慢性的な人手不足や担い手の高齢化など、農業が抱えるさまざまな課題を解決する一つの方法として農業用ドローンが有効なことはわかっていても、
「農業用ドローンはどんな人・どんな圃場にも有効なの?」
「農業用ドローンの導入にはどのくらい費用がかかるの?」
「どうやって選んだらいいの?」
という疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、ドローンも扱う農具メーカーに勤められており、実際に農業ドローンが活用されている現場事情に詳しい高橋さん(仮名)をお迎えし、お話いただいた内容を基に記事を作成しました。
(※プライバシー保護の観点から、インタビュー者の顔を隠して表示しております。)
農業用ドローンの機体購入費用は約200~300万円で、年間の維持費も約20万円程度かかります。決して安い金額ではありませんが、1haの農薬散布が約10分で完了するという作業効率は価格以上という声も少なくありません。
この記事では、
- 農業用ドローンの導入・運用にかかる費用目安
- 農業用ドローンの選び方
- おすすめの農業用ドローンのメーカー・機体
- 実際に農業用ドローンを購入した方の感想
などについてお伝えし、農業用ドローンの導入・運用のために必要な幅広い知識を基に、自身の圃場や目的に合った農業用ドローンの選定方法について提案していきたいと思います。
この記事を読めば、農業用ドローンに関する正しい知識が得られ、自身の圃場に導入すべきかどうかを見極めたうえで適切な農業用ドローンを導入することができるでしょう。
※ドローンによる農薬散布のメリットデメリットなどについては、別のこちらの記事で解説しておりますので、併せて参考になさってみてください。
ドローンの農薬散布とは?メリットデメリットや始め方・導入の注意点
目次
農業用(農薬散布用)ドローンとは
農業用ドローンとは、農薬や肥料の散布に使用するタンクやノズルを搭載したマルチローター型の無人航空機のことです。
一般的なドローンとの一番の違いは、まずその大きさです。予備知識のない状態で初めて農業用ドローンを見た方は、皆さんその大きさに驚かれるそう。
比較的コンパクトなものでもアームを広げた状態で1メートルほどの大きさがあり、国内で一番大きなタイプ(30Lタンク)の農業用ドローンになると、アームを広げた状態で2メートル以上、重さは25kg以上にもなります。
大きさのタイプについては後ほど説明しますが、10L機ぐらいまでであれば一人で積み下ろしができます。
大きさ以外の特徴としては、散布用のタンク・ノズルを搭載していること、飛行性能に加えて散布性能にも特化していること、耐薬・防水性に優れていることなどが挙げられます。
農業用(農薬散布用)ドローンの導入コストについて
農業用ドローンは決して安い買い物ではありません。まずは購入時にかかる費用や年間の維持費を把握した上で購入を検討する必要があります。
購入費用目安は200~300万円、維持費は年間20万円程度
農業用ドローンの購入時にかかる費用目安、年間維持費目安は以下の通りです。
※バッテリーは必ずしも4本必要というわけではありません。
※粒剤散布装置は粒剤を使用する方のみ必要になります。
5年間の費用シミュレーション
仮に10aあたり2500円で年3回散布代行に依頼する場合と、農業用ドローン(機体価格100万円程度のもの)を購入した場合の、5年間の費用シミュレーションは以下の通りです。
一見、所有する圃場が広ければ広いほどドローンを購入した方がコストパフォーマンスが良いように感じられますが、圃場が狭いからと言って農業用ドローンを導入するのに向かないというわけではありません。
圃場が広ければそれに適した大きさの機体やバッテリー(大きな機体用のバッテリーは高額)が必要になるケースがあり、その分初期費用も上がります。
農業用ドローンの中には10ha以下の圃場に適したコンパクトかつ安価なモデルも存在しますし、国や自治体の補助金を利用したり、共同で購入するという方法もあります。
機体の選定方法については後ほど詳しくご紹介します。
農業用(農薬散布用)ドローンの選び方
農業用ドローンの選定を行う際は、まず圃場の広さから適したタンク容量を選び、次にメーカー、モデルを選定します。
圃場の広さに適したタンク容量を選ぶ
農業用ドローンを選ぶ上で一番重要なのは、タンク容量が圃場の広さに適しているかどうかです。
例えば米の場合、10Lタンクのドローンに適しているのは15ha以上の広さの圃場であり、それよりも狭い圃場であればややオーバースペックです。逆に広い圃場に対してタンク容量の小さいドローンを選んでしまうと、必要なバッテリーの数が増えることになります。
しかし、タンク容量の大きいドローンは機体価格も高価になり、30Lタンクにもなると一人では扱えない大きさになるということも知っておくべきでしょう。
以下の表は、作業面積に対しての推奨機械と比較したものです。
※農業機械利用規模の下限面積(水稲)を参考
メーカーを選ぶ
タンク容量が決まったら次はメーカー選びです。メーカー選びのポイントは以下の3点。
✅近くの業者が取り扱っているメーカーである
農業用ドローンは、近くの業者が取り扱っているメーカーを選ぶのがおすすめです。
なぜなら、農業用ドローンは購入したらそれで終わりというわけではなく、年に一度の定期点検やメンテナンスが必要になるからです。
何かトラブルがあった時に相談に乗ってもらったり迅速に対応してもらうためにも、近くの業者から購入するというのは重要なポイントになります。
✅メーカーに悩んだら実績があるDJIを検討する
メーカーの選定に悩んでしまった時は、国内で7〜8割のシェアを誇り実績のある「DJI」を検討することをおすすめします。
農業用ドローンを販売しているメーカーは数多くあり、メーカーを選ぶといっても何を基準に選んだらいいかわからないという方がほとんどでしょう。
ドローンメーカー最大手のDJIであれば扱っている業者も多く、シェアの大きさを活かしユーザーのニーズを拾って技術を高めているため、機能面でも優秀です。
✅DJIにない小さなタンク容量を選ぶ場合はマゼックスを検討する
DJIにはタンク容量が8L以下の機体が存在しないため、それ以下の小さなタンク容量を求める場合には別メーカーを選定する必要があります。
小さな圃場に特化した小型の農業用ドローンを選ぶ際におすすめなのが「マゼックス」という日本メーカー。マゼックスは、農林水産航空協会認定製造メーカーであり、豊富な経験と技術開発力を活かし安全・手軽に使用できる農薬散布ドローンを開発しています。
コンパクトでリーズナブルな同社の農業用ドローンは、主に小規模農家の方に支持されています。
農業用(農薬散布用)ドローンのおすすめメーカー/機種
現在日本国内で大きなシェアを占めているDJI・マゼックスのラインナップと、その他の代表的なメーカーの特徴とフラッグシップモデルをご紹介します。
圧倒的シェアを誇るDJI
ドローンメーカー最大手であるDJIは、農業用ドローンの分野でも日本国内で7〜8割のシェアを誇っています。
その主な理由は以下の通り。
- 水平を保つ機能が優秀で機体の安定性が抜群である
- シェアの大きさを活かしユーザーのニーズを拾って技術を高めている
- 金額が高過ぎず安定的に運用できる
- DJI JAPANが農業専門に設けている団体「UTC農業ドローン協議会」によるサポート体制がしっかりしている
コンパクトかつリーズナブルな製品ラインナップが魅力のマゼックス
マゼックスは、農業を中心とした産業用ドローンを専門に取り扱うメーカーで、主に小規模農家の方に支持されています。
人気の理由は以下の3点。
- 機体がコンパクトで小回りが利く
- リーズナブルな価格設定で導入ハードルが低い
- 代行申請や保険などのアフターサポートがしっかりしている
【マゼックスの農業用ドローンラインナップ】
その他の代表的なメーカーの特徴と代表モデル
DJI、マゼックス以外の代表的メーカーの特徴と、代表モデルをご紹介します。
【XAG JAPAN】
XAG JAPANは、完全自動飛行に加えて完全自動散布が可能な性能の高さが特徴のメーカーです。自動飛行+自動散布によって農業のスマート化に大きく貢献し、農作業の効率化や省力化を実現します。
XAG JAPAN P30
タンク容量 16L
標準離陸重量 最大41kg
サイズ 1852×1828×495mm
- 完全自動飛行かつ自動散布を実現したハイスペックな農業用ドローン
- 作物保護をコンセプトに設計が行われており、アトマイザーによる均一かつ高精度な散布が可能
- 高い耐久性、防水性能でメンテナンス作業のシンプル化に成功
【クボタ】
農機メーカー大手でもあるクボタでは、農業ソリューション製品として農業用ドローンを手がけています。優れた機動力による効率性の高い散布を実現し、液状の農薬や粒状の肥料など幅広い散布作業を実現しています。
T10K
タンク容量 8L
標準離陸重量 24.8kg
サイズ 1958×1833×553mm
- 4つの噴霧ノズルを搭載することでコンパクトながらも高精度な散布を実現
- コンパクトな設計で持ち運びにも便利
【ヤマハ発動機】
ヤマハ発動機では、長年に渡って蓄積された無人ヘリコプターのノウハウを活かした農業用ドローンをラインナップ。
ドローンと連携した散布管理IoTシステムを導入することで、散布作業を行いながら農場のセンシングを行なうことで精度の高い作業と負担の軽減を実現します。
YMR-08
タンク容量 10L
標準離陸重量 24.9kg
サイズ 1923×2181×669mm
- 新設計の二重反転ローターで生み出す効果気流により、狙い通りの散布と、高い薬剤効果が期待できる
- 散布作業を最適化する3つのフライトモードを搭載
- スピーディな交換作業ができるカートリッジ式バッテリー
農業用(農薬散布用)ドローン購入の流れ
農業用ドローンを購入する際の流れは以下の通りです。
①圃場の広さに合ったタンク容量を調べる
↓
②条件に合うドローンをいくつか選定する
↓
③代理店にデモ会の開催を依頼し性能や操作性などを見極める
↓
④選定した機種において購入するための技能認定が必要かを確認する
↓
⑤講習会に参加し認定資格を取得する
↓
⑥機体購入
下記2つの申請を実施する
- 機体登録の実施 ※基本的に本人が実施
- 飛行許可申請の実施 ※本人または申請代行サービスを設けている代理店が実施
個別申請の場合は散布日程が決まったら、包括申請の場合は最初の散布に間に合うタイミングで申請します。
↓
⑦飛行許可申請完了
※最短10日程度。 申請内容によっては期間は長くなる可能性もあるので、大体の目安として飛行予定日の1ヵ月前までに申請するようにします。
↓
⑧飛行当日
- 飛行計画登録の実施
※サイトが重く時間がかかる場合があるので、時間に余裕をもって登録することをおすすめします。
- 飛行当日までにドローン対応薬剤を準備しておく
↓
⑨農薬散布の実施
上の9つのフローのうち、いくつかのパートについて必要な理由を解説します。
③代理店にデモ会の開催を依頼し性能や操作性などを見極める
①、②の機体選定までの流れは前章で説明した通りなので割愛します。条件に合った機体を選定したら(この時点では一つに絞らなくて良い)、代理店にデモ会の開催を依頼して、性能や操作性などを自身の目で見極めましょう。
デモ会とは、実際にドローンを飛ばしてもらいながら(デモフライト)、機体の紹介をしてもらう会のことです。
代理店が主催するデモ会に参加する方法もありますが、個別に依頼して開催してもらうこともできるので、機体を選定したら代理店に問い合わせてみましょう。
この際、実際に自分の圃場に水を撒いてもらうと、自身の圃場が飛ばしにくい条件ではないかなども確認することができます。さらに、
- 自身で扱えるか
- デメリットはないか
などを見極めるための判断材料にすることも可能です。
あえて一つの機種に絞らずにいくつかのメーカーのデモ会を依頼すれば、性能や操作性を比べることができるので最終的な機体選定がしやすくなります。
④機種を選定したら購入するための資格取得の必要性を確認する
最終的に機種を選定したら、その機体を購入するための条件を確認します。農業用ドローンは、操縦に関しての自動車免許のような資格は必要ありませんが、選ぶ機体によって技能認定を受けなければ購入できない場合があります。
技能認定後でなければ購入できないのは、以下の2つの場合です。
- 農林水産航空協会の認定機※を使用する場合
- DJI、クボタなど特定の認定資格を設けているメーカーの農業用ドローンを使用する場合
これ以外の農業用ドローンを使用する際には、認定資格は不要です。
ただし、どの場合においても事前に承認申請が必要となり、申請には飛行経験が必要になるため、農業用ドローンに特化したコースのある民間スクールで講習を受けることをおすすめします。
※国土交通省が定める管理団体のひとつである農林水産航空協会がドローンの機体性能を試験し、合格したものを農水協認定機といいます。購入するためには農水協の認定教習所に通って資格を取らなければなりません。
※前章で紹介したマゼックスのドローンに関しては、飛助MGが農水協認定機になります。
農薬散布用ドローンの資格取得の必要性については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
農薬散布用ドローンの資格(免許)の全知識。費用や必要有無などを解説
⑤講習会に参加し認定資格を取得する
技能認定を受けるには、機種ごとに定められた教習施設で行われる教習を受講することが必要になります。
ここで注意しなければならないのは、使用する機種ごとに技能認定が発行されるということです。
資格取得までにかかる日数は、無人ヘリコプター操縦経験者であれば2〜4日、未経験者は最短で5日のカリキュラムが多いです。費用に関しても認定施設や取得コースによって変りますが、おおよそ20万〜30万円程度みておくといいでしょう。
農薬散布用ドローンの講習会(ドローンスクール)に関してはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
農薬散布(農業)用ドローンスクールとは?講習内容や選び方をインタビュー
⑥~⑨機体購入から飛ばすまでには3つの申請が必要
ドローンによる農薬散布には、以下の3つの申請が必要になります。
①ドローン登録システムへの機体登録(基本的に本人が行う。一部代理申請サービスを設けている代理店・行政書士事務所もあり)
②国土交通省への飛行許可承認手続き(申請代行サービスを設けている代理店・スクール・行政書士事務所あり)
③ドローン情報基盤システム(FISS)への飛行計画登録(都度本人が行う)
※この他にも自治体ごとに散布計画の提出や報告書の提出、地域や近隣の施設や住宅への周知などのルールを定めている地域もあります。飛行場所の市町村役場担当窓口で確認しましょう。
①、③は農薬散布ドローン以外のドローン(100グラム以上のもの)でも必ず必要な手続きですが、農薬散布ドローンの場合、農薬や肥料の散布が、航空法が制限を行う「物件投下」「危険物輸送」にあたるため、②の申請も必須になります。
農薬散布に必要な申請についてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
農薬散布ドローンで必要な申請は3つ!手続きの流れや手順を徹底解説
実際に農業用(農薬散布用)ドローンを購入した方の感想
農業用ドローンは時短と省力化に大きな効果を発揮する一方で、機体選びや飛行への不安、申請手続きの煩雑さに懸念を抱く方も多いでしょう。
そこで、実際に予備知識がゼロのところから農業用ドローンを導入した方の話をもとに、購入に至った流れや実際に使ってみての感想をご紹介します。
【地域】栃木県
【散布を行っている圃場の広さ】年間100ha以上
【どのような生産者か】家族で米を栽培している専業農家
【使用している農業用ドローン】DJI / Agras MG-1
【なぜ農業用ドローンを導入しようと考えたのか】
- 会社員として働きながら親のサポートを行っていたが、兼業するには時間も体力も足りな くなったことからドローンの導入を検討
- 導入前は10㎏以上の機械を背負っての防除作業に苦労していた
【まずどのような行動をとったか】
市役所の農林水産課に電話し、どこで購入できるのか相談したところ、市内の代理店を紹介してもらうことができた。
【どのような代理店か】
- 産業用無人ヘリコプターの販売やメンテナンス、操縦士の育成を30年間続けてきた実績のある企業
- DJIの代理店
【代理店ではどのような説明を受けたか】
- 農業用ドローンを購入するには事前に講習を受けて免許を取得しなくてはいけないこと、保険の重要性、空中からの農薬散布は関係機関に申請が必要であることなど。
- 購入金額、講習費用を合わせると100万円オーバー
【購入の決め手】
- デモフライトの際、DJIの機体はちょっとやそっとの風では流されないし、手を放しても安定して飛んでいるのに感心したこと
- 代理店が親身になって相談に乗ってくれたこと
【実際に農業用ドローンを使ってみての感想】
- 大人3人で1時間以上かかっていた1haの農薬散布がドローンなら10分で終わり、暑い中で機械を持つ大変さもない
- 服も汚れずこんなに簡単に終わっていいのかと思うぐらい楽になった
- 機体は安定して飛んでくれるし、講習で練習した通りにフライトできたので戸惑うことはなかった
- 機体の調子が悪ければすぐに来てくれるし飛行申請も行ってくれるので、スムーズに運用できているのは代理店の存在が大きい
- 最近では近所の生産者から農薬散布依頼を受けることも増えた
【代理店のサポート体制】
- 販売や講習だけでなく、無償保険の手配、機体のメンテナンス、飛行許可申請代理などさまざまなサポートを行ってくれる
農業用ドローンに関する知識が全くない状態でも安心して運用できるのは、代理店のサポートが大きいということがわかります。サポート体制がしっかりしている代理店を選ぶことも、農業用ドローン導入の大きなポイントになるでしょう。
また、こちらのケースのように近所の生産者から散布依頼を受けられれば、維持費などの費用負担を軽減することができるのでコスト的にもかなり楽になります。このように自分で請負散布することも視野に入れるというのも一つの方法です。
目安として、1haあたり1,500~2,500円で30haの圃場に年3回散布する仕事が得られれば、毎年かかる固定費分の収入は得られる計算になります。
農業用(農薬散布用)ドローンに関するQ&A
Q.農業用ドローンの耐用年数は?
A.農業用ドローンおよびバッテリーの耐用年数は5年程度と言われていますが、きちんとメンテナンスをして正しく使用すればそれより長く安全に使用することも可能です。
認定機は年に一度の点検が義務付けられており、その際に適切なメンテナンスを受けることができるので安心して使用できます。
Q.農業用ドローンの購入には国の補助金が使える?
A.農業用ドローンの購入には国や自治体の補助金制度を活用できる場合があり、実際に制度を利用して購入している方も多いです。主な制度は下記の通り。
✅担い手確保・経営強化支援事業
✅小規模事業者持続化補助金
✅スマート農業総合推進対策事業
✅みどりの食料システム戦略推進交付金
申請にあたっては細かな条件や規定が設けられているので、確認が必要です。
また、国の助成金の他にも自治体が独自に設けている制度も存在するので、まずは自治体の農林課に問い合わせしてみることをおすすめします。
農業用ドローン向けの補助金についてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
【2022年最新】農業用ドローン向け補助金4種類。個人利用も可!
Q.農業用ドローンは個人で購入する以外に方法はないの?
A.農業用ドローンを導入するにあたって個人での購入が厳しい場合、共同で購入するという方法を選択する方もいます。
周囲の生産者で同じようにドローンの導入を考えている方がいるのであれば、代理店にデモ会を開催してもらって検討するのも一つの方法です。
Q.農業用ドローンを中古で購入することはできる?
A.中古の農業用ドローンを購入することは不可能ではありませんが、避けた方が無難です。
農業用ドローンの普及に伴い、オークションサイトに中古の農業用ドローンが出品されているケースも見られます。しかし、中古の農業用ドローンの購入には、
- 保証やサポートが適応されないケースが多い
- 正確なコンディションがわからないため故障が起きやすい可能性がある
などのデメリットがあるため、おすすめできません。
Q.農業用ドローンのレンタルサービスはないの?
A.農業用ドローンのレンタルサービスを行っている会社も存在しますが、その機体のライセンスを保有していることが条件である場合がほとんどなため、実質的には以下のようなケースを想定したサービスであると言えるでしょう。
- 保有しているドローンの急な機体故障時の緊急利用
- 請負散布業者が所有している機体だけでは受注した散布量をさばききれない時のスポット利用
長期的に機体をレンタルして散布を行うための貸し出しサービスは存在しないため、その場合は代行サービスか機体購入を検討しましょう。
農業用ドローンのレンタルについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
農業用ドローンのレンタルはおすすめ?費用や代行サービスとの比較も
Q.農業用ドローンは保険に加入すべき?
A.農業用ドローンは、その特性上、事故が起こりにくいとは言い難い機体であるため、万が一に備えての保険加入はマストと言えるでしょう。
農業用ドローンの場合機体自体が高額であることから当然修理費も高額になることに加え、賠償事故が起こった時の賠償金額は相当なものになってしまいます。
安全運用を心がけることはもちろんですが、万が一の事故の際は保険金で賄えるよう補償内容をしっかり確認した上で保険に加入しましょう。
ちなみにDJIの農業用ドローンの場合は、購入及び点検時に賠償責任保険が無償で付帯されます。
さらに自身の機体自体の損害を補償する保険も付けたい場合には、賠償責任保険の他に機体保険への加入が必要。機体保険の年間費用目安は、補償内容にもよりますが年間10~15万円ぐらいです。
Q.農業用ドローンを選ぶ際に注目すべき機能はある?
A.農業用ドローンを選定する際は、反当りに撒かなければならない農薬を均一に撒くことができるモードがついているかどうかを確認することをおすすめします。
農薬を散布する上で大切なことは、作物に対して適切な量の薬剤を均一にムラなく撒くことですが、そのためにはドローンの飛行速度に合わせた適切な吐出が必要になります。
ドローンの速度に合わせて自動で吐出量を調節してくれるモードがついていれば、高度な技術がなくても誰でも均一に薬剤を散布することができます。
例えばDJIの農業用ドローンであれば「マニュアルプラスモード(M+)」がそれに当たります。メーカーによって呼び方が異なるため、わからない場合は代理店に問い合わせるなどして確認すると安心です。
こちらはDJIマニュアルプラスモードの散布動画です。
Q.非認定機を選んだ場合、何か問題があるの?
A.非認定機だからといって散布性能に問題があるというわけではありませんが、認定機※は散布性能が保証されているので、安心して使用できるという利点があります。
また、購入にあたって国や自治体の補助金や助成金制度を利用する場合、認定機の方が対象が多いというメリットもあります。
※DJIの機体は認定機ではありませんが、DJI JAPANが農業専門に設けている団体「UTC農業ドローン協議会」によって免許取得から製品購入&保険・補償加入、飛行申請、アフターサービスまでしっかりサポートされているため安心して利用できます。
まとめ
農業用ドローンの導入・運用にかかる費用目安や農業用ドローンの選び方、主なメーカーや機体などについて幅広く理解いただけたかと思います。
では最後にもう一度要点を確認しておきましょう。
- 農業用ドローンとは、農薬や肥料の散布に使用するタンクやノズルを搭載したマルチローター型の無人航空機のことです。
- 農業用ドローンの購入費用目安は200~300万円、維持費は年間20万円程度です。
- 仮に10aあたり2500円で年3回散布代行に依頼する場合と、農業用ドローン(機体価格100万円程度のもの)を購入した場合の、5年間の費用シミュレーションは以下の通りです。
- 農業用ドローンの選定を行う際は、まず圃場の広さから適したタンク容量を選び、次にメーカー、モデルを選定します。
- メーカー選びのポイントは以下の3点。
✅近くの業者が取り扱っているメーカーである
✅メーカーに悩んだら実績があるDJIを検討する
✅DJIにない小さなタンク容量を選ぶ場合はマゼックスを検討する
- 現在日本国内で圧倒的なシェアを占めているのはDJI。
- コンパクトかつリーズナブルな製品ラインナップが特徴のマゼックスは主に小規模農家の方に支持されています。
- 条件に合ったドローンを選定したら代理店にデモ会の開催を依頼し、性能や操作性を自身の目で見極めることをおすすめします。
- 農業用ドローンを購入する際の流れは以下の通りです。
①圃場の広さに合ったタンク容量を調べる
↓
②条件に合うドローンをいくつか選定する
↓
③代理店にデモ会の開催を依頼し性能や操作性などを見極める
↓
④選定した機種において購入するための技能認定が必要かを確認する
↓
⑤講習会に参加し認定資格を取得する
↓
⑥機体購入
下記2つの申請を実施する
- 機体登録の実施 ※基本的に本人が実施
- 飛行許可申請の実施 ※本人または申請代行サービスを設けている代理店が実施
個別申請の場合は散布日程が決まったら、包括申請の場合は最初の散布に間に合うタイミングで申請します。
↓
⑦飛行許可申請完了
※最短10日程度。 申請内容によっては期間は長くなる可能性もあるので、大体の目安として飛行予定日の1ヵ月前までに申請するようにします。
↓
⑧飛行当日
- 飛行計画登録の実施
※サイトが重く時間がかかる場合があるので、時間に余裕をもって登録することをおすすめします。
- 飛行までにドローン対応薬剤を準備しておく
↓
⑨農薬散布の実施
農業用ドローンは、農薬散布作業における時間的・体力的な負担を大幅に削減することができる便利なツールです。
まずタンク容量や価格など条件に合う機体を選定したら、デモ会を依頼し、性能や操作性を自身の目で確かめて納得のいく機体を選びましょう。
また、農業用ドローンは年に一度の定期点検やメンテナンスが必要になるため、サポート体制がしっかりしている代理店を選ぶことも重要なポイントです。
本記事で得られた知識が、最適な農業用ドローン選びのヒントになれば幸いです。