測量業界において活躍が目覚ましいドローン。
そのドローン導入を検討する際、測量用のドローンの機体をどうするかについては、最も気になることの一つではないでしょうか。
「測量に適したドローンはどんな機体?」
「購入する場合はどうやって選べばいいのだろう」
「価格相場はどれくらい?」
などといった疑問を持たれる方も多いと思います。
そんな疑問を解決するべく、今回はドローンメーカーに勤務されていた経歴をお持ちで、ドローン測量にも精通し、新技術関連ビジネスの支援などにも携わられている方に「ドローン測量用ドローン」について詳しくお話をお伺いしました。
インタビューさせて頂いた結果、測量用ドローンの選び方には、下記の4つの要素がポイントであることがわかりました。
測量用ドローンを選ぶ際考えたい4つのポイント
- メインで取り扱いたいのは写真測量かレーザー測量か
- 確保したい精度はどのくらい?
- メーカーは日本製か海外製か
- その他の条件(レーザー装置や利便性について)
この記事では、上記4つの要素を踏まえた測量用ドローンの選び方を詳しく解説しています。
また、代表的な測量用ドローンの比較表や、Q&A方式で疑問を解決していますので、自分が購入すべきドローンを具体的に考えることができますよ。
ドローン測量を検討されている方へ:関連記事のご紹介
ドローン測量のメリットデメリット、おすすめ活用ケース、始めるまでの流れなど「ドローン測量の全体像」については、別のこちらの記事で詳しく解説しています!
ドローン測量とは?メリットデメリットや始め方(料金・資格等)をインタビュー!
こちらの記事は、過去ドローンメーカーに勤務されドローン測量領域の案件実績も多く持つプロの方に、ドローン測量に関するインタビューを行った内容を記事にしたものです。
お読みいただければ、ドローン測量はどの様な案件に適しているのか、始める際はどの様な手順を踏めば良いのか(かかる料金や資格取得の必要性)、おすすめの測量用ドローンなど、ドローン測量に取り組む前に知っておくべき情報を知ることができますよ。
目次
測量用ドローンの条件
測量に使用できるドローンの機能や性能は、特に決まりは設けられていません。
ですが、国が発注する公共測量を取り扱う場合には、規定に定められた機能・性能を持つ機体とカメラを使用しなければなりません。
結論からいうと、20万円以下の小型機には、規定された搭載カメラに求められる性能が満たされていないものが多いので、2〜30万円以上の価格帯の機体から、公共測量に対応できます。
民間企業の測量案件は、使用するドローンに決まりはなく、事業者の基準次第ですが、多くは公共測量の規定に準じる企業が多いです。
なので、民間の測量案件を行う場合も2〜30万円以上の価格帯の機体を使用するのが無難です。
国が定めた規約は下記の通りです。
国が定める公共測量に使えるドローン
一.自律飛行機能及び異常時の自動帰還機能を装備している。
二.航行能力は、利用が想定される飛行域の地表風に耐えることができる。
三.撮影時の機体の振動や揺れを補正し、デジタルカメラの向きを安定させることができる。
搭載するカメラに求められる性能
一.焦点距離、露光時間、絞り、ISO感度が手動で設定できる。
二.レンズの焦点の距離を調整したり、レンズのブレ等を補正したりする自動処理機能を解除 できる。
三.焦点距離や露光時間等の情報が確認できる。
四.十分な記録容量を確保できる。
五.撮像素子サイズ及び記録画素数の情報が確認できる。
規定を満たすカメラ機能は、ある程度のクラス(中型機〜大型機)でなければ設定できません。
◯規定を満たしているDJI機体例:価格は20万円以上
- Phantomシリーズ
- Inspireシリーズ
- Matrice シリーズ
- Mavic 3E
✕規定を満たせていないDJI機体例:価格は20万円以下
- MavicMini
- Mini 2
- Air 2S
公共測量を取り扱いたい場合は、20万〜の価格帯の機体を選びましょう。
測量用ドローン選び方の4つのポイント
この章では、測量用ドローンの選び方を解説します。
選ぶ際に考えるのは、
- 写真測量をしたいのか、レーザー測量をしたいのか
- 確保したい精度はどれくらいか
- どのメーカーの機体を使いたいか
- その他の条件
この4つのポイントです。1つずつ詳しく解説します。
写真測量かレーザー測量か
まずは、自身がメインで行いたいのは写真測量かレーザー測量かを考えましょう。
写真とレーザーでは、行える案件内容と導入費用に大きな違いがあります。
森林や伐採前の現場、標定点(※)の設置数が多くなる広い土地の計測など、写真測量では難しい案件を取り扱いたい方は、導入費用の差も考慮し、レーザー測量を検討してみるのがおすすめです。
※標定点とは?
正確な座標(水平位置と標高)が分かっている地上の位置のこと。
標定点をドローン撮影時に写真に写り込ませ、データ解析をする際の基準点とします。
レーザー測量時にも標定点は推奨されていますが、設置数を大幅に減らすことが可能です。
(例:写真測量では80点の標定点が必要な現場でも、レーザー測量は6点でOK)
簡単に、写真測量とレーザー測量それぞれの特徴やその違いをまとめました。
写真測量 | レーザー測量 | |
測量概要 |
◆ドローン写真測量とは ドローンに搭載したカメラで重複させた写真を複数枚撮り、それらをつなぎ合わせて地形情報を調査する測量方法。 |
◆ドローンレーザー測量とは ドローンに搭載したレーザー測距装置から地上にレーザーを照射し、そのレーザーの反射によって距離情報を取得する。 |
現場 | 木々や草など、上空からの撮影で障害物となる物がある現場は測量が難しい。 |
|
機体導入費用 |
レーザー装置が必要なレーザー測量に比べ、導入費用は抑えることができる。 費用相場:100万前後 |
レーザー装置が必要なため、導入費用も高額になる。 費用相場:約500万円〜1千万円以上 |
写真測量では計測が困難な樹木等が生い茂る現場も、レーザー測量ならデータ取得が可能です。
また、レーザー測量は標定点設置数を写真測量より減らすことが出来るので、複雑な地形や傾斜地といった、標定点設置が容易ではない現場にも適しています。
費用においては、写真測量ドローンは100万円前後で導入が可能ですが、レーザー測量は最低でも500万から、搭載するレーザー装置によっては1千万以上と高額です。
導入費用を抑えたい、写真で測量できる現場だけの取り扱いでもOKという方は写真測量がおすすめです。
より多くの現場を測量したい、作業効率を重視したい方はレーザー測量を検討してみましょう。
確保したい精度
取り扱いたい測量内容が決まったら、次は確保したい精度を考えます。
公共測量案件においては、国が満たすべき精度を定めています。
公共測量が求める精度
(三次元点群の精度)
第49条 作成する三次元点群の位置精度は、0.05m以内、0.10m以内又は0.20m以内のいずれかを標準とする。
【解説】
作成する三次元点群の位置精度は、その目的に応じて設定し、それぞれの位置精度に必要な作
業を行う。空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(平成28年3月 国
土交通省)の場合、位置精度 0.05m 以内の三次元点群は出来形管理に、位置精度 0.10m 以内の三
次元点群は起工測量又は岩線計測に、位置精度 0.20m 以内の三次元点群は部分払い出来高計測に
それぞれ利用されている。
公共事業に関するドローン測量を行う際は、下のような測量精度を満たす必要があります。
公共測量案件取り扱いたい場合は、出来高計測の「誤差±5cm以内」の精度確保ができるドローンが必要です。
民間企業から依頼される案件の要求精度は、依頼元の基準次第ですが、基本的には公共測量が求める精度に準じるケースが多いです。
公共測量基準よりも緩い精度確保でも請け負える案件もありますが、インタビューでお伺いしたところ、少なくとも誤差50cm未満は求められることが多いそうです。
確保したい精度に、機体価格は比例する
それでは、上で解説した高精度を確保出来るドローンとは、どういったものかをご説明します。
結論からいうと、「高い精度を満たせる機体=高スペックの高額機体」となる場合が多いです。
機体価格と精度の良さは比例する傾向にあります。
【測量に用いられる主要機体と達成できる精度】
低価格帯:2〜30万円
公共測量が求める出来高計測の誤差±5cm以内の精度を安定して確保するのは難しいとされています。
中価格帯:70〜80万
作業効率を向上させながら出来高計測の誤差±5cm以内の精度を満たすことが可能です。
高価格帯:150万以上
・Matrice300RTK+カメラ
RTK搭載・カメラ積み替え可能・PPK対応機と、高精度の条件が全て揃ったハイスペックドローン。出来高計測の誤差±5cm以内の精度を満たすことが可能です。
※2022年11月追記
現在、Phantom4シリーズは廃盤となってしまいました。代わりに2022年9月に新たに販売されたMAVIC 3Eが今後ドローン測量で使われる機体になると言われています
・安定して誤差±5cm以内(公共測量が求める精度)を確保をしたい人
Inspire 2やPhantom 4 RTKといった中価格帯(70万〜)以上の機体を選択するのがおすすめです。
・誤差±5cm程の高精度が必要ない人
PHANTOM4 PRO v2などの低価格帯(20万〜)の機体でも十分基本的測量を行うことができます。
高精度を確保できる機体の機能・システム
高性能で高額な機体の特徴としては、下記機能が搭載されているものが多いです。
【高性能(=高額)なドローン機能】
RTK搭載ドローン |
測位衛星からの位置情報を、地上にある「基準局(電子基準点)」と「移動局」の2箇所で取得するRTK技術を搭載したドローン。 リアルタイムに2点間で位置情報の差異を補正する事で、測位精度を高める事ができるので、標定点設置数を減らすことが可能です。 |
カメラ積み替えが可能なドローン |
ドローンは、搭載されているカメラをそのまま使う機体と、カメラの積み替え(交換)ができる機体に分けられます。 より高精度なデータ取得ができるので、確実に誤差±5cm以内の精度を満たしたい場合は積み替え可能な機体をおすすめします。 【DJIでカメラ積み替えができる機体】
|
PPKシステム対応ドローン |
PPKシステムとは、リアルタイムで位置情報を取得するRTKと違い、ドローンを飛ばし終えた後、データ処理をする際に位置情報を取得・補正できる機能です。基本的にドローンにPPKの専用機材を取り付け使用します。 使用できる機体やカメラが決まっているので、PPKシステム対応ドローンを選ぶ必要があります。 高精度確保が可能で、標定点の設置が任意(設置の必要なし)と出来るケースも。 【代表的なPPK対応機体】 対応する機体は、使用するPPKシステムによって異なります。 ・KLAU PPKシステム 価格:要問い合わせ KLAU PPK 対応ドローン:DJI Phantom 4、Inspire2、M200/210、Matrice 600、など。 ・PPK Go 価格:約40万円 PPK Go対応ドローン:Phantom4 RTK、Matrice300 RTK+Zenmuse P1 |
測量用ドローン精度・価格比較表
測量用として現場で活用されているいくつかのドローンを、価格と精度面で比較してみました。
【測量用ドローン精度・価格比較表】
※2022年11月追記
現在、Phantom4シリーズは廃盤となってしまいました。代わりに2022年9月に新たに販売されたMAVIC 3Eが今後ドローン測量で使われる機体になると言われています。
機体 | Phantom 4 Pro V2.0 |
Inspire 2 |
Phantom 4 RTK |
Matrice300RTK |
エアロボPPK |
価格 | 約20万 | 約40万〜 | 70〜80万 |
約80万+カメラ要問い合わせ |
200万前後 |
カメラ積み替え
|
✕ | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ |
RTK | ✕ | ✕ | ◯ | ◯ | ✕ |
PPK | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
精度 |
△ |
◯ |
◎ |
◎ |
◎ |
△適切な標定点設置でも誤差±5cm以内の精度確保が難しいケースもある |
ドローン測量の精度に影響を及ぼす4つの要素について、こちらの記事でより詳しくまとめています。
ドローン測量に求められる精度とは?精度に影響を及ぼす4つの要素
また、機体以外にかかる費用を含めた、ドローン測量導入までに必要な全費用相場についても、こちらの記事で詳しくまとめています。
メーカー【日本製か海外製か】
続いてのドローン選びのポイントは、海外製か日本製かです。
現在、ドローン市場には世界中の企業が参入しています。
市場の約7割のシェアを占めている代表的な中国のDJI社や、歴史あるフランスのメーカーのParrot、そして最近では国内企業のドローンの活躍もみられるようになりました。
【日本製ドローン】
・AEROBO(AS-MC03) 写真測量専用ドローン 価格:約170万円
自社設計、国内工場で製造の国産ドローン。カメラ交換が可能です。
導入にあたっては、研修サービス(有償)の利用もでき、ドローンの仕組みから運用、法令に至るまでの座学研修とドローン飛行運用の実技研修を受講することができます。PPKシステム対応機もあります。
・soten(蒼天) 価格:約180万円(標準機体セット※サポート+保険付)
国内組み立ての国産ドローン。カメラ交換が可能で、切り替えがワンタッチで出来る仕様です。
独自の制御技術を用いた国産フライトコントローラを搭載しているので、セキュリティの面でも安全に利用できます。
国産ドローンが注目されている背景には、政府が情報セキュリティの観点から、情報漏洩の危険がない機体を使おうと推進している動きがあります。
上で紹介したsoten(蒼天)は、「安全安心な国産ドローン」を掲げており、
- データ漏洩や抜き取りの防止
- 機体の乗っ取りへの耐性を実現
- ドローンで取得した撮影データ、飛行経路データなどを暗号化
- 通信によって収集するデータも国内クラウドで集積することで保護
といった、国産ドローンならではの、優れた情報セキュリティを強みとしています。
ですが、DJIのドローンでも、Matrice300RTKのようにデータを暗号化できる機体もあります。
実際の現場でもDJIの機体を使用する事業者は多く、海外製だからといって、データの取り扱いに不安があるというものではありません。
また、国産ドローンは高額な機体が多く、性能と価格を合わせたコストパフォーマンスは、やはりDJIなどの大手海外メーカーに劣っているのが現状です。
どうしても情報セキュリティ面の安全が気になる人は、国産ドローンの検討を考えてもいいかもしれません。
その他の条件
ドローンを選ぶ際、考えておきたいその他の要素として、
- 使いたいレーザー装置がある場合は対応する機体を選ぶ
- 安全性と利便性
これらの項目についてご説明します。
使いたいレーザー装置がある場合は対応する機体を選ぶ
レーザー測量を行う際、自分が使いたい性能・機能のレーザー装置がある場合、そのレーザーを搭載できる対応機種を選ばなければいけません。
レーザーも、その装置によって機能や精度に違いがあります。
世界的に有名なYellowScanVX20シリーズのレーダー装置は、誤差±1〜2cmの精度確保が可能。
株式会社アミューズワンセルフのグリーンレーザーは、水の影響を受けずに、水底の地表を計測することができるので、河川測量を扱いたい人は導入を考えるべき装置です。
自分が行いたい案件によって、レーザー装置とその対応機種を考えましょう。
【レーザー装置別対応機体例】
・DJI「Zenmuse L1」価格:約250万円
対応機体:DJI Matrice 300 RTK
1千万以上のレーザー装置が多い中、DJIのレーザーZenmuse L1価格は約250万円。
従来の本格的な測量レーザー(リーグルのminiVUX-SYSシリーズやYellowScanVX20シリーズ)などに比べるとスペックは劣りますが、従来の4分の1程度の価格は大きな魅力。
・YellowScan社「YellowScan Mapper」価格:問合せ
対応機体:DJI Matrice 300 RTK、Acecore Zoe(オランダの業務用ドローン)
レーザーで有名なYellowScan社のレーザースキャナー 。
レザー装置は付属品等含めると、かなりの重量がプラスされます。
基本的に、レーザー測量に使用する機体は、積載重量に耐えうる大型機を選択する必要があります。
安全性・利便性を考える
測量用ドローンを選ぶ際、上で解説した
- 写真かレーザーか
- 確保したい精度
- メーカー【日本製か海外製か】
といった要素が大きなポイントになるかと思いますが、いくつかの候補の中で機体選びに迷った際は、安全性や利便性にも注目してみましょう。
安全性で見ておきたいのは、障害物回避センサーの充実や耐風性能などです。
利便性面では最大飛行時間、持ち運びの際のサイズ感、防水仕様かどうかといった、実際の使用勝手がいいかに注目してみましょう。
【安全性・利便性比較表】
機体 | Phantom 4 RTK | Matrice300RTK |
安全面 |
多方向障害物検知システム搭載。
|
多方向障害物検知システム搭載。
|
利便性 |
コンパクト設計
|
一週間旅行用のスーツケース並の大きさ。
|
※障害物検知範囲…機体の周辺にある障害物を検知できる範囲。その範囲が広いほど、衝突のリスクは下がります。
※最大風圧抵抗…どの程度の風に抵抗できるかという数値。
測量用ドローンおすすめ機体
2章までで解説してきた内容を踏まえ、測量用ドローンのおすすめの機体をご紹介します。
【おすすめ測量用ドローン比較表】
※2022年11月追記
現在、Phantom4シリーズは廃盤となってしまいました。代わりに2022年9月に新たに販売されたMAVIC 3Eが今後ドローン測量で使われる機体になると言われています。
機体 | Phantom 4 Pro V2.0 |
Inspire 2 カメラ:Zenmuse X7
|
Phantom 4 RTK |
Matrice300RTK カメラ:Zenmuse P1
|
価格 | 約20万 | 約40万〜 | 70〜80万 |
約80万+カメラ要問い合わせトータル150万〜 |
センサー | 1インチCMOS | 23.5×15.7mm | 1インチCMOS | 35.9×24mm |
こんなケースにおすすめ |
|
|
|
|
画素数 | 2,000万画素 | 2,400万画素 | 2,000万画素 | 4,500万画素 |
レンズ | 視野角84° 8.8mm/24mm (35 mm判換算) |
視野角83°(DJI DL-S 16mm F2.8 ND ASPHの場合) |
視野角84° 8.8 mm/24 mm (24 mm判換算) |
視野角84°(DJI DL 24mm F2.8 LS ASPHの場合) |
カメラ積み替え
|
✕ | ◯ | ✕ | ◯ |
TK | ✕ | ✕ | ◯ | ◯ |
最大飛行時間 | 30分 | 27分 | 30分 | 55分 |
PPK | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Phantom 4 Pro V2.0
商品リンク:https://www.dji.com/jp/phantom-4-pro-v2
※2022年11月追記
現在、Phantom4シリーズは廃盤となってしまいました。代わりに2022年9月に新たに販売されたMAVIC 3Eが今後ドローン測量で使われる機体になると言われています。
おすすめポイント:取得精度は公共測量の基準(誤差±5cm以内)を満たすことが難しいケースもありますが、基本的測量に問題なく使用できる性能で、20万円前後の価格は大きな魅力。
5方向に対して障害物を検知できる「5方向障害物検知センサー」が備わっているので、安全な飛行が可能です。
Inspire 2
商品リンク:https://www.dji.com/jp/inspire-2
おすすめポイント:取り付けられるカメラの種類が豊富なので、多用途に活用できます。
PPKシステムにも対応していて、公共測量案件にも利用可能です。機体+付属品+PPKシステムがセットになったDJI Inspire 2 × KLAU PPKセットの販売も。(価格は要問い合わせ)
Phantom 4 RTK
商品リンク:https://www.dji.com/jp/phantom-4-rtk
おすすめポイント:価格・性能のバランスが良く、測量用ドローンとして利用事業者が多い機体です。
RTK搭載で、公共測量が求める高精度確保と同時に、作業効率アップも見込めます
Matrice300RTK
商品リンク:https://www.dji.com/jp/matrice-300
おすすめポイント:6方向障害物センサー、RTK搭載。PPKシステムにも対応しており、産業用ドローンとしては最上位クラスの機体です。
カメラの積み替えが可能で、レーザー装置の付け替えもできるので、多用途使用にも◎。
測量用ドローンQ&A
最後に、測量用ドローンについての疑問をQ&A方式でまとめました。
Q.測量用ドローンの耐用年数はどれくらい?
A.ドローンの耐用年数は、減価償却の観点でいうと「5年」です。
測量用ドローンは、”撮影”という用途に着目して区分され、「器具備品」の「光学機器・カメラ」に該当するためです。なお、30万円未満のものは少額減価償却資産として、一括で経費になります。
参考:減価償却資産の耐用年数表
なぜドローンは「航空機」ではなく「光学機器・カメラ」に該当するのか?
ドローンは、航空の用に供されるものの人が乗れる構造となっていませんので、耐用年数省令別表第一の「航空機」には該当しないこととなります。
(測量に用いられる)ドローンは空中から写真撮影することを主たる目的とするものであり、写真撮影機能に移動手段を取り付けたものであるから、その主たる機能は写真撮影であると考えられます。
したがって、ドローンは耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「4.光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」に該当し、その耐用年数は5年となります。
出典:国税庁質疑応答事例より
Q.ドローン保険は加入すべき?
A.ドローンの保険は任意ですが、事業で取り扱う場合は、信用やリスクの観点からも加入は必須といえます。
ドローン保険は、大きく分けると賠償責任保険と機体保険の2種類があります。
■賠償責任保険:人や所有物・公共物に被害を与えてしまった場合に発生する損害を補償
■機体保険:ドローンの機体本体を破損した際などにかかった損害を補償
保険料は補償内容・所持している機体によって様々。
- 賠償責任保険:数千円〜2万円前後/年間
- 機体保険:数万円〜/年間
大体上記のような金額が相場です。
ドローン測量用の機体は安くはありません。賠償責任保険と機体保険の両方に加入しておくと安心です。
所有する機体や使用頻度、使用方法などによって、適切な補償内容を選びましょう。
【ドローン保険例】
Q.測量用ドローンはレンタルできる?
A.ドローンの機体は、様々な企業がレンタルサービスを提供しています。
機体購入前に、実際の使用感を確かめられますし、写真測量用のドローンは自社で揃え、レーザー測量案件を受ける時は機体をレンタルするといったことも可能になります。
【会社別ドローンレンタル例】
■スカイシーカーレンタル | ■ドロサツ |
DJI Phantom4 RTK 1泊2日のレンタル料金:48,000円 【商品内容】
|
DJI Phantom4 RTK 1泊2日のレンタル料金:35,000~ 円 【商品内容】
|
レンタル会社によって、セット内容や期間、料金が違います。
自分の利用状況に合わせて会社を選びましょう。
Q.測量ドローン導入セットってどんなもの?
A.導入セットとは、機体本体+データ解析ソフト+αといったドローン測量に必要な物がセットになったまさに導入のトータルサービスです。
【ドローン写真測量導入サービス例】
「DroneDeploy テクニカル講習セット」利用価格:816,000円 (税抜)
ソフトバンク コマース&サービス株式会社が提供するドローン写真測量導入サービス。
機体本体&周辺機器、保険、データ解析ソフト年間ライセンス、年間保険、導入講習が含まれています。
【セット内容】
■ドローン本体と周辺機器
- Mavic 2 Pro
- Mavic 2 Flymoreキット
- microSD
- 風速計
■保険:賠償責任保険(対人最大4億円、対物最大3億5,000万円)※法人利用の場合のみ
■専用ソフト:DroneDeploy Business 1年利用ライセンス
■DroneDeploy テクニカル講習 1日
【講習内容】
- マッピングとモデリング
- 航空写真測量原理
- DroneDeploy入門
自動飛行/点群データ作成/オルソ化・地図データ作成/3Dデータ作成/植生指標データ(NDVI)作成
【おすすめポイント】
タブレット端末で測量エリアなどを入力し、スタートボタンを押すだけでドローンが離陸。
指定した範囲を正確に飛行しながら撮影、着陸まで自動操縦なので、ドローン操作も簡単です。
講習では、実際にドローンを飛行させることができるので、まさにフルセットサービスといえます。
【注意ポイント】
- セット内容に含まれる解析ソフトは1年間利用ライセンスなので、2年目からは利用料がかかります。(※ 詳しい金額については要問い合わせ)
- 保険に機体保険は含まれません。
【ドローンレーザー測量導入サービス例】
「Terra Lidar One」利用価格:996万円(税込)
こちらはテラドローン株式会が提供する、ドローンレーザー導入サービス。
ドローン本体、レーザー装置、年間データ解析費用、導入講習が含まれています。
【セット内容】
■ドローン本体:DJI Matrice 300 RTK
■レーザー装置:長距離向け小型LiDAR「Avia」
■年間解析費用:データの解析サービス。取得したデータをクラウドにアップすると、翌日以降にはオリジナルデータとレポートが納品される。
■導入講習:累計2000件以上の測量点検実績をもつ技術員による、座学・飛行トレーニング
【おすすめポイント】
セット価格で1000万円を切るというコストパフォーマンスの良さが何よりも魅力。
もちろん、国土地理院 UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)に準拠し、公共測量にも対応可能。
データ解析のフルサポートにより、解析作業時間や、高性能のパソコンや数百万円ほどする海外製の解析ソフトウエアが必要ありません。
また、座学・実技を学べる導入講習も含まれており、ドローンについての知識や技術がない人には嬉しいサービスです。
【注意ポイント】
データ解析費用は2年目から40万円/年間の利用料がかかります。
※ドローンの機体に関する販売状況や価格などは、全て記事作成時の情報です。
いかがでしたでしょうか。
測量用ドローンについてお分かりいただけたかと思います。
ドローン導入の際には、是非この記事を参考にしてみてください。
まとめ
◆測量用ドローンの条件
公共測量案件を取り扱い場合、20万円以下の小型機には、規定された搭載カメラに求められる性能が満たされていないものが多いので、2〜30万円以上の価格帯の機体の選択が推奨されます。
◆測量用ドローンを選ぶ際、考えたい4つのポイント
1.写真測量をしたいのか、レーザー測量をしたいのか
■こんな人は写真測量導入がおすすめ
- 導入費用を抑えたい
- 写真で測量できる現場だけの取り扱いでもOK
■こんな人はレーザー測量導入がおすすめ
- より多くの現場(森林や伐採前の現場など、写真測量では難しい案件)を測量したい
- 作業効率を重視したい
2.確保したい精度はどれくらいか
■公共測量案件取り扱いたい場合
出来高計測の「誤差±5cm以内」の精度確保ができるドローンが必要。
■民間企業から依頼される案件
要求精度は、依頼元の基準次第ですが、基本的には公共測量が求める精度に準じるケースが多い。
少なくとも誤差50cm未満は求められる。
3.どのメーカー(日本製or海外製)の機体を使いたいか
国外に情報漏洩を防ぐセキュリティを売りにしているドローンも。
情報の取り扱いを万全にしたい、セキュリティ面を強化したいといった人は、国産ドローンの検討を。
4.その他の条件
■使いたいレーザー装置がある場合は対応する機体を選ぶ
レーザー測量を行う際、自分が使いたい性能・機能のレーザー装置がある場合、そのレーザーを搭載できる機体を選びましょう。
レザー装置は付属品等含めると、かなりの重量がプラスされます。
基本的に、レーザー測量に使用する機体は、積載重量に耐えうる大型機を選択する必要があります。
■安全性・利便性を考える
ドローンはその性能や精度も重要ですが、安全性・利便性もポイントとなります。
安全性でおさえておきたいのは…
- 障害物回避センサーの充実
- 耐風性能
- 近年ではデータの暗号化ができるかといったセキュリティ面
利便性でおさえておきたいのは…
- 最大飛行時間
- 持ち運びの際のサイズ感
- 防水仕様かどうか