリモートID機能の実装が義務付けられていますが、例外的に実装義務が免除されるケースもあります。

 

【免除されるケース・1】事前登録期間中に登録手続き済みの機体である場合

2022年6月20日の施行開始となった機体登録制度ですが、正式運用開始に先駆け事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)が設けられていました。

同期間中に先行して登録済みの機体であれば、リモートID機能を備えていなくても飛行させることが可能です。

これは、リモートID機器の後付け対応が難しいケースも少なくないと予想されたため、リモートID機能対応機種が一般的となるまでの移行期間中の経過措置として適用されたものです。

 

【免除されるケース・2】リモートID特定区域内で安全措置を講じて飛行させる場合

あらかじめ国土交通省に届け出てある機体を、同じくあらかじめ届け出てある「リモートID特定区域」の上空に限り、安全措置(境界線を示す標識の設置や補助者の配置など)を講じた上で飛行させるケースも免除対象です。

免除される理由は、届出済みの限定された区域内で安全に飛行させる場合、リモートIDにより遠隔から識別する必要性が低いからです。

《特定区域の届出は、ドローンスクールやラジコンクラブ等でない限り現実的ではない》

特定区域の届出は誰でも届出可能です。

しかし、特定区域は塀や柵などで外縁が完全に囲われ、周囲から見たときにそこが特定区域であることが明らかにわかるようになっていることが条件です。

つまり、都度届け出るというよりは飛行専用の場所を恒久的に確保できるのが前提となっているイメージで、個人での届出は困難なことがほとんど。主にドローンスクールやラジコンクラブといった団体による届出が大半であるのが実情です。

[参照]リモートID特定区域の届出要領(国土交通省)

 

【免除されるケース・3】係留して飛行させる場合

十分な強度を有する紐(長さ30m以内)などで係留した上でドローンを飛行させる場合、リモートID機能の実装義務が免除されます。

限定された範囲の飛行となるため、リモートIDにより識別する必要性が低いと考えられるからです。

《法執行機関の機体も免除対象》

一般ユーザーには無関係のため上では挙げていませんが、警察や海上保安庁などによる秘匿を要する業務に使用されるドローンについてもリモートID機能実装義務が免除されます。

言うまでもなく、秘匿性が求められるため識別情報を発信するわけにはいかないからです。

リモートID機能対応機種かどうかの確認方法

リモートID機能対応機種かどうかの確認方法

リモートID機能に対応した機種(リモートID機器が内蔵されている機種)が既に複数販売されていますが、所有しているドローンがそうした対応機種であるかどうかは、次の2つの方法で確認できます。

  1. 国土交通省の公表している「適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧」に掲載されているかを確認する(掲載されていれば対応機種)
  2. メーカーの公式サイトなどで確認する

ご参考までに、本記事執筆時点で判明している対応機種を一覧表にしました。

リモートID機能に対応した機種の一覧表

今持っているドローンがリモートID機能に対応していない場合、こうした対応機種に買い替えるか、外付け型のリモートID機器を後付けするかのいずれかになります。

(買い替えか後付けかの判断方法については次章をご参照ください)

なお、もともとドローンを持っておらず、これから新たに購入しようとしている場合は、スペックに不満があったり特定の機種である必要があったりするのでない限り、リモートID機能対応機種の中から選ぶのが賢明でしょう。

非対応機種を購入する場合、外付け型のリモートID機器を別途買ってきて後から搭載する手間や費用をかける必要があるからです。

《ファームウェア更新を忘れずに!》

上でご紹介したどの機種も、リモートID機器は事前に内蔵されており、その機能を有効化するためのファームウェアを同機能の実装義務化に合わせてリリースしています。

そのため、ファームウェアが当該バージョン以降のものに更新されていないと、リモートID機能が有効となりません。

最新バージョンのファームウェアに更新しておくことを忘れないようにしましょう。

高額な大型機ならリモートID機器を購入して後付け、手頃な小型機なら対応機種への買い替えが妥当

高額な大型機ならリモートID機器を購入して後付け、手頃な小型機なら対応機種への買い替えが妥当

所有しているドローンがリモートID対応機種であれば問題ありませんが、そうでない場合には何らかの対処が必要となってきます。

前述の通り、対処方法には「対応機種を購入する」「機器を後付けする」の2パターンがありますが、どちらが妥当かはケースバイケース。

ですが、一般論として、高額な産業用の大型機などであればリモートID機器を購入して後付け、手頃な価格帯の小型機であれば対応機種への買い替えがおすすめといえるでしょう。

その理由は次の2つです。

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【理由1】外付け型リモートID機器を今持っている小型機に後付けするより、対応機種に買い替えたほうが合理的だから

そこそこの性能の小型機で十分であれば、外付け型のリモートID機器を購入して後付けするのと対応機種に買い替えるのとでは、費用がそこまで変わりません。

 

【理由2】リモートID機器の後付けによる重量増加は、軽量な小型機に負担となることも考えられるから

もとより重量のある大型機であれば、リモートID機器の重量が負担となることはまずありませんが、軽量な小型機にリモートID機器を後付けする場合は多少の影響が出てくる可能性も考えられます。

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この2つの理由について、もう少し詳しく見ていきましょう。

【理由1】外付け型リモートID機器を今持っている小型機に後付けするより、対応機種に買い替えたほうが合理的だから

外付け型リモートID機器の価格相場は44,000円前後。(詳しくは次章「外付け型リモートID機器の仕様と価格」を参照)

リモートID機器が内蔵されている対応機種は、たとえばDJI社製のMavic Mini 2なら定価59,400円で販売されています。

外付け型リモートID機器の購入費用に15,000円ほど追加すれば、機器を内蔵した新品の小型機を買えるわけです。

年季の入った手もとの機体に4万円以上するリモートID機器を後付けする代わりに、リモートID機器があらかじめ内蔵されていて6万円弱のMavic Mini 2に買い替えるという考えが当然視野に入ってくるでしょう。

一方、最低でも数十万円するような大型機であれば、買い替えよりも外付け型リモートID機器を購入して済ませるほうが経済的です。

《スペックが問題なければ、小型機の購入はMavic Mini 2がおすすめ!》

手頃な値段の小型機を購入したいと考えているのであれば、現時点での選択肢はDJI Mini 2のほぼ一択となるでしょう。

なぜなら、たとえば2万円台から販売されているような小型機を新たに購入する場合、外付け型リモートID機器の購入費用と合わせると6〜7万円。

リモートID対応機種であるDJI Mini 2が6万円を切る価格で販売されている以上、かえって費用がかかるそうした組み合わせで購入する理由は見当たらないからです。

DJI Mini 2は、手の届きやすい値段の小型機ながら、充実した機能を備えています。

  • 高画質な4K動画撮影に対応
  • 最大4倍ズームまで対応
  • 3軸ジンバル搭載でなめらかな映像が撮影可能
  • 風圧抵抗レベル5で風速29〜38 km/hの風にも耐える
  • 最大6 kmのHD動画伝送に対応

しかし、ビジネスでのドローン活用を想定しているケースなど、Mavic Mini 2のスペックでは不十分というケースもあるでしょう。

「性能が高くなるならもう少しお金を出してもよい」という場合に選択肢となり得るリモートID対応機種としては、同じくDJI社製のDJI Mini Pro 3かMavic Air 2S(どちらも定価10万円強)が挙げられます。

DJI社製のリモートID対応機種スペック表

【理由2】リモートID機器の後付けによる重量増加は、軽量な小型機に負担となることも考えられるから

外付け型リモートID機器は軽いものなら10g前後。

100g台の機体に搭載しても飛行に支障ないとは考えられるものの、本体の10分の1ほどの荷物を載せて飛ばすことになるため、まったく影響がないとは言い切れません。

風を受けた際などにバランスを取りづらくなる可能性はありますし、全体の重量が増える分バッテリー消費が増え、飛行時間が多少短くなるでしょう。

リモートID機能対応機種であれば、ファームウェアを更新するまでは機能が有効とはならないものの、リモートID機器自体は以前から内蔵された状態で販売されており、機能有効化前後で重量やバランスは一切変化しません。

結果として、外付け型リモートID機器の重量の影響が大きくなる軽い機種ほど、対応機種への買い替えが現実味を帯びてくるといえそうです。

一方、本格的なカメラを搭載して飛ばす産業機や重いタンクとともに飛行する農業機のような大型機では、10g前後の重量が負担になるといったことはほとんどないと予想され、少なくとも重量を問題視する必要はないでしょう。

外付け型リモートID機器の仕様と価格

外付け型リモートID機器の仕様と価格

リモートID対応機種ではない場合、外付け型リモートID機器を別途購入して搭載する必要があります。

市販されている外付け型リモートID機器は複数機種ありますが、入手しやすいのは上図の3機種で、それぞれ特徴がありますが総合的に見ておすすめなのはTEAD社製のTD-RIDです。

なぜなら……

  • 内蔵バッテリーで動く
     →ドローン本体から給電する方式のBraveridge社製品は配線作業が必要
  • 筐体にすっきりと収まっている
     →基板がむき出しになっているBraveridge社製品は慣れている人でなければ扱いづらい
  • 筐体込みで重量12gとごく軽量
     →同じように筐体に収まっているイームズロボティクス社製品は33gと3倍近い重量

つまり、軽くて扱いやすいのがTEAD社製のTD-RIDであるといえ、特段の理由やこだわりがない限り同製品を選んでおくべきといってよいでしょう。

とはいえ、個別の希望に沿うようなスペックを優先したい場合もあるかもしれません。

市販されている各製品を上図でおおまかに比較していますので、ご参考になさってください。

以下、各製品についてより詳しくご紹介していきます。

TEAD社製「TD-RID」

TEAD社製「TD-RID」

[出典]TD-RID製品紹介ページ(TEAD社)

ラジコンのパーツの取り扱い開始とともに始めた小型ドローンの制作・輸入販売が現在のドローン事業につながったTEAD社。

同社が製造販売するリモートID機器「TD-RID」は12gと軽量で、機体への重量負担を抑えられます。

軽量とはいえ、基板が内蔵バッテリーとともに筐体内に収められており扱いやすいので、特別な知識や技術を持ち合わせていなくても容易に搭載できるでしょう

また、全方向性設計となっているため、電波の届き具合を気にすることなく機体のさまざまな場所に搭載可能です。

総合的に見て使いやすいといえ、多くの人におすすめできるリモートID機器です。

【こんな人におすすめ】

  • どれにするか迷っている人
  • 扱いやすく軽量なものを希望している人
  • いわゆる機械いじりは苦手な人

イームズロボティクス社製「REMOTE ID」

イームズロボティクス社製「REMOTE ID」

[出典]REMOTE ID製品紹介ページ(イームズロボティクス社)

重労働や危険な仕事にドローンなどを活用したロボティクス技術を活用し、さまざまな社会課題を解決する「ソーシャル・ロボティクス企業」を目指すイームズロボティクス社からも、リモートID機器が販売されています。

同社製リモートID機器は、重量33gと前出のTEAD社製の製品の3倍近い重量ではあるものの、送信距離が1,500mと長く、広範囲をカバーできることが最大の特長です。

たとえば企業などでは、警察などが受信できるように識別情報をドローンから発信させるだけでなく、自社側でも受信機を用意して、各機の飛行状況を把握・監視するシステムを構築するケースもあるのではないでしょうか。

そうしたケースでは、重量の点では有利とはいえなくても本製品が最適でしょう。

なぜなら、電波の送信距離が長いほど、モニター上から機影が消えて見失ってしまう恐れが少なく安心だからです。

また、筐体の耳部分に取り付け穴があるので、ネジ留めでしっかりと固定できます。

【こんな人におすすめ】

  • リモートIDソリューションの導入を検討している人

(リモートID機器をただ搭載するだけでなく、そこから発信される電波を受信して各ドローンの飛行情報を管理するシステムを考えている)

Braveridge社製「BVRPA」「BVRPN」

Braveridge社製「BVRPA」「BVRPN」

[出典]BVRPA/BVRPN製品紹介ページ(Braveridge社)

IoTに必要とされるすべてをワンストップで提供するBraveridge社はドローンメーカーではありませんが、その高い無線通信技術をリモートID機器にも活かしています。

同社製のリモートID機器は、バッテリーではなくドローン本体から給電するタイプ。

また、筐体のない基板がむき出しの仕様のため、バッテリーと筐体がない分だけ軽量化され、8.5gという軽さを実現しています

ただし、基板の状態の製品なので配線作業が必要となり、ドローンのメンテナンスなどに慣れた人でないとやや扱いづらいでしょう。

アンテナ内蔵タイプのBVRPAとアンテナ外付けタイプのBVRPNがあります。

【こんな人におすすめ】

  • とにかく軽いものを探している人
  • できるだけ費用をかけたくない人
  • むき出しの基板を扱うことや配線作業に抵抗がない人

《リモートID機器を自作する人も……!》

リモートID機器の規格書(「リモート ID 機器等及びアプリケーションが備えるべき要件」)は公開されていますので、規格を満たすリモートID機器の自作は理論的には可能です。

ただし、識別情報を発信する必要があるため、ハンダ付けなどの作業だけでなく、オープンソースやオープンプロトコルを活用してのプログラミング作業も行わなくてはなりません。

誰もが簡単に自作できるというものではなく、むしろ自作できる人は限られると考えられますが、挑戦するならそうした趣旨のウェブサイト「Open Drone ID」の情報が役立つでしょう。

外付け型リモートID機器の選び方

外付け型リモートID機器の選び方

多くの方におすすめできる外付け型リモートID機器は、前述の通り、TEAD社製のTD-RIDです。

ですが、今後新たな機器が販売されれば、それも候補に含めて選ぶことになるでしょう。

そうした検討の際に基準とすべき要素は、次の3つになります。

重量

ドローン本体が軽ければ軽いほど、搭載することになるリモートID機器の重量が影響します。

少なくとも100g台の機種については、できる限り軽量な製品を選ぶのが無難でしょう。

価格

予算の都合ももちろんありますが、ドローン本体価格とのバランスも関係してきます。

前述したように、価格によってはリモートID機能対応機種への買い替えが妥当でしょう。

通信距離

「義務化されたからリモートID機器を後付けする」というだけであれば、発信される電波をキャッチして監視する側(警察、重要施設の警備関係者など)の利便性まで考慮する必要は基本的にはありません。

ですが、自身でも電波を受信してドローンの飛行軌跡をモニターしたり飛行履歴を管理したりする目的がある場合は、できるだけ広範囲のデータを得るために通信距離の長い機器を選ぶとよいでしょう。

外付け型リモートID機器の搭載位置・方法

外付け型リモートID機器はどこにどのように搭載すればよいのでしょうか。

一般的な位置、主流となっている方法を確認しておきましょう。

搭載位置

外付け型リモートID機器の搭載位置・方法

[出典]TD-RID製品紹介ページ(TEAD社)

外付け型リモートID機器を搭載する場所に決まりはありません。

しかし、プロペラが干渉しない位置でなければなりませんので、ドローン本体のアームあるいはボディ(通常は上面または側面)ということになるでしょうが、一般的には機体上部(上の写真中央「ボディに」の位置)に搭載することが多いようです。

機体の製造メーカーや販売会社に取り付け推奨位置を問い合わせてみてもよいでしょう。

搭載方法

強力な両面テープで貼り付けるケースが多いようです。

取り外しを想定している場合はファスナーテープ(オスメスのある面ファスナー)を使うとよいでしょう。

TEAD社からはリモートID専用のファスナーテープも販売されています。

[参考] TEAD リモートID用ファスナーテープ(5組入り)

取り付け穴のある機器であれば、しっかりと固定できるネジ留めも選択肢となります。

リモートID機器への書き込み方法

リモートID機器への書き込み方法

リモートID機器は搭載すればそれでおしまいではなく、識別情報を書き込んで初めて機能します。

そのため、外付け型はもちろん対応機種に内蔵されている場合でも、リモートID機器のチップへの書き込み作業が必要です。

《機体登録はお済みですか?》

リモートID機器への情報書き込みは、ドローン登録システムの情報と機体情報を連携する形で行うため、ドローン登録システムに機体を登録済みであることが前提です。

ドローン登録システムへの機体登録の方法についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、ご参照ください。

以下で、外付け型リモートID機器の場合と内蔵型リモートID機器の場合とに分けて、書き込み手順を説明します。

(外付け型リモートID機器の場合については、さらに「機体登録時にリモートID有無の項目で『あり(外付型)』を選択した場合」と「外付型リモートID機器で機体登録時にリモートID有無の項目で『なし』を選択した場合」とに分けて説明します)

外付け型リモートID機器の場合

外付け型リモートID機器の場合は、機体登録時にリモートID有無の項目で「あり(外付型)」を選択したか「なし」を選択したかで手順が多少変わってきます。

機体登録時にリモートID有無の項目で「あり(外付型)」を選択した場合の手順、「なし」を選択した場合の手順を、以下でそれぞれ説明します。

▶︎以下の手順は、既に手もとに外付け型リモートID機器がある前提で説明したものです。まだ機器を用意していない場合は、まず購入するなどして用意してから進めてください。

共通の事前準備

1.DIPS-APPをダウンロードする

リモートID機器への識別情報の書き込みには、専用アプリ「DIPS-APP」を使いますので、スマートフォンに同アプリをインストールしておきます。

スマートフォンがiOSの場合は「App Store」から、Androidの場合は「Google Play」からインストールします。

▶︎DIPS-APP以外の方法で書き込みを行うことはできないため、スマートフォンを持っていない場合はスマートフォンを持っている知人に依頼するなどして作業を進める必要があります。

2.機体のファームウェア、アプリのバージョンを最新状態にする

ドローン本体のファームウェアを更新して最新状態にするとともに、そのドローンの専用アプリ(たとえばDJIであればDJI Fly)も最新バージョンにアップデートしておきます。

機体登録時にリモートID有無の項目で「あり(外付型)」を選択した場合

1.DIPS-APPにログインする

リモートIDありの場合 DIPS-APPにログイン

[出典]「DIPS APP使い方マニュアル」(国土交通省)

DIPS-APP起動後に表示されるログイン画面で、登録システムのログインIDとパスワードを入力し、[ログイン]をタップします。

2.メニューを選ぶ

リモートIDありの場合 メニューを選ぶ

[出典]「DIPS APP使い方マニュアル」(国土交通省)

ログインするとホーム画面が表示されるので、メニューの中から[リモートID書き込みへ]を選んでタップします。(画面下部にある[機体一覧]をタップしてもOK)

3.対象の機体を選ぶ

リモートIDありの場合 対象の機体を選ぶ

[出典]「DIPS APP使い方マニュアル」(国土交通省)

登録済みの機体の一覧画面が表示されるので、リモートIDへの書き込み作業を行いたい機体を探して、その[所有機体詳細]をタップします。

4.リモートID書込手続きを開始する

リモートIDありの場合 リモートID書込手続きを開始

[出典]「DIPS APP使い方マニュアル」(国土交通省)

選択した機体の詳細画面が表示されるので、[リモートID書込]をタップします。

5.書き込み先のリモートID機器を書き込み可能な状態にする

リモートID機器に対応する専用アプリを介して、リモートID機器側を書き込み可能な状態にします。(操作方法はアプリごとに異なるため、取扱説明書を参照するなどしてご確認ください)

6.書き込み先のリモートID機器を選ぶ

リモートIDありの場合 書き込み先のリモートID機器を選ぶ

[出典]「DIPS APP使い方マニュアル」(国土交通省)

接続可能機体一覧ダイアログが開くので、そこに表示されている番号が書き込み先のリモートID機器の製造番号と一致しているかを確認して、問題なければその番号をタップします。

7.書き込みを実行する

リモートIDありの場合 書き込みを実行

[出典]「DIPS APP使い方マニュアル」(国土交通省)

「以下の機体にリモートIDを書き込みますか?」と表示されるので、[OK]をタップします。

8.書き込み完了

リモートIDありの場合 書き込み完了

[出典]「DIPS APP使い方マニュアル」(国土交通省)

「リモートIDの書き込みが完了しました」と表示されれば書き込み完了ですので、[OK]をタップして終了します。

機体登録時にリモートID有無の項目で「なし」を選択した場合

1.ドローン登録システムにアクセスする

ドローン登録システムのトップページにアクセスします。

2.ログイン画面を開く

リモートIDなしの場合 ログイン画面を開く

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

トップページ右上の[ログイン]ボタンを押し、ログイン画面を開きます。

3.ログインする

リモートIDなしの場合 ログインする

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

「アカウントを開設済の方」の入力欄に、ログインIDとパスワードを入力し、[ログイン]ボタンを押してログインします。

▶︎上図はパソコンで手続きを進めた場合の画面イメージです。スマートフォンで登録手続きを行う場合は、画面右上のメニューボタンを押し、[ログイン]を選んでログインします。

4.機体情報の変更手続きを開始する

リモートIDなしの場合 機体情報の変更手続きを開始

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

ログインするとメインメニュー画面が表示されるので、「所有者本人が手続きする場合はこちら」の見出しの下にある[機体情報・使用者情報の確認/変更]を押します。

5.機体情報を変更する機体を指定する

リモートIDなしの場合 機体情報を変更する機体を指定

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

登録済みの所有機体が一覧表示されますので、対象の機体を探し、左端の列にあるチェックボクスにチェックを入れた上で[機体・使用者情報の変更]を押します。

6.指定した機体を確認する

リモートIDなしの場合 指定した機体を確認

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

「所有者情報を変更する機体の確認」画面に進むので、選択した機体が間違いなく表示されているのを確認の上[変更する機体・使用者情報の入力]を押します。

7.機体・使用者情報の変更フォームを開く

リモートIDなしの場合 機体・使用者情報の変更フォームを開く

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

「変更する機体・使用者情報の入力」画面が開くので、「機体情報に変更はありますか?」の下にある[いいえ]を押します。

続けて「機体情報」と書かれたバーの[+]ボタンを押します。

▶︎「機体情報に変更はありますか?」の問いに対し[はい]を押すと、機体に改造が加わった扱いになってしまいます。リモートID関連情報を変更する場合は[いいえ]を押します。

8.リモートID関連情報をアップデートする

機体情報の変更フォームが展開されるので、リモートID有無の項の選択を「なし」から「あり(外付型)」へ変更します。さらに、リモートID機器の製造者名・型式・製造番号も入力します。

入力が完了したら[確認]を押します。

9.入力内容を確認する

リモートIDなしの場合 入力内容を確認

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

「所有者・機体・使用者情報の確認」画面が開きますので、入力した内容に誤りがないかを確認し、[変更申請]ボタンを押します。

10.メールアドレスを認証する

リモートIDなしの場合 メールアドレスを認証

[出典]「ドローン登録システム 操作マニュアル」(国土交通省)

「【ドローン登録システム】各種手続き確認のお知らせ」という件名で、情報変更申請が国土交通省に届いたことを知らせる到達確認メールが送付されます。

メール中に記載された到達確認用URLをクリックし、到達確認を行います。(このURLをクリックしないと、国土交通省側での手続きが進みません)

11.リモートID関連情報のアップデートを完了する

国土交通省側での届出内容確認が終わると、その旨のメールが届きます。

これでリモートID機器への書き込み準備が整いました。

12.リモートID機器に書き込む

ここから先は「外付型リモートID機器で機体登録時にリモートID有無の項目で『あり(外付型)』を選択した場合」の項と同じ手順を進めていきます。

内蔵型リモートID機器の場合

対応機種に内蔵されているリモートID機器の場合、識別情報の書き込み作業は各機種のメーカーが指定する方法で行います。

ここでは一例として、DJI社製の対応機種のケースをご紹介します。

(全体の流れと概要のみの説明となりますので、詳細は各メーカーの提供する情報をご参照ください)

求められるのは、次の3つの対応です。

  1. DJI社製ドローン操縦用アプリ「DJI Fly」のバージョンを1.6.6以降にアップデートする
  2. 機体とプロポ(送信機)のファームウェアを最新の状態にアップデートする
  3. DJI Fly経由でドローン登録システム上の登録情報と機体の情報を連携させる

スマートフォンやタブレットを上部にはさみこんで使うタイプのプロポか、DJI Fly内蔵タイプのプロポ(送信機)かで手順が異なりますので、それぞれのケースを順に見ていきましょう。

▶︎以下の手順は、リモートID有無情報が「あり(内蔵型)」となっている前提で説明したものです。

ドローン登録システムでの機体登録時に、リモートID有無の項目で「なし」を選択した場合は、前項「機体登録時にリモートID有無の項目で「なし」を選択した場合」の手順11まで対応してから進めてください。

▶︎スマートフォンやタブレットを利用するタイプのプロポの場合

1.アプリ「DJI Fly」のバージョンを1.6.6以降にアップデートする

DJI社製ドローン操縦用アプリである「DJI Fly」を、日本向けリモートID要件に対応するバージョン1.6.6以降にアップデートします。

スマートフォンまたはタブレットをインターネット接続した状態で作業を行います。

<iOSの場合>
App Storeにアクセスし、DJI Flyのページに「アップデート」と表示されていたら、それをタップしてアップデートします。

「開く」が表示されていれば最新バージョンになっているので、アップデート作業は不要です。

<Androidの場合>
DJI Flyを開いてカメラビュー右上の3点リーダー(…)をタップし、「詳細」画面にある「アプリバージョン」の箇所で1.6.6以降の表示となっているかを確認します。

1.6.6以降になっていればアップデート作業は不要です。

1.6.6以降になっていなければ、DJI公式サイトのダウンロードセンターのページにアクセスし、「Download for Android」のバッジをタップしてアップデートします。

 

2.機体とプロポのファームウェアを最新状態にアップデートする

次に機体とプロポのファームウェアを最新の状態にします。

①スマートフォンまたはタブレットをはさみこんだプロポと機体本体とを接続した状態で、DJI Flyを開いてカメラビュー右上の3点リーダー(…)をタップします。

②「詳細」画面にある「機体ファームウェア」の右側に表示されている「更新確認」をタップします。

③「新しいファームウェア更新があります」というポップアップが表示されたら[更新]を選択します。

もしもそうしたポップアップが表示されなければ、既に最新バージョンになっているということですので、更新作業は不要です。

 

3.ドローン登録システム上の登録情報と機体情報を連携する

①DJI Flyを開いてカメラビュー右上の3点リーダー(…)をタップします。

②「安全」画面の下のほうにある「無人航空機システムリモートID」をタップします。

③「無人航空機システムリモートID」(または「UAS登録番号」)という項目の「インポート」をタップします。

④「国土交通省航空局にログイン」画面に遷移するので、[ログイン]をタップします。

⑤「情報連携確認」画面に遷移するので、ログインIDとパスワードを入力した上で[同意して連携]をタップします。

⑥「インポートしました」との表示になれば連携完了です。

▶︎アプリ内蔵タイプのプロポの場合

1.DJI Fly/機体/プロポを最新状態にアップデートする

DJI Flyを内蔵したタイプのプロポの場合、DJI Flyと機体とプロポを一括で最新状態にアップデート可能です。

①プロポと機体本体とを接続した状態で、DJI Flyを開いてカメラビュー右上の3点リーダー(…)をタップします。

②「詳細」画面にある「機体ファームウェア」の右側に表示されている「更新確認」をタップします。

③「新しいファームウェア更新があります」というポップアップが表示されたら[更新]を選択します。

もしもそうしたポップアップが表示されなければ、既に最新バージョンになっているということですので、更新作業は不要です。

 

2.ドローン登録システム上の登録情報と機体情報を連携する

前項「上部はさみこみタイプのプロポの場合」の「3.ドローン登録システム上の登録情報と機体情報を連携する」の手順を実施します。

リモートIDに関して気をつけたいこと

リモートIDに関して気をつけたいこと

最後に、リモートIDに関して気をつけたいことを確認しておきましょう。

使い回す場合は登録システムでの情報変更手続きが必要

外付け型リモートID機器の場合、「別の機体に搭載していたものを取り外して再利用しよう」といったケースもあるかもしれません。

そうした場合には、登録システムに登録済みのリモートID機器情報の変更手続きが必要です。

前章の「機体登録時にリモートID有無の項目で『なし』を選択した場合」と概ね同じ流れで情報変更を行います。

所有者が変わる場合は元所有者が手続きする

外付け型リモートID機器、あるいは内蔵されたドローン本体であっても、「もう使わないからと言って知人が譲ってくれたものを使おう」というケースもあるでしょう。

そうした場合、登録システムに登録済みのリモートID機器情報を変更できるのは元所有者です

譲ってくれた元所有者に登録情報の変更または削除を依頼しましょう。

海外サイトで購入するドローンはリモートID機器内蔵であっても要注意

海外サイト(または海外)で購入する機体については、たとえリモートID機器を内蔵していても「日本の国土交通省の指定する規格を満たしているとは限らない」として非対応機種扱いとなるケースがあります。

そのように非対応機種扱いとなった場合には、実際にはリモートID機器が内蔵されていても外付け型リモートID機器を購入して後付けしなくてはなりませんので、注意しましょう。

たとえば、自衛隊に採用されている仏Parrot社製のドローンや、2020年の東京オリンピック開会式で使われた米Intel社製のドローンは、いずれもリモートID機能を備えています。

しかし、「適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧」には掲載されておらず、現時点では規格を満たしていない扱いとなっています。

購入時には当該機種が「適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧」に載っているかを確認しましょう。

ドローンに搭載するのは「送信機」

リモートID機器には「送信機」と「受信機」の2種類があります。

前者は識別情報を送信する側の機器で、ドローンに搭載されるのはこちらです。

一方、受信機は、飛行中のドローンから発信される識別情報を受信する側の機器です。

外付け型リモートID機器を購入する際は、間違えて受信機を購入しないよう注意しましょう。

まとめ

▼リモートIDはいわば「電波で伝えるナンバープレート」。

▼以下の識別情報がリモートID機能により周囲に発信される。

  • 登録記号
  • 製造番号
  • 位置
  • 速度
  • 高度
  • 時刻

▼リモートID機能の実装は、2022年6月20日より施行されている機体登録制度の一環であり、法的義務。

▼リモートID機能を実装する方法には、次の2パターンがある。

①リモートID機器を内蔵した対応機種を購入する
②外付け型のリモートID機器を後付けする

▼以下の3種類のケースでは、リモートID機能の実装義務が免除される。

①事前登録期間中に登録手続き済みの機体である場合
②リモートID特定区域内で安全措置を講じて飛行させる場合
③係留して飛行させる場合

▼所有しているドローンがリモートID機能非対応機種である場合、高額な大型機なら外付け型リモートID機器を購入して後付け、手頃な値段の小型機なら対応機種に買い替えるのがおすすめ。

▼新たに小型機を購入する場合はリモートID機能対応機種を購入するのが基本。なぜなら、非対応機種と外付け型リモートID機器を購入す場合、対応機種を購入するよりも高くついてしまうから。

▼外付け型リモートID機器を購入する際は、重量、価格、通信距離を基準として選ぶとよいが、総合的にはTEAD社製のTD-RIDがおすすめ。

▼リモートID機能を有効にするには、外付けか内蔵かにかかわらず、あらかじめ識別情報の書き込み作業が必要。

▼搭載するリモートID機器は、国土交通省の指定する規格を満たしていなくてはならず、規格を満たしているとされる機器は「適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧」に掲載されているので確認する。

この先ドローンのリモートID機能対応が進んでいくと考えられますが、当面は非対応機も飛行することになるでしょう。

本記事をご参考に、ご自身の状況に合ったリモートID機能の実装のしかたを見つけてください。