「ドローンを飛ばしてみたいけれど、何か法律で規制されていることはある?」
「ドローンの規制が2022年にいろいろと変わったようだけれど、どうなったの?」
そんな疑問を持っている方も多いでしょう。
ドローンに関しての規制は、大きくわけて以下の5種があります。
- 飛ばす場所に関する規制
- 飛ばす方法に関する規制
- 資格(国家資格)に関する規制 ※2022年12月に大きく改正
- 機体の登録に関する規制
- その他の規制(その他各種法律/条例)
また、現在も法整備が進められていて、2022年には以下のことに関して法改正がありました。
- 操縦者の国家資格が設けられた
- 重さ100g以上のドローンが規制対象になった
- 機体の登録が義務化された
このように、さまざまな規制がある上に年々変化しているのがドローン規制ですので、「ドローンを飛ばしたい」という人は、現状を知って違反しないように細心の注意を払わなければなりません。
そこでこの記事では、2023年最新のドローン規制について、その全体像を解説します。
<この記事でご紹介する内容>
◎2022年に改正されたドローン規制3点
◎なぜ2022年からドローンの規制が変わったのか
◎【2023年版】ドローンに関する規制の全体像(5大規制)
◎【2023年版】ドローン規制によって「できること・できないこと」事例
◎(参考)ドローンを規制する主な法令・条例の条文と解説・要約
最後まで読めば、ドローンに関する規制についてひと通りのことがわかるでしょう。
この記事で、あなたが法令を守って正しくドローンを飛ばせるよう願っています。
目次
ドローンの規制は2022年に大きく変わった
近年、低価格化が進んで誰でも入手しやすくなったドローンですが、だからといっていつでもどこでも気軽に飛ばせるわけではありません。
ドローンを扱うには、法律や条例などさまざまな規制があります。
特に、ドローンの普及に合わせてその規制は2022年に大きく変わりました。
それはどのように、なぜ変わったのでしょうか?まずは、その規制の経緯から説明します。
もし、「それよりも、実際にどんな規制があるのかが知りたい」という場合は、「【2023年版】ドローンに関する規制」から読み始めてください。
2022年に改正されたドローン規制は3点
2022年、ドローンに関する規制が改正されました。
改正されたポイントは以下の3点です。
- 操縦者の国家資格が設けられた
- 重さ100g以上のドローンが規制対象になった
- 機体の登録が義務化された
それぞれ説明しましょう。
操縦者の国家資格が設けられた
ひとつ目の改正は、2022年12月から、ドローンの操縦者に対して国家資格が設けられたことです。
実は、ドローンを操縦する際には免許や資格などは特に必要ありません。
これまで、民間資格はありましたが、それも主に技能レベルを証明するためのもので、資格がなければ操縦できないということはないのです。
が、今後、物流など社会の中でドローンを広く活用していくことを見据えて、国家資格が設けられたというわけです。
この国家資格は、正式には「無人航空機操縦者技能証明」という制度で、所定の講習を受け、試験に合格すれば「一等無人航空機操縦士」「二等無人航空機操縦士」という2段階の資格が得られます。
国土交通省・無人航空機レベル4飛行ポータルサイト
「無人航空機操縦者技能証明」ページの図を加工・作成
ただ、この資格がなくても、従来のようにドローンを飛ばすことは可能です。
ではなぜ、国家資格(=操縦ライセンス)ができたのでしょうか?
その理由は、主に以下です。
- 今後、さまざまな分野でドローンを広く活用する際に、安全を確保するため
→操縦ミスや機体の整備不良などによる事故、危険な飛行などを、できるだけ未然に防ぐ
- 飛行の申請体型をスリム化し、手続きをスピーディに行うため
→ドローンの飛行には多くの場合国土交通省などへの申請が必要だが、その件数が急激に増えている
ライセンス保持者にはその審査を簡略化することで、多くの申請に対応できるようになる
つまり、資格があることによって、ドローンを飛ばす際に必要な各種申請が簡単になったり、これまではできなかった「目視できない場所でドローンを飛ばすこと」などができるようになったりするというメリットが得られる、という制度です。
これについては、「資格に関する規制」でさらにくわしく説明しますので、このまま読み進めてください。
また、別記事「【2023年2月最新】ドローンの国家資格(免許)制度!費用・いつから・取り方・免除についてなど全まとめ」の記事でも、国家資格の内容を詳しく解説しています。
重さ100g以上のドローンが規制対象になった
次に、ドローンの重さに関する規制が変更されました。
ドローンに関して規制する主な法律は「航空法」ですが、これまで航空法の対象となるドローンは「機体重量200g以上」と定められていました。
それが、2022年6月から「機体重量100g以上のドローン」が対象となったのです。
航空法では、ドローンを飛ばしてもよい空域・飛ばしてはいけない空域(=飛行禁止区域)、飛行のルールなどが定められています。
これまでは、重量200g未満のドローンはそれを守らなくてもよかったのですが、この改正により100g以上200g未満のドローンも航空法を守らなければならなくなりました。
航空法のくわしい内容については、「【2023年版】ドローンに関する規制」「航空法」で解説します。
さらに、「自分のドローンは100g以上200g未満だが、何がどう変わったの?」と疑問や不安を抱いた方は、別記事「100g台のドローン規制はいつから?開始日程や9つの規制内容を解説」も参照してください。
機体の登録が義務化された
3つ目の改正は、2022年6月から、ドローンの機体を国土交通省に登録する「無人航空機登録制度」が始まったことです。
今後期待されるようにドローンが社会の中で活用されるようになると、墜落や接触といった不測の事故や、危険な飛行によるトラブルなども増えるでしょう。
それらから人々を守るために、ドローン1台1台が誰のものか、機体の安全性は確認されているかを事前に登録しておこうというのがこの制度の目的です。
登録が義務付けられているのは、以下の情報です。
出典:国土交通省「【DRS】ドローン登録システムおよびDIPS APPの使い方」
この登録制度について、さらにくわしくは「機体の登録に関する規制」、また別記事「ドローン登録が義務化!対象と登録方法3ステップ。かかる費用・時間も」を読んでください。
なぜ2022年からドローンの規制が変わったのか
ところで、このように2022年からドローンの規制が変わったのはなぜでしょうか?
それは、ドローンの活用シーンをもっと拡大し、社会的な問題を解決するためです。
国家資格を設けて「有人地帯での目視外飛行」を可能にするため
ドローンにはさまざまな利用方法が期待されています。
中でも物流業界の人手不足解消のため、物資輸送の実現が急がれているのが現状です。
ただ、現在の法律では、ドローンは自由に街なかを飛ぶことはできず、「人口集中地区(DID地区)での飛行」や「目視外(操縦者が肉眼でドローンを見られない状態)での飛行」などは航空法で制限されています。
そこで、ドローンの操縦技能に関する国家資格を制定し、有資格者なら人がいる場所での目視外飛行ができるように定められました。
これにより、ドローンが市街地を飛ぶことができるようになり、物資輸送をはじめビジネスでの活用が広がる予定です。
機体登録によって機体の安全性を確保するため
ドローンの活用シーンを広げるにあたっては、操縦する人の技術を保証すると同時に、ドローンの機体自体の安全性も確保しなければなりません。
そこで、「以前より軽量のドローンも規制対象」とし、「機体登録の義務化」を実施しました。
安全性が確認された機体のみが登録を受けられ、登録された機体以外は飛ばせないというルールを定めることで、危険な飛行をなくすことが目的です。
また、万が一事故などが起きた場合でも、機体が誰のものかわかるため、管理責任も問うことができます。
このように、社会の中でドローンがルールにのっとって安全安心に運用されることを目指して、2022年の法改正が行われたというわけです。
【2023年版】ドローンに関する規制
では、いよいよ具体的な規制内容をみていきましょう。
ドローンに関する規制は、大きく以下の5種に分類できます。
- 飛ばす場所に関する規制
- 飛ばす方法に関する規制
- 資格(国家資格)に関する規制
- 機体の登録に関する規制
- その他の規制(各種法律/条例)
それぞれどのような内容か、くわしく説明します。
飛ばす場所に関する規制
まず、ドローンを飛ばせる場所=飛行空域は、細かく規制されています。
これを規制する主な法律は、「航空法」と「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(小型無人機等飛行禁止法)」の2つですが、それ以外にも規制する法律や条例はさまざまあります。
- 航空法による規制
- 小型無人機等飛行禁止法による規制
- その他の規制
それぞれ説明していきましょう。
航空法による規制
「航空法」では、飛ばす際に許可申請が必要なエリア、そして飛ばすことが禁じられているエリアが定められています。
以下の図を見てください。
出典:国土交通省「無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」ページ
つまり、以下のように規制されているわけです。
◎原則飛行禁止だが、許可を取れば飛行可能な区域
- 150m以上の高さの上空
- 空港周辺の空域
- 人工集中地区(DID地区)の上空
◎飛行禁止の区域
- 緊急用無空域
◎無許可で飛行可能な区域
- 上記以外の空域:ただし、航空法以外の法律で規制されている場合は飛行不可、もしくは許可が必要
これらの中でも特に問題なのが「人口集中地区(DID地区)」の規制です。
言い換えれば、「街なかなど、人が集まる場所の上は原則飛行禁止、飛ばす場合は許可が必要」という決まりですが、これがあるために、多くの場所では無許可で飛ばすことができないのです。
DID地区に指定されているエリアは、国土地理院の「地理院地図」で確認できます。
【東京湾周辺のDID】(赤いエリア)
出典:国土地理院「地理院地図」
このように、たとえば東京近郊の都市部はほとんどがDIDで、ドローンの飛行は制限されてるのがひと目でわかります。
ちなみに、上記の禁止区域で許可なくドローンを飛ばした場合は、50万円以下の罰金が科されます。
小型無人機等飛行禁止法による規制
また、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(小型無人機等飛行禁止法)」では、以下の重要施設とその周囲おおむね300mの周辺地域の上空は原則として飛行禁止と定めています。
- 国の重要施設:国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所
- 外国公館
- 防衛関係施設:自衛隊施設、在日米軍施設
- 空港
- 原子力事業所
もし、これらのエリアで無許可でドローンを飛ばした場合、まず警察官などから飛行の中止などを指示され、場合によっては飛行を妨害されたり、機器を破損されたりすることもあります。
それでも指示に従わなければ、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があるので注意してください。
▶︎参照:警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」
場所に関するその他の規制
それ以外にも、「民法」「道路交通法」などのさまざまな法律や、各都道府県の条例などによって、以下のエリアでのドローン飛行は禁止、あるいは許可が必要となっています。
- 私有地
- 道路での離発着
- 多くの公園
- 一部の河川
- 一部の海岸
- 船の航行のじゃまになるような海上
- その他、都道府県、市区町村の条例で禁止されている場所 など
これについては、別記事「【フローチャート付】ドローンの飛行許可が必要な全18ケースを徹底解説」でそれぞれをくわしく説明していますので、ぜひそちらの記事をお読みください。
また、自治体が定めた条例などについては、国土交通省がまとめた資料が以下のリンク先で確認できます。ドローンを飛ばしたい場合、その場所の条例をあらかじめ確認した上で、飛行禁止の場所では飛ばさない、許可が必要な場所は事前に申請する、ということを厳守しましょう。
◎国土交通省「無人航空機の飛行を制限する条例等」
飛ばす方法に関する規制
「航空法」では、飛行空域だけでなく飛行の方法も規制しています。
飛行の場所にかかわらず、以下のルールを遵守しなければなりません。
<遵守事項>
1)アルコールや薬物などの影響下で飛行させないこと
2)飛行前確認を行うこと
3)航空機または他の無人航空機(ドローンなど)との衝突を予防するよう飛行させること
4)他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
<承認が必要となる飛行>
5)夜間の飛行
6)目視外の飛行:ドローンとその周辺を操縦者が目視できない範囲での飛行
7)人や物との距離が30m未満になる飛行
8)お祭りやイベントなどの上空での飛行
9)危険物の輸送(農薬散布など含む)
10)物を投下すること(農薬散布など含む)
ただし、1〜4はかならず守らなければいけませんが、5〜10についてはあらかじめ国土交通大臣の承認があれば行うことが認められます。
(資格を保持し、一定のケースを満たす事で、一部のケースにおいては許可承認がスキップもしくは簡略化されます。詳しくは「資格に関する規制」の章をお読みください。)
【遵守事項】
【承認が必要となる飛行の方法】
これらにも以下のような罰則が定められていますので、くれぐれも違反しないよう留意しましょう。
- 1(飲酒時の飛行禁止)に違反した場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金
- 2〜10に違反した場合は、50万円以下の罰金
なお、上記の飛行方法を行う際の承認申請を行う方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
【チャート付】ドローンの飛行申請が必要な全パターンとその申請方法
資格に関する規制
また、操縦資格に関する規制ですが、「操縦者の国家資格が設けられた」で説明したように、基本的にドローンの操縦には資格も免許も必要ありません。誰でもドローンを操縦することが認められています。
にもかかわらず、2022年からドローンの操縦に関する国家資格(操縦ライセンス)ができました。ライセンスを取得した人は、取得しない人と比べて以下のようなことが可能になります。
- 飛行の際の申請手続きが不要、もしくは簡略化される
- 一等無人航空機操縦士(=一等資格)の場合、今までできなかったリスクの高い飛行も認められる
「リスクの高い飛行」とは、具体的には以下のようなもので、これらの場合にはライセンスが必要になるわけです。
高リスクな「カテゴリーⅢ」飛行が認められるのは一等資格のみ
ドローンの飛行は、その危険度に応じて3段階のカテゴリーに分類されています。
以下のうち、もっともリスクが高い「カテゴリーⅢ」の飛行は、一等無人航空機操縦士(=一等資格)を取得していなければ認められません。
それぞれのカテゴリーの概要と、規定されていることは以下の通りです。
分 |
カテゴリーⅢ |
カテゴリーⅡ |
カテゴリーⅠ |
|
---|---|---|---|---|
|
|
|||
概 |
特定飛行(※)のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じないで行う飛行 |
特定飛行(※)のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じたうえで行う飛行(=第三者の上空を飛行しない) |
特定飛行(※)に該当しない飛行 |
|
許 |
必要 ・そもそも飛行自体に、第一種機体認証と、一等資格が必要 |
必要(第二種機体認証以上と、二等資格以上があれば簡略化) |
・第二種機体認証以上と、二等資格以上があれば不要 ・機体認証と資格がなければ必要 |
不要 |
【※特定飛行とは】
「特定飛行」とは、以下に該当するものを指します。
出典:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」より加工
※「緊急用務空域」とは、災害などが発生した際に、人命救助、捜索、消火などのためにヘリコプターなどが飛行するのを妨げないよう、ドローンの飛行が原則禁止される空域です。災害に応じて国土交通大臣が指定します。ドローンの飛行申請をすることはできますが、インフラ点検や報道など重要な目的がある場合にしか許可されないため、一般の個人では許可が得られないものと思ってください。
上記の表をフロー図にしたものが以下です。カテゴリーⅢ飛行をするためには、第一種機体認証と一等資格の両方がなければいけない、ということがわかりやすいでしょう。
一等資格を取得すると認められるカテゴリーⅢ飛行の例
では、一等資格を取得した者にのみできるようになる「カテゴリーⅢ」の飛行とは、具体的にはどんなものでしょうか?
それは、「第三者が立ち入るエリアでの特定飛行」です。中でも特に、これまで原則禁止されていた「立入管理措置を講じないで行う目視外飛行」が可能になるのが、このライセンス制度の大きな意義となっています。
一等資格を取得すれば、ドローンを以下のように活用することができるようになるのです。
・市街地での荷物の配送
・陸上輸送が困難な山間部や離島などへ、食料品や生活必需品、医薬品などを配送
・災害時の救助活動、救援物資の輸送、被害状況の確認
・スタジアムなどでのスポーツやイベントの中継、空撮
・橋やダムなどインフラ設備、工場設備などの保守点検
・建設現場などの測量
・森林資源の調査
・上空からの警備、海難捜索
・農地の作物の生育状況、害虫や病害の確認 など
カテゴリーⅢ飛行をするには一等資格だけでなく機体に「第一種機体認証」も必要
ただ、カテゴリーⅢ飛行をするには、一等資格だけ取ればいいわけではありません。飛ばす人の資格に加えて、飛ばす「機体」にも「第一種機体認証」が必要なのです。
これについても説明しておきましょう。
機体認証とは
「機体認証」は、特定飛行を行うドローンに対して、強度や構造、性能が安全基準に適合するかを検査し、安全性を確保するための認証制度です。
「特定飛行」を行うドローンが対象なので、すべてのドローン機体に対して必須のものではありません。具体的には、以下の飛行を行う際に必要となります。
出典:国土交通省「無人航空機レベル4飛行ポータルサイト」機体認証ページ
つまり、カテゴリーⅢの飛行を行う場合は、操縦する人には一等資格が、飛ばす機体には第一種機体認証が必要になるというわけです。
※ちなみに第二種機体認証については、取得していなくてもカテゴリーⅢ以外の飛行はできるので、「取得しない場合と何が違うの?」と思うかもしれません。が、第二種機体認証と二等資格があれば、「DID・夜間・目視外・人や物との距離が30m未満」の飛行に関して、許可申請が不要になる(それ以外の特定飛行の場合は、許可申請が簡略化される)というメリットがあります。
機体認証の前に「型式認証」が必要
ただ、カテゴリーⅢ飛行ができるようになるためには、ドローンを飛ばす人が個人で機体認証を受ければいいというだけではありません。
機体認証を受けるドローンは、その前にまず製造メーカーがその機体について「型式認証」を受けていることが望ましいのです。
「型式認証」とは、メーカーが製造する特定の量産機が、国土交通省が定める安全性と均一性の基準に適合している、と認められた場合に交付されるものです。
いわば、そのドローンの機種全体の安全性などを認めるのが「型式認証」、その中の特定の1機に対して安全性などを検査するのが「機体認証」といえます。
型式認証 |
・メーカー等が設計・製造する量産機が対象 |
---|---|
機体認証 |
・無人航空機の使用者が所有する一機ごとの機体が対象 |
型式認証を受けていないドローンが、個別に機体認証を受けるのは、現在のところかなり難しくなっています。(2023年2月現在)
つまり、以下のような流れで資格と認証を受けるのがベストだと言えるでしょう。
<カテゴリーⅢ飛行ができる条件>
◎ドローンを飛ばす人:一等資格を取得する
◎飛ばすドローン:①まずドローンメーカーがある機種に対して国交省から「型式認証」を受ける
②次に型式認証を受けた機体の1機に対して、ドローンを飛ばす人が「機体認証」を受ける
機体認証と型式認証については、別記事「【2023年2月最新】ドローンの国家資格(免許)制度!費用・いつから・取り方・免除についてなど全まとめ」でさらにくわしく説明していますので、そちらも読んでみてください。
機体の登録に関する規制
ドローンの機体に関しても規制があります。
「重さ100g以上のドローンが規制対象になった」で説明したように、重量100g以上のドローンは航空法の対象になり、機体を国土交通省に登録することが義務付けられています。
登録していないドローンは、飛ばすことを禁じられているのです。
この規制の要点は以下です。
・重量100g以上のドローンはすべて国土交通省に登録しなければならない
・機体には登録記号を表示しなければならない
・機体には、識別情報を電波で遠隔発信する「リモートID」機能を備えなければならない
・登録していないドローンを飛ばした場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される
それぞれ説明します。
機体の登録義務
前述したように、2022年6月からは航空法により、重量100g以上のドローンはすべて国土交通省に登録することが義務付けられました。
登録が必要な機体と登録条件
登録が義務付けられているドローンは、正確には「重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)が100g以上の無人航空機」です。
「無人航空機」には、ドローン(マルチコプター)のほかにラジコン機、農薬散布用ヘリコプターなどが該当し、100g未満のものは「模型航空機」として航空法は適用されません。
そしてこの登録は、機体1台ごとに行う必要があります。
たとえば同じ人が3台のドローンを持っていた場合は、3台それぞれを登録し、別々の登録記号の発行を受けなければなりません。
というのもこの登録には、ドローン運用で事故やトラブルなどがあった場合にその機体を識別するという目的もあるからです。
登録方法
登録申請は、以下のいずれかの方法で行います。
- 「ドローン情報基盤システム(=登録システム)」によりオンラインで提出
- 郵送により申請書を提出
→所定の登録申請書と本人確認書類を郵送する
【登録の流れ】
手続きのくわしい方法は、別記事「【画像49枚】ドローン登録システムの登録手順を個人・法人共に解説」に画像付きで説明がありますので、そちらを見ながら進めてください。
登録義務が免除されるケース
ただし、機体の登録自体が免除される例外的なケースもあります。それは以下のいずれかに該当していて、なおかつ国土交通大臣にあらかじめ「試験飛行届出」を提出した場合です。
- 研究開発のために飛行させるドローン
→機体の仕様が確定しない段階で、安全性や性能の向上のため、仕様変更や設計変更を繰り返しているもの
ただし、その結果完成したドローンを活用する実証試験などはこれに含まれない - 製造過程において飛行させるドローン
→量産または受注して販売されるドローンで、出荷前の製品検査や調整などのために飛行させるもの
このどちらかのケースでは、通常の機体の登録をせずにドローンを飛ばすことができます。登録していなければ登録記号も発行されないので、登録記号表示の義務もありません。
この届出は、通常の登録と同じく「ドローン情報基盤システム」によってオンラインで提出するか、「無人航空機の試験飛行届出書」様式に必要事項を記入した上で郵送によって行います。
登録記号の表示
機体を登録するだけで、飛行できるようになるわけではありません。登録後に発行される登録記号を、機体に表示する必要があります。
その際には、以下の規制を守ってください。
- 表示箇所:外部から確認しやすく、簡単に取り外しできない箇所に表示する
- 表示方法:油性マジックやシールなど、耐久性のある方法で表示する
- 色:機体の地色と鮮明に判別できる色で表示する
- 文字の大きさ:25kg未満の機体の場合 文字の高さ3mm以上
25kg以上の機体の場合 文字の高さ25mm以上 の大きさで表示する
この規制にのっとって登録記号表示のシールやプレートを作成してくれる業者もありますので、そのようなサービスを利用するのもいいでしょう。
リモートID機能の搭載
さらに、機体には「リモートID」の機能を備えなければいけません。
「リモートID」とは、機体に関する以下のような情報を電波で発信し、遠隔で確認できるしくみです。
- 登録記号
- メーカーが定めた製造番号
- 位置情報(緯度・経度・高度)
- 速度
- 時刻
- 認証情報
→個人情報は含まれません
これにより、受信装置があればいま飛んでいるドローンがどんな機体かを知ることができます。
危険な飛行や不審な飛行をしている機体を特定したり、未登録の機体を判別したりできるため、ドローン運用の安全性が確保されるというわけです。
リモートID機能は、あらかじめ機体に内蔵されているドローンもありますが、そうでない場合は外付け型のリモートID機器を別途購入して取り付けなければなりません。
それについては別記事「ドローンのリモートIDとは?搭載義務/免除の条件や価格・登録方法」でくわしく説明していますので、参照してください。
ただし、以下の場合は例外として、リモートID機能の搭載を免除されます。
登録制度スタート前に登録済みの場合 |
事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)に登録手続きを済ませた機体にはリモートID機能が搭載されていなくてもよい |
---|---|
リモートID特定区域内で飛行させる場合 |
登録済みの機体を、あらかじめ国土交通省に届け出した「リモートID特定区域」の上空で、以下の条件を満たして飛行させる場合はリモートID機能が搭載されていなくてもよい
|
係留して飛行させる場合 |
十分な強度をもった紐(長さ30m以内)などでドローンを係留した上で飛行させる場合は、リモートID機能は必要ない |
法執行機関による要秘匿業務に使用される場合 |
警察や海上保安庁などが、秘匿を要する業務にドローンを使用する場合はリモートID機能は必要ない |
罰則
ここまで説明したように、重量100g以上のドローンを国土交通省に登録するのは法律で定められた義務です。
そのため、もし登録をしていない機体を飛ばした場合は、一年以下の懲役または50万円以下の罰金を科される恐れがありますので、くれぐれも登録は忘れないでください。
ドローンの機体登録については、より具体的な内容をこちらの記事で詳しく解説しています。
ドローンの機体登録が義務化!対象と登録方法3ステップ。かかる費用・期間も
その他の規制(その他各種法律/条例)
上記以外にも、ドローンに関する規制はさまざまあります。たとえば以下のようなものです。
- 電波法
→電波で操縦するドローンの場合、無線局の免許が必要になる場合がある - 「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン
→ドローンで撮影した映像をインターネットで公開する際に守るべきルール - 都道府県、市区町村が定めた条例など
→自治体が独自に定めたドローン利用の条例など
電波法の規制
ドローンを電波で操縦したり、撮影した画像を転送するなど電波を使用する場合には、電波法によって無線局の免許を受ける必要があると定められています。
ただし、他の無線通信に妨害を与えないような周波数や、小電力のものなどは免許を受ける必要はありません。
ドローンの場合は、以下に該当すれば電波法の規制は受けず、免許や資格は不要です。
- 微弱無線局
→無線設備から500mの距離での電界強度(電波の強さ)が200μV/m以下のもの
主に、産業用の農薬散布ラジコンヘリ等で用いられる - 一部の小電力の無線局
→空中線電力が1W以下で、特定の用途に使用される一定の技術基準が定められた無線局
ただし、「技術基準適合証明」を受けた適合表示無線設備でなければならない
具体的には、「2.4GHzで10mW以下の技適マークありのドローン」なら、免許不要で飛ばすことができます。大手メーカーが一般向けに販売している汎用型ドローンは、ほとんどがこちらに該当するので、ご安心ください。
「技術基準適合証明(=技適)」を受けたドローンには、以下のような「技適マーク」がついていますので、そのような機種を購入すれば安心でしょう。
【技適マーク】
ちなみにドローンと電波法に関しては、別記事「【ドローンの無線資格(免許)】必要な2ケースと取得方法・開局申請まで紹介」でさらにくわしく解説していますので、気になる人は読んでみてください。
「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン による規制
現在ドローンを利用している人は、空撮目的が大半を占めています。
出典:内閣府「無人航空機に関する航空法の許可・承認状況と今後の環境整備について」
自分が撮影した画像や映像を、SNSやYouTubeなどインターネット上で公開したいと考える人も多いでしょう。
ただその場合、プライバシーを侵害したり個人情報を不正に取得したりといった民事・刑事・行政上のリスクが発生します。たとえば以下のようなケースです。
- プライバシー侵害があった場合、民事上、撮影者は被撮影者に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負う
- 浴場、更衣場やトイレなど、人が通常衣服を身につけずにいる場所を撮影した場合、刑事上、軽犯罪法や各都道府県の迷惑防止条例の罪で処罰される恐れがある
- 個人情報取扱事業者による撮影の場合、無断での撮影は「不正な手段による個人情報の取得」として、「個人情報保護法」違反となる恐れがある など
そこで、総務省から「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」が発表されました。
このガイドラインが定める以下のルールにのっとって撮影、公開すれば、上記のようなプライバシー侵害、不法行為を未然に防ぐ、あるいはリスクを減らすことができます。
- 住宅地にカメラを向けないようにするなど、撮影態様に配慮すること
- プライバシー侵害の可能性がある撮影映像等にぼかしを入れるなどの配慮をすること
→人の顔やナンバープレート、表札、住居の外観、住居内の住人の様子、洗濯物など生活状況を推測できるような私物が写り込んでしまった場合は、プライバシーや肖像権の侵害となる可能性があるため、削除するかぼかしなどを入れる - 撮影映像をインターネット上で公開するサービスを提供する電気通信事業者は、削除依頼への対応を適切に行うこと
→本人の同意なく撮影された映像に対して削除依頼があれば対応する
また、削除依頼はインターネットだけでなく電話などでも受け付けられるようにしておく
自治体の条例など
さらに、都道府県や市区町村が独自に定めたドローンに関する条例などもあります。
その地区でドローンを飛ばす際にはそれにも従わなければなりませんので、事前にどのような規定があるか確認しましょう。
たとえば、東京都では以下のような規定があります。
- 東京都:「東京都立公園条例」
→「第十六条 都市公園内では、次の行為をしてはならない。(中略)十 前各号のほか、都市公園の管理に支障がある行為をすること。」
→都立公園における無人航空機の飛行は、公園利用者の安全等に配慮する必要があることから原則として禁止されている。
→「第十七条 海上公園内では、次に掲げる行為(中略)をしてはならない。(中略)九 前各号に掲げるもののほか、海上公園の管理運営に支障を及ぼすおそれがある行為をすること。」
→海上公園内(水域も含む)において、知事の許可を得た場合を除き、ドローンの飛行は原則禁止。
- 東京都千代田区:「千代田区営千鳥ヶ淵ボート場条例施行規則」
→区営千鳥ヶ淵ボート場内において、ドローンの操作する者・操作しようとする者に対して、ボートへの乗艇を拒絶、利用を停止することができる。
など
各自治体の条例などについては、国土交通省が一覧表にまとめた資料を以下からダウンロードできますので、ドローンを飛ばす前にはかならず確認してください。
◎国土交通省「無人航空機の飛行を制限する条例等」
【2023年版】ドローン規制によって「できること・できないこと」事例
このように、ドローンにはさまざまな規制があります。
では、具体的には何ができて何ができないのでしょうか?
主な事例を表にまとめましたので、以下を見てください。
事例 |
◯できる/ |
備考 |
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無資格でドローンを飛ばす |
◯できる |
ドローンの国家資格はあるが、取得必須ではない。 ただし、ドローンの飛行では多くの場合に飛行申請が必要になるが、資格があれば申請手続きが簡略になる場合がある。 また、「立入管理措置を講じないで行う目視外飛行」は有資格者でなければできない。 |
機体を無登録で飛ばす |
△場合による |
100g以上の機体は原則的に登録せずに飛ばすことはできない。
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人が大勢いる街なかで飛ばす |
◯できる |
あらかじめ許可を得て、第三者の立入を管理し、安全性を確保した上でなら飛ばすことができる。 |
誰もいない河川敷で、許可なく飛ばす |
△場合による |
河川敷の管理者(自治体など)が禁止していなければできる。 |
このように、ドローンを飛ばす際には、場所や飛ばす方法、飛ばす状況に関する規制を確認し、必要であれば事前に許可を得なければなりません。
もし禁止されているエリアや方法で飛ばせば、罰金などを科される恐れもあります。
「バレなければ大丈夫」と考えるかもしれませんが、最近ではドローンを見かけると警察などに問い合わせたり通報したりする人も出てきているので、そのような甘い考えは通用しません。
今後、さらに幅広い分野でドローンの活用が進むためにも、利用者一人ひとりが規制を守って安全で適法な飛行を行うことが重要なのです。
【参考資料】ドローンを規制する主な法令・条例の条文と解説・要約
さて、ここまでドローンに関するさまざまな規制を説明してきました。
が、「規制を正しく守るためには、該当する法令や条例をくわしく知っておきたい」という人もあるでしょう。
そこでこの章では、ドローンを規制する条項がある法律や条例の原文を紹介しておきます。
また、それぞれの内容の要約もつけましたので、「この規制って、法律ではどんな決まりなんだろう?」と疑問に思ったときにはぜひ読んで参考にしてください。
航空法
ドローンを規制する代表的な法律といえば、「航空法」です。
航空法では、ドローンに関して以下のような規制、規定を設けています。
<機体について>
- ドローン機体の登録義務
- 登録記号の表示義務 など
<国家資格について>
- 一等資格と二等資格の定義
- 受験資格
- 資格の有効期限 など
<飛行について>
- 飛行禁止区域
- 飛行の方法
細かい規定が多数ありますが、ここではその中で主なもの、ドローンを扱う個人や企業が知っておくべきものを挙げておきましょう。
▶︎参照:航空法
機体について:登録義務、登録記号の表示義務など
航空法 条文 |
要約 |
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【無人航空機の登録】 (登録) |
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(登録の一般的効力) |
・ただし、「試験飛行」の届け出をしていれば登録は不要 |
(登録の要件) |
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(登録を受けていない無人航空機の登録) 一 無人航空機の種類 二 無人航空機の型式 三 無人航空機の製造者 四 無人航空機の製造番号 五 所有者の氏名又は名称及び住所 六 登録の年月日 七 使用者の氏名又は名称及び住所 八 前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項 |
一 ドローンの種類 二 ドローンの型式 三 ドローンの製造者 四 ドローンの製造番号 五 所有者の氏名(法人は名称)、住所 六 登録の年月日 七 使用者の氏名(法人は名称)、住所 八 その他、国土交通省令で定める事項 |
2 国土交通大臣は、申請者に対し、前項の規定による申請の内容が真正であることを確認するため必要な無人航空機の写真その他の資料の提出を求めることができる。 |
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3 国土交通大臣は、第一項の登録をしたときは、申請者に対し、登録記号その他の登録事項を国土交通省令で定める方法により通知しなければならない。 |
・登録すると、国土交通大臣から申請者に対して登録記号が通知される |
(登録記号の表示等の義務) |
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2 登録無人航空機には、前項に規定する措置を講じなければ、これを航空の用に供してはならない。ただし、第百三十二条の二ただし書の国土交通省令で定める場合は、この限りでない。 |
・登録記号の表示がないドローンは、原則的に飛ばしてはならない |
(登録の更新) |
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2 第百三十二条の四第二項及び第三項の規定は、前項の登録の更新について準用する。 <中略> |
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(登録事項の変更の届出) <中略> |
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(登録の取消し) 一 前条の規定による命令に違反したとき。 二 不正の手段により第百三十二条の四第一項の登録又は第百三十二条の六第一項の登録の更新を受けたとき。 |
一 規定による命令に違反したとき 二 不正な手段で登録したり、登録の更新を受けたとき |
(登録の抹消) 一 登録無人航空機が滅失し、又は登録無人航空機の解体(整備、改造、輸送又は保管のためにする解体を除く。)をしたとき。 二 登録無人航空機の存否が二箇月間不明になつたとき。 三 登録無人航空機が無人航空機でなくなつたとき。 |
一 ドローンがなくなった、または解体したとき(整備、改造、輸送、保管のために解体した場合は除く) 二 ドローンが2ヶ月間行方不明になったとき 三 ドローンが「無人航空機」ではなくなったとき |
2 国土交通大臣は、前項の申請があつたとき、第百三十二条の六第一項の規定により登録がその効力を失つたとき、又は前条の規定により登録を取り消したときは、当該登録を抹消し、その旨を所有者に通知しなければならない。 |
国家資格(無人航空機操縦者技能証明)について:一等資格と二等資格の定義、受験資格、有効期限など
航空法 条文 |
要約 |
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【無人航空機操縦者技能証明】 |
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(技能証明の実施) |
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(技能証明書) |
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(資格) 一 一等無人航空機操縦士 第百三十二条の八十五第一項に規定する立入管理措置を講ずることなく行う第百三十二条の八十七に規定する特定飛行 二 二等無人航空機操縦士 第百三十二条の八十五第一項に規定する立入管理措置を講じた上で行う第百三十二条の八十七に規定する特定飛行 <中略> |
一 一等無人航空機操縦士:立入管理措置を講ずることなく特定飛行が行える 二 二等無人航空機操縦士:立入管理措置を講じた上で、特定飛行が行える |
(欠格事由) 一 十六歳に満たない者 二 次条第一項ただし書(第一号から第三号までに係る部分を除く。以下この号において同じ。)の規定により技能証明を拒否された日から起算して一年を経過していない者若しくは同項ただし書の規定により技能証明を保留されている者又は同条第三項の規定により技能証明を取り消された日から起算して一年を経過していない者若しくは同項の規定により技能証明の効力を停止されている者 三 第百三十二条の五十三(第一号から第三号までに係る部分を除く。)の規定により技能証明を取り消された日から起算して二年を経過していない者又は同条の規定により技能証明の効力を停止されている者 |
一 十六歳に満たない者 二 病気などの理由で、技能証明を拒否された日から一年を経過していない者、技能証明を保留されている者、技能証明を取り消された日から一年を経過していない者、技能証明の効力を停止されている者 三 病気や障害、重大な過失などにより、技能証明を取り消された日から二年を経過していない者、技能証明の効力を停止されている者 |
(技能証明の拒否等) 一 次に掲げる病気にかかつている者 イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて国土交通省令で定めるもの ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて国土交通省令で定めるもの ハ イ又はロに掲げるもののほか、無人航空機の飛行に支障を及ぼすおそれがある病気として国土交通省令で定めるもの 二 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者 三 第五項の規定による命令に違反した者 四 この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反する行為をした者 五 無人航空機を飛行させるに当たり、非行又は重大な過失があつた者 <中略> |
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(試験の免除) |
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(技能証明の有効期間) 2 前項の有効期間は、その満了の際、申請により更新することができる。 <中略> |
・国家資格は3年ごとに申請によって更新できる |
(技能証明の取消し等) 一 次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。 イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて国土交通省令で定めるもの ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて国土交通省令で定めるもの ハ イ又はロに掲げるもののほか、無人航空機の飛行に支障を及ぼすおそれがある病気として国土交通省令で定めるもの 二 無人航空機の安全な飛行に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として国土交通省令で定めるものが生じている者であることが判明したとき。 三 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者であることが判明したとき。 四 この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反したとき。 五 無人航空機を飛行させるに当たり、非行又は重大な過失があつたとき。 |
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(技能証明書の携帯義務) |
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飛行について:飛行禁止空域、飛行方法など
航空法 条文 |
要約 |
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【無人航空機の飛行】 |
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(飛行の禁止空域) 一 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域 二 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空 |
ただし、国家資格を取得した者が、機体認証を受けたドローンを飛行させることはできる 一 ドローンの飛行により、航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるとして、国土交通省令で定める空域 二 上記の空域以外で国土交通省令で定める、人や家屋が密集している地域の上空 |
2 何人も、前項第一号の空域又は同項第二号の空域(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させる場合又は立入管理措置を講じた上で国土交通省令で定める総重量を超える無人航空機を飛行させる場合に限る。)においては、同項に規定する場合に該当し、かつ、国土交通大臣がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合でなければ、無人航空機を飛行させてはならない。 |
・上記の空域でドローンを飛行させるには、国土交通大臣の許可が必要 |
3 第一項に規定する場合において、立入管理措置を講じた上で同項第二号の空域において無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置を講じなければならない。 |
・上記の空域で、国家資格を取得した者が、機体認証を受けたドローンを飛行させる場合、航空機の航行の安全、人や物の安全を確保する措置を講じなければならない |
4 前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。 一 係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合 二 前号に掲げるもののほか、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合 |
・上記の規定は、以下の場合には必要ない 一 係留したドローンを、犯人を制限して飛ばす場合 二 その他、国土交通大臣が安全と認めて許可した場合 |
(飛行の方法) 一 アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。 二 国土交通省令で定めるところにより、当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること。 三 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させることその他の国土交通省令で定める方法により飛行させること。 四 飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。 |
一 アルコールや薬物の影響がある状態で飛行させない 二 そのドローンが飛行に支障がないこと、飛行に必要な準備が整っていることを確認してから飛ばすこと 三 航空機や他のドローンとの衝突を予防するため、ドローンを周囲の状況に応じて地上に降下させるなど、国土交通省令で定める方法により飛行させること 四 飛行上の必要がないのに高調音を発したり急降下するなど、他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと |
2 無人航空機を飛行させる者は、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)を除き、次に掲げる方法により、これを飛行させなければならない。 一 日出から日没までの間において飛行させること。 二 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。 三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。 四 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。 五 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。 六 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。 |
・国家資格と機体認証がない場合は、ドローンは以下の方法で飛行させなければならない 一 日出から日没までの間に飛行させること 二 ドローン本体と周囲の状況を常に目視していること 三 ドローンは、人や物と30m以上の距離を保つこと 四 お祭りやイベントなど多数の人が集まる場所の上空では飛ばさないこと 五 ドローンで危険物を輸送しないこと 六 原則として、ドローンから物を投下しないこと |
3 前項に規定する場合において、同項各号に掲げる方法のいずれか(立入管理措置を講じた上で無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる場合にあつては、同項第四号から第六号までに掲げる方法のいずれか)によらずに無人航空機を飛行させる者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その運航の管理が適切に行われることについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させなければならない。 |
・前項の飛行を行う際には、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けなければならない |
4 第二項に規定する場合において、立入管理措置を講じた上で同項第一号から第三号までに掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置を講じなければならない。 |
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5 前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。 一 係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合 二 前号に掲げるもののほか、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、第二項各号に掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させる場合 |
・ただし、以下のいずれかに該当する場合は、上記の飛行をする際にも国土交通大臣の承認は必要ない 一 ドローンを係留して飛ばす場合 二 その他、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けた方法で飛行させる場合 |
(第三者が立ち入つた場合の措置) |
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(飛行計画) |
ただし、あらかじめ提出するのが難しい場合は、特定飛行を始めたあとでも提出できる |
2 国土交通大臣は、前項の規定により通報された飛行計画に従い無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがあると認める場合には、無人航空機を飛行させる者に対して、特定飛行の日時又は経路の変更その他の必要な措置を講ずべきことを指示することができる。 |
・提出された飛行計画が安全性を損なう恐れがある場合は、国土交通大臣からドローンを飛ばす者に対して日時や経路の変更などを指示されることがある |
3 第一項の規定により飛行計画を通報した無人航空機を飛行させる者は、前項に規定する国土交通大臣の指示に従うほか、飛行計画に従つて特定飛行を行わなければならない。ただし、航空機の航行の安全又は地上若しくは水上の人若しくは物件の安全を確保するためにやむを得ない場合は、この限りでない。 |
・もし国土交通大臣から指示があれば、その通りに従って飛行を行わなければならない |
(飛行日誌) |
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2 特定飛行を行う者は、無人航空機を航空の用に供し、又は整備し、若しくは改造した場合には、遅滞なく飛行日誌に国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。 |
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(事故等の場合の措置) 一 無人航空機による人の死傷又は物件の損壊 二 航空機との衝突又は接触 三 その他国土交通省令で定める無人航空機に関する事故 |
一 ドローンによる人死傷、物の損壊 二 航空機と衝突、接触 三 その他国土交通省令で定めるドローンに関する事故 |
2 前項各号に掲げる事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、当該事故が発生した日時及び場所その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に報告しなければならない。 |
・上記の事故が発生した場合、そのドローンを飛ばしていた者は、事故の日時、場所などを国土交通大臣に報告しなければならない |
第百三十二条の九十一 無人航空機を飛行させる者は、飛行中航空機との衝突又は接触のおそれがあつたと認めたときその他前条第一項各号に掲げる事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。 <後略> |
・ドローンを飛ばす者は、飛行中に航空機との衝突や接触の恐れがあったときや、上記の事故が発生する恐れがあったときは、国土交通大臣に報告しなければならない |
小型無人機等飛行禁止法
「小型無人機等飛行禁止法」は、正式名称を「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」といいます。
その概要を、警察庁がまとめたものが以下です。
出典:警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」
これでこの法律の内容はおおむね把握できるかと思いますが、念の為に以下に主な条文とその要約も載せておきましょう。
▶︎参照:重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律
小型無人機等飛行禁止法 条文 |
要約 |
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(目的) |
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(対象施設周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止) |
・国会議事堂、首相官邸など国の重要施設、外国公館、防衛関係施設、空港、原子力事業所の周辺地域の上空では、誰もドローンを飛ばしてはならない |
2 前項の規定は、次に掲げる小型無人機等の飛行(第二条第一項第三号及び第四号に掲げる対象施設及びその指定敷地等の上空において行うものにあっては、第一号に掲げるものに限る。)については、適用しない。 一 対象施設の管理者又はその同意を得た者が当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空において行う小型無人機等の飛行 二 土地の所有者若しくは占有者(正当な権原を有する者に限る。)又はその同意を得た者が当該土地の上空において行う小型無人機等の飛行 三 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う小型無人機等の飛行 |
・ただし、以下の場合はドローンを飛ばすことができる 一 対象施設の管理者、またはその同意を得た者がその施設周辺で飛ばす場合 二 土地の所有者、占有者、またはその同意を得た者が、その土地の上空で飛ばす場合 三 国や地方公共団体の業務のために飛ばす場合 |
3 前項に規定する小型無人機等の飛行を行おうとする者は、国家公安委員会規則(第二号及び第四号に定める者への通報については国土交通省令、第三号に定める者への通報については防衛省令)で定めるところにより、あらかじめ、その旨を当該小型無人機等の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する都道府県公安委員会及び次の各号に掲げる当該対象施設周辺地域の区分に応じ当該各号に定める者に通報しなければならない。ただし、第二条第一項第三号に掲げる対象施設及びその指定敷地等の上空において前項第一号に掲げる小型無人機等の飛行を行う場合であって、当該通報を行うことが困難な場合において、当該対象施設の管理者が、防衛大臣が警察庁長官に協議して定めるところにより、当該小型無人機等の飛行の識別を容易にするため必要な当該通報に代わるべき措置をとるときは、この限りでない。 一 第二条第一項第一号ホに掲げる対象施設に係る対象施設周辺地域 皇宮警察本部長 二 海域を含む対象施設周辺地域 当該対象施設周辺地域を管轄する管区海上保安本部長 三 第二条第一項第三号に掲げる対象施設(自衛隊の施設であるものに限る。次条第三項及び第十三条第二項において同じ。)に係る対象施設周辺地域 当該対象施設の管理者 四 第二条第一項第四号に掲げる対象施設に係る対象施設周辺地域 当該対象施設の管理者(以下「対象空港管理者」という。) |
・上記の飛行を行う場合は、あらかじめその地域を管轄する都道府県公安委員会と、以下の者に通報しなければならない 一 皇居や御所の場合:皇宮警察本部章 二 海域が含まれる場合:その地域を管轄する管区海上保安本部長 三 防衛関係施設の場合:その施設の管理者 四 空港の場合:空港の管理者 |
(対象施設の安全の確保のための措置) |
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2 前項に規定する場合において、同項の規定による措置をとることを命ぜられた者が当該措置をとらないとき、その命令の相手方が現場にいないために当該措置をとることを命ずることができないとき又は同項の小型無人機等の飛行を行っている者に対し当該措置をとることを命ずるいとまがないときは、警察官は、対象施設に対する危険を未然に防止するためやむを得ないと認められる限度において、当該小型無人機等の飛行の妨害、当該小型無人機等の飛行に係る機器の破損その他の必要な措置をとることができる。 <中略> |
・警察官が命じても、ドローンの操縦者が指示に従わない場合や、従うことができないなどやむを得ない場合は、警察官はドローンの飛行を妨害したり、機器を破損したりすることができる |
(罰則) |
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2 第十一条第一項(同条第三項及び第五項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 |
民法・個人情報保護法
また、ドローンを私有地の上で飛ばしたり、不特定多数の人が映るところで空撮したりする際には、民法、個人情報保護法なども関わってきます。
ドローンを私有地の上で飛ばす場合は、土地の所有者、管理者の許可が必要です。
また、ドローンで写真や動画を撮影する人も多いですが、その際に本人の同意なく他人の顔やプライベートがわかるものを写せば、プライバシーや肖像権の侵害にあたる恐れがあります。
これに関しては、「「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン による規制」でもくわしく説明しましたが、関係する主な条文は以下です。
民法
民法 条文 |
要約 |
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(土地所有権の範囲) |
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(不法行為による損害賠償) |
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個人情報保護法
また、個人情報データを事業で扱う「個人情報取扱事業者」の場合、無断での撮影行為は「不正な手段による個人情報の取得」として、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」の違反行為となる恐れがあります。
事業者がドローンで撮影を行う際には、以下の法律をかならず守って行いましょう。
個人情報保護法 条文 |
要約 |
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(適正な取得) |
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2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。 一 法令に基づく場合 二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。 五 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該要配慮個人情報を学術研究目的で取り扱う必要があるとき(当該要配慮個人情報を取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。 六 学術研究機関等から当該要配慮個人情報を取得する場合であって、当該要配慮個人情報を学術研究目的で取得する必要があるとき(当該要配慮個人情報を取得する目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)(当該個人情報取扱事業者と当該学術研究機関等が共同して学術研究を行う場合に限る。)。 七 当該要配慮個人情報が、本人、国の機関、地方公共団体、学術研究機関等、第五十七条第一項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者により公開されている場合 八 その他前各号に掲げる場合に準ずるものとして政令で定める場合 |
・個人情報を扱う事業者は、以下の場合を除いて、あらかじめ本人の同意を得ないで個人情報を取得してはならない 一 法令に基づく場合 二 人の生命や身体または財産の保護のために必要があり、本人の同意を得ることが難しい場合 三 公衆衛生の向上や子どもの健全な育成のために特に必要があって、本人の同意を得ることが難しい場合 四 国の機関、地方公共団体、あるいはその委託を受けた者が、法令の定める事務を行うに際して、本人の同意を得ることで業務に支障を及ぼす恐れがある場合 五 学術研究機関が、学術研究の目的で個人情報を取得する場合 六 事業者が学術研究機関と共同して学術研究を行う際に、その研究機関から個人情報を取得する場合 七 その個人情報は、本人や国の機関などによって公開されている場合 八 その他、政令で定める場合 |
電波法
「電波法の規制」でも説明しましたが、ドローンを電波で操縦する場合や、ドローンで撮影した写真や動画を電波で転送する場合などは、「電波法」の規制を受けます。
電波法に関しては、別記事「【ドローンの無線資格(免許)】必要な2ケースと取得方法・開局申請まで紹介」も参照してください。
▶︎参照:電波法
電波法 条文 |
要約 |
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(無線局の開設) |
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一 発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの |
・発射する電波が微弱な無線局で、総務省令で定めたもの |
二 二十六・九メガヘルツから二十七・二メガヘルツまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が〇・五ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第三十八条の七第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)若しくは第三十八条の三十五又は第三十八条の四十四第三項の規定により表示が付されている無線設備(第三十八条の二十三第一項(第三十八条の二十九、第三十八条の三十一第四項及び第六項並びに第三十八条の三十八において準用する場合を含む。)の規定により表示が付されていないものとみなされたものを除く。以下「適合表示無線設備」という。)のみを使用するもの |
・26.9MHzから27.2MHzまでの周波数の電波を使用し、空中線電力が0.5W以下である無線局のうち総務省令で定めるもので、適合表示無線設備のみを使用するもの |
三 空中線電力が一ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第四条の三の規定により指定された呼出符号又は呼出名称を自動的に送信し、又は受信する機能その他総務省令で定める機能を有することにより他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用することができるもので、かつ、適合表示無線設備のみを使用するもの |
・空中線電力1W以下である無線局のうち、総務省令に定めるもので、他の無線局の運用を阻害するような混信などの妨害を与えないように運用することができるもの、かつ適合表示無線設備のみを使用するもの |
道路交通法
「道路交通法」では、道路上でドローンを飛ばすことは禁止していません。
ただ、道路で離発着を行う場合や、第三者の立入管理をするために道路上に補助者を立たせたり、看板を置いたりする場合には道路使用許可が必要です。
▶︎参照:道路交通法
道路交通法 条文 |
要約 |
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(禁止行為) |
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2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。 |
・道路上に、信号機や標識の効用を妨げる(見えなくなったり使えなくなったりする)ようなものを設置してはならない |
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。 <中略> |
・道路での交通を妨害するようなものを、正当な理由なく置いてはならない |
(道路の使用の許可) 一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人 二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者 三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者 四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者 <中略> |
一 道路上で工事や作業をする者、またはそれを請け負う者 二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチなどの工作物を設けようとする者 三 道路に露店や屋台などを出店しようとする者 四 その他、道路でのお祭り、ロケ撮影、人が集まるような行為など、交通に著しい影響を及ぼすような道路の使い方をしようとする者 |
(許可の手続) <中略> |
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3 所轄警察署長は、前条第一項の規定による許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。 |
・警察署長は、申請を許可した場合は許可証を交付しなければならない |
4 前項の規定による許可証の交付を受けた者は、当該許可証の記載事項に変更を生じたときは、所轄警察署長に届け出て、許可証に変更に係る事項の記載を受けなければならない。 |
・許可証の交付を受けた者は、その記載事項に変更が生じたときは、所轄の警察署長に届け出て許可証の記載を変更してもらわなければならない |
5 第三項の規定による許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、所轄警察署長に許可証の再交付を申請することができる。 <後略> |
・許可証の交付を老けた者は、もし許可証をなくしたり破損したりしたときには所轄の警察署長に再交付を申請できる |
都市公園法
「都市公園法」では、直接ドローンを禁止してはいませんが、公園やその環境などを傷つけたり、まわりに迷惑をかけたりする行為を禁じています。
ドローンがこれに該当するとして、管理者である国や自治体に禁止された場合は、それに従わなければなりません。
▶︎参照:都市公園法
都市公園法 条文 |
要約 |
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(都市公園の管理) <中略> |
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(国の設置に係る都市公園における行為の禁止等) 一 都市公園を損傷し、又は汚損すること。 二 竹木を伐採し、又は植物を採取すること。 三 土石、竹木等の物件を堆たい積すること。 |
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四 前三号に掲げるもののほか、公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの |
・公園を利用する人のじゃまになる恐れがあり、政令で禁止されていること |
自然公園法
「自然公園法」は、国立公園や国定公園などに関する法律です。
ドローンに関しては、直接禁止する条文はありませんが、植物を傷つけたり、立ち入り禁止のエリアに立ち入ったりすることが禁じられているため、ドローン操縦でそのようなことがあった場合や、管理者が禁止している場合は飛ばせません。
▶︎参照:自然公園法
自然公園法 条文 |
要約 |
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(特別地域) <中略> |
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3 特別地域(特別保護地区を除く。以下この条において同じ。)内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為又は第三号に掲げる行為で森林の整備及び保全を図るために行うものは、この限りでない。 <中略> |
・特別地域では、大臣や知事の許可なく以下の行為をしてはいけない |
三 環境大臣が指定する区域内において木竹を損傷すること。 <中略> |
・木など植物を傷つけること |
十六 湿原その他これに類する地域のうち環境大臣が指定する区域内へ当該区域ごとに指定する期間内に立ち入ること。 |
・禁止された期間に立ち入ること |
(特別保護地区) <中略> |
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3 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。 |
・特別保護地区では、大臣や知事の許可なく以下の行為をしてはいけない |
一 前条第三項第一号、第二号、第四号から第七号まで、第九号、第十号、第十五号及び第十六号に掲げる行為 |
・木などを伐採すること ・禁止された期間に立ち入ること |
二 木竹を損傷すること。 |
・木など植物を傷つけること |
河川法
「河川法」にもドローンを禁止する条文はありませんが、管理者が「禁止」と決めている場合はドローンを飛ばすことはできません。
▶︎参照:河川法
河川法 条文 |
要約 |
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(一級河川の管理) <中略> |
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(二級河川の管理) |
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海上交通安全法
「海上交通安全法」は、東京湾、伊勢湾などに関する法律で、直接ドローンを禁止する条文はありません。
が、航路やその周辺で「作業」をする場合は海上保安庁の許可が必要と定められていて、ドローンの飛行が航路の安全に関わる場合は、この「作業」に該当すると考えられます。
▶︎参照:海上交通安全法
海上交通安全法 条文 |
要約 |
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(目的及び適用海域) |
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2 この法律は、東京湾、伊勢湾(伊勢湾の湾口に接する海域及び三河湾のうち伊勢湾に接する海域を含む。)及び瀬戸内海のうち次の各号に掲げる海域以外の海域に適用するものとし、これらの海域と他の海域(次の各号に掲げる海域を除く。)との境界は、政令で定める。 <中略> |
・この法律は、東京湾、伊勢湾などに適用される |
(航路及びその周辺の海域における工事等) |
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一 航路又はその周辺の政令で定める海域において工事又は作業をしようとする者 |
・航路や海域で工事や作業をする者 |
港則法
「港則法」は港に関する法律で、やはりドローンを直接禁じる条文はありません。
が、港とその付近で「作業」をする場合は港長の許可が必要とされ、ドローンの飛行が船舶の安全に関わる場合はこの「作業」にあたるとみなされます。
▶︎参照:港則法
港則法 条文 |
要約 |
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(港及びその区域) <中略> |
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(工事等の許可及び進水等の届出) 2 港長は、前項の許可をするに当り、船舶交通の安全のために必要な措置を命ずることができる。 <中略> |
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(準用規定) |
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都道府県、市区町村条例
都道府県条例、市区町村条例は数が膨大なので、ここにドローンに関わる全文を上げることはできません。
が、国土交通省「無人航空機の飛行を制限する条例等」に各自治体の条例が挙げられていますので、ドローンを飛ばそうとする場合は、その場所が属する自治体の条例を確認してください。
まとめ
いかがでしたか?
ドローンの規制について、その全体像が把握できたかと思います。
ではあらためて、要点をおさえておきましょう。
◎2022年に改正されたドローン規制3点は以下
- 操縦者の国家資格が設けられた
- 重さ100g以上のドローンが規制対象になった
- 機体の登録が義務化された
◎【2023年版】ドローンに関する規制は大きくわけて以下の5種
- 飛ばす場所に関する規制
- 飛ばす方法に関する規制
- 資格に関する規制
- 機体の登録に関する規制
- その他
◎ドローンを規制する主な法令は、
- 航空法
- 小型無人機等飛行禁止法
- 民法
- 個人情報保護法
- 電波法
- 道路交通法
- 都市公園法
- 自然公園法
- 河川法
- 海上交通安全法
- 港則法
- 都道府県条例、市区町村条例 など
これを踏まえて、あなたが法的規制を守って正しくドローンを飛ばせるよう願っています。