この記事に目を留めてくださったあなたはきっと、ドローンスクールでの受講を検討しているはず。
ですが、いざドローンスクールを探し始めてみて、「こんなにたくさんのスクールの中からどうやって選べばいいの!?」と戸惑ってしまう人も少なくないのではないでしょうか?
そんな迷えるドローン講習受講希望者の皆さんにお伝えしたいのが、「最適なドローンスクール選びには明確な基準が欠かせない」ということです。
全国にあるドローンスクールの数は、国土交通省航空局ホームページに掲載されている認定スクールだけでも1,179校(2021年11月時点)。
判断基準をしっかりと持っていなければ、これほど多くの選択肢の中から満足の行くドローンスクールを選ぶことは難しいでしょう。
そこで今回は、「ここにしてよかった!」と思えるようなドローンスクールの選び方について解説。
ドローンに係る複数の事業を行い、さまざまなドローンスクールのコンサルティングを手がけている専門家の監修を受けた「選ぶ際の基準」をご紹介します。
<監修を依頼した専門家のインタビュー時の様子>
ドローン飛行の目的・用途別に説明することで、全般的な知識や技術を学びたいケースだけでなく、特定ビジネスでのドローン活用を検討しているケースまでカバーしているほか、気になる料金についての考え方にも触れています。
見るべき点を重要なものから順番にご紹介しているので、どんなポイントをどんな順序でチェックしていけばよいのかが明確になり、読んですぐに実際のドローンスクール選びに活かせますよ!
何を目安にしてドローンスクールを選べばよいかわからず迷っているなら、ぜひこの記事をお役立てください。
2022年12月5日に、ドローンの国家資格制度が開始されました。
この記事で紹介しているドローンスクールの選び方は、国家資格制度導入後も使えるものにはなっていますが「そもそも国家資格制度って何?」という方は、こちらの記事でその内容を詳しく解説しているので、是非ご覧ください。
目次
ドローンスクールの選び方は「目的・用途」で変わる!
ドローンスクール選びの基準は、目的と用途によって変わってきます。
なぜなら、得るべき知識や操縦スキルの種類が異なるからです。
次章以降で、目的と用途に応じたドローンスクールの選び方をご紹介しています。
ドローンに関して全般的に学びたい、趣味でドローンを飛ばしたい場合は、基本的・汎用的な知識や技術を身につけられる「一般コース」
ビジネスでのドローン導入を検討していて、当該用途(測量、空撮、外壁点検など)に特化した講習が見つかる場合は、同用途に特に求められる知識・スキルを学べる「特化コース」
ビジネスでのドローン導入を検討しているが、当該用途に特化した講習が見つからない場合は、「一般コース」
(※これ以降は一般コースを「一般型スクール」、特化コースを「特化型スクール」としてご紹介していきます)
ただし、特定用途に特化した講習は、ドローンに関する基本的な知識や操縦スキルを習得していることが前提となっている場合が多いです。
そのため、特化コース受講者は、基本的な内容を扱う初心者向けコースをあらかじめ受講しておくのが一般的ですので、まずは一般型スクールの判断基準をご紹介する次章からお読みいただくことをおすすめします。
【一般型スクール】ドローンの知識・ルール・操縦方法全般を学ぶ
「ドローンを買いたいけれど、まずは一度試してみてからにしようと考えたから」
「ドローンの事故やトラブルは結構あると聞き、趣味目的とはいえきちんと習っておく必要があると思った」
そんな風に考えているあなたが選ぶべきは、一般型スクールです。
ドローンに関する一般的な知識、ルール全般、そして基本的な操縦技術を学べるのが一般型スクール。
広く活用できる汎用的な知識・スキルを学べますので、ビジネスでドローンを活用したいケースなどであっても、対象用途に特化したコースを設けているスクールが見つからない場合は、一般型スクールで基礎を学んでおくことになります。
(マイナーな分野やこれから成長することが見込まれる分野については、特化コースがまだ設けられていないことが多いでしょう)
つまり、ドローンが急速に普及してきているような特定分野のビジネス用途でない限り、一般型スクールを選ぶのが定石です。
ドローンスクール選びのチェック項目と流れは、次のとおりです。
各チェック項目について、次項から詳しく見ていきましょう。
最優先で確認!「運営会社のノウハウ」
スクールの運営会社はドローンに関する豊富なノウハウを持っているでしょうか?
有力な判断基準は、スクールの運営会社が「ドローンを使った事業を行っているかいないか」です。
おおまかにいってドローンスクールには、スクール業を専門とするドローンスクールと、ドローンを用いたビジネスを行いつつスクールも運営しているドローンスクールの2種類があります。
実践的なノウハウを持ち、現場に即した講習を実施できるのは、やはり後者です。
スクールを立ち上げるためにドローンに関わるようになったスクールよりも、自社事業におけるドローン活用から得られた知見を活かす形で開校したスクールのほうが、より充実した講習を受けられる可能性が高いと考えられます。
なお、スクールのウェブサイトにドローン事業に関する記載がない場合でも、運営会社名で検索すると情報が見つかるケースもありますよ。
<確認・判断方法>
- スクール運営会社がドローン事業を手がけているかをパンフレットや公式サイトで確認する。(手がけていれば知見があるはずなので望ましい)
- パンフレットや公式サイトに記載がなければ、スクール運営会社名で検索して、運営会社がドローン事業を行っているかを確認する。
《教える内容よりも“教え方”が重要なケースも》
ドローンスクールの受講者の目的はさまざまで、その目指すところによっては「豊富なノウハウ」よりも「わかりやすい教え方」が優先される場合も考えられます。
たとえば、ただ趣味として山奥や海辺でドローンを飛ばして楽しみたいというケース。
ひと通りの関連法規や注意点と、基本的な操縦方法さえ身に着けられれば十分であり、「現場に即した実践的なノウハウ」の必要性は高くありませんよね。
どこのスクールでも最低限必要な内容は学べるようになっていますので、そのようなケースではカリキュラムを超えた実践的な学びというよりも、カリキュラムの内容をいかにわかりやすく教えてもらえるかがポイントに。
「教えること」のプロ集団である自動車教習所が運営しているスクールなどが有力候補となってくるでしょう。
スクールだけでなく「講師の経歴」も
教えてくれる講師のドローン飛行経験はとても重要ですので、講師の経歴もぜひ確認しましょう。
講師には、スクール講師となるためにドローン操縦を勉強した人と、もともとドローンを操縦していたことの延長線上で講師となっている人とがいますが、ドローン飛行の現場で求められるスキルにより精通しているのは後者だからです。
講師業をゴールに据えてドローンを勉強してきた講師に問題があるというわけではありませんし、教え方の上手下手もありますので一概にはいえませんが、経験値という点では現場経験が豊富な講師がやはり有利。
たとえば空撮ビジネス経験のある講師なら、印象的な写真を撮るコツを実体験に基づいて教えてくれるでしょう。
なお、パンフレットやウェブサイトに載っている講師がどのコースを担当するのかはわからない場合が多いため、スクールに問い合わせてみるのがおすすめです。
<確認・判断方法>
- パンフレットやウェブサイトの掲載情報から、講師の経歴を確認する。(現場経験があるのが望ましい)
- 受講希望コースをどの講師が担当するのかをスクールに問い合わせる。
こちらも確認しておきたい「所属する管理団体」
講習団体であるドローンスクールの多くが、スクールを指導・監督する立場にある管理団体に属しています。
所属する管理団体がどういったところであるかもスクールを見極める際の判断材料となるでしょう。
規模の大小
大規模な管理団体に所属するスクールがよくて、小規模な管理団体に所属するスクールはよくないということではありませんが、所属する管理団体の規模の大小もある程度までは考慮するのがよいでしょう。
講習を行うのは各スクールですが技能認証証明書を発行するのは管理団体であるため、講習のカリキュラムは管理団体により定められており、管理団体の規模が大きいとカリキュラムの質も高い傾向があるからです。
技能認証のために習得が必要な項目は決まっているため、最低限必要な学習内容はどの管理団体が作成するカリキュラムにも含まれています。したがって、違ってくるのはプラスアルファの部分。
最低限の項目に加えて学べる内容が、大手ほど充実している場合が多いのです。
《大手管理団体のほうが有利?》
単純に規模が大きければ大きいほどいいというものではありません。
フランチャイズ運営であれば所属するスクール数は多くなりがちで、各スクールの質が担保されているとは限らなくなってくるというリスクもはらみます。
そこそこの規模以上の管理団体なら安心感がありそうと考えるくらいが適当といえるでしょう。
ただし、近い将来ドローンにも免許制度が導入される見込みです。
その際、大手管理団体が中心となって制度を整備していくことが考えられ、実際に一部の大手管理団体所属スクールでは「免許制度がスタートしたときに有利ですよ」といったアピールもあるようです。
本当にそうなのかはまだわかりませんが、そういった話もあるということを頭の隅に置いておくとよいかもしれません。
規模が大きめの管理団体としては、下表のようなところが挙げられます。
それぞれの団体についてより詳しく説明した記事もありますので、ぜひあわせてご覧ください。
JUIDAとは?ドローン資格認定団体の団体概要・資格の特徴など
DPCAとは?ドローン資格認定団体の団体概要・資格の特徴など
DJI CAMPとは?資格の概要や特徴、おすすめな人、認定団体など
農林水産航空協会とは?ドローン資格認定団体の団体概要・資格の特徴など
特徴・コンセプト
管理団体の規模もある程度まで考慮するとよいと前項でご紹介しましたが、規模は小さめでも他にはない特徴を持った管理団体も存在します。
例としては、次のような管理団体が挙げられます。
- 産学連携により実現した専門性の高いカリキュラムを提供しているJUAVAC(一般社団法人日本UAV利用促進協議会)
- 社会の課題をドローンで解決できるようにするための「ドローンのビジネススクール」をスローガンに運営している一般社団法人ドローン大学校
こうした特徴的な管理団体のコンセプトに共感できるのであれば、そうした管理団体に所属するスクールこそが有力候補となってくるでしょう。
必要であれば追加飛行形態への対応状況もチェック
2022年12月からドローンの国家資格が始まりました。この見出しは「ドローンの民間資格」に関する説明になりますので、ドローンの国家資格についての内容を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
夜間飛行や目視外飛行(ドローンを目視できない状態での飛行)、物件投下(ドローンから物を落とす)といった特殊な環境・条件でのドローン飛行には国交省への申請が必要となりますが、スクールで受講して認定資格を得ておけば、そうした申請手続きを簡略化できます。
ただし、スクールが対応していない飛行形態については簡略化できませんので、特定の飛行形態を想定しているのであれば、スクールの管理団体がその飛行形態の技術認証に対応しているかをチェックしておきましょう。
たとえばJUIDAでは「物件投下」を除いた8形態の技能認証に対応していますが、DJI JAPANでは全9形態の技能認証に対応しています。
もしもこの2つの管理団体を比較する場合で、物件投下を想定しているのであれば、同技能認証を得られるDJI JAPANがより適当といえるでしょう。
各管理団体の対応状況は下表のとおりです。
(※ただし、各スクールの対応状況は所属管理団体のそれと必ずしも一致するとは限らないため、航空局ホームページに掲載されている無人航空機の操縦者に対する講習等を実施する団体のリストでスクールごとの対応状況も確認しておくと安心です)
参考:航空局ホームページに掲載されている講習団体を管理する団体
航空局ホームページに掲載されている無人航空機の操縦者に対する講習等を実施する団体
<確認・判断方法>
- スクールが所属する管理団体の規模を確認する。(ある程度の規模以上ならOK)
※ここで確認→航空局ホームページに掲載されている講習団体を管理する団体
- スクールが所属する管理団体の特徴やコンセプトを確認する。(共感できるか?)
※ここで確認→各管理団体の公式ウェブサイト
- 特定の飛行形態を想定しているなら、所属する管理団体がその飛行形態に対応しているかを確認する。
※ここで確認→航空局ホームページに掲載されている講習団体を管理する団体
スクール間の比較をするなら「実技訓練の充実度」
似たような感じの候補スクールを比較するのであれば、飛行実技の充実度を比較しましょう。
その理由は、飛行時間を長く確保できるほど満足度は高まり、飛行技術も伸びやすいためです。
当日の受講者数は少ないほど◎
比較する際には、単純に「実技◯時間」という記載だけで判断するのではなく、一緒に習うことになる受講者の人数にも注目を!
同じ「実技10時間」であっても、5人一組で行う場合と、1人の講師に対し2人の受講者という場合とでは、ドローンを飛行させる時間の長さは大きく違ってくるからです。
屋外訓練施設はあるか?
ドローンの飛行訓練場所には屋内と屋外とがありますが、一般的には屋外のほうが訓練効果が高いと考えられます。
屋内訓練施設だけではなく屋外訓練施設もあるかをチェックしましょう。
初めて飛ばす際には風の影響を受けない屋内のほうが安心ですが、スクール卒業後に実際に飛ばすことになるのは基本的に屋外ですよね。
ずっと屋内だけで飛行訓練を行っていれば、いざ屋外で飛ばすとなったときに風があることに慌ててしまうでしょう。
屋内訓練施設もあるけれど、メインは屋外での訓練というのが理想的です。
《知っておきたい屋外訓練施設のデメリット》
訓練効果の点では屋内よりも屋外がおすすめですが、屋外ならではのデメリットもあることを知っておきましょう。
ドローンは精密機械ですので、雨が降れば屋外では飛ばせません。(防水タイプのモデルもありますが、スクールで使う練習機は基本的に悪天候下では飛ばせないと考えたほうがよいでしょう)
雨天順延となれば受講日数が延びますので、時間的余裕がなくとにかく早く修了したい人や、とりあえず認定資格を取得するために受講する人などは、むしろ実技訓練はすべて屋内でというスタイルのほうが都合がよいともいえそうです
シミュレーター利用時間が長すぎないか?
特に他の受講者が飛行させている時間の過ごし方としてよく採用されているのが、シミュレーターを使った飛行訓練です。
指定した方角から指定した強さで風が吹いている状態を設定できたりととてもよくできていますが、それでもやはり実際にドローンを飛ばすのとは異なります。
シミュレーターを使った訓練も有意義ではありますが、そればかりとなってしまうのは問題ですので、実機での飛行訓練時間を十分に確保できるのかを確認しておくとよいでしょう。
《座学は基本的に比較不要》
講習が「座学+実技」で構成されるとはいえ、座学の内容をスクール間で比較する必要は基本的にありません。
というのも、少なくとも管理団体が同じであれば、座学で教わる「ドローンの基礎的な知識」にスクールごとの違いは見られないためです。
たとえばJUIDA指定のカリキュラム中の座学(操縦技能コースの場合)は下記のとおりとなっており、所属スクールはどこも概ねこの内容で講習を行っています。
- UAS概論(歴史・機種・原理、他)
- 法律・ルール
- 自然科学(気象・電波)
- 技術(構造・制御、他)
- 運用(安全・禁止、他)
限られた時間の中で扱われる必要な知識は自ずから一定の内容となるので、比較する意味はほとんどありません。
<確認・判断方法>
- 何人一組で受講することになるかを確認する。(少ないほうが飛行訓練が充実する)
- 屋外訓練施設の有無を確認する。(屋外施設があるほうがより実践的な訓練となる)
- 実機での訓練時間が十分かを確認する。(シミュレーターばかりとなるのは避けたい)
品質バロメーターとしての「スクールの実績」
スクールの実績も確認しておくとよいでしょう。
なぜなら、実績はドローンスクールとしてのクオリティをある程度反映していると考えられるからです。
輩出している卒業生の人数が少なすぎないか?
卒業生の人数は宣伝広告への力の入れ具合を反映している部分も大きく、公表数値が必ずしも正確とも限らないため、そこまで気にする必要はないでしょう。
とはいえ、卒業生数が極端に少ない場合は再考の余地があるかもしれません。
開校してからそれなりの年数が経過しており、かつ一定レベル以上の講習を期待できそうな目安という意味で、卒業生の人数を念のため確認しておくとよさそうです。
卒業生はドローンを使いこなして活躍しているか?
卒業生がどのようにドローンを活かして活躍しているか、つまり卒業生の質も一つのバロメーターとなるでしょう。
スクールのウェブサイトから情報を得たり電話でスクールに直接問い合わせたりするほかなさそうですが、可能な範囲で確認しておきたいですね。
大手企業などからの受講生受け入れ事例があるか?
一般に要求水準が高い大手企業などからの受講生を受け入れていれば、スクール自体も講習内容も厳しい条件を満たしていると考えられますので、安心感があるといえそうです。
<確認・判断方法>
- 卒業生の人数を確認する。(少なすぎる場合は要注意)
- 卒業生がドローンを使って活躍しているかを可能な範囲で確認する。(学んだ内容を活かせている卒業生が多ければ、それだけ実践的な講習内容であることが期待される)
- 大手企業などからの受講生を受け入れた事例があるかを確認する。(受け入れ事例があれば一定の要求水準が満たされている可能性が高い)
《実技訓練で使うドローンの種類を確認しておきたいケース》
スクールで使う訓練機は、最大手メーカーDJI製が7割、自作機3割といったところです。
わざわざ自作機を用意する主な理由は、講師用のサブコントローラー(自動車教習所の車の助手席にある補助ブレーキの役割)、高度維持機能以外の制御機能が働かないようにするAモード(ATTIモード)の必要性。
DJI製のドローンにはそれらの機能が搭載されていないことが多いため、代わりに自作機が使われます。
しかし、スクール卒業後にDJI製ドローンを飛ばすつもりで、訓練もDJI製ドローンで行って慣れておきたいと考えるのであれば、実技訓練で使うドローンがどういった機種であるかを確認するのがおすすめです。
ただし、各種制御機能がふんだんに搭載されているDJI製ドローンよりも操縦難易度が若干上がる自作機で訓練を行うのは、スキルアップの点では価値あること。
より高い操縦スキルを身につけるチャンスという側面にも目を向けてもよいかもしれませんね。
ここまででご紹介した一般型スクール選びをまとめると、以下のイメージでの進め方となります。
【まずはチェックすべき重要項目】
- 運営会社はノウハウを豊富に持っているか?
- 現場経験の豊富な講師が教えてくれるか?
【最終的にどこにするかを決められない場合に比較する項目】
- 所属する管理団体の規模や特徴に納得できるか?
- 実技訓練をしっかりと受けられそうか?
- 確かな実績を持っているスクールか?
【特化型スクール】特定の用途に特化した知識・スキルを学ぶ
「ドローンを勉強してこいとの社長命令。自社ビジネスでドローンを使うことになったので」
「現場にドローンを導入して、ぜひとも生産性向上につなげたい」
自社ビジネスでのドローンの利活用を想定しているなら、まずは当該分野の特化コースがあるスクールを選ぶべきです。
たとえば……
- 農薬散布農業コース
- 空撮コース
- 測量コース
- 屋根点検コース
- 外壁点検(赤外線)コース
- プラント点検コース
- ソーラーパネル点検コース など
ただ、上に挙げるような特化コースを設けているスクールはまだまだ少ないのが実情です。
自ずと候補は限られてきますが、その中でもベストな1校を選びたいという場合には、前章でご紹介したような見極め方に加え、次のようなチェック項目と流れでスクールを選ぶとよいでしょう。
特化型スクール選びで加味したい各ポイントについて、次項から詳しく見ていきましょう。
まず確認したい「対象ビジネスを自社で行っているか?」
特定の用途を想定している以上、
その用途でのドローン飛行を現場で実務として行っているスクール(=対象ビジネスを実際に自社で行っているスクール)
を探しましょう。
たとえば……
- ドローン空撮ビジネスを行なっている企業が運営するスクール
→空撮に特化したコースに強い! - ドローン外壁点検を行なっている企業が運営するスクール
→赤外線点検に特化したコースに強い! - ドローン測量ビジネスを行なっている企業が運営するスクール
→測量に特化したコースに強い!
自社ビジネスで得た知見を活かして運営されているドローンスクールであれば、現場経験豊富な講師に教えてもらえる可能性も高く、その分野・用途でのドローン運用のプロならではのノウハウや実践的な指導を期待できるでしょう。
実技訓練での実践的指導だけでなく、座学においても事業者ならではの実体験に基づいた役立つ話をしてくれるスクールも多いようですよ。
《スクールの実績よりも講師の実績が判断基準になるケースもあり!》
スクールによっては、特定の分野に精通した講師を外部から招いている場合もあります。
そうしたケースでは、その講師の実績を判断基準としましょう。
<確認・判断方法>
- 想定しているビジネス用途でドローン活用を行っているかを確認する。(自社業務として行っていれば実践的指導が期待できる)
次にチェックするのは「卒業後のサポートの有無」
特にビジネス用途の場合、卒業後にもスクールのサポートを受けられることは大きな価値を持ってきますので、スクールのサポート体制を確認しておきましょう。
どれほど充実したカリキュラムであったとしても、受講すれば即スムーズに運用できるとは限りません。
なぜなら、ドローンを飛ばすことになる環境、求められる判断、特に注意を払うべき点などは現場ごとに異なり、決して一様に対処できるものではないからです。
自社で運用を開始してみるとアドバイスを必要とするような場面も出てくるでしょうし、極めて高い操縦技術が要求されるような現場もあるでしょう。
また、
「どの機種を購入するのが正解なのかわからない」
「ビジネスとして始動したものの受注できない」
「練習場所がなく、スキルの維持が困難」
「ドローンを活用したソリューションを提供していきたいが、どうすればいいのかわからない」
といった問題に直面し、せっかくドローン講習を受けてもビジネスになかなかつなげられない例も少なくありません。
卒業生が悩むことの多いこうした問題を解決してくれるのが、スクールから受けられる次のようなサポートです。
- 機体選定を手伝ってもらう
- 練習場所を使わせてもらう
- 現場同行の上アドバイスをしてもらう
- 難所でのドローン操縦を代わってもらう
- 関連会社経由などで案件を紹介してもらう
- コンサルタントとして事業立ち上げまで支援してもらう
上記のほかに、自校を通してドローンを購入する受講者に対し割引販売するスクールもあります。
スクール業以外の自社ビジネスでドローンを利用しているスクールの場合、補助者が必要な形態の飛行を行う際に、卒業生とスクールとが互いに補助者となるといったケースも見られます。
また、とりわけこまめなメンテナンスの欠かせない農薬散布用ドローンを飛ばすのであれば、日々のドローン整備までサポートしてくれるようなスクールが心強いのではないでしょうか。
どういったアフターフォローを期待できるのかは、公式サイトや資料からはよくわからないことも多いです。直接電話をかけて問い合わせるなどしてみましょう。
<確認・判断方法>
- 卒業後のアフターフォローについて問い合わせる。(練習場所提供、現場同行、事業立ち上げ支援などのサポートを受けられればビジネスにつなげやすい)
マスト要件ではないけれど「スクールの所在地」
前章で解説したように、ドローンをビジネスで活用する場合は特に、受講後にもスクールとのおつきあいは続くと考えておくのが無難。
近所である必要はありませんが、できればあまり遠くない場所にあるスクールがおすすめです。
大前提として、スクール選びにおいては何よりも「いいスクール、いい講師」が最優先事項であり、スクール所在地はそこまで重視すべきものではありません。
しかし、もしも同程度に評価が高いスクールが複数あるのであれば、近いほうのスクールを選んでおくというのは作戦としてありです。
というのも、たとえ練習場所提供などの日常的なサポートや現場でのヘルプを受ける機会がさほどない場合であっても、次のようなフォローアップが必要となってくる可能性を考慮すべきだからです。
- 苦手克服や技能再確認のための実技再受講
- さらに専門的なスキルを身につけドローン運用の幅を広げるオプション講習
- ドローンの最新動向に関するセミナー
技術進歩がめざましく法改正も頻繁なドローンの世界では、すべてがハイペースで変容するため、知識やスキルのアップデートが欠かせません。
もちろん、自身で情報を追ったり練習したりもできないわけではありませんが、スクール側からこまめな情報提供を受け、スキルアップのための追加講習を受けられればやはり楽ですよね。
遠隔地のスクールを卒業した場合、地元の情報を得にくかったり、追加講習のたびに「合宿」が必要となったりといった問題が予想されるでしょう。
そうした面倒を避けるためには、やはり近場がおすすめです。
<確認・判断方法>
- 他項目で差がつかなければ、通いやすい場所にあるスクールを優先する。(近ければ卒業後にもフォローアップ講習を受けるなどしやすい)
実はそれほどない「受講料を比較する必要性」
多くの場合、料金は間違いなく判断基準の一つ。ドローンスクール選びの際にも受講料が気になるところですが、実はそこまで細かく比較する必要はありません。
というのも、コースの種類や日数が同じであれば、スクール間の受講料の違いはあまりないためです。
基本的な知識や技術を学び、修了後に技能認証証明書の申請資格を得られる一般的なコースの受講料の相場は15〜30万円。大半のスクールがこの範囲内に収まります。
もちろん、ある程度の料金差はあるでしょうが、それをもって判断基準とするほどの差ではないはずですので、他のもっと重要なファクターをもとにスクール選びを進めるようにするとよいでしょう。
ドローンスクールにかかる費用の詳細な内訳等については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
まとめ
ドローンスクールを選ぶ際の基準は、その目的や用途が次のうちのどれに当てはまるかによって異なってきます。
- 「とりあえずドローンを飛ばしてみたい」「趣味で飛ばしたい」などであり、厳密かつ具体的な目的・用途はまだない
- ビジネスでのドローン導入を検討していて、当該用途に特化した講習が見つかる
- ビジネスでのドローン導入を検討しているが、当該用途に特化した講習が見つからない
【上記①または③のケース】
汎用的な知識や技術を身につけられるスクールを、次の項目を判断基準として選ぶ。
<まずはチェックすべき重要項目>
- 運営会社はノウハウを豊富に持っているか?
- 現場経験の豊富な講師が教えてくれるか?
<最終的にどこにするかを決められない場合に比較する項目>
- 所属する管理団体の規模や特徴に納得できるか?
- 実技訓練をしっかりと受けられそうか?
- 確かな実績を持っているスクールか?
なお、必要であれば追加飛行形態の対応状況も確認するとよいでしょう。
【上記②のケース】
対象用途に特化したコースを知識や技術を身につけられるスクールとして、前述の判断基準に加え下記の基準も考慮して選ぶ。
- 対象用途のドローン飛行をビジネスとして自社で行っているか ←★最重要★
- 卒業後のサポートの有無や内容 ←重要
- スクールの所在地 ←参考程度
なお、気になる受講料ですが、スクール間の受講料の差はそこまで大きくありませんので、判断を左右するような要素とはならないでしょう。
ここでご紹介した判断基準をもとに絞り込んでいけば、まったく当ての外れたスクールを選んでしまうことはまずないはずです。
可能性に満ちたドローンライフの第一歩といえるスクール選び。本記事をご参考に、満足の行く結果を手にしてくださいね!