ドローンの農薬散布ビジネスは儲かる?費用や実例・参入のポイントも

畑の上を飛ぶドローン

ドローンによる農薬散布が普及期に入っている現在、ドローンによる農薬散布ビジネスへの参入を考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、農薬散布ビジネスは仕事として成立するのかそもそも需要はあるのかといった疑問を抱えている方も多いはず。

そこで今回、ドローンも扱う農具メーカーに勤められており、実際に農業ドローンが活用されている現場事情に詳しい高橋さん(仮名)をお迎えし、お話いただいた内容を基に記事を作成しました。

オンラインインタビュー

(※プライバシー保護の観点から、インタビュー者の顔を隠して表示しております。)

インタビューの結果、ドローンの農薬散布ビジネスは、事業の立ち上げや収益化へのハードルは高くないものの、いかに生産者さんとの信頼関係を作るかが成功のポイントになるということがわかりました。

この記事では、

  • ドローンの農薬散布ビジネスは儲かるのか
  • ドローンの農薬散布ビジネスはどんな人におすすめか
  • 農薬散布ビジネスに参入するにあたって必要なこと
  • ドローンによる請負散布事例
  • 農薬散布ビジネスの立ち上げの流れ

などについてお伝えし、ドローンによる農薬散布ビジネスに参入する方法について提案していきたいと思います。

この記事を読めば、ドローンによる農薬散布ビジネスに関する疑問が解消され、具体的なビジネス計画を立てることができるでしょう。

※ドローンによる農薬散布のメリットデメリットや導入までの流れの全体像は、こちらの記事にまとめています。

ドローンの農薬散布とは?メリットデメリットや始め方・導入の注意点

※農業用ドローンの選び方や導入費用はこちらの記事にまとめています

農業用(農薬散布用)ドローンのおすすめメーカーは?価格や補助金、選び方もご紹介

農薬散布ドローンの活用は急速に拡大している

農薬散布をするドローン

肉体的な負担の大きい従来の農薬散布作業は、高齢化や人手不足が問題となっている現状の農産業においては大きな課題です。

日本国内では農薬の空中散布において、1990年代から産業用無人ヘリコプターが利用されてきましたが、無人ヘリに比べて操作の習得が容易で導入コストも低いドローンは、農薬の請負散布の分野でも急速に拡がりを見せています。

下の表はドローンによる散布面積推移と農薬散布ドローンの販売数をグラフにしたものですが、どちらにおいても特に令和元年以降急激に増えていることがわかります。

令和3年度 農業分野におけるドローンの活⽤状況(農林⽔産省農産局技術普及課「令和3年度 農業分野におけるドローンの活⽤状況」を基に作成)

ドローンの農薬散布代行はビジネスとして成立する

農薬を撒くドローン

今回のインタビューの中でもお話しいただいたのですが、農薬散布代行は顧客獲得のハードルさえクリアできれば大きな収入が見込めるため、実際ドローンの農薬散布ビジネスを成功させている人は多くいます。

ただし、農薬散布の時期は夏期に集中しており、冬期間は仕事がない状態になります。

散布代行ビジネスを考えるなら兼業を前提に準備を進めることをおすすめします。

農薬散布代行の需要は多い

従来の農薬散布はとても重労働であるため、高齢化が進む農業現場において散布代行の需要は拡大し続けています。

例えばタンクとポンプが一体となった装置を背負って人の手で散布する場合、1haの圃場に散布するのにかかる時間は約160分。

10haの圃場ならば数日かかる計算になります。

夏場の過酷な環境下で年に3~5回散布しなければならず、生産者にとっては大きな負担であることがわかります。

10haの圃場に1回散布すると20~30万円の収入になる

ドローンによる請負散布はきちんと利益が出ます。

農薬の請負散布の単価相場は、地域にもよりますがおおよそ10aあたり2,000~3,000円です。

農薬散布を外注する農家の圃場を10haと仮定すると、1回の散布費用は200,000~300,000円、年に3~5回の散布だと600,000~1,500,000円。

もちろん初期費用もかかりますし諸経費などを入れればこれがすべて利益になるわけではありませんが、単純に計算すれば、一つの農家が1年を通して依頼してくれるだけで、これだけの収入が見込めることになります。

初期費用+諸経費の目安は300万円前後

初期費用や維持費はおおよそ以下の通りです。

【初期費用】

  • 機体…約200~300万円
  • バッテリー…10万円×複数必要
  • 講習費用…約20万円程度(機体購入時にオペレーター購入を受講する必要がある)

【維持費】

  • 保険代…10万円程度(保証内容による)
  • 年次点検費用…10万円程度

農業用ドローンは選ぶ機体によっても変わりますが、大体200~300万円ほど

その他バッテリーや講習費用(購入時のみ)、航空機散布専用の農薬購入費用、保険代や年次点検費用などの維持費がかかります。

また、農薬散布の際は操縦者の他に機体位置を把握して伝達するナビゲーターも必要なので、人件費についても考慮する必要があるでしょう。

農業用ドローンの費用や選び方については、こちらの記事でより詳しくまとめています。

農業用(農薬散布用)ドローンのおすすめメーカーは?価格や補助金、選び方もご紹介

ビジネスとして成立する目安は1シーズン1機あたり200ha

今回のインタビューでお話をうかがったところ、1シーズンあたりの目安として1機あたり200ha(請負散布の単価相場に当てはめると単純計算で400万円の売り上げになる。

前述の例で言えば10haの圃場に20回散布する。)の仕事を受けることができれば、ビジネスとして成立すると言われているそうです。

散布時期に時間が取れればどんな仕事とも並行して行える

現在農薬散布ビジネスを行っている人は、ほとんど他のビジネスと並行して散布代行を行っています。

それは、農薬散布を行う時期が夏期に集中しているからという理由なので、農薬散布シーズンに時間さえ取れればどのような仕事であっても大差はないと思われます。

ドローンによる農薬散布ビジネスはどんな人におすすめ?

ドローンと畑

ドローンによる農薬請負散布は、冬期間仕事がないこともあり、専業で行っている事業者は少ないのが現状です。

自身が農家で請負散布を行っているという人もいれば、空撮など他のドローン事業と併せて行っているパターンや、全く異なる業種と兼業で行っている方もいます。

散布代行ビジネスへの参入に有利な2つの条件

ドローンによる農薬散布代行ビジネスへの参入に有利な条件は、以下の2点です。

  • 地域の同業者との繫がりが深い
  • 地域の作物や農業の進め方に精通している

農薬散布ビジネスにおいて一番重要なのは、その地域の農家との繫がりです。農業従事者は比較的高齢な方が多いため、横のつながりを重要視する傾向にあります

新規参入するにあたっては、まず生産者との信頼関係を築くことが第一段階だと言えるでしょう。

また、農薬を散布する作物やその地域の農業の進め方について事前にリサーチしておくことも、ビジネスを始めるにあたって大切な要素です。

農家やドローン事業者は散布代行ビジネスにもメリットあり

農薬散布シーズンに時間さえ取れればどのような仕事であっても並行して行えることは前章でお伝えしましたが、その中で農薬散布ビジネスにおいてもメリットがあると言える仕事は、以下の2つです。

  • 農業従事者(自身の圃場でもドローンによる農薬散布を行っており、請負散布もしている)
  • ドローン事業者(空撮・点検・スクールなど)

特に自身の圃場でドローン農薬散布を行っている農家は、新規参入のリスクが低いです。

理由は、上記の参入に有利な2つの条件をすでにクリアしているから。

加えて、自身が農家をしていれば、自分の圃場に散布することで技術を高めることができるというメリットもあります。

一方ドローン事業者の場合は、ドローン自体の基本的な知識や他の分野におけるドローンビジネスのノウハウを散布代行ビジネスにも活かすことができるため、全くの異業種に比べてメリットがあると言えるでしょう。

ドローンの農薬散布ビジネスに必要なのは農家との繫がりor営業力

ドローンの農薬散布ビジネス

ドローンの農薬散布ビジネスに必要なのは農家との繫がりor営業力

ドローンの農薬散布代行ビジネスを成功させるために必要なのは、地域の農家との繫がり、もしくは顧客を獲得できるだけの営業力です。

前章でもお伝えしたように、比較的高齢な方が多い農業従事者は横のつながりを重要視する傾向にあり、ビジネスを成功させるためには関係構築がとても重要です。

新しく農業業界に参入するなど、そもそも現地の農家の方とのつながりが薄い場合は、それをカバーするだけの営業力が必要になります。

気軽に相談できる存在になれるかがポイント

上でお伝えしたように農業従事者は比較的高齢な方が多いため、HPなどを作ってもあまり大きな効果は得られません。

まず生産者との繫がりを作り、実績を重ねて口コミや紹介で広めていくのが一番有効な方法。

そのためには生産者のもとに通って信頼関係を築き、「あの人に聞いたら相談に乗ってくれるね」と言われる存在になれるかどうかがポイントになります。

無人ヘリと比べたメリットを提案する必要がある

ドローンによる請負散布の新規顧客を獲得するためには、優れた営業力の他にももう一つ押さえておくべきポイントがあります。

それは、無人ヘリと比べたメリットを提案すること

ドローンと無人ヘリとでは、できることに大きな違いはありません。

そのため、すでにヘリによる請負散布を依頼している生産者から受注するためには、それに上回るメリットを売り込むことが必要です。

受注の可能性を高められるメリットは以下の2つ。

①費用を下げる

ヘリの料金よりも安ければそれは強力なアピールポイントになります。

機体や維持費にかかる費用がヘリよりも安いことを加味した金額設定ができれば、大きなメリットになるでしょう。

②提供価値を上げる

提供価値を上げることでドローンの方が良いと判断してもらうことができれば、受注できる可能性は高くなります。

内容としては、「無人ヘリを使用するには非効率な山間地の農地でも効率的に活用できる」といったドローン特有のものや、「無人ヘリよりもスケジュール的に融通が利かせられる」といったお客さんが個々に持っている課題に対応したものが挙げられます。

アピールポイントはヒアリングから

どんなメリットをアピールすれば良いか判断するためには、農家が今どのようなことで困っているのか、どんな点に不満を抱いているかを知ることが必要不可欠です。

農家との繫がりがあれば聞き取りすることは容易ですが、そうでない場合はまず関係づくりから始めなければなりません。

まずは生産者との信頼関係をいかに築くかが重要なのです。

ドローンによる請負散布事例

ドローンによる請負散布

ここで、実際に事業として請負散布を行っている事例をご紹介します。

【地域】 北海道

【どのような事業者か】 ドローンによる空撮、映像制作、イベントプロデュースなどを行う会社

【ドローンによる請負散布ビジネスを始めたきっかけ】

地域に無人ヘリコプターによる請負散布業者がいなかったため、依頼しても対応までに時間がかかっていたことに加え、少ない面積では対応してもらえないなどの問題があった。

【散布対象作物】

小麦、大麦、大豆、あずき、ばれいしょ、てんさい、かぼちゃ、スイートコーン、デントコーンなど

【散布受託費用】

10aあたり0.8Lの場合は1,100円(税別)

無人ヘリとドローンでは、機体価格や保険代、メンテナンスにかかる費用に差があるためそれを加味した価格帯にしてほしいという生産者の意見を反映して決定。

【散布に要する時間】

投下水量が10a当たり0.8Lの場合、1haあたり10分

【散布の請負方法】

電話かメールで受付

訪問して圃場や作物の成長具合を確認し、農薬の選定を行い散布日程を決定

【散布までの期間】

散布予約は1週間前が多いが、悪天候が続いた時などの突発的な依頼にも可能な限り対応

【課題だと感じていること】

(散布を行っている地域の作物に関しては)空中散布に対応できる高濃度の農薬として登録を受けている農薬の種類が少ないため、ドローンが完全にブームスプレーヤーの代わりになることは難しい

実際に農薬散布を行っているオペレーターの方は、元々地域のJAに勤めていたため、地域の農家が抱える問題や農作業の進め方、作物に関する知識に精通していたことに加え、地域の生産者との繫がりがあったことが成功の要因としてあげられるのではないかと考えられます。

事業開始後も、ユーザーの意見を反映させて細やかな対応をしている点も見習うべきポイントかもしれません。

ドローンによる農薬散布ビジネスの立ち上げの流れ

農薬散布に使うドローン

ここで、実際に事業として請負散布を行っている事例をご紹介します。  【地域】 北海道  【どのような事業者か】 ドローンによる空撮、映像制作、イベントプロデュースなどを行う会社  【ドローンによる請負散布ビジネスを始めたきっかけ】 地域に無人ヘリコプターによる請負散布業者がいなかったため、依頼しても対応までに時間がかかっていたことに加え、少ない面積では対応してもらえないなどの問題があった。  【散布対象作物】 小麦、大麦、大豆、あずき、ばれいしょ、てんさい、かぼちゃ、スイートコーン、デントコーンなど  【散布受託費用】 10aあたり0.8Lの場合は1,100円(税別) 無人ヘリとドローンでは、機体価格や保険代、メンテナンスにかかる費用に差があるためそれを加味した価格帯にしてほしいという生産者の意見を反映して決定。  【散布に要する時間】 投下水量が10a当たり0.8Lの場合、1haあたり10分  【散布の請負方法】 電話かメールで受付 ↓ 訪問して圃場や作物の成長具合を確認し、農薬の選定を行い散布日程を決定  【散布までの期間】 散布予約は1週間前が多いが、悪天候が続いた時などの突発的な依頼にも可能な限り対応  【課題だと感じていること】 (散布を行っている地域の作物に関しては)空中散布に対応できる高濃度の農薬として登録を受けている農薬の種類が少ないため、ドローンが完全にブームスプレーヤーの代わりになることは難しい  実際に農薬散布を行っているオペレーターの方は、元々地域のJAに勤めていたため、地域の農家が抱える問題や農作業の進め方、作物に関する知識に精通していたことに加え、地域の生産者との繫がりがあったことが成功の要因としてあげられるのではないかと考えられます。事業開始後も、ユーザーの意見を反映させて細やかな対応をしている点も見習うべきポイントかもしれません。  ドローンによる農薬散布ビジネスの立ち上げの流れ

農薬散布ビジネスを立ち上げるには、まず農業に関する知識を習得すると共に、地域の状況を把握することが必要不可欠です。

次にドローンの知識・技術やドローン農薬散布についての知識を習得し、詳細な事業計画を立てます。

営業エリアの調査は必須

【営業エリアの現状を徹底的に調べる】

農薬散布ビジネスを立ち上げるには、まず営業エリアの現状を調査することから始めます。

  • 今どのように農薬散布が行われているか
  • どこにいくらで仕事が流れているのか

ということを徹底的に調べることが重要。

無人ヘリが大々的に散布代行を行っているエリアもあれば、農薬を売っている農薬卸問屋が請負散布を行っているところもあります。

あらかじめそのような情報を得ておくことで、対策を講じることができるのです。

【ヒアリングによってその地域の生産者のニーズを把握する】

次に生産者が今困っていることや不便に感じていることはないかなどをヒアリングします。

例えば、

  • 値段が高いと感じている → 希望に沿った価格設定にする
  • 依頼してから2週間後からしか撒いてくれないことに不満を感じている → それを解消するサービスを提供する

など、生産者のニーズを把握することで「売りポイント」を考えることができます。

農業についての知識の習得方法は2通り

異業種から参入する場合、まずは農業に関する知識を身につける必要があります。

方法は以下の2つ。

地域で行われる新規就農者支援研修については、自治体やJAに問い合わせるのが確実です。

ドローンの農薬散布についての知識・技術はオペレーター講習で取得する

ドローンによる農薬散布についての知識(農薬取締法、電波法 食品衛生法、航空法などの知識)や技術は、機体購入時に受講するオペレーター講習で習得することができます。

選定するドローンによって講習がない場合は、フリースクールに通って習得する必要があります。

農業特化型ドローンスクールについてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。

機体は地域の状況を加味して選ぶ

機体は散布に必要な機能を見極めて選ぶのが基本ですが、地域によっても選ぶポイントが変わってきます。

例えば圃場脇に防風林の枝や1mを超える雑草類が迫り出ているような広大な平野が多いような地域では、障害物センサーが付いているとかえって邪魔になってしまうケースもあります。

機体を選定する前にしっかり営業エリアの調査をしておくことが、的確な機材選びを可能にしてくれると言っても過言ではありません。

まとめ

ドローンによる農薬散布

ドローンによる農薬散布ビジネスについて、農薬散布ビジネスへの参入にあたって必要なことや参入に有利なポイント、立ち上げの流れなど幅広く理解していただけたかと思います。

では最後にもう一度要点を確認しておきましょう。

  • 農薬散布ドローンの活用は急速に拡大している
  • ドローンの農薬散布ビジネスは儲かる

☑農薬散布代行の需要は多い
☑10haの圃場に1回散布すると20~30万円の収入になる
☑初期費用+諸経費の目安は300万円前後
☑ビジネスとして成立する目安は1シーズン1機あたり200ha
☑散布時期に時間が取れればどんな仕事とも並行して行える

  • ドローンによる農薬請負散布は冬期間仕事がないので、兼業を前提に準備を進めると良い
  • ドローンによる農薬散布代行ビジネスへの参入に有利な条件は、以下の2点
  1. 地域の同業者との繫がりが深い
  2. 地域の作物や農業の進め方に精通している
  • 農家やドローン事業者は散布代行ビジネスにもメリットがある
  • 特に自身の圃場でドローン農薬散布を行っている農家は、参入に有利な条件を満たしているため新規参入のリスクが低い
  • ドローンの農薬散布ビジネスに必要なのは農家との繫がりor営業力

ドローンの農薬散布ビジネスに必要なのは農家との繫がりor営業力


生産者にとって気軽に相談できる存在だと思ってもらえるだけの信頼関係が築けるか、ヘリを比べたメリットを提案できるかがポイント。

  • 農薬散布ビジネスを立ち上げるには、まず地域の状況と生産者のニーズを把握することが必要不可欠。

ここで、実際に事業として請負散布を行っている事例をご紹介します。  【地域】 北海道  【どのような事業者か】 ドローンによる空撮、映像制作、イベントプロデュースなどを行う会社  【ドローンによる請負散布ビジネスを始めたきっかけ】 地域に無人ヘリコプターによる請負散布業者がいなかったため、依頼しても対応までに時間がかかっていたことに加え、少ない面積では対応してもらえないなどの問題があった。  【散布対象作物】 小麦、大麦、大豆、あずき、ばれいしょ、てんさい、かぼちゃ、スイートコーン、デントコーンなど  【散布受託費用】 10aあたり0.8Lの場合は1,100円(税別) 無人ヘリとドローンでは、機体価格や保険代、メンテナンスにかかる費用に差があるためそれを加味した価格帯にしてほしいという生産者の意見を反映して決定。  【散布に要する時間】 投下水量が10a当たり0.8Lの場合、1haあたり10分  【散布の請負方法】 電話かメールで受付 ↓ 訪問して圃場や作物の成長具合を確認し、農薬の選定を行い散布日程を決定  【散布までの期間】 散布予約は1週間前が多いが、悪天候が続いた時などの突発的な依頼にも可能な限り対応  【課題だと感じていること】 (散布を行っている地域の作物に関しては)空中散布に対応できる高濃度の農薬として登録を受けている農薬の種類が少ないため、ドローンが完全にブームスプレーヤーの代わりになることは難しい  実際に農薬散布を行っているオペレーターの方は、元々地域のJAに勤めていたため、地域の農家が抱える問題や農作業の進め方、作物に関する知識に精通していたことに加え、地域の生産者との繫がりがあったことが成功の要因としてあげられるのではないかと考えられます。事業開始後も、ユーザーの意見を反映させて細やかな対応をしている点も見習うべきポイントかもしれません。  ドローンによる農薬散布ビジネスの立ち上げの流れ


  • 異業種から参入する場合、まずは農業に関する知識を身につける必要がある。方法は以下の2つ。

 ☑地域の新規就農者を支援する研修に参加する
 ☑農業者研修教育機関で学習する

  • ドローンによる農薬散布についての知識(農薬取締法、電波法 食品衛生法、航空法などの知識)や技術は、機体購入時に受講するオペレーター講習で習得する。

農薬の請負散布は収益化・ビジネス立ち上げのハードルが低いため、生産者との繫がりが作れるのであればかなりおすすめできるビジネスだと言えます。

ただ、地域によって作物や環境はもちろん農業の進め方などが異なるため、「このようにすればうまくいく」といったはっきりとしたビジネスモデルがありません。

言い換えれば、地域の生産者に寄り添い一緒に地域の課題に取り組んでいくことが、成功への近道です。

また、ドローンは目的ではなく手段だということを念頭に置き、顧客のニーズに応える手段として相応しいかということを常に考えながら提案していくことが大切なのではないでしょうか。

本記事で得られた知識が、あなたの農薬散布ビジネスの具体的なアイデアに繫がることを願っています。