ドローンスクール選びのポイントはいくつもありますが、受講にかかる費用も大切です。
「ドローンスクールって、結局いくらくらいかかるの?」という疑問の声に応えるため、今回はドローンスクール受講や資格取得に必要な費用についてまとめました。
ドローンスクール受講時に必要となる費用には主に次の4つがあります。
なお、この記事ではドローンスクールのメインコースである資格取得コースについて紹介します。
資格取得コースはドローンの基本的な操作や知識を身につけるためのカリキュラムとなっており、資格を目指す人だけでなく、ドローン操縦を学びたい全ての人に向けたメインのコースです。
資格取得コースは国の助成金もあり、活用することで受講費用を半分以上削減することも可能です。
こちらの助成金についても記事では詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
ドローンスクールの受講に必要な費用について理解して、ぜひ自分に合ったスクール選びの参考にしてください。
2022年12月5日に、ドローンの国家資格(免許)制度が開始されました。
こちらの記事で、ドローンの国家資格(免許)制度の全体像について詳しく解説していますので、是非併せてご覧ください。
目次
ドローンスクールの費用は大きく4種類
ドローンスクール受講に関わる費用には、冒頭でもお伝えした通り、次の4つがあります。
ドローンスクールに必要な費用のメインは、当然ですがコースの受講料です。
コース受講料はボリュームが大きいだけでなく、スクールによって大きく差がつくポイントでもあります。
コース受講料の詳細については、次の章で紹介します。
コース受講料以外の費用もチェック
コース受講料以外にかかる費用としては、例えば次のようなものがあります。
- 資格申請費用
資格取得コースでは、基本的にコース修了後に該当の資格の認定申請を行います。
その際、コース料金とは別に資格申請費用(1〜2万円程度が相場)がかかることもあります。
また、資格の多くは有効期限が設定されているのですが、更新の際に再度申請費用が必要となることもあります。
スクールによってはコース料金に含まれていることもありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
- 出張費用
講師を自分のフィールドに招いて出張講習をしてもらう際に必要となる費用です。
スクールによって、交通費や宿泊費の実費のみというところもあれば、出張費用として数万円がかかることもあります。
なお、スクールで受講する場合には必要ありません。
- 交通費、宿泊費
遠方のスクールに通う場合は、自分の交通費や宿泊費が必要です。
短期集中コースや合宿型コースの場合、宿泊費がコース料金に含まれていることもあります。
詳しくはスクールに確認しましょう。
資格取得コースのコース受講費用は10万円〜30万円前後
ドローン講習にかかる費用の大部分はコース受講料です。
基本的なドローン操作と知識を学び、資格取得を目指すコースの場合10〜30万円くらいが相場です。
コース料金が10〜30万円と幅がある理由は管理団体の違い
ドローンスクールの受講費用が大きく異なる最も大きな要因は、資格の認定団体の違いです。
2021年3月現在ドローンに関する公的な資格は現在存在せず、ドローンの資格は全て民間資格です。
主な資格としては例えば次のようなものがあります。
これらの資格はそれぞれに管理団体が異なるため、資格取得に必要なカリキュラムや技術内容、あるいは申請費用などもすべて管理団体によって違ってくるのです。
資格について詳しくは後ほど紹介します。
「価格が安いから」だけを理由にスクールを決めるのは危険
ここでひとつ押さえておきたいのは、「費用面だけを見てドローンスクールを選ぶのはやめた方が良い」ということです。
何事も安いにこしたことはないのですが、安いスクールには安い理由がある、ということもあります。
例えば受講生に対して講師が少なく十分にサポートを受けられない、シミュレーター講習の時間が長く実際にドローンに触れる時間が短いなど不満の声が聞かれるスクールも存在しています。
他より安いからという理由であまり質の良くないスクールを選んでしまうと、後になって後悔することになる可能性もあります。
ドローンナビゲーター編集部では、実際に安いスクールを修了された方のインタビューを行いました。インタビューの内容はこちらの記事からご覧いただけます。
安いドローンスクールってどうなの?卒業生の声・おすすめスクール
また、記事内ではインタビューだけでなく、安いスクールを選ぶ際の注意点やチェックポイント、おすすめスクールなども紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
ドローン資格を選ぶために知っておきたいこと
ドローンスクールの費用は取得できる資格の種類や認定団体によって異なります。
そのため、ドローンスクールを選ぶ際にはまず自分に合った資格を選ぶことをおすすめします。
自分に合った資格を知るためには、次のようなポイントについて検討すると良いでしょう。
資格は国土交通省認定資格を取得しよう
現在ドローンの資格には公的な資格はなく、全て民間資格です。
しかしその中で、国土交通省の作成したガイドラインに則ったものとして認定を受けている資格があります。
国土交通省の認定を受けている資格は特に信頼性が高いため、せっかく資格を取得するのであれば認定資格の中から選ぶことをおすすめします。
現在、日本に存在するドローンスクールのほとんどはいずれかの認定資格を受講できるものです。
選んだ資格が国土交通省認定資格であるかが不安な場合は、こちらのサイト(国土交通省)で認定講習団体の一覧を参照することができます。
こちらのサイト上に掲載されているものは、国土交通省の認定資格です。
選んだ資格の名前やスクール名、運営団体名などで検索して確かめてみると良いでしょう。
国土交通省認定資格であれば飛行制限の解除申請を簡略化できる
国土交通省認定資格のメリットは高い信頼性だけではありません。
認定資格を所持している場合、ドローンの飛行制限に関する解除申請手続きを簡略化することができます。
ドローンの飛行には夜間飛行や目視外飛行など、原則として禁止されている飛行方法があります。これを飛行制限と言いますが、これらの飛行を行うためには、国土交通省へ申請を出して認められる必要があります。
この際、国土交通省認定の資格を所有していれば、手続きを簡略化することができるのです。
申請を簡略化させることができる飛行制限の項目は資格によって異なる
飛行制限には次の8つの複数の項目がありますが、認定資格であれば全ての項目について簡略化できる、というわけではありません。
- 人又は家屋の密集している地域の上空
- 人又は物件と30mの距離が確保できない飛行
- 進入表面等の上空の空域
- 地表又は水面から150m以上の高さの空域
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 催し場所上空の飛行
- 危険物の輸送
- 物件投下
この8つのうちどの項目において手続きを簡略化できるかは、資格によって異なります。
制限解除が必要な飛行内容が具体的に決まっているのであれば、その項目について利用することができる資格を選ぶ必要があります。
どの資格がどの項目に利用することができるのかについては国土交通省のサイトから確認することができます。
こちらのサイト上で資格名やスクール名で検索し、希望の項目が含まれているかを確認してみましょう。
各資格の特徴・費用相場
資格取得を目指すコースの場合、どの資格を目指すのかによっても費用相場が異なります。
ここでは、国土交通省認定資格の中から、取得できるスクールも多い4つの資格について費用相場を紹介します。
同じ資格を目指すスクールでは受講費用にあまり差はなく、全国的にほぼ同じ価格で受講することができることがほとんどです。
ただし、JUIDAなど、一部の管理団体ではスクールごとに全くの自由価格設定を認めており、スクールによって価格に差があることもあります。
JUIDA「無人航空機操縦技能証明」:15〜25万円前後
「無人航空機操縦技能」を取得するための受講料相場は15〜25万円と幅があります。
スクールごとに特色がありますので、価格も含め複数のスクールを比較検討すると良いでしょう。
この資格は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が認定する資格で、数あるドローン関連資格の中でも特に取得者が多いという特徴があります。
JUIDAでは、「無人航空機操縦技能」の上位資格として「無人航空機安全運行管理者」という資格も認定しています。
「操縦技能」はドローンに関する基本的な知識や操縦技術を証明する資格ですが、「安全運行管理」は安全やリスクマネジメントに関する一歩進んだ知識や技術を証明するものです。
「操縦技能」の資格を取得していれば、+2〜5万円程度で取得できます。
JUIDAのスクールの中には、「操縦技能」と「安全運行管理者」の同時取得を目指すコースのあるスクールもあります。
費用は30万円くらいです。
JUIDAとその資格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
DPA「ドローン操縦士回転翼3級」:20万円前後
「ドローン操縦士回転翼3級」の取得に関わる費用は20万円前後です。
この資格を取得するためのコースは全国的に受講料が揃えられており、どこで受講しても費用に大きな差はありません。
この資格は一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)が認定するもので、「回転翼航空機の飛行に必要な基礎知識と操縦する基本技術」を認定するものとされています。
「3級」とありますが、現在のところ「2級」や「1級」があるわけではありません。
資格の有効期限は2年間で、2年ごとに更新申請を行う必要があります。
DPAとその資格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
DJI「DJI CAMPスペシャリスト」:5〜10万円程度(経験者限定)
「DJI CAMPスペシャリスト」を取得するための講習は5〜10万円程度で受講できます。
他の資格に比べて安価に感じるかもしれませんが、受講資格として10時間以上のフライト経験が必要である点に注意が必要です。
つまり、全くの初心者から受講することはできません。
未経験からDJI CAMPを取得したいと考えた場合、他のスクールで初級コースを受講しておくなど準備が必要となります。
この資格はUTCが管理していますが、これは国内シェアNo.1ドローンメーカーであるDJIが設立した団体です。
そのため、DJI CAMPスペシャリストを取得するとDJI商品の割引が受けられるなどのメリットもあります。
有効期限は2年間で、更新の際にはオンラインテストを受験して合格する必要があります。
DJI CAMPについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
DPCA「DRONEフライトオペレーター」:5万円・9万円
「DRONEフライトオペレーター」の取得には「BASICコース(5,5000円)」と「ADVANCEDコース(9,9000円)」の2種類のコースがあります。
DRONEフライトオペレーターは一般社団法人ドローン撮影クリエーターズ協会(DPCA)が認定する資格です。
ADVANCEDコースではBASICコースで行う基本的な操縦などのカリキュラムに加え、日中目視外飛行と夜間飛行についての内容を学びます。
いずれのコースの場合も学科講習はeラーニングを使用して行われるという点も特徴的です。
1点注意しておきたいのが、DPCAの場合、コースの受講だけでは操縦時間が10時間を超えないという点です。
国土交通省の認定資格を取得するためには、10時間以上の操縦経験が必要となります。
そのため、資格を取得するにはコース修了後自主練習を行い、10時間以上の操縦経験を証明する必要があります。
自主練習に使用するドローンやフィールドを自分で手配できるのかについては、コース開始前に確認しておいた方が良いでしょう。
DPCAとその資格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
「人材開発支援助成金」を活用すれば、ドローンスクール受講費用を半分以上削減できる
ドローンスクール受講料に利用できる助成金があります。
「人材開発支援助成金」という厚生労働省が実施する助成金で、人材育成を目的とした活動に利用できるものです。
事業者向けの助成金ですので個人では利用できませんが、要件に当てはまる人であればぜひ利用を検討してほしい制度です。
雇用保険加入事業者で、従業員のスキルアップのためのドローンスクール受講であれば、最大で受講費用の6割の助成を受けることができます。
また、コース受講中の従業員賃金の一部についても、助成を受けられる可能性があります。
人材開発支援助成金の詳細や要件、対象者、申請方法などについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
まとめ
ドローンの操縦方法と知識を身につけるために有効なドローンスクールですが、その費用はコースや内容、スクールによって様々です。
数千円から数十万円と大きな幅のある受講費用について、費用が異なる理由やそれぞれの費用相場などについて紹介しました。
最後にもう一度、この記事の内容をまとめます。
◎ドローンスクールの費用は大きく4種類
◎資格取得コースのコース受講料は10万円〜30万円前後
- コース料金が10〜30万円と幅がある理由
- 「価格が安いから」だけを理由にスクールを決めるのは危険
◎各資格の特徴・費用相場
- JUIDA「無人航空機操縦技能証明」:15〜25万円前後
- DPA「ドローン操縦士回転翼3級」:20万円前後
- DJI「DJI CAMPスペシャリスト」:5〜10万円程度(経験者限定)
- DPCA「DRONEフライトオペレーター」:5万円・9万円
◎「人材開発支援助成金」を活用すれば、ドローンスクール受講費用を半分以上削減できる
ドローンの操縦には繊細な技術と知識が必要です。
また、機体を保有するのであればメンテナンスやトラブルへの対処もできるようにならなければいけません。
ドローンを自由にかつ安全に活用するためには、ドローンスクールに通ってきちんと学んでおくことは大変有効です。
そのためには、良いスクールに出会い、本当に役に立つ学びを得ることも大切です。
自分に合ったスクール選びのために、今回の記事が役に立てば嬉しいです。