プロに聞く!太陽光パネル点検へのドローン導入のキーポイントとは?

ソーラーパネルの上を飛ぶドローン

太陽光パネル点検にドローンが活用できることはわかっていても、

「ドローンを導入した場合どのぐらい効果があるのか」
「どんなターゲットに向けてのサービスにすればいいのか」

などの疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

ドローンによる太陽光パネル点検は、作業時間や人員を削減できる有効な方法。

しかし実は、点検業務自体よりも、撮影した画像をどう分析するかが大きなポイントになります。

そこで今回は、現在自社でドローンを使った太陽光パネル点検業務に従事されている田中さん(仮名)をお迎えし、

  • ドローンによる太陽光パネル点検の有効性について
  • ドローンによる太陽光パネル点検のビジネスモデル
  • ドローンによる太陽光パネル点検の撮影画像分析について
  • 太陽光パネル点検にドローンを導入するにあたっての課題

について詳しく説明していただきます。

オンラインインタビュー

また、

  • ドローンによる太陽光パネル点検事業への参入を考えている人へのアドバイス

についてもお話しいただきました。

この記事を読めば、太陽光パネル点検にドローンを活用することで得られる効果やこれからの課題、ドローンを導入するにあたって準備すべきことについて理解を深めることができ、自身の事業においてドローンを有効活用するための方法がわかるでしょう。

太陽光パネルのドローン点検は作業の効率化に有効

ソーラーパネル

ーまずそもそものところなんですが、ドローンを使っての太陽光パネル点検の有効性というか、効果があるのかについて教えていただきたいんですが…。

そうですね、作業の効率化という点ではかなり有効だと言えるんじゃないでしょうか。

太陽光パネルは、乾電池を大量に並べているようなものとイメージしていただくとわかりやすいんですが、例えばそのうちの一つでも抜けていると電気はつきませんよね。

従来の方法ではそれを一つ一つチェックしていたものを、ドローンなら上空から撮影するだけで判断できます。

メガソーラーと呼ばれるような大規模な発電設備であれば、1MW点検するのに4人がかりで丸一日かかっていたものが、ドローンを使うと現場での作業は30分程度で済みます。

そのその後の分析作業を合わせても2~3時間なので、時間的にも体的にもかなり楽になるはずです。

ー夏の暑い時期なんかはなおさらですよね!現場作業がそこまで効率化できるのであれば有効性は高いですね。

【ドローンによる太陽光パネル点検とは?】

ドローンによる太陽光パネル点検とは、ドローンからの空撮(熱検知カメラ)を使った点検です。

実際の太陽光パネル点検の様子はこちら

 

ドローン点検では、上空から撮影することで一度に広範囲の太陽光パネルを点検できるため、従来よりも作業時間を短縮することができます。

従来は一つ一つの太陽光パネルを見て回っていたため、点検には長い時間が必要になっていました。

また、ドローンはGPSを使って自動航行を行うため、大規模施設でも効率的に空撮を行うことが可能です。

ドローンによる太陽光パネル点検のビジネスモデルは主に2つ

ドローンを使った太陽光パネル点検

ーでは、ドローンを使った太陽光パネル点検にはどのようなビジネスモデルがあるのでしょうか?

2つのパターンがあります。

一つはドローンの点検サービスを行っている事業者が新規事業として太陽光パネル特化のサービスを新たに作るというもの、もう一つは設備メンテナンス事業者がドローンを導入するというパターンです。

大規模な発電所は定期的な点検が義務付けられているので、メンテナンス事業者や管理事業者に点検を依頼しています。

その事業者がドローンを活用して点検業務を行う。

ーなるほど。一般住宅用のパネル点検はどうですか?

一般住宅の屋根上に設置してあるような太陽光パネルは点検の義務はないんです。

ただ、発電効率を上げるために自主的に点検をする方もいらっしゃいます。

ですから、屋根上点検事業者が赤外線カメラを購入して、屋根上点検の一環として太陽光パネルも点検するというビジネスはあり得ると思います。

これは比較的地小さな事業者が多いと予想しています。

【太陽光パネルのメンテナンス義務について】

“メガソーラー”と呼ばれる大規模な太陽光発電所は、「再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律(改正 FIT 法)」により、50kW以上で1年に2回以上、2MW以上で常時行うとされる点検が発電事業者に義務付けられています。

以下の条件を満たしている場合は、メンテナンスをしなければならないというルールはありません。

  • 50kW未満の太陽光で全量自家消費の場合
  • 50kW未満の太陽光で固定価格買取制度を適用し売電をしていない場合

そのため、需要が大きいのは、定期的な点検が義務付けられている50kW以上の大規模な太陽光発電所であると言えるでしょう。

大規模な太陽光発電所では撮影した画像をどう分析するかが鍵

一面の太陽光パネル

ー大規模な発電所と個人の住宅にあるような太陽光パネルでは、点検業務に何か違いはあるんですか?

簡単に言うと、撮影する面積、つまり取り扱う画像の枚数が違います。

広い発電所の場合は撮影した大量の画像をどう管理するかが重要。

例えば何千枚という画像をただ並べただけでは、その画像がどの箇所なのか判別できませんよね。

その画像がどの箇所なのか紐づけするために、何らかの画像処理の手段が必要になるんです。例えばクラウドサービスを利用するなどですね。

画像と位置情報の紐づけにはクラウドサービスを利用する

ークラウドサービスですか。それは具体的にどのようなものですか?

まず、画像と位置情報の紐づけについては、その画像がどこで撮ったものなのかというのをgoogleMAPのようなものに貼り付けて自動的に並べてくれるようなシステムや、写真を糊付けして1枚の大きな写真を作るような「オルソモザイク」というシステムがあります。

このようなクラウドサービスを利用することで、簡単に画像を整理することができるんです。

オルソモザイク

画像から異常個所を診断する

撮った画像がどの位置にあたるのかという紐づけができたら、次は画像から異常を判断するという作業が必要です。

大量の画像の判別をするのに一番理想的なのはAIを使うことです。AIが、これはどこの画像でどこに異常があるかを自動判定してくれるシステムがあるんですが、これには高額な費用がかかります。

ですから、現段階では、ドローンで撮影した画像から異常を判断するのは人が行うというのが一般的です。

ー実際に太陽光パネル点検にAIを取り入れている事業者はいるんでしょうか?

はい、一部の進んだ会社では判断自体をAIに任せているケースもあります。

ただし、もちろんAIでも抜け漏れは発生するので、最終的に人の目でのチェックも必要になります。

かなり大規模な発電所を自社や顧客が持っているような企業は、人だけで見るには限界があるのでこのようなシステムを積極的に取り入れていますね。

画像分析のノウハウを学ぶ手段は2つ

太陽光パネルの上を飛ぶドローン

ードローンを使った太陽光パネル点検は、撮影自体よりもその後の画像解析や診断の部分が大切であることはわかりました。それでは、実際に太陽光パネル点検にドローンを導入したい場合、画像解析などのノウハウを学ぶにはどんな手段があるんでしょうか?

手段としては、

  • 動画や本
  • スクール

の2つですね。

動画と本に関しては、太陽光パネル点検や赤外線カメラに関する知識を持っている方が自身の知識と照らし合わせながら学んでいく方法になります。

【動画や本から学ぶ…直接学べる教材はないので自身の知識と照らし合わせる】

実は、すでにドローンによる太陽光パネル点検を行っている事業者の場合、教えると競合を増やすことになるのであまり教えたがらないんです。

ーそうなんですか!じゃあ直接勉強できる方法はあまりないということですか?

そうなんです。

ただ、パネル点検にドローンを導入している事業者は、HPやYouTubeなどに紹介動画をあげているところが多いので、そういった動画を見て独学で勉強する方もいらっしゃいます。

あとは太陽光発電所のメンテナンスの本で勉強するという方法もあります。

太陽光パネル点検をされている方向けの本の中で、不具合事例集のようなものがあるんですが、そういう本を使ってそれぞれの不具合が赤外線カメラではどう写るのかというのを学習すれば、赤外線カメラ搭載のドローン点検にも応用できます。

ーなるほど!ドローンを使わない点検でも手持ちの赤外線カメラを使っての点検は行われているので、不具合の見え方を学べるということですね。

はい、そういうことです。

ー太陽光パネル点検の知識がない人が本や動画を見てもわからないものなんでしょうか?

難しいと思います。

赤外線カメラはあくまでも温度の差を可視化するものなので、そもそも太陽光パネルの不具合にはどんなものがあるのかということを知らなければ判別しようがありません。

ーつまり動画や本は、直接学べる教材があるわけではなく、太陽光パネル点検の知識があるということが前提になるんですね。

【スクールで学ぶ…数は少ないが太陽光パネル点検特化のスクールあり】

そうですね。一番わかりやすいのはスクールなんですが、正直数は少ないんですよね。

赤外線カメラを使ったドローン講習を行っているスクールで講習を受ければ、赤外線カメラを使って点検を行う際の注意点や赤外線の画像の分析の仕方について学ぶことができます。

例えば「Dアカデミー」というスクールは、ドローンの運用方法と赤外線カメラを使った建物診断の方法が学べて資格も取得できる「赤外線建物診断技能師コース」というコースを設けています。

ー赤外線カメラを使った外壁点検を教えているスクールもありますよね。赤外線カメラを使っているという意味では太陽光パネル点検も同じと考えていいのでしょうか?

同じようで全く違うというのが私の認識です。

赤外線カメラはあくまでも熱分布を見るだけのものであり、出てきた熱分布がどのような異常に当たるのかという判断をしなければなりません。

外壁点検であれば、低温に写っている箇所はヒビが入っている、熱を持っている箇所はタイルが浮いているといったことを教えてくれるのが、外壁点検に特化したスクールです。

ーでは太陽光パネル点検をしたい場合は赤外線カメラを使った点検の中でも太陽光パネルに特化したコースのあるスクールがいいということですね。

そうですね。ただかなり少ないのが難点です。

【ドローンによる太陽光パネル点検を学ぶ2つの方法】

ドローンによる太陽光パネル点検を学ぶ方法は、以下の2通りです。

  1. ドローンによる太陽光パネル点検の動画や太陽光発電メンテナンスに関する本から独学で学ぶ
  2. 太陽光パネル点検特化のドローンスクールに通う

①ドローンによる太陽光パネル点検の動画や太陽光発電メンテナンスに関する本から独学で学ぶ

太陽光パネルのドローン点検を直接学べる教材というのはないので、例えば以下のような、ドローンによる太陽光パネル点検を行っている事業者の動画から異常個所の判別の仕方を独学で学ぶ方もいます。

ただしこれは異常パターンの知識を持っている太陽光パネル点検事業者向けの方法です。

また、不具合事例が掲載されている太陽光発電のメンテナンスに関する本の内容と自身の知識を照らし合わせながら学習するという方法もあります。

こちらも太陽光パネル点検経験者向け。

太陽光発電システムの不具合事例ファイル

②太陽光パネル点検特化のドローンスクールに通う

数は少ないですが、太陽光パネル点検に特化したコースのあるドローンスクールも存在します。

スクールに通うことで、太陽光パネル点検のノウハウや赤外線の画像の分析方法などについて学習することが可能。

赤外線カメラ搭載のドローンを使って、実際に太陽光発電所の点検を体験できます。

国土交通省認定資格「太陽光パネル点検ドローンオペレーター」の取得が可能。点検から報告書作成まで一連を学べるコースです。

ー実際太陽光パネル点検にドローンを導入するまでの流れについて、他の点検サービスと何か違う点はありますか?

ドローンを購入して、スクールに通って基本的な知識を学んで練習をして…つまり基本的に飛ばすまではどの事業でも同じです。

ただ、太陽光パネル点検は赤外線カメラ搭載のドローンが必要になるということですね。

何度も言うようですが、赤外線カメラを使って撮影したものをどう判断するかのノウハウをどのように勉強して知識として習得できるかが重要になります。

太陽光パネル点検へのドローン導入の課題は画像分析力と操縦者の知識

太陽光パネルを点検するドローン

ー太陽光パネル点検にドローンを導入するにあたって、考えられる課題はどんなことでしょうか?

太陽光パネルに限らずドローン点検事業全体に言えることですが、ドローンを使って撮った画像をどうするのか、画像分析能力はあるかという点をはっきりさせてから導入しなければ、せっかくドローンを購入しても意味がありません。

そこが一番の課題だと思います。

あとは操縦する方が、ある程度法律的な知識も学んでおくということが必要です。

操縦技術というよりは法律面の知識も得られるという意味で、ドローン事業を始める場合はスクールに通うのがベストだと思います。

今のドローンは性能がいいので、正直初めてでもある程度飛ばせてしまうんですよね。

ただ、知らずに法律に引っかかる危険性があるので、そのあたりをスクールでしっかり学ぶことは必要です。

ー太陽光パネル点検事業者が特に気を付けるべき法律って何かありますか?

大規模な太陽光発電所ですと、広大な敷地なので特に気にせず飛ばしてしまうことが多いんですが、実は空港周辺エリアで高さ制限に引っかかっていることに気付かなかったというケースがよくあります。

知らずに法律違反を犯してしまっているケースもあるので、国土地理院の地図などで事前の確認が必要です。

【太陽光パネル点検にドローンを導入するにあたっての課題点】

  • ドローンで撮った画像をどう分析するかを明確にしてから導入する→ドローンによる太陽光パネル点検で一番重要なポイントになるのが画像をどう処理するか。ここを明確にしてから導入することが大切。
  • 法律的な知識を得るためにスクールに通う→ドローン事業を始めるにあたっては操縦者が法律的な知識をきちんと学んでおくことが必要不可欠。

太陽光パネルのドローン点検市場はこれから拡大していく

太陽光パネルと山

ードローンによる太陽光パネル点検の市場は、今どういう状況なんでしょうか?

まず、ドローンを使っての太陽光パネル点検専門事業者というものはないと考えていいと思います。

前にもお話しした通り、ドローンによる太陽光パネル点検のビジネスモデルは、

  • ドローンの点検サービスを行っている事業者が新規事業として太陽光パネル特化のサービスを新たに作る
  • 設備メンテナンス事業者がドローンを導入する

という2パターンです。

前者は新規事業として新たに創設することになりますが、ターゲットはオーナーではなくメンテナンス事業者。

後者は新しいビジネスを開拓するというよりも、ドローンを導入することで既存のサービスの価値を上げたり効率化を図ったりする目的が強いかと思います。

ーなるほど。既存の点検業者においては、ドローンへの切り替えは結構進んでいるんですか?

まだ一部だと思います。

これから導入の動きがどんどん加速していくと思いますが、規模によってドローン専門業者に委託するか、自社で導入するかに分かれるんじゃないでしょうか。

導入が進む要因としては、赤外線搭載型ドローンの価格が下がってきたことが大きなポイントかと。

以前は赤外線カメラ単体でも100万円を超えていましたが、現在は100万円を切る赤外線搭載ドローンも出てきました。

ー前よりも価格的なハードルが下がったわけですね。では最後に、これから参入を考えている方に何かアドバイスがあればお願いします。

やはりプロの方に相談するのが一番だと思います。

法律面、使い方、機体選びなどいろいろな面からアドバイスしてもらって、下調べをしてから行動に移すのでも遅くはありません。

「ドローンが便利そうだからとりあえず買ってみよう」ではなく、まず詳しい人に相談してそのアドバイスをもとにどんな準備が必要かを整理する。

ーどんな人に相談すればいいんでしょうか?

一番身近なのは代理店の方でしょうかね。

まず何社かの代理店の方とコンタクトを取るといいと思います。ドローンの購入先というだけではなく、アフターも含め、わからなくなった時の相談相手としてどうかを見極めることも重要です。

ドローンはアマゾンではなく代理店から購入しましょう。

ーそれはわかりやすいアドバイスですね!貴重なお話をありがとうございました!

まとめ

太陽光パネルの点検に向かうドローン

太陽光パネル点検事業へのドローン導入について、有効性やビジネスモデル、ポイントとなる画像分析や課題など幅広く理解していただけたかと思います。

では最後にもう一度要点を確認しておきましょう。

  • ドローンによる太陽光パネル点検は、作業時間や人員を削減できるという点において有効性が高い

ドローンによる太陽光パネル点検のビジネスモデルは主に以下の2つ。

  1. ドローンの点検サービスを行っている事業者が新規事業として太陽光パネル特化のサービスを新たに作る
  2. 設備メンテナンス事業者がドローンを導入する
  • 大規模な太陽光発電所では撮影した画像をどう分析するかが鍵となり、クラウドサービスやAIによる解析を導入している事業者もある。
  • 画像分析のノウハウを学ぶ手段は2つ
  1. ドローンによる太陽光パネル点検の動画や太陽光発電メンテナンスに関する本から独学で学ぶ
  2. 太陽光パネル点検特化のドローンスクールに通う
  • 太陽光パネル点検にドローンを導入するにあたっての課題点

☑ドローンで撮った画像をどう分析するかを明確にしてから導入する
☑法律的な知識を得るためにスクールに通う

  • 太陽光パネルのドローン点検市場はこれから拡大していく

規模大→自社導入
規模小→ドローン専門業者に委託

  • 機体を購入する前にすべきこと

☑プロに相談する
☑いくつかの代理店にコンタクトをとる

ドローンによる太陽光パネル点検の最大のポイントは、画像解析

そのノウハウをしっかり学び、分析する手段を取得した上で導入しなければ意味がありません。

本記事で得られた知識をもとに、あなたの事業においてもドローンが有効に活用されることを願っています。