【2022年最新】農業用ドローン向け補助金4種類。個人利用も可!

畑の上を飛行するドローン

普及に伴い今や個人での購入も十分視野に入ってくる価格帯の製品まで出てきている農業用ドローンですが、それでも決して安い買い物とはいえず、補助金の利用を考えている農業者の方は多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、農業用ドローン導入時に利用できる補助金各種をご紹介しています。

可能な限り新しい情報に基づいた内容となるよう努めました。

なぜなら、ここ1〜2年で、ドローン導入を促進する各種補助金の性質・目的に変化が見られるようになってきているためです

コロナ禍における緊急的な支援や、重労働である農薬・肥料散布の負担を軽減するための支援から、人手不足問題の解消や生産性の向上、さらには日本の農業の継続的発展に向けた根本的な対策を講じるための支援へとシフトしつつあります。

そんな変化をいち早く反映したこの記事を読めば、農業用ドローン導入時に利用できる補助金について、最新情報に基づく検討・判断が可能となります。

補助金を活用して農業用ドローンを導入しようとお考えの方にとり、最新の選択肢の中から最適なものを見つけるためのご参考となれば幸いです。

農業用ドローン購入に利用できる主要な補助金4種類

稲穂

農業の経営状況改善や生産性向上をサポートする支援事業のうち、農業用ドローンを導入するケースに利用できるものとして、主に次の4種類が挙げられます。

  1. 担い手確保・経営強化支援事業 →《おすすめ》対象地区なら直販していなくても個人で利用可
  2. 小規模事業者持続化補助金 →《おすすめ》直販していれば農業者が個人で利用可!
  3. スマート農業総合推進対策事業 →スマート農業を進める組織・団体を支援
    (※同じ「AI+ドローン」の取組みなら、下記4よりも助成上限額が高いこちらのほうがおすすめ)
  4. みどりの食料システム戦略推進交付金 →エコ農業に前向きな組織・団体向けの新設制度

いずれも農林水産省が実施しているものです。

次章から、個人利用が可能なものと組織単位での助成となるものに分けて、それぞれの支援制度について詳しく見ていきましょう。

個人利用も可能な農業用ドローン向け補助金2種類

野菜の収穫

農業用ドローン向け補助金のうち、個人が利用可能なタイプとしては、次の2つが挙げられます。

  • 担い手確保・経営強化支援事業
  • 小規模事業者持続化補助金

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

【対象地区なら直販していなくても利用可】担い手確保・経営強化支援事業

「担い手確保・経営強化支援事業」は、TPP(環太平洋連携協定)の国内対策の位置付けです。

次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成、ひいては力強く持続可能な生産構造の実現を目的としています。

従来は助成を受けるためには融資活用が必須でしたが、要件が見直され、現在では助成対象者の属性によっては融資条件なしでも利用可能となっています。(「主な要件」の項にて後述)

農業用ドローン導入が助成対象となる理由

農産物の輸出に向けた取組み、低コスト化、品目転換など、次世代の担い手のチャレンジを応援する本事業では、農業用ドローンの導入もそうしたチャレンジの一つとして助成対象となります。

スマート農業の現場導入を支援するため、自動操舵システムや土壌センサー搭載型可変施肥田植機などと並びドローンにも優先枠が設けられているので、有利といえるでしょう。

助成対象地区

この制度を利用するための前提条件として、原則的に下記1と2の両方を満たす地区で営農していなくてはなりません。

  1. 適切な「人・農地プラン」(※下枠内参照)が作成されている
  2. 農地中間管理機構(※下枠内参照)を活用しているか活用することが確実で、農地の集積・集約化を進めている

(※例外として、次項「助成対象者」の②に当てはまる者は、上記を満たす地区以外での営農であっても対象となります)

▶人・農地プランとは?

農業者が話し合い、地域農業で今後中心となる経営体、5〜10年後の農地利用のあり方などを明確化し、市町村により公表するもの

【福井県小浜市宮川地区の事例】

人・農地プランの成果事例

(出典:人・農地プランの成果事例

他事例については農林水産省サイト内「人・農地プランの成果事例」を参照

▶農地中間管理機構とは?

別名「農地バンク」。農地を貸したい人と借りたい人をつなぐ役割を果たす公的機関(都道府県の第3セクター)農地中間管理機構(農地バンク)に関する資料

(出典:「農地中間管理機構(農地バンク)に関する資料」内掲載リーフレット

詳しくは、農林水産省公式サイト内「農地中間管理機構(農地バンク)に関する資料」を参照

助成対象者

産地が一丸となっての対策が重視され、対象者が組織に限定されることも多いのが農林水産業関連の支援事業です。

しかし、本事業では下記1〜3のいずれかを満たす経営体であれば、個人であっても助成対象者となります。

  1.  適切な「人・農地プラン」に位置づけられた中心経営体であって、かつ認定農業者、認定就農者または一定の集落営農組織
  2. 農地中間管理機構から賃借権等の設定を受けている者
  3. 下記のいずれかを満たすことにより、地域の農地の継続的利用を図る者として事業実施主体に認められた農業者
  • 当該市町村の認定農業者の平均所得のおおむね8割以上の所得がある
  • 中心経営体もしくは認定農業者である
  • 10年後の農業経営の継続意向(経営農地、経営面積、栽培作物、栽培方法等)が明確になっている

参考:い手確保・経営強化支援事業PR版,担い手確保・経営強化支援事業パンフレット

助成対象事業

対象地区において、意欲的な取組みにより経営発展を図ろうとする担い手が、農業用機械を導入したり施設を整備したりするのを助成します。

具体的には次のようなケースが支援対象となります。

  • ドローン、トラクター、田植機などの農業用機械の取得
  • 選果作業機、自動収穫機、乾燥機などの導入
  • ビニールハウスの整備
  • あぜの除去、排水用の明渠あるいは暗渠の整備

助成額

助成額は、以下の1〜3により算定した額のうち一番低い額となります。(上記助成対象者の「3.地域の農地の継続的利用を図る者として事業実施主体が認める農業者」については、1また3のいずれか低い額)

  1. 事業費の2分の1
  2. 農業用機械等の導入のための融資額
  3. 事業費−融資額−地方公共団体等による助成額(※下枠内参照)

▶地方公共団体等による助成額とは?

類似の公的助成制度を他にも利用している場合に受けている助成金の額。農業関係機関が実施する助成事業等の本事業に関連する助成金を含む

助成上限額

助成上限額は下表のとおりです。

助成上限額

主な要件

主な要件は、次のとおりです。

  • 農業用機械等の導入に当たり融資を活用する
    (「③地域の農地の継続的利用を図る者として事業実施主体が認める農業者」については融資要件なし)
  • 事業費が整備内容ごとに50万円以上である
  • 導入する機械等の法定耐用年数が概ね5年以上20年以下(新品の場合)である
    (中古機械・設備については、使用可能年数が2年以上)
  • 農業経営の用途以外にも容易に活用可能な汎用性の高さを有する機械等の導入ではない
    (この要件に基づけば、運搬用トラック、パソコン、倉庫などの購入・整備は対象外)
  • 成果目標の達成に資する(成果目標については次項参照)
  • 気象災害等による被災に備えた措置がされている
    (園芸施設共済、農機具共済、民間事業者の保険への加入等)

従来は融資活用が必須でしたが、要件が見直されました。

地域の農地の継続的利用を図る者として事業実施主体が認める農業者(前項「対象者」で挙げる3に当たる者)については、金融機関からの借入れなしでも100万円を上限に補助を受けられるようになり、使い勝手が向上しています。

注意点

担い手確保・経営強化支援事業で助成を受ける場合、設定した成果目標を達成する必要があります。

成果目標には必須目標と、それを達成するための補助的な目標である選択目標とがあり、それぞれ1つ以上について数値設定をし、達成しなくてはなりません。(※申込者の現状に応じて設定が必要な選択目標数が増えたり、選択肢が指定されたりする場合があります)

各目標は下表のとおりです。

必須目標と選択目標

申請方法

申し込む際には交付申請書などを地方農政局長等に提出しますが、まずは事前に市町村の農政担当部局(または都道府県の農政部局や地方農政局)に問合せ・相談しましょう。

本事業が、市町村で実施する助成事業を補助するという形式の事業であるためです。

各自治体では申込希望者向けに「要望調査」あるいは「要望受付」という形で一定期間中に申込みを受け付けています。

【直販しているなら農業者も対象に!】小規模事業者持続化補助金

野菜の直販

販路開拓の取組みを支援する「小規模事業者持続化補助金」は、経済産業省中小企業庁が実施する助成制度で、農業者のみを対象とするものではありません。

むしろ、農業者以外の小規模事業者を支援する制度といったほうが実態に近いでしょう。

しかし、だからといって農業者が対象外というわけではありません。

対象外となるのは「系統出荷による収入のみである個人農業者」であり、つまり系統出荷(JAを通じた出荷)だけでなく消費者への直販を行っている農業者であれば対象となるのです!

実際にドローン導入ケースでの採択例も多数あります。

小規模事業者持続化補助金の対象者
(出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】

一般型と低感染リスク型ビジネス枠とがあり、補助率は一般型で3分の2、低感染リスク型で4分の3、補助上限額は一般型では50万円、低感染リスク型では100万円となっています。

詳細については関連記事をご参照ください。

「おすすめが見つかる!個人事業主がドローンに使える助成金・補助金」

地域や団体が利用可能な農業用ドローン向け補助金2種類

地域や団体として助成を受けるタイプのものとしては、次の2つが挙げられます。

  • スマート農業総合推進対策事業
  • みどりの食料システム戦略推進交付金

この2つの制度は、切り口こそ「スマート農業」と「環境負荷軽減&持続可能な食料システム」と異なるものの、単なる農薬散布や施肥の手段としてではなく「AI+ドローン」という形でのドローン導入という事業内容が対象になる点は同じです。

つまり、ドローンに限ればどちらで申請しても問題ありません。

しかし、助成上限額がより高いという点で「スマート農業総合推進対策事業」のほうがおすすめです。

【スマート農業の推進を応援】スマート農業総合推進対策事業

農業をサポートするドローン

「スマート農業総合推進対策事業」は、農業の担い手のほぼ全員がデータ活用を実践するような農業のあり方を目標とする事業です。

スマート農業の社会実装を加速するため、産地ぐるみでの先端技術の導入実証やスマート農業普及のための環境整備等に総合的に取り組みます。

農業用ドローン導入が助成対象となる理由

日本の農業が直面している課題を解消するための省力化や負担軽減、そして生産性向上が急務となっている中、ロボット技術や情報通信技術(ICT)といった先端技術を活用するスマート農業が国を挙げて推進されています。

農業用ドローンによるリモートセンシング(農作物の状態を遠隔から測定・把握する技術)や、その分析データに基づく農薬散布や施肥は、まさにそうしたスマート農業の現場実装を推進するものであるとして助成対象となっています。

助成対象者

助成対象者は、対象となる事業の実施主体である民間団体や協議会などです。

しかし、協議会のメンバーとして参加している農業者であれば、スマート農業の現場で実際にドローンを活用する立場として、間接的に助成対象者となり得ます。

助成対象事業

スマート農業の総合推進対策

(出典:「スマート農業の総合推進対策」の概要

本事業は「スマート農業社会実装加速化のための技術開発・実証」「スマート農業普及のための環境整備」が2本柱となっており、それぞれ対象事業内容ごとに細かく分類された補助事業から構成されています。

「スマート農業社会実装加速化のための技術開発・実証」と「スマート農業普及のための環境整備」

これらに該当する事業が助成対象となりますが、事業内容ごとに細かく分類・用途指定され、不定期かつ期間を区切って公募されます。

補助金を申請できる内容の支援事業が公表されていないか常に最新情報をチェックするようにしましょう。

たとえば、令和4年1月現在公募中の支援事業には、農業支援サービス事業者を対象とした 「スマート農業の全国展開に向けた導入支援事業(農業支援サービス導入タイプ)」があります。

参照:「スマート農業の全国展開に向けた導入支援事業(農業支援サービス導入タイプ)」公募要領

助成額・助成上限額

助成額や助成上限額は、事業内容により異なってきますので、申込み予定の助成制度の公募要領を確認しましょう。

一例として、前述の「スマート農業の全国展開に向けた導入支援事業(農業支援サービス導入タイプ)」の場合、補助率は取組み内容により2分の1以内、3分の2以内、定額のうちのいずれか、上限額は最高で1,500万円です。

申請方法

農林水産省共通申請サービス(eMAFF)での電子申請となります。

事業実施計画総括表などを必要書類とともに提出しますが、詳細については公募ごとに要綱を確認しましょう。

自治体が実施する類似の助成制度

《福島県》白河市の空撮

各自治体によるスマート農業推進対策としての助成制度もあります。

補助金が国から支給されるか、自治体から支給されるかの違いであり、趣旨としては同じです。

国から支給される補助金は基本的に一定以上の規模の事業を想定しているため、使いづらいと感じる場合もあるのではないでしょうか。

その点、自治体が実施するものは助成額としては限られる傾向ではあるものの、個人でも利用しやすく、要件も「市税・県税を滞納していないこと」など容易にクリアできるものが大半です。

お住まいの自治体でこうした助成制度が実施されているなら、ぜひ前向きに検討してみましょう。

  • 浜松市スマート農業推進事業 

浜松市では、スマート農業の普及促進により「もうかる農業」を実現させる目的で、市内の認定農業者(または認定農業者3人以上で構成される農業者団体)に対し補助金を支給しています。

ドローン導入は「先進的栽培技術を活用した機械の導入補助」の対象事業に該当し、補助率2分の1以内、補助上限額600万円で補助金が交付されます。

参照:【令和4年度】浜松市スマート農業推進事業のご案内

  • 白河市農業の未来をつくるスマート農業推進事業補助金

福島県白河市では、農作業の効率化や負担軽減のために、ICT機器及びロボット技術の導入にかかる費用の一部を補助しています。

補助率2分の1以内、補助上限額は100万円です。

参照:白河市農業の未来をつくるスマート農業推進事業補助

  • スマート農業社会実装促進事業(鳥取県)

鳥取県では、スマート農機の導入、ドローン操縦のための講習、作業負担軽減に資するアシストスーツ等の導入経費を支援する事業として、「スマート農業社会実装促進事業」が令和3年度に創設されました。

補助率は2分の1、補助上限額は個人の農業者の場合300万円(共同利用の場合は600万円)、任意組織や法人などの場合は700万円(共同利用の場合は1,400万円)です。

参照:スマート農業社会実装促進事業

【エコ農業実現のための新設制度】みどりの食料システム戦略推進交付金

みどりの食料システム戦略(出典:「みどりの食料システム戦略」資料

「みどりの食料システム戦略推進交付金」は、環境負荷軽減と持続的発展を目指すモデル的先進地区の創出を目的として支援を行われるものです。

農業用ドローン導入が助成対象となる理由

この交付金は、農林水産業や地域の将来を見据え、持続可能な食料システムの構築に向けて策定された「みどりの食料システム戦略」に基づくものです。

同戦略に則った取組みの一つとして化学農薬・科学肥料の使用量低減が挙げられていることが、ドローン導入が助成対象となる理由となっています。

AIで検出した病変部位のみへのピンポイント農薬散布、生育不良部位のみへのピンポイント施肥を行えば減農薬・減肥料につながることから、ドローン導入が課題解決策とみなされるためです。

助成対象者

スマート農業総合推進対策事業と同様に、民間団体や協議会などの団体が助成対象者ですが、協議会のメンバーとして参加している農業者は間接的に助成対象者となり得ます。

助成対象事業

「有機農業産地づくり推進」「SDGs対応型施設園芸確立 」「地域循環型エネルギーシステム構築 」「バイオマス地産地消対策」など、複数分野に該当する事業が支援対象となります。

ドローン導入事業は、たとえば「グリーンな栽培体系への転換サポート」の分野に分類されます。(他分野に該当するケースも考えられます)

▶グリーンな栽培体系とは?

環境にやさしい栽培技術や省力化に資する先端技術等を用いた農業のあり方。たとえば原料の多くを輸入に依存している化学農薬・化学肥料の使用量低減、有機農業の取組み、メタンや温室効果ガスの排出削減などを実現するような栽培スタイル

助成額・助成上限額

令和4年度に創設される交付金であり、具体的な支援内容は確定前の段階です。

あくまで見込みとはなりますが、「グリーンな栽培体型への転換サポート」の対象事業としてドローンを導入する場合には、定額助成かつ上限額300万円(複数の取組みを同時に行う場合は360万円)が見込まれています。

申請方法

交付申請書など必要書類を地方農政局長等に提出しますが、詳細は未定です。

まとめ

iPadでドローンの情報を見る農業者

農業用ドローンの導入に活用できる主な助成制度としては、次の4種類が挙げられます。

  1. 担い手確保・経営強化支援事業
  2. 小規模事業者持続化補助金
  3. スマート農業総合推進対策事業
  4. みどりの食料システム戦略推進交付金(令和4年度新設)

《個人 or 組織》

  • 上記1と2は個人での申請・利用も可能、3と4は市町村や地域、民間団体、協議体といった組織による事業を支援するものとなっています。
  • 3については各地方自治体が独自に実施する同じ趣旨の助成制度が見つかるかもしれません。そういった助成制度であれば個人での利用が可能な場合が多いです。

《作業負担軽減 or スマート農業》

  • 3と4についてはドローンを単なる空飛ぶ散布機として使うのではなく、スマート農業の一環としてのドローン活用(撮影画像の分析データに基づいて農薬散布や施肥を行う)を想定しています。国を挙げてスマート農業が推進され、日本の農業の持続可能性がより重視されるようになっている現状を反映し、農業用ドローンに利用可能な各種助成制度も変容しつつあるといえそうです。
  • とはいえ、炎天下に重い機材を背負い、長時間かけて行う防除作業の負担を軽減したいといった現場目線のドローン活用用途は引き続きあり、そうした場合には現時点では1もしくは2の助成制度が選択肢となってくるでしょう。

本記事でご紹介した内容をご参考に、皆さまそれぞれのドローン導入ケースに最適な補助金を見つけてくださることを願っています。