水中ドローンとは?種類・価格・必要資格からおすすめ6選まで解説

水中ドローンとは?種類・価格・必要資格からおすすめ6選まで解説

「水中ドローンってどんなもの? 空飛ぶドローンと何が違うの?」
「水中ドローンに興味があるんだけれど、どんな機種がいいのか、値段はいくらくらいか、飛ばすのに資格や免許は必要か知りたい」

この記事を開いたあなたは、そんな疑問や希望を持っていることでしょう。

「水中ドローン」をひと言で説明すれば、「水の中を移動することができる無人機」です。

構造や仕組みは空中ドローンと似ていて、コンピューターでモーターの回転やプロペラの形状をコントロールすることで、機体の姿勢や高度(深さ)、方向を制御、水中を潜航します。

ただ、水の中では電波が伝わりにくいため、水中ドローンは一般的に無線で操縦するものではありません。

  • ROV:コントローラーと機体がケーブルでつながっていて、水上の操縦者が操縦するもの
  • AUV:動きをあらかじめプログラムしておき、全自動で動くもの

の2タイプがあります。

その活用シーンは、水中撮影、漁業、釣り、インフラ点検、水中の調査、環境保護などさまざまですが、水中ドローンを所持したり操縦したりする際には、免許や資格は必要ありません。(2023年7月現在)

ただ、どこで利用するのか、その場所によっては管理者や自治体などの許可が必要な場合もありますので、注意してください。

また、「いきなり操縦するのは不安」という人には、水中ドローン向けの講習を行っているスクールがありますので、通ってみるといいでしょう。

そこでこの記事では、これから水中ドローンを始めようという人が知っておきたいことを解説していきます。

◎水中ドローンとは
◎水中ドローンの種類
◎水中ドローンの市場規模とビジネス展開
◎水中ドローンの活用シーン
◎水中ドローン利用に必要な資格、許可
◎水中ドローン選びのポイント
◎水中ドローンの始め方
◎【おすすめ水中ドローン】日本水中ドローン協会の認定機種6選+手頃な機種2つ

最後まで読めば、疑問が解けるでしょう。

この記事で、あなたが水中ドローンを適切に利用できるよう願っています。

水中ドローンとは

水中ドローンとは

ドローンといえば、一般的にはプロペラを回転させて空を飛ぶもの、というイメージでしょう。

では、「水中ドローン」もまた、水中をプロペラで進むのでしょうか?
空は飛ばないのでしょうか?

まずは「水中ドローン」がどんなものなのかから見ていきましょう。

「水中ドローン」とは?

「水中ドローン」とは、水の中を移動することができる無人機のことです。

水の中を動き回り、水中撮影をしたり、海中の環境や生物の調査、海中にあるインフラ設備の点検をしたりすることができるため、「水中ロボット」の一種とも言われます。

CHASING M2(チェイシング エムツー)水中ドローン標準パッケージ1

CHASING M2(チェイシング エムツー)水中ドローン標準パッケージ2

出典:Amazon「CHASING M2(チェイシング エムツー)水中ドローン標準パッケージ

水中ドローンの構造や仕組みは、空中ドローンと似ています。

潜航の際には、コンピューターでモーターの回転やプロペラの形状をコントロールして、機体の姿勢や高度(深さ)、方向を制御しているのです。

ただ水中ドローンの場合、水の中では電波が伝わりにくいため、空中を飛ぶドローンのように無線ではなく、有線、つまりコントローラーと機体がケーブルでつながっているものが主流となっています。

ちなみに、一般社団法人 日本水中ドローン協会によると、「水中ドローン」は以下のように定義されています。

水中ドローンとは

水中ドローンとは、潜航が可能な有線式の小型無人潜水機の通称です。
操縦者は船上や陸上から遠隔操作により機体の操縦を行い、リアルタイムの水中映像を見ることができます。

出典:一般社団法人 日本水中ドローン協会 公式サイト「水中ドローンとは?

水中ドローンの種類

水中ドローンがどんなものか、大まかにつかめたかと思います。

が、ひと口に「水中ドローン」といっても、さまざまなタイプがありますので、この章ではどんな種類があるかについて説明しておきましょう。

水中ドローンは「ROV」と「AUV」に大別される

一般的に「水中ドローン」というと、「ROV(Remotely Operated Vehicle=遠隔操作型無人潜水機)」を指します。

ただ、国土交通省ではROVに加えて「 AUV(Autonomous Underwater Vehicle=自律型無人潜水機)」も「海のドローン」と位置付けています。

近年、ASV(小型無人ボート)やいわゆる海のドローンとして活用が期待される AUV(自律型無人潜水機)、ROV(遠隔操作型無人潜水機)等の「海の次世代モビリティ」(以下「次世代モビリティ」という。)の開発が進展しつつある。

次世代モビリティは、海域利活用における省人化や海の可視化等を可能とし、海洋科学の知見を活用しながら海洋の持続可能な利用・開発・保全を進める上で基盤となりうるツールである。

出典:国土交通省「海における次世代モビリティに関する産学官協議会とりまとめ

ROVは、前述したようにコントローラーと機体をケーブルでつなぎ、人が操縦する無人の潜水機です。

一方AUVも無人の潜水機ですが、ROVとは違ってケーブルがなく、あらかじめプログラムされたように自動で動くことができます。

ROVとAUVの違いを以下にまとめましたので、見てください。
赤字はそれぞれの利点青字は弱点です。)

種類

ROV
(遠隔操作型無人潜水機)

ROV(遠隔操作型無人潜水機)

出典:日本ROV事業者協会

AUV
(自律型無人潜水機)

AUV(自律型無人潜水機)

出典:海上保安庁
「​深海用自律型潜水調査機器​」

大きな違い

機体とコントローラーをケーブルでつなぎ、人が遠隔操縦する

機体にケーブルはつながっておらず、人が操作することなく全自動で行動する

その他の違い

普及
状況

大型のものから小型で安価なものまで多様な機種が市販され、漁業や水中調査などの産業用として、また個人が趣味で楽しむホビー用としても利用されている

1機あたりのコストが数千万円〜億単位であるため、現在は国の事業や研究調査、実証実験などでの利用が多く、民間企業で活用が広がるのはこれからと思われる

活動
時間

ケーブルから電源を供給、電池切れがないので長時間・大パワーの作業も可能

バッテリーの容量に限界があるので、活動時間が限られる

活動
範囲

  • ケーブルの長さによって、行動範囲が制限される
  • 操縦者と、支援装置(=給電システムやコントローラーなど)を乗せた船舶が必要
  • ケーブルがないので、より深く、広範囲で活動できる
  • 操縦者が必要ないので、そのための船舶が不要で、完全無人で運用できる

画像・データ

カメラを搭載、その画像をケーブルを通じて操縦者側がリアルタイムで見ることができるので、観測内容を即時に確認できる

ケーブルでつながれておらず、水中では電波も届きにくいため、観測結果をリアルタイムでは確認できない

作業

アームなどを取り付けることで、有人潜水艇と同レベルの細かい作業もできる

人が操縦しない自律型なので、複雑な作業をするのは難しい

向いている用途

  • 水中の映像などの記録
  • 水中の調査、捜索
  • 水中の建造物のメンテナンス
  • センサーによる水中観測
  • アームなどを取り付けての作業 など
  • 水中の測量
  • 水中の生物調査
  • 水質調査
  • 水中の資源探査 など

参照:国土交通省 第1回海における次世代モビリティに関する産学官協議会
資料2「海における次世代モビリティの活用促進について」
資料4 東京大学生産技術研究所資料「自律型海中ロボット」

前述したように、一般的に「水中ドローン」と言われる場合、ROVを指すことがほとんどです。

小型・中型のROVは、水中撮影や水中探査などの広い分野で活用が始まっていますし、大型ROVは産業用として、深海探査や海底ケーブルの敷設などの役割を担っています。

低価格の小型ROVも出始めていて、個人で購入、利用することも可能です。

一方AUVは、海上保安庁が海洋調査に導入したり、民間での実証実験が行われたりという段階で、本格的な実用化は今後に期待されています。

水中ドローンは「海中ロボット」の一種

ちなみに、海の中で調査などの作業をする機械を「海中ロボット」と呼び、水中ドローンもその中に含まれます。

海中ロボットのうち、無人で動くものがROV・AUVであり、人が乗って操縦する「有人潜水艇」を「HOV=Human Occupied Vehicle」と呼んでいます。

図にすると、以下のような分類です。

海中ロボットの分類

出典:資料4 東京大学生産技術研究所資料「自律型海中ロボット」

この3つは、以下のように役割がわかれています。

海中ロボットの役割分担

出典:資料4 東京大学生産技術研究所資料「自律型海中ロボット」

HOVは、水中ドローンと違って人が乗り込んで操縦するので、アームを取り付けてそれを操作することで、水中で調査用のサンプルを採取するといった実作業も可能です。

また、ROVにもアームが取り付けられるものがあり、その場合はHOV並みの高度な作業もできるようになってきています。

ただ、その場合は高度な操縦技術を持った操縦者が必要になるでしょう。

一方で、AUVは自動操縦で、あらかじめプログラミングしておいた通りに動きます。
臨機応変に人が判断して動かすものではないため、今のところ複雑な作業はできません。

が、AUVの開発や活用には国も力を入れているので、今後はROVやHOVのような作業も行えるよう、改良されていく可能性はありそうです。

水中ドローンの市場規模とビジネス展開

では、現在のところ、水中ドローンはどの程度普及、実用化が進んでいるのでしょうか?

AUVがはじめて開発されたのは1959年、ROVは1960年代からと言われていますが、「水中ドローン」という言葉が使われ始めたのは2015年ごろのようで、その頃から徐々に普及しはじめました。

国でも、国土交通省が2020年から「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」を開催し、実証実験に参加する企業を公募したり、AUV の安全運用ガイドラインを発表したりと、実用化と普及に向けた施策をとっています。

その市場規模は、インプレス総合研究所が発表した水中ドローンビジネス調査報告書2022によると、2022年度で29億円、その後は成長を続け、2025年には62億円に達すると予測しています。

産業用水中ドローンの市場規模と今後の予想

出典:インプレス総合研究所「水中ドローンビジネス調査報告書2022

また、今後ビジネスなどで活用が期待されるシーンとして、以下のような例を挙げています。

水中ドローンの活用が期待される具体的なシーン

出典:インプレス総合研究所「水中ドローンビジネス調査報告書2022

この活用シーンについては、次章でさらにくわしく説明します。

いずれにしろ、建築、水産、エンターテインメントなど幅広いビジネス分野で、水中ドローンの活用が広がっていくよう、官民力を合わせて取り組んでいるのが現状だ、と言えるでしょう。

水中ドローンの活用シーンと活用事例

水中ドローンの活用シーンと活用事例

水中ドローンがどんなものか、よくわかったかと思います。

そこで、さらに気になるのが「水中ドローンで、具体的に何ができるの?」ということでしょう。

この章では、水中ドローンでできること、その主な活用シーンを活用事例とともに説明していきましょう。

水中撮影

まず、もっともイメージしやすいのがカメラで水中撮影することでしょう。

水中ドローンには、基本的にカメラとLEDライトが搭載されていて、暗い海の中でも写真や動画を撮影したり、リアルタイムで水上の操縦者に送信したりすることができます。

たとえば、テレビや映画などのエンターテインメント作品、ダイビングや水中作業向けの教材動画、資料として残すための記録映像など、水中撮影が必要なシーンはいろいろとあります。

また、海底や水中生物の調査などにも活用されているのが現状です。

そのような場合、以前は潜水技術と撮影技術の両方を兼ね備えた水中カメラマンが、みずから水中カメラを持って水に入り撮影していました。

が、水中カメラマンの仕事は危険と隣り合わせで、中には事故で亡くなったり行方不明になったりする人もあります。

それが、水中ドローンを導入することで、人が直接水に潜る必要がなくなり、安全な撮影ができるようになったのです。

水中ドローンでの撮影は、機体に搭載されたカメラに映る映像を、ケーブルを通してリアルタイムで受信、モニターで見ながら行います。

FPV(=First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)/ドローンからの一人称視点)機能がついているものであれば、操縦者がFPVゴーグルをかけて、まるで自分が水中を進んでいるようなイメージで操作することも可能です。

漁業・水産業での調査、探査

漁業や水産業では、水中ドローンの幅広い活用が始まっています。

たとえば、以下のようなことが可能です。

  • 養殖場での生育状態チェック
  • 養殖している魚などへの給餌
  • 養殖用のネットやケージの監視、破損箇所の発見
  • 漁場の調査
  • 藻場やサンゴ礁などの環境監視
  • へい死魚(=ある程度の規模で死滅した魚)の回収   など

この分野では、官民協力した実証実験も数多く行われています。

これまでダイバーが行っていた作業を水中ドローンに置き換えることで、効率化や人手不足の解消をはかり、「スマート漁業」「スマート水産業」の実現を目指しているのです。

養殖場でのROV活用シーン

出典:第3回海における次世代モビリティに関する産学官協議会
資料4 株式会社NTTドコモ資料「ドコモの水産業での取組み」

【漁業・水産業での水中ドローン実証実験事例】

長崎県対馬市では、浅茅湾などで真珠養殖を行なっています。
が、稚貝の大量死が発生し、養殖業にダメージが及びました。

また、漁業においても「磯焼け(=海藻が繁茂しなくなり、海中の生物が減少する)」が進行しており、アマモ場を造成して漁場の改善をしなければならない状況でした。

そこで、漁協や県の農林水産部とNTTドコモが協力して、「ROVを活用した海洋環境調査の有効性実証」の実験を行いました。

ROV(水中ドローン)で海中の映像を撮影するとともに、海底の泥を採取したり、水質検査をしたりした結果、以下のような成果を得られたそうです。

  • 稚貝の大量死の原因究明に役立った
    →海中の環境を映像でくわしく確認、また水質測定のデータを定期的に蓄積することで、異変の原因を究明できると期待されている
  • アマモ場を造成するのに適した場所を選定する手法を確立した
    →海底の泥質を目視で確認したり、検査用の泥を実際に採取したりすることができた

真珠養殖業におけるROVを活用した海洋環境調査の実効性実証

出典:第5回海における次世代モビリティに関する産学官協議会
資料2 国土交通省総合政策局資料「国土交通省の取組について」

釣り

事業としての漁業ではなく、個人が趣味で楽しむ釣りにおいても、水中ドローンは活躍します。

ここでポイントになるのは、「魚群探知機能」と「給餌機能」です。

このふたつが備わっていることで、魚の群れがいる場所を探知し、そこで餌を撒くことで魚をおびき寄せることができるというわけです。

あるいは、魚群探知機能がない場合でも、搭載されたカメラで水中の様子をリアルタイムで見ることができるので、潜航しながら目視で魚を探すという使い方もできます。

いずれの場合も、魚のいる場所を効率的に探すことができるので、より楽しい釣り体験ができるでしょう。

インフラ設備点検

港湾施設やダム、海中ケーブルなどのインフラ施設・設備を点検・管理する際にも、水中ドローンは大いに役立ちます。

人が潜って点検することが難しい狭い場所や危険な作業も、水中ドローンであれば無人で行うことが可能です。

具体的には、以下のようなシーンで活用することができます。

  • 堤防や港湾施設の海中部分の点検
  • ダムや貯水池などの定期検査
  • 水中パイプラインや海底ケーブルの検査
  • 水道管や取水路などの管内の点検
  • 洋上風力発電施設の海中部分の保守点検     など

【インフラ設備点検での水中ドローンの活用事例】

国内の港湾では、水中施設の老朽化が進んでいますが、それに対して点検作業を行うことができる潜水士が不足しているのが課題でした。

そこで、静岡県の清水港で、「ROVを用いた港湾施設点検の実用化実験」が行われました。

具体的には、潜水士のかわりに「目視検査」と「写真撮影」をROV(=水中ドローン)が行なったのです。

その結果、以下のようなことがわかりました。

  • 点検する施設に、海生生物などが付着した状態でも、水中ドローンは潜水士と大差ない「目視検査」ができた
  • 点検方法によっては、潜水士よりも水中ドローンのほうが効率化が期待できる

また、これを事業化するために、地元企業などとの連携体制も構築されたとのことなので、今後は実用化に向けて進んでいくことでしょう。

ローカルシェアモデルによるROVを用いた港湾施設点検の実用化実験

出典:第5回海における次世代モビリティに関する産学官協議会
資料2 国土交通省総合政策局資料「国土交通省の取組について」

水中の環境・生態調査、海底の地形などの調査

水中ドローンに搭載したカメラやセンサーなどを活用することで、水中の環境や生物などの調査や、海底の地形などの探査も行われています。

たとえば以下のようなケースです。

  • 3Dスキャナーでの計測による水中の可視化
  • 浅海域での藻場調査、サンゴ調査、⿂礁調査
  • 水中遺跡の状況把握、調査      など

水中や海底の測量や調査は、これまで測量船などで行なっていましたが、水中ドローンはより対象物に近づくことができるため、測量・調査結果の精度がアップします。

そのため、これまでは見つけられなかった海底の火山地形を発見したり、琵琶湖の湖底で新たな湖底壺を見つけたりといった成果も上がっています。

【水中ドローンによる水中・海底調査の事例】

海上保安庁では、自律型潜水調査機器(AUV)を運用しています。
これは、海底近辺まで潜航し、精密な海底地形などを取得するための潜水調査機器です。

以前は、海底探査は測量船で行なっていましたが、測量船は水深が深くなればなるほど調査の精度が落ちるのが難点でした。

その点AUVは、海の底近くまで潜航しても、調査の精度は変わらないというメリットがあります。

実際に、このAUVによって以下のような海底火山地形などが発見されています。

AUVよる海底火山の発見1

AUVよる海底火山の発見2

AUVよる海底火山の発見3

出典:第5回海における次世代モビリティに関する産学官協議会
資料4 海上保安庁資料「海上保安庁海洋情報部の海の次世代モビリティについて」

環境保護

水中ドローンにできるのは、単なる調査だけではありません。

アームなどのアタッチメントをつけることで、実作業を行うことも可能です。
実際に、海洋ゴミを拾うなど、環境保護活動での利用も始まっています。

海洋ゴミは、海を汚すだけでなく、生態系も破壊して漁業に悪影響を及ぼす恐れがある大きな問題です。

が、その回収は重労働ですし、ときに危険も伴うため、人力で行うには人手が足りません。
そこで、水中ドローンに回収させようというわけです。

水中ドローンにアームやネットをつけて遠隔操作すれば、海岸から離れた場所にある海洋ゴミでも回収することが可能です。

【海洋ゴミを水中ドローンが回収している事例】

「横浜・八景島シーパラダイス」では、ごみ回収ドローン「JELLYFISHBOT(ジェリーフィッシュボット)」を来場者が操縦できるイベントを開催しています。

海上に浮いたゴミを、ドローンで回収する体験を通して、SDGsへの理解を深めようという試みです。

施設内の「うみファーム」で行われるイベント「東京湾ワンダーウォッチャーズ」に参加することで、「​​JELLYFISHBOT」の操縦体験ができるそうです。

「東京湾ワンダーウォッチャーズ」で「​​JELLYFISHBOT」の操縦体験

出典:横浜・八景島シーパラダイス「東京湾ワンダーウォッチャーズ」ページ

その他

これ以外にも、水中ドローンにはさまざまな分野で活用されています。

たとえば以下のようなシーンです。

  • 災害対策、海難救助:水中の監視、災害後の被害状況確認、要救助者の捜索、航路の安全確保、水難事故の調査など
  • 洋上風力発電:発電設備の維持管理、海底ケーブルの敷設など
  • 離島への物流:空路では輸送困難な場所、物資を海から輸送する

まだ実用化が始まったばかりのものもあれば、これから取り組みが始まるものもありますが、空のドローンの活用が広がっている今、水中ドローンもさらに多様な場面で利用が進んでいくことでしょう。

水中ドローン利用に必要な資格、許可

水中ドローン利用に必要な資格、許可

このように、幅広いシーンで活用できる水中ドローンですので、「うちの会社でも使ってみたい」「趣味の釣りに活かしたい」という人も多いでしょう。

では、実際に水中ドローンを利用するにあたって、免許や資格は必要でしょうか?

また、国や自治体など、どこかに許可を取る必要があるでしょうか?

水中ドローンに必須資格はない

まず、水中ドローンを所持・操縦するにあたって、免許や資格などは不要です。(2023年7月現在)
誰でも水中ドローンを購入・所持・操縦することができます。

ただ、民間資格はあります。
これまでは、一般社団法人日本水中ドローン協会が認定する「水中ドローン安全潜航操縦士」が日本で唯一の水中ドローンに関する資格でした。

が、一般社団法人日本ドローン協会(JDA)による「ROV操縦士技能証明書」一般社団法人日本ROV協会の「ROV技能認定操縦士」などの民間資格も増えてきています。

これらはいずれも、水中ドローンについて知っておくべき知識と技術を身につけていることを認定するものです。

「水中ドローンについて基礎知識や操縦スキルを学びたい」「水中ドローンを仕事で活用するにあたって、第三者に自分の技能を証明できるものがほしい」といった人は、民間資格を取得してみてもいいでしょう。

水中ドローンを利用する際に必要な許可・承認

実際に水中ドローンを運用するのは、川や海、湖や池などでしょうが、これらの「場所」に関して何か許可や承認を得る必要はあるでしょうか?

これについては、ケースバイケースだと言えるでしょう。

というのも、空を飛ぶドローンについては、「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」を中心に、運用ルールが法制化されています。

が、水中ドローンについて直接定めた法律はまだなく、運用ルールが定まっていないのです。

ただ、国土交通省がROVではなくAUV の安全運用ガイドラインを出していて、そこでは以下のような運用をする場合に、許可申請が必要だとしています。

AUVの安全運用ガイドライン 国内で使用する場合の関連法令

出典:国土交通省「AUV の安全運用ガイドライン

このガイドラインでは、適用対象について「本ガイドラインは AUV を対象としているが、ASV や ROV(untethered ROV を含む)等に対して本ガイドラインを部分的に準用することを妨げない。」(国土交通省「AUV の安全運用ガイドライン」1.2 対象 より引用)とも述べています。

ですので、ROV=一般的な水中ドローンについても、上記のいずれかに該当する場合は、まずは申請先の省庁などに問い合わせをしてみて、「許可申請が必要」と言われた場合は指示に従うようにするといいでしょう。

【水中ドローンを利用したい水域がどの法令や管理に関連するのかは、
海上保安庁の海洋状況表示システム「海しる」で調べよう!】

水中ドローンを利用したい場所が、上記の法令などが適用される水域なのかがわからない場合は、海上保安庁が提供している海洋状況表示システム「海しるで調べてみてください。

たとえば、上記の表の「港則法」では、「①特定港内又は特定港の境界附近における工事又は作業」「②特定港以外の港内又は特定港以外の港の境界附近における工事又は作業」とありますが、「特定港」がわかりませんよね。

その場合、「海しる」では以下のように「港則法適用港」を地図上に表示させることができます。

「海しる」で「港則法適用港」を地図上に表示

出典:海上保安庁海洋状況表示システム「海しる

もし、この地図の赤い錨マークの港・赤い網掛けのエリアで水中ドローンを使いたい場合は、その港の港長と海上保安部長(または署長)に許可申請が必要、というわけです。

水中ドローンに関する法規制は未整備

さて、前述したように、水中ドローンに関しては、法律や運用ルールがまだ整っていません。
ただ、政府もその必要性には当然気づいています。

2021年6月には、前掲のAUV の安全運用ガイドライン」が国土交通省によって策定・公表されました。

これにはAUVの定義、運用前の許可申請、事前準備のチェックリスト、細かい点検方法、非常事態の対応、保険などについて、指針が定められています。

国土交通省では、2020年に「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」を立ち上げて、ROVやAUVなどの活用を促進してきました。

実証実験や実用化も進みつつあります。

となると、今後はROVについてもガイドラインが策定されたり、法整備が進んだりしていくことでしょう。

それらを見落とさないよう、国土交通省や日本水中ドローン協会などのホームページを随時チェックして、水中ドローンを正しく運用していくことが求められています。

水中ドローン選びのポイント

水中ドローン選びのポイント

ここまで、水中ドローンについて知っておくべき基礎知識を解説してきました。
それらを踏まえて、いよいよ水中ドローンを実際に活用することを考えていきましょう。

まずは、数ある水中ドローンの中から、自分に適したものを選ぶ必要があります。

その際に、ポイントとなるのは以下の4点です。

  • 用途
  • 潜水可能な水深
  • 稼働時間
  • 機動力

それぞれ説明します。

用途

まず最初に、用途を明確にして、それに合ったものを選びましょう

たとえば、水中撮影をするならカメラの解像度が高い、フルHDや4K、8Kなどを選ぶといいでしょう。

釣りに用いるなら、魚群探知機と給餌機能があるものが適しています。
魚が群れている場所を見つけて、そこで水中ドローンから餌を撒くことで、魚をおびき寄せることができます。

あるいは、海中で作業をするのであれば、アームが取り付けられるものでなければなりません。
海底から地質などのサンプルを検出したり、点検や整備などの実作業を行ったりすることが可能です。

主な用途と選ぶポイントを表にまとめましたので、以下を参考にしてください。

用途

選ぶポイント

水中撮影

  • カメラの解像度が高い
  • LEDライトが1000ルーメン以上の明るさである

釣り

  • 魚群探知機がついている
  • 給餌機能がついている

調査・点検

  • 水や海底の泥などを採取する必要がある場合は、アームが取り付けられる
  • 深い場所を調査するなら、ケーブルが100m以上あり深く潜れる
  • LEDライトが1000ルーメン以上の明るさである
  • 長時間使用するなら、連続稼働時間が2時間以上ある

潜水可能な水深

次に、水中では深さどの程度まで潜航する必要があるのかを考え、それが可能な機種を探しましょう。

というのも、水中ドローンは深く潜れば潜るほど水圧が大きくなるため、その機種の「潜水可能距離」以上に潜航してしまうと、機体が破損してしまう恐れがあるのです。

一般的な水中撮影や釣りなどに利用するのであれば、潜水可能距離は30mあれば十分でしょう。

もし、点検や海底探査などでもっと深くに潜る必要がある場合は、数百〜数千mまで潜れる水中ドローンもあります。

あらかじめ作業場所の深度を確認した上で、そこまで潜れる性能を持った機種を選んでください。

稼働時間

また、水中ドローンが連続して潜航できる「稼働時間」も重要です。

ケーブルから給電するタイプのROVであれば、電池切れの心配はありませんが、バッテリータイプのものだと、潜航中にバッテリーが切れて動けなくなってしまわないよう、十分な稼働時間を確保しておかなければなりません。

「趣味で水中撮影したい」という場合であれば、稼働時間は1時間程度でも大丈夫でしょう。

が、業務用で利用するなら、最低でも2時間以上は連続稼働できるものを選んでください。
その上でさらに、予備の交換用バッテリーも用意しておけば、長時間にわたる作業も可能です。

機動力

4つ目のポイントは「機動力」、つまり、水中でのさまざまな状況に応じて機敏に動けるかどうかです。

海や川の中では、場所によって水の流れが変わります。

それに負けてコントロールを失ったり、流されてしまうような水中ドローンでは、操縦が難しく、目的を果たせない恐れがあります。

できれば、以下の条件にかなっている機種が望ましいでしょう。

  • 前後、左右、上下、360度全方位に移動できる
  • 潜水速度がより速い(一般的に1〜2m/sのものが多い)

水中ドローンの始め方

水中ドローンの始め方

自分に適しているのはどんな水中ドローンかがわかったら、いよいよ実際に水中ドローンを操縦してみましょう。

これから水中ドローンを始めようという人は、以下のいずれかの手段で取り掛かることになります。

  • 水中ドローンのスクールに通う
  • 水中ドローンをレンタルする
  • 水中ドローンを購入する

水中ドローンのスクールに通う

「水中ドローンについてきちんと学んだ上で、操縦に臨みたい」という人は、水中ドローンのスクールに通うとよいでしょう。

水中ドローンの講習を行っているスクールは全国にあります。

スクールが所有している水中ドローンを使って講習を行っているところも多いので、受講者が機体を持っていなくても操縦を学べます。

中でも、日本水中ドローン協会の認定を受けた「認定スクール」であれば、民間資格「水中ドローン安全潜航操縦士」を取得することが可能です。

認定スクールは2023年7月現在で50校以上あり、以下のような内容の講習を受けることができます。

【認定スクールでの「水中ドローン安全潜航操縦士」講習の内容】

  • 安全に関する基礎知識
  • 法令
  • 機体とその性能
  • アプリケーション
  • 基本操作
  • 安全管理
  • リスク管理
  • 撮影テクニック   など

最寄りの認定スクールを探すなら、一般社団法人日本水中ドローン協会公式サイトの「認定スクール一覧を見てください。

一般社団法人日本水中ドローン協会公式サイト「認定スクール一覧」1

一般社団法人日本水中ドローン協会公式サイト「認定スクール一覧」2

出典:一般社団法人日本水中ドローン協会「認定スクール一覧

水中ドローンをレンタルする

前述したように、水中ドローンを操縦するには資格や免許が必要ありませんので、独学で操縦を覚えても問題ありません。

その際に、「いきなり自分のドローンを買うのは、ちょっと怖い」と慎重になる人も多いでしょう。

その場合は、水中ドローンのレンタルがありますので、それを利用してみましょう。

レンタル費用は機種によって異なりますが、だいたい販売価格の10分の1程度と言われます。

一般向けのものであれば、1日レンタルで1万円程度〜、点検や作業などの産業用水中ドローンは、1日2万円程度〜借りることが可能です。

ドローンを借りられるレンタル会社や借り方などについては、別記事ドローンレンタルとは?1日・1ヶ月の料金や安い会社を含む業者8選にくわしく説明していますので、そちらを参照して借りてみてください。

水中ドローンを購入する

もちろん、最初から「マイ水中ドローン」を購入してどんどん使うのもいいでしょう。

一般向けの手軽に使える水中ドローンであれば、6万円台〜10万円程度で購入することができます。
水中撮影や釣りなどのレジャーで楽しむのであれば、十分な機能は備わっているでしょう。

一方、企業が点検や調査、漁業・養殖業などのために導入する本格的な水中ドローンは、30万〜200万円程度と高価です。

さらに、目的に応じて作業用のアームを取り付けたり、センサーを追加で搭載したりする必要も出てきます。

購入予算を立てる際には、それらのオプションを含めて考える必要があるでしょう。

【おすすめ水中ドローン】日本水中ドローン協会の認定機種6選+手頃な機種2つ

【おすすめ水中ドローン】日本水中ドローン協会の認定機種6選+手頃な機種2つ

では、具体的にはどのようなドローンを購入すればいいのでしょうか?

ここでは、日本水中ドローン協会がその機能や性能を認めた機種6つと、お手頃価格の機種を紹介しておきましょう。

日本水中ドローン協会が機能・性能を認めた産業用水中ドローン6種

水中ドローンの普及を推進する国内初の団体として設立された「一般社団法人 日本水中ドローン協会」という協会があります。

水中ドローンに関する情報発信や人材育成、「水中ドローン安全潜航操縦士」という民間資格の認定などさまざまな普及活動を行っていますが、その一環として、日本水中ドローン協会では、水中ドローンの機能・性能に関する基準を策定しています。

その基準に適合した機種は、認定を受けた上で、認定証・認定マークの交付を受けることができます。

現在認定を受けているのは、以下の6機種です。
水中ドローン選びのひとつの基準として、参考にしてください。

※認定要件については、日本水中ドローン協会公式サイト「機種認定について」を参照してください。

【認定機種一覧】※価格はメーカー価格または正規代理店価格

機体

概要

CHASING M2
32万8,000〜35万8,000円

CHASING M2

メーカー

CHASING

カメラ

4K

サイズ

380 x 267 x 165 mm

動作

潜航、浮上、旋回、水平横移動、横回転(360°)、チルト(±90°)

速度

3 Kn (1.5 m/s)

最大深度

100m

用途

船舶検査、構造物点検、漁業(養殖魚の管理、生物調査など)など

稼働時間

2~4h

GLADIUS mini
13万8,000円

GLADIUS mini

メーカー

CHASING

カメラ

4K

サイズ

385 x 226 x 138 mm

動作

潜航、浮上、旋回、チルト(±45°)

速度

4 Kn (2 m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、レジャー、水産養殖、船舶検査、インフラ設備など

稼働時間

1.5~2h

FIFISH V6
※価格は要問い合わせ
 正規代理店:CFD販売

FIFISH V6

メーカー

QYSEA

カメラ

4K

サイズ

383 x 331 x 143 mm

動作

潜航、浮上、旋回、水平横移動、横回転(360°)、チルト(360°)

速度

3 Kn (1.5 m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、レジャー、海洋探査、漁業など

稼働時間

4h

BW Space Pro
※価格は要問い合わせ
 Youcan Robotics

BW Space Pro

メーカー

Youcan Robotics

カメラ

4K

サイズ

430 x 330 x 130 mm

動作

潜航、浮上、旋回、チルト(±45°)

速度

3 Kn (1.5 m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、漁業、点検調査、学術研究など

稼働時間

2~3h

CCROV_SP 75M

CCROV_SP 75M

メーカー

Vxfly

カメラ

4K

サイズ

208 x 204 x 158 mm

動作

潜航、浮上、旋回、チルト(±45°)

速度

2 Kn (1m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、点検調査、船舶検査など

稼働時間

2~4h

BlueROV2
157万8,000円〜

BlueROV2

メーカー

BlueRobotics

カメラ

1080p

サイズ

457 x 338 x 254 mm

動作

潜航、浮上、旋回、水平横移動、チルト(±90°)

速度

3 Kn (1.5m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、インフラ点検、漁業、船舶検査など

稼働時間

2~3h(連続使用)

参照:一般社団法人日本水中ドローン協会公式サイト「機種認定について」ページを参考に構成
写真出典:一般社団法人日本水中ドローン協会公式サイト「機種認定について」ページ

低価格・高スペックな産業用機種「CHASING M2」

「CHASING」社は、2016年4月に中国・深圳で設立された水中ドローンの主要メーカーのひとつです。

「CHASING M2」は、CHASING社の産業用水中ドローンの中ではもっとも低価格のモデルですが、プロ向けの軽工業用水中ドローンとして十分なスペックを備えています。

1200万画素の4K対応カメラを搭載、全方向360度移動、最高速度1.5m/s・最大水深100メートルまで対応、さらにロボットアームやGoProカメラ、外部LEDライトなど多彩なアタッチメントを取り付け可能です。

船舶検査から構造物点検、漁業などに幅広く活用できるモデルと言えるでしょう。

機体

概要

CHASING M2
32万8,000〜35万8,000円

CHASING M2

メーカー

CHASING

カメラ

4K

サイズ

380 x 267 x 165 mm

動作

潜航、浮上、旋回、水平横移動、横回転(360°)、チルト(±90°)

速度

3 Kn (1.5 m/s)

最大深度

100m

用途

船舶検査、構造物点検、漁業(養殖魚の管理、生物調査など)など

稼働時間

2~4h

産業用でもホビー用でも使える軽量・低価格モデル「GLADIUS mini」

GLADIUS miniは、同じく「CHASING」社の製品ですが、個人が趣味で購入、利用できる手軽なモデルです。

とはいえ、1,200ルーメンのLEDライトと4K Ultra HDカメラを搭載しているので、高画質の水中撮影が可能です。

撮影した映像は、SDカードに記録するだけでなく、スマホなどのデバイスにリアルタイム配信もできます。

重さ2.5kgと比較的軽量で、別売りのバックパックもあるので、旅行などに携行して楽しむのにも向いているでしょう。

機体

概要

GLADIUS mini
13万8,000円

GLADIUS mini

メーカー

CHASING

カメラ

4K

サイズ

385 x 226 x 138 mm

動作

潜航、浮上、旋回、チルト(±45°)

速度

4 Kn (2 m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、レジャー、水産養殖、船舶検査、インフラ設備など

稼働時間

1.5~2h

スムーズな操作性で操縦しやすい「FIFISH V6」

「FIFISH(ファイフィッシュ) V6」は、2016年に中国・深圳で創業した水中ロボットメーカー「QYSEA(キューワイシー)」社の水中ドローンです。

「FIFISH」シリーズの中でも一般向けの機種ですが、水中撮影はもちろん、海洋探査、漁業、各種検査などにも利用できます。

解像度12メガピクセルの4K HDカメラ、4000ルーメンのLEDと、水中の世界を高画質で映し出す機能を備えています。

また、360度スムーズな操作性、水中で高度を維持する「深度保持」機能、スパイラル、コークスクリューなどの動作も可能で、操縦者がモーションセンサーヘッドセットを装着すると、頭を動かすだけでドローンの動きをシームレスにコントロール可能です。

機体

概要

FIFISH V6
※価格は要問い合わせ
 正規代理店:CFD販売

FIFISH V6

メーカー

QYSEA

カメラ

4K

サイズ

383 x 331 x 143 mm

動作

潜航、浮上、旋回、水平横移動、横回転(360°)、チルト(360°)

速度

3 Kn (1.5 m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、レジャー、海洋探査、漁業など

稼働時間

4h

最大6倍ズームが可能なモデルあり「BW Space Pro」

「BW Space Pro」は、2016年に中国・上海で創業した水中ロボットメーカー「Youcan Robotics」の製品です。

水中ドローン「BW Space」シリーズの中でもカメラレンズにこだわり、世界初のズームレンズを搭載した「ZOOMモデル」と、4Kビデオと8メガピクセル写真が撮影可能な「4Kモデル」があります。

操作性の面でも、「水中ホバリング」、「自動方向修正」、「仰俯角調整・維持・推進(チルトロック)」、「自動調光」機能などを備えています。

水中撮影はもちろん、ダイビング、フィッシングなどのマリンレジャーで、水中探査・点検、漁業、船舶、科学研究などの産業目的でと、幅広く活用できるでしょう。

機体

概要

BW Space Pro
※価格は要問い合わせ
 Youcan Robotics

BW Space Pro

メーカー

Youcan Robotics

カメラ

4K

サイズ

430 x 330 x 130 mm

動作

潜航、浮上、旋回、チルト(±45°)

速度

3 Kn (1.5 m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、漁業、点検調査、学術研究など

稼働時間

2~3h

 産業用機種としては最小クラスで持ち運びやすい「CCROV_SP 75M」

「CCROV_SP 75M」は、やはり中国・深圳の水中ドローンメーカー「Vxfly(ブイエックスフライ)」社の産業用水中ドローンです。

産業用としては最小クラスの208 x 204 x 158 mmと、持ち運びしやすいのが特徴ですが、機能は4Kカメラ搭載、720P ライブビデオ伝送、最大100メートル潜水、自由な移動(前後、左右、浮上/潜行、旋回)も可能と充実しています。

水産業、調査・検査、レスキュー、水中撮影など、さまざまな用途に利用されているモデルです。

機体

概要

CCROV_SP 75M
47万3,000円〜

CCROV_SP 75M

メーカー

Vxfly

カメラ

4K

サイズ

208 x 204 x 158 mm

動作

潜航、浮上、旋回、チルト(±45°)

速度

2 Kn (1m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、点検調査、船舶検査など

稼働時間

2~4h

多彩なオプション、カスタムも可能な「BlueROV2」

「BlueROV2」は、アメリカ・カリフォルニアの水中ロボットメーカー「BlueRobotics」社の水中ドローンです。

「世界で最も手頃な価格の高性能 ROV」と謳っていて、高解像度 (1080p、30fps) 広角低照度カメラ搭載、6000ルーメンのLED、水深100m耐圧などの機能を備えています。

さらにオプションで、300m耐圧モデルや、リアルタイム視聴・録画が可能な4K (2160p) カメラシステム、アーム搭載モデルなどがあり、カスタムも可能です。

水中調査、構造物の水中調査、海洋生物調査、漁業、船舶点検など、さまざまな用途で活用されています。

機体

概要

BlueROV2
118万8,000円〜

BlueROV2

メーカー

BlueRobotics

カメラ

1080p

サイズ

457 x 338 x 254 mm

動作

潜航、浮上、旋回、水平横移動、チルト(±90°)

速度

3 Kn (1.5m/s)

最大深度

100m

用途

水中撮影、インフラ点検、漁業、船舶検査など

稼働時間

2~3h(連続使用)

個人がホビー用に楽しめる手頃な水中ドローン2種

前項で紹介した水中ドローンは、高スペックで産業用にも利用できるものでした。
一方、個人が気軽に購入できるものも出てきています。

たとえば以下のような機種です。

※価格はメーカー価格または正規代理店価格

機体

概要

CHASING DORY
8万9,800円

CHASING DORY

メーカー

CHASING

カメラ

フルHD:1920×1080 30FPS

サイズ

247 × 188 × 92 mm

動作

垂直上下、維持、傾き、推進移動、±45°チルトロックモード、深度ロック

速度

1.5 kn

最大深度

15m

用途

水中撮影、レジャー、釣り、水中探査など

稼働時間

1h

PowerRay
8万9,000円〜

PowerRay

メーカー

PowerVision

カメラ

4K

サイズ

465 x 270 x 126 mm

動作

前進・後進、右旋回・左旋回、上昇・下降

速度は高・中・低速の3モード

速度

3 Kn (1.5m/s)

最大深度

30m

用途

水中撮影、レジャー、釣り(魚群探知機付きの「ウィザード版」もあり)など

稼働時間

低速 4h、中速 1.5h、高速 0.5h

重さわずか1.1kgで持ち運びやすい「CHASING DORY」

「CHASING DORY」は、CHASING社の製品の中でもっとも価格が手頃でポータブルな水中ドローンです。

サイズは247×188×92mm、重さわずか1.1kgなので、旅先にも気軽に持ち運べます。

小型ながら機能も充実していて、上下45度のポジショニングも可能、一定の深さで深度ロックがかけられるので、水中でも安定性を確保できます。

他にも19の画像フィルターや、SNSで画像を共有できる機能などもあり、水中撮影の楽しみが広がるでしょう。

機体

概要

CHASING DORY
8万9,800円

CHASING DORY

メーカー

CHASING

カメラ

フルHD:1920×1080 30FPS

サイズ

247 × 188 × 92 mm

動作

垂直上下、維持、傾き、推進移動、±45°チルトロックモード、深度ロック

速度

1.5 kn

最大深度

15m

用途

水中撮影、レジャー、釣り、水中探査など

稼働時間

1h

低価格なのに4Kカメラ搭載「PowerRay」

「PowerRay」は、中国・北京の水中ロボットメーカー「PowerVisin」の水中ドローンです。

8万9,000円という手頃な価格ながら、4Kカメラ、最大速度3 Kn (1.5m/s)、最長稼働時間4時間と、産業用機に劣らないスペックも備えています。

また、基本の「エクスプローラ版」のほかに「ウィザード版」(11万5,500円)もあり、こちらには魚群探知機とVRゴーグルが備わっています

釣りやダイビングはもちろん、水中探索や点検などにも活用できるでしょう。

機体

概要

PowerRay
8万9,000円〜

PowerRay

メーカー

PowerVision

カメラ

4K

サイズ

465 x 270 x 126 mm

動作

前進・後進、右旋回・左旋回、上昇・下降

速度は高・中・低速の3モード

速度

3 Kn (1.5m/s)

最大深度

30m

用途

水中撮影、レジャー、釣り(魚群探知機付きの「ウィザード版」もあり)など

稼働時間

低速 4h、中速 1.5h、高速 0.5h

よくある質問

よくある質問

これで、水中ドローンについて知っておくべき基礎知識はひと通り説明できました。
が、さらに一歩踏み込んで「もっと知りたいことがある」という人もいるでしょう。

そこで最後に、水中ドローンについてよくある質問に答えておきましょう。

水中ドローンは自作できる?

工作が好きな人や、プラモデルやラジコンが趣味の人の中には、空を飛ぶドローンを自作するという強者もいます。
では、水中ドローンを自作することも可能でしょうか?

答えは「YES」です。

水中ドローンに必要なパーツを集めて、一から自分で作ることができます。
たとえば、水産高校の生徒が、災害支援に役立てようと水中ドローンを自作したというニュースもありました。

◎「水中ドローン」水産高生が自作、目指せ災害支援/毎日新聞

以前は、ドローンやラジコン製品を扱う「セキド」が、手軽に水中ドローンを自作できるキット「OpenROV v2.8 水中ドローンキット Japan Limited【組立調整済】」を販売していましたが、現在は取り扱いがないようです。

今後また同様のキットがいずれかのメーカーから発売されるかもしれませんので、気になる人はインターネットなどで情報を随時チェックしてみてください。

水中ドローンの主なメーカーは?

空中を飛ぶドローンのメーカーといえば、DJIがその代表で、世界シェアの7割を占めています。
では、水中ドローンの主要メーカーはどこでしょうか?

主なものとしては、たとえば以下が挙げられます。

種類

メーカー等

概要

製品例

A
U
V

川崎重工業

日本

◎高い潜水艦技術をAUVに応用
船舶海洋、車両、航空宇宙、ガスタービン・機械、プラント・環境、モーターサイクル&エンジン、精密機械の7つ事業を抱える総合重工業企業。
その潜水艦技術を応用し、海中設備の保守・点検を目的としたAUVを開発、受注している。

SPICE

川崎重工業SPICE

世界初の海底パイプライン検査用ロボットアーム搭載のAUV

Kongsberg Maritime

ノルウェー

◎自動運航技術に優れている
DP(自動船位保持装置)、航海機器、自動制御装置、液面センサー、シミュレーター、測位システムなどの開発・製造・販売の大手企業。
2007年にアメリカの小型軽量AUVメーカー・Hydroid を買収、AUV事業に乗り出した。

HUGIN

Kongsberg Maritime HUGIN

海洋学、環境モニタリング、水中資源研究など多様な産業で活用できるAUV

TELEDYNE MARINE

アメリカ

◎900台以上のAUVを製造
水中テクノロジーの最先端企業。
これまでに、自立型水中グライダー(AUV)をおよそ900台製造している。

Slocum Glider

TELEDYNE MARINE Slocum Glider.

学術、軍事、商業用途で、長距離・長時間の水中探査が可能なAUV

Woods Hole Oceanographic Institution

アメリカ

◎500人超のスタッフが活動する非営利研究法人
海洋の研究、探査、教育に特化した、世界有数の独立非営利団体。
水中分野ではAUVだけでなく、HOV(有人潜水艇)、ROVなどさまざまな機体を開発している。

REMUS

Woods Hole Oceanographic Institution REMUS

軽量小型の「REMUS 100」(上の写真)から水深6,000mまで潜れる「REMUS 6000」など多彩なラインナップのAUV

R
O
V

株式会社キュー・アイ

日本

◎ロボットカメラに特化して製造販売
水中カメラをはじめとする、特殊ロボットカメラの製造・販売会社。
水中テレビロボット(ROV)「DELTA」シリーズの他に、管内検査用カラーTV装置、1万m級深海TVシステム、自航式水中カラーTV装置、超小型TVカメラ、耐放射線TVシステム、赤外線暗視TV装置なども手がける。

DELTA-200.net

株式会社キュー・アイ DELTA-200.net

光ネットワーク伝送式の水中テレビロボット

広和株式会社

日本

◎1985年からROVを開発、幅広い製品ラインナップが強み
人工魚礁や水中探査ロボットなどの海洋関連事業だけでなく、レトルト食品を中心とする食品部門、介護・福祉関連事業なども展開する企業。
ROVを手がけるのはマリンシステム部で、水中TVカメラロボット、特殊水中作業ロボットなども取り扱う。

水中TVカメラロボット

広和株式会社 水中TVカメラロボット

50m、100m、150m、500m(上の写真)、2,000mの各仕様がある

JOHNAN株式会社

日本

◎機体販売だけでなく、修理、保険、講習などの充実
スタートアップ新規事業支援、試作・商品化支援、マニュファクチャリング支援、商品企画・販売支援などを行う企業。
ROVに関しては、DEEPINFAR OCEAN TECHNOLOGY社製のものを「MOGOOL」シリーズとして販売している。

MOGOOL

JOHNAN株式会社 MOGOOL

比較的小型のP3000-A(上の写真)など、豊富な製品で多用途に対応する

株式会社FullDepth

日本

◎国土交通省「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」にも参画
産業用水中ドローンなどの企画・開発および製造、販売に特化した企業。
主力製品の産業用水中ドローン「DiveUnit300」に、さまざまなオプション機材を用意して販売するほか、カスタム機材の開発依頼も請け負っている。

DiveUnit300

株式会社FullDepth DiveUnit300

購入者には、操縦方法のトレーニングも実施する

三井E&S造船株式会社

日本

◎100年以上培った高い造船技術が詰め込まれたROV
100年以上培ってきた造船技術に、自律操船・デジタライゼーション技術を組み合わせたエンジニアリング企業。
ROVでは、小型の遠隔操作式テレビカメラロボット「RTV」シリーズを各種開発、提供している。

RTV.N-500

三井E&S造船株式会社 RTV.N-500

「RTV」シリーズの中でも、最大稼働深度500mのROV

Blue Robotics

アメリカ

◎低価格ながらカスタマイズ性の高さが特徴
低価格で高品質のROVを製造販売している海洋ロボティクス企業。
主力製品は「BlueROV2」。
BlueROV2参照

BlueROV2

Blue Robotics BlueROV2

CHASING

中国

◎低価格・高性能で水中ドローン業界の覇権を狙うメーカー
水中ドローンメーカーとしてはトップクラスのシェアを誇るとされる主要企業。
主力製品である産業用ROV「CHASING M2」シリーズに加え、民生機の「GLADIUS MINI S」「CHASING DORY」など、多彩な製品ラインナップが揃っている。
→「CHASING M2」参照

CHASING M2

CHASING CHASING M2

Deep Trekker

カナダ

◎検査・点検用途を中心にオプションも充実
検査用水中ロボットを中心に研究開発するテクノロジー企業。
ROVは、スペックの異なる3タイプ「DTG3」「PIVOT」「REVOLUTION」を中心に展開している。

DTG3

Deep Trekker DTG3

過酷な環境での検査・調査にも対応できるROV

QYSEA

中国

◎産業用・個人のホビー用どちらでも人気機種をもつ
産業用・個人用いずれの分野でも水中ドローンの代表メーカーのひとつとして知られる企業。
製造・販売している水中ドローンは「FIFISH」シリーズ。
→「FIFISH V6」参照

FIFISH V6

QYSEA FIFISH V6

Saab Seaeye

スウェーデン

◎水中ロボット工学の専門企業
航空機・軍需品メーカーで、以前は自動車「SAAB」を製造していた企業・SAABのグループ傘下で、水中ロボット工学を専門とする企業。
ROVは、「Falcon」「Tiger」「Lynx」「​​Cougar」「Panther」「Leopard」といった、動物の名前のシリーズを販売している。

Falcon

Saab Seaeye Falcon

Youccan Robotics

中国

◎日本支社があるのでアフターサービスも安心
水中ロボットとそれによるサービスを世界的に展開するハイテク企業。
日本では、支社として「株式会社 Youcan Robotics Japan」が製品の販売やアフターサービスなどを担っている。
ROVは「BW Space」シリーズ。
→「BW Space Pro」参照

BW Space Pro

Youccan Robotics BW Space Pro

小型(長さ1m)ながら深さ300mでの動作が可能

産業用であれば、上記のメーカーのほとんどが対応していますが、主要メーカーの中で個人の趣味用を扱っているのは「CHASING」「QYSEA」だと言えそうです。

ただ、水中ドローンの領域は日進月歩で、これら以外のメーカーも参入しています。
今後はまた別の企業から、高機能・低価格な水中ドローンが提供されるかもしれませんので、注視していたいものです。

DJI製の水中ドローンはある?

「DJI」は、空を飛ぶドローンのシェア7割を誇るメーカーです。
信頼性も高いため、「水中ドローンも、DJI製のものがあるならそれを使いたい」という人も多いでしょう。

が、結論からいえば、今のところ(2023年7月現在)、DJI社から水中ドローンは発売されていません
今後発売予定があるというニュースも、残念ながらないようです。

機能や安全性が充実した機種を選ぶなら、前掲の日本水中ドローン協会認定機種を参考にするか、同協会の機種認定基準の各項目に適っている機種を選ぶというのもひとつの方法ですので、検討してみてください。

まとめ

いかがでしたか?
水中ドローンについて、疑問が解けた思います。

ではあらためて、記事のポイントをまとめておきましょう。

◎水中ドローンとは、水の中を移動することができる無人機

◎水中ドローンの種類は、以下の2種に大別される

  • ROV(遠隔操作型無人潜水機):コントローラーと機体がケーブルでつながっていて、水上の操縦者が操縦するもの
  • AUV(自律型無人潜水機):動きをあらかじめプログラムしておき、全自動で動くもの

◎水中ドローンの活用シーンは、

  • 水中撮影
  • 漁業・水産業での調査、探査
  • 釣り
  • インフラ設備点検
  • 水中の環境・生態調査、海底の地形などの調査
  • 環境保護   など

◎水中ドローン利用に必要な資格はないが、「場所」に関しては許可や承認が必要な場合がある

◎水中ドローン選びのポイントは、

  • 用途
  • 潜水可能な水深
  • 稼働時間
  • 機動力

◎水中ドローンの始め方は、

  • 水中ドローンのスクールに通う
  • 水中ドローンをレンタルする
  • 水中ドローンを購入する

以上を踏まえて、あなたが水中ドローンを上手に活用できるよう願っています。