ドローン操縦士(パイロット)になるには?仕事内容、年収を詳しく解説

 

「ドローン操縦士ってどんな仕事?」
「ドローンパイロットになりたいけれど、資格やスキルはどんなものが必要?」

ドローンを仕事にしたいと考えている人の中には、そんな疑問を持っている方も多いでしょう。

ドローン操縦士の主な仕事としては、以下のようなものがあります。

【ドローン操縦士の主な仕事内容】

仕事内容 その詳細 たずさわる主な業種
空撮 カメラを搭載したドローンで、空から写真や動画を撮影する。

・広告制作
・テレビ番組、MVなど映像制作
・不動産
など

点検

橋やダム、とんねるなどのインフラ設備や、ビルや住宅といった建築物などを、赤外線カメラを搭載したドローンで上空から点検する。

・建設
・電力、エネルギー
など

測量

カメラを搭載したドローンで、空から土地や建物を測量(写真測量またはレーザー測量)する。

・建設
・測量
など

農薬・肥料散布

農薬や肥料を入れたタンクをドローンに積んで、上空から田畑に散布する。 ・農業
など

スクール講師

ドローンスクールで講師として指導する。

・教育
・アミューズメント
など

それぞれ求められる資格やスキルが異なりますので、まずどんな仕事をしたいのかを考えた上で、それらを身につける必要があるでしょう。
特に、ドローン操縦士に向いてるのは、以下のような人です。

・ドローンの操縦技術が高い人
・緊急時に適切な判断ができる人
・交渉力、調整力がある人
・想像力がある人

適性と技術があれば、ドローン操縦士専業でおおよそ以下のような年収を得ることもできますし、副業として携わることもできます。

【ドローン操縦士を専業で行う場合の年収目安】

仕事内容

年収の目安

空撮

350万〜640万円程度

点検

300万~550万円程度

測量

330万〜600万円程度

農薬散布

320万〜510万円程度

スクール講師

270万~450万円程度

そこでこの記事では、ドローン操縦士の仕事についてくわしく説明していきましょう。

◎ドローン操縦士(ドローンパイロット)とは
◎ドローン操縦士(ドローンパイロット)の仕事内容
◎ドローン操縦士に必要な資格・スキル
◎ドローン操縦士(ドローンパイロット)の現状と将来性
◎ドローン操縦士(ドローンパイロット)の年収
◎ドローン操縦士に向いている人
◎ドローン操縦士になる方法
◎ドローン操縦士は副業でもできる?

最後まで読めば、知りたいことがわかるでしょう。
この記事で、あなたがドローン操縦士の仕事に就けるよう願っています。

ドローン操縦士(ドローンパイロット)とは

ドローン操縦士(ドローンパイロット)とは
この記事を読んでいるのは、「ドローン操縦士」という「職業」に興味がある人でしょう。
そこで、「ドローン操縦士とはどんな職業なのか」をさまざまな面からくわしく掘り下げていきましょう。

まず、ドローン操縦士の仕事について、仕事内容、たずさわる業種、必要なスキルなどを表にまとめてみましたので、以下を見てください。

仕事内容

その詳細

たずさわる主な業種

必要な資格・スキル

空撮

カメラを搭載したドローンで、空から写真や動画を撮影する。

・広告制作
・テレビ番組、MVなど映像制作
・不動産 
など

<スキル>
・飛行スキル
・撮影技術(画角・構図)
・動画編集技術
・マーケティング力

点検

橋やダム、とんねるなどのインフラ設備や、ビルや住宅といった建築物などを、赤外線カメラを搭載したドローンで上空から点検する。

・建設
・電力、エネルギー
など

<必須資格(建築基準法第12条による定期点検の場合)>
・一級建築士
・二級建築士
・建築物調査員資格者証の交付を受けている者のいずれか

<必須ではないが推奨資格>
・赤外線建物診断技能師
・太陽光パネル点検ドローンオペレーター 
など

<スキル>
・飛行スキル

測量

カメラを搭載したドローンで、空から土地や建物を測量(写真測量またはレーザー測量)する。

・建設
・測量
など

<必須資格(公共事業の場合)>
・測量士
・測量士補
のいずれか

<スキル>
・写真測量のスキルと知識
・レーザー測量のスキルと知識
・画像編集のスキル

農薬・
肥料散布

農薬や肥料を入れたタンクをドローンに積んで、上空から田畑に散布する。

・農業
など

<必須資格(クボタなど技能認定を義務付けているメーカーの機体を使用する場合)>
・メーカーの技能認定

<スキル>
・農薬に関する知識
・農業に関する知識

スクール

講師

ドローンスクールで講師として指導する。

・教育
・アミューズメント
など

<必須資格(登録講習機関の場合)>
・ドローンの国家資格

<必須資格(民間資格を取得できるスクールの場合)>
・該当の民間資格

<スキル>
・ドローンの高度な操縦技術
・実際の飛行経験、飛行時間
・ドローンの機体、構造についての知識
・ドローンに関する法律の知識
・ドローンに関する許可申請の知識
・コミュニケーション能力

では、次章からくわしく説明していきます。

ドローン操縦士(ドローンパイロット)の仕事内容

ドローン操縦士(ドローンパイロット)の仕事内容
「ドローン操縦士」とは、読んで字の如く「ドローンを操縦する人」です。
「ドローンパイロット」とも呼ばれます。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag(じょぶたぐ)」によると、「ドローンパイロット」は「職業分類:他に分類されない輸送の職業」「属する産業:サービス業(他に分類されないもの)」に分類され、その仕事は「ドローン(無人航空機)を遠隔操縦し、空撮や農薬の散布、測量、点検などを行う」と書かれています。

つまり、単にドローンを飛ばすだけでなく、ドローンを飛ばすことで、地上ではできない空からの撮影や測量などを行うのがドローン操縦士の仕事だというわけです。

では、その具体的な仕事内容を、以下のそれぞれについて見ていきましょう。

・空撮
・点検
・測量
・農薬・肥料散布
・スクール講師

空撮

ドローンを用いた仕事といえば、まず「空撮」を思い浮かべる人は多いでしょう。
空撮とは、カメラを搭載したドローンで、空から写真や動画を撮影する仕事です。

趣味でドローンを飛ばして撮影、SNSで公開してる人も多いでしょうが、それを仕事として行っている「空撮カメラマン」はドローン操縦士の一種だといえます。

空撮の仕事とは、たとえば以下のようなものです。

・広告やテレビ番組、MVなどのための動画撮影、写真撮影
・自治体や企業のホームページ掲載用、記録用の動画撮影、写真撮影   など

CMやテレビ、映画などで、走る車を空から追ったり、地上の目線からどんどん空高く上がっていって俯瞰目線になったりする映像を見ることがあるでしょう。
あれを撮影するのが空撮カメラマンです。
地上のカメラでは撮影できない広い範囲の映像や、ダイナミックな動画などが必要なときに利用されます。

また、自治体が観光誘致目的で空撮した映像を公開したり、企業が自社の事業を記録として残すといったケースもあります。
近年では、不動産業界での空撮活用が注目されていて、物件を上空から撮影することで他社とは差別化されたプロモーション展開を狙ってるようです。

空撮を仕事にするには、映像制作会社や広告会社、撮影技術会社などでドローン操縦士として経験とスキルを積むのが一般的でしょう。
その上で、フリーランスとして独立したり、映像制作会社を立ち上げたりする人もいます。

空撮の仕事については、以下の記事にもくわしく説明していますので参照してください。

ドローン空撮は仕事に出来る?その答えと仕事獲得方法や年収を解説

ドローン空撮(撮影)の魅力!必要機材・資格/許可申請から依頼相場まで解説

ドローンの不動産空撮はPRに有効!活用事例や空撮方法を徹底解説

点検

空撮の技術を応用した仕事として、ドローンによるインフラ設備や建物の点検も普及してきています。

ドローンによる点検は、搭載したカメラで建築物などを撮影しながら飛行し、異常や不具合がないかを確認するものです。

従来は足場を組んで人が点検していた高所や、狭かったり危険だったりして人が入りにくい場所も安全に点検できることから、広く活用されるようになりました。

具体的には、以下のような分野でドローン操縦士による点検が行われています。

・太陽光パネルのドローン点検
・屋根のドロー点検
・ビル壁面のドローン点検
・船舶のドローン点検
・道路のドローン点検
・送電線や基地局鉄塔のドローン点検
・工場やプラントのドローン点検
・風力発電のタービンのドローン点検
・橋梁のドローン点検         など

特に、赤外線カメラによるビルやマンションなどの外壁調査は、従来のように人がハンマーで叩いて調査する必要がなく、ドローンで撮影するだけで精度の高い点検ができることから注目を集めている手法です。

ドローン点検を行っているのは、点検専門の業者をはじめ、一部の建設業者、設備業者などさまざまです。
以下の記事に、さらにくわしいドローン点検の仕事内容などの説明がありますので、知りたい方はぜひ読んでください。

ドローン点検とは?9分野の導入事例とメリット・現状の課題を解説

プロに聞く!太陽光パネル点検へのドローン導入のキーポイントとは?

ドローンでの屋根点検に資格は必要なし。点検パターンと始め方を紹介

【ドローンの赤外線外壁点検(調査)】メリット・費用・注意点・始め方をインタビュー

プロが解説!送電網点検におけるドローン導入の市場成長性と課題とは

プロ目線で解説!プラント点検におけるドローン導入のメリットと課題

ドローン橋梁点検操縦者にインタビュー!メリットや現状の課題を本音調査

プロにインタビュー!ドローン橋梁点検のメリットや活用法を解説

測量

ドローン操縦士は、土地の測量でも活躍します。
カメラを搭載したドローンを飛ばして、空から測量し、正しい面積や距離などを求めたり、地図を作成したりするのです。

ドローン測量には、以下の2つの手法があります。

写真測量ドローンに搭載したカメラで撮影範囲を重複させた写真を複数枚撮り、つなぎ合わせて地形情報を調査する
・レーザー測量:ドローンに搭載したレーザー測距装置から地上にレーザーを照射し、地表の状況を確認する

が、測量の仕事はこれだけではありません。
撮影した写真やレーザー照射で得られたデータをもとに、PCで図面を作成したりといった作業も生じます。
つまり、ドローン操縦士といっても測量を行う場合は、「測量士」としての仕事という面が強くなるでしょう。

ドローン測量士になるには、ドローン事業の一環として測量を手がけている会社や、測量会社でドローンを導入している会社などに就職するのが一般的です。

ドローン測量については、以下の記事も読んでみてください。

インタビューで分かった、ドローン測量のあれこれを詳しく解説! ドローン測量を専門家にインタビュー!やり方やメリット等詳しく解説

ドローン測量に必須な操縦資格はない!技能取得方法など詳しく解説

農薬・肥料散布

農業においても、ドローンの導入は進んでいます。
農薬や肥料の散布、種まきなどの作業を上空から行うためです。

農業分野では、これまでにも無人ヘリコプターによる農薬などの散布が行われていました。
が、近年ではより手軽で低コストな農業用ドローンに置き換わりが進み、現在では主に以下のような作業にドローンが活用されています。

・農薬散布
・肥料散布
・播種(はしゅ=種まき)
・生育状況の確認:ドローンで上空から田畑を撮影、作物の生育状況を確認する

散布作業は、農薬や肥料を入れたタンクをドローンに積んで、上空から田畑に散布するものです。
農業従事者の高齢化が進む日本の農産業において、重労働である散布作業の負担を軽減する手段として需要が増えています。

また、まだ実証実験の段階ですが、収穫した農作物をドローンで運搬することも、今後可能になっていくでしょう。

この仕事を担うドローン操縦士には、以下のようなケースがあります。

・農業従事者自身がドローン操縦を身につけて行う
・農家がドローン操縦士を雇用して行う
 →この場合、業務はドローン操縦だけでなく農作業全般に携わるのが一般的
・ドローン事業を手がける会社が農薬散布の代行を請け負っていて、所属するドローン操縦士が担当する
・ドローン操縦士が農薬散布の技術と知識を身につけて、農家から作業を請け負う
 →農薬散布を委託したい農家と、ドローン操縦士とのマッチングサイトなどもあり

ドローンによる農薬散布の仕事については、以下の記事も参考にしてください。

ドローンの農薬散布ビジネスは儲かる?費用や実例・参入のポイントも

ドローンの農薬散布とは?メリットデメリットや始め方・導入の注意点

スクール講師

ここまでは、既存の産業の中でドローン操縦士が必要とされる仕事について解説しました。
それに対して、ドローンに特化した事業に携わるドローン操縦士もいます。
その代表が、ドローンスクールの講師です。

ドローンスクールの講師は、受講生にドローンについての指導を行う仕事です。
教えるのは、飛行の技術だけでなく、ドローンの構造、ドローンに関わる法律や必要な許可申請など多岐にわたります。

特に、2022年の航空法改正により、ドローン操縦者の国家資格である「無人航空機操縦者技能証明」制度ができ、国家資格を目指す人向けの講習を行うスクールが国土交通省により「登録講習機関」に認定されるようになりました。

ドローンの国家資格は「一等資格」と「二等資格」の2段階ありますが、特に一等資格は非常に高度な知識と技術が求められます。
そのため、民間資格を取得するスクールに比べて、登録講習機関の講師はより難易度の高い学科・実地の講習を行う必要があるのです。

また、スクールの中には空撮や点検などある技術に特化したコースを設けているところもあります。
その場合は、講師にもその技術と、業務経験が求められるでしょう。

ドローンスクールの講師になるには、以下のような方法が考えられます。

・ドローン事業を行っている会社で実際にドローン操縦士として仕事をし、その経験を活かしてスクール講師に転職する
・ドローンの民間資格の認定団体が実施している講師資格を取得し、その団体の認定スクールで講師になる
 →「JUIDA認定スクール講師資格」「DPAドローン操縦士回転翼3級インストラクター」「DJIインストラクター」など

また、既存のドローンスクールに所属するのではなく、自分でドローンスクールを立ち上げて講師になるというケースもあります。

その他ドローン操縦士の仕事

ここまで挙げた仕事は、実際にいまドローン操縦士が活躍している分野です。
が、これら以外にも、現在はまだ実証実験が主ですが、近々ドローン利用が実用化されるであろう分野もあります。

たとえば以下のような仕事です。

・物流
・警備

これらの分野でドローン活用が本格化すれば、ドローン操縦士の需要も高まるでしょう。

ドローン操縦士に必要な資格・スキル

ドローン操縦士に必要な資格・スキル

ここまで、ドローン操縦士のさまざまな仕事内容を説明しました。
が、それぞれの仕事に就くには、何か資格は必要でしょうか?

それは、仕事によって異なります。
以下に、仕事別の必要資格と、持っていると役立つ資格をまとめましたので、見てください。

仕事内容

必須資格

持っているといい資格

求められるスキル

空撮

なし

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・飛行スキル
・撮影技術(画角・構図)
・動画編集技術
・マーケティング力

点検

<建築基準法第12条による定期点検の場合>
・一級建築士
・二級建築士
・建築物調査員資格者証の交付を受けている者
のいずれか

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

<太陽光パネル点検の場合>
・太陽光パネル点検ドローンオペレーター
・太陽光発電メンテナンス技士
・PV施工技術者(太陽光発電施工者)

<屋根点検の場合>
・屋根点検ドローンオペレーター

<ビル外壁点検の場合>
赤外線建物診断技能師
ドローン建築物調査安全飛行技能者

・各点検の専門知識
・専門的な点検スキル

測量

<公共事業の場合>
・測量士
・測量士補
のいずれか

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・写真測量のスキルと知識
・レーザー測量のスキルと知識
・画像編集のスキル

農薬散布

<クボタなど技能認定を義務付けているメーカーの機体を使用する場合>
・メーカーの技能認定

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・農薬に関する知識
・農業に関する知識

スクール

講師

<登録講習機関の場合>
・ドローンの国家資格

<民間資格を取得できるスクールの場合>
・該当の民間資格

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・ドローンの高度な操縦技術
・実際の飛行経験、飛行時間
・ドローンの機体、構造についての知識
・ドローンに関する法律の知識
・ドローンに関する許可申請の知識
・コミュニケーション能力

では、それぞれ説明します。

空撮に必要な資格・スキル

ドローン操縦士として空撮を仕事にする際には、必須の資格はありません。(2023年5月現在)
ただ、必要なスキルは以下のように広範囲にわたります。

・飛行スキル
・撮影技術(画角・構図)
・動画編集技術
・マーケティング力

まず、一般的にプロとしてさまざまな飛行に対応できるスキルは必要です。
動画や写真の撮影が目的ですので、カメラがブレないよう安定飛行が求められますが、ドローン自体に手ブレ補正機能を持った「ジンバル」というパーツを搭載すれば、多少のブレには対応できます。

それよりも、カメラマンとしてのスキルを高める必要があるでしょう。
そのときどきで適切な画角、構図を選ぶセンス、撮影後の映像を動画編集ソフトで編集するスキルとセンスが重要です。

そのため、「もともとカメラマンや編集マンだった人が、ドローン技術を身につけて空撮カメラマンになる」ケースが多いようです。

反対に、「ドローンを操縦できる人が、空撮カメラマンを目指す」のであれば、映像に関する勉強は必須といえます。

また、フリーランスとして仕事をするのであれば、市場ではどんな映像が求められているか、消費者ニーズ、クライアントニーズを的確に把握して撮影・編集できるマーケティング力も欠かせないでしょう。

ドローン点検に必要な資格・スキル

ドローンを点検に利用する際には、ドローン操縦士として特に必要な資格はありません。(2023年5月現在)
ただ、点検をするために必要な資格や、持っていたほうがいい資格はあります。

一等資格・二等資格のいずれかを持っておくといいのはもちろんですが、そのほかにもたとえば以下のようなものが挙げられます。

点検の種類

必須資格

持っているといい資格

太陽光パネル

───

・太陽光パネル点検ドローンオペレーター
・太陽光発電メンテナンス技士
・PV施工技術者(太陽光発電施工者)

屋根

───

・屋根点検ドローンオペレーター

ビル外壁

<建築基準法第12条による定期点検の場合>
・一級建築士
・二級建築士
・建築物調査員資格者証の交付を受けている者
のいずれか

・赤外線建物診断技能師
・ドローン建築物調査安全飛行技能者

これら以外にも、点検の内容によっては法的に何らかの資格が必要になる可能性があります。
もしドローン操縦士として点検の仕事をするのであれば、就業前に点検調査会社に確認しましょう。

また、必要なスキルは飛行スキルのほかに、各点検の専門知識や、専門的な点検スキルです。

たとえばビルの場合、前述したように建築基準法第12条にもとづく定期点検が必要ですが、それについては国土交通省 告示建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件で点検項目と安全性の判定基準が細かく定められています。

点検を実施する際には、こういった点検項目や点検方法、判断基準などについても知識を得ておく必要があるでしょう。

ドローン測量に必要な資格・スキル

前述したようにドローンで測量を行う職業は、「ドローン操縦士」というよりも「測量士」といったほうがよいものです。
そのため、測量に関する資格とスキルが求められます。

特に、「基本測量(=国土地理院が行う測量)」と「公共測量(=国や公共団体の負担・補助で行う測量)」を行えるのは、国家資格である「測量士」または「測量士補」だけと測量法で定められています
つまり、公共事業としての測量に携わりたければ、測量士か測量士補の資格取得が必須なのです。

また、必要なスキルとしては、以下が挙げられます。

・写真測量のスキルと知識
・レーザー測量のスキルと知識
・画像編集のスキル:写真測量の際に、撮影した写真を編集加工する必要があるため

もちろん、ドローン操縦のスキルも求められます。
測量では、高高度から広範囲を撮影したり、人が立ち入れない地形の場所で目視外飛行をしたりするケースもあります。

そのような飛行ができる操縦技術を身につけておきましょう。

ドローンによる農薬散布に必要な資格・スキル

ドローンで農薬散布をするには、特に必要な資格はありません。(2023年5月現在)

ただ、この作業をするには、散布専用の農業用ドローンが必要です。
その機種によっては、購入前にメーカー側の技能認定を受けることが義務付けられています。

技能認定か必要なのは、たとえばDJIやクボタなど農業用ドローンです。

反対に、メーカー側が技能認定を義務付けていない機体を使用する場合は、特に資格は必要ありません。
これについては、以下の記事でくわしく説明していますので、読んでみてください。

農薬散布用ドローンの資格(免許)の全知識。費用や必要有無などを解説

また、ドローンによる農薬散布をする際には、以下のスキルや知識が求められます。

・農薬に関する知識
・農業に関する知識 など

スクール講師に必要な資格・スキル

ドローンスクールの講師に共通して必要な資格はありません。(2023年5月現在)
ただ、前述したように、登録講習機関の講師になるためには、自分も国家資格を取得していなければなりません。

航空法では、登録講習機関の講師に対して以下の条件を定めています。

登録講習機関

一等無人航空機操縦士の講習を行うための登録講習機関

二等無人航空機操縦士の講習を行うための登録講習機関

講師等の条件

一 十八歳以上であること。

二 過去二年間に第三項第四号に規定する無人航空機講習事務に関し不正な行為を行つた者又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者でないこと。

三 一等無人航空機操縦士の資格についての技能証明(無人航空機の飛行の方法について限定がされていないものに限る。)を有する者であつて一年以上無人航空機を飛行させた経験を有するもの又はこれと同等以上の能力を有する者であること。

一 一の項下欄第一号及び第二号に掲げる講師の条件に適合する者であること。

二 二等無人航空機操縦士の資格についての技能証明(無人航空機の飛行の方法について限定がされていないものに限る。)を有する者であつて六月以上無人航空機を飛行させた経験を有するもの又はこれと同等以上の能力を有する者であること。

出典:航空法 第百三十二条の七十「登録の要件等」

一方で、民間資格の認定スクールで講師になる場合は、その民間資格と、講師資格が定められていればそれも取得しなければなりません

また、講師はドローンについて幅広い技術と知識を持ち、受講生を指導する必要があるでしょう。
そのため、以下のようなスキル、知識が求められます。

・ドローンの高度な操縦技術
・実際の飛行経験、飛行時間
・ドローンの機体、構造についての知識
・ドローンに関する法律の知識
・ドローンに関する許可申請の知識
・コミュニケーション能力

ちなみに、ドローンの国家資格については、別記事「【2023年2月最新】ドローンの国家資格(免許)制度!費用・いつから・取り方・免除についてなど全まとめ」でくわしく解説していますので、資格取得を考える方はぜひ読んでください。

ドローン操縦士(ドローンパイロット)の現状と将来性

ドローン操縦士(ドローンパイロット)の現状と将来性
ここまでドローン操縦士の仕事について、くわしく説明しました。
では、実際にこれらの仕事はどの程度普及しているのでしょう?
ドローン操縦士は、職業として成立するのでしょうか?

インプレス総合研究所の「ドローンビジネス調査報告書2023によると、ドローンビジネスの「サービス市場の分野別市場規模」は、2023年度以降は以下のように推移すると予想されています。

【サービス市場の分野別市場規模】

サービス市場の分野別市場規模

出典:インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2023

これを見ると、点検分野の割合が大きく、ついで農業分野でいずれも順調に成長しそうです。

また、現在はまだ実証実験段階である物流分野が、実用化されて市場拡大していくことが予想されています。

市場全体を見ても、「2022年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は3086億円と推測され、2021年度の2308億円から778億円増加しています(前年度比33.7%増)。2023年度には前年度比24.0%増の3828億円に拡大し、2028年度には9340億円に達すると見込まれます。これは年間平均成長率(2022年度~2028年度)に換算すると、年20.3%増加しています。」(インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2023」注目の調査結果 より引用)と、急拡大すると見られます。

ということは、ドローン操縦士の需要も年々高まっていくはずで、将来性の非常に高い職業だと言えそうです。

ドローンビジネスの現状と将来性については、別記事「ドローンの仕事はどれくらいある?仕事内容や年収、将来性を解説」でくわしく説明していますので、そちらも参照してください。

ドローン操縦士(ドローンパイロット)の年収

ドローン操縦士(ドローンパイロット)の年収

ドローン操縦士という仕事の需要が今後高まっていくことはわかりました。

とはいえ、プロのドローン操縦士になるのであれば、一定以上の収入は欲しいところです。
現状、ドローン操縦士の年収はどの程度なのでしょうか?

これについては、仕事内容によって異なりますので、以下を見てください。

仕事内容

年収の目安

空撮

350万〜640万円程度

点検

300万~550万円程度

測量

330万〜600万円程度

農薬散布

320万〜510万円程度

スクール講師

270万~450万円程度

また、実際の求人を見てみましょう。
indeedで「ドローン」「正社員」と検索した結果から、いくつかピックアップした例を以下にまとめました。

企業

所在地

業務内容

月給・年収

A社

東京都

ドローンインストラクター

月給 25万円以上

B社

東京都

ドローン操縦士として、全国の橋を測量

月給 50万円

C社

全国

ドローン操縦士として、建築現場の撮影、編集、資料作成など

年収 500万〜799万円

D社

北海道

ドローンパイロットとして、スマート農業での農薬散布、農機具・スマート農業の企画営業

月給 20万〜30万円

E社

全国

ドローン測量士として、土木工事の現地調査、ドローンによる3D測量、CADでの図面、動画作成など

年収 400万〜800万円

このほかにも、「ドローン操縦士」「ドローンパイロット」などの職種で多数の求人が見つかりました。

国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査によると、日本人全体の平均年収は「443万円」でした。
それと比較すると、ドローン操縦士の仕事は、平均年収を下回るケースもありそうです。
が、ドローンの操縦だけでなく、測量や点検、図面作成などの資格や知識をあわせて身につければ、平均以上の高い収入も期待できるでしょう。

ドローン操縦士に向いている人

ドローン操縦士に向いている人

さて、ここまでドローン操縦士の仕事についていろいろな視点で考えてきました。
が、「ドローン操縦士になりたい」と思っても、適性がなければ職業にするのは難しいかもしれません。

では、どんな人がドローン操縦士に向いているのでしょうか?
それは、以下のような人です。

・ドローンの操縦技術が高い人
・緊急時に適切な判断ができる人
・交渉力、調整力がある人
・想像力がある人

それぞれ説明しましょう。

ドローンの操縦技術が高い人

まず第一に、ドローンの操縦技術は必須です。
ドローン操縦を仕事にするのですから、趣味程度のスキルでは足りません。
人が立ち入れない狭い場所や複雑な地形でも、問題なく飛行できる必要があります。

緊急時に適切な判断ができる人

次に、緊急時でも正しい判断ができることが求められます。

ドローンは上空を飛ぶため、気候の影響を受けやすいものです。
たとえば、突風に煽られてバランスを崩したり、飛行ルートの近くに人が現れたりした場合に、慌ててしまって操作をミスするようでは、重大な事故を引き起こしかねません。

そのようなときでも、冷静に正しい判断をして危険を回避できる判断力が必要です。

交渉力、調整力がある人

ドローン操縦士の仕事は、ドローンを飛ばすだけではありません。
飛行に際して必要な許可を国に申請したり、自治体や地権者に許可を求めたりといったことも重要な仕事です。

もし、「許可できない」と言われたら、「ではどうすれば許可をもらえるのか」「このような条件でなら許可をもらえないか」と考え、交渉・調整しなければなりません。
そういったことが苦にならず、粘り強く取り組める人がよいでしょう。

想像力がある人

最後に、あいまいな表現ですが、想像力も重要です。

というのも、ドローンは上空を飛ぶもので、地上にいる私たちとは視点が異なります。
たとえば、ドローンがUターンすると、地上の操縦士にとっての左右とドローンの左右は反転するわけで、ものを避ける場合は逆向きに操作しなければなりません。

そのような難しさを解消するため、ドローンと同じ視点で見られる「FPV」という機能もありますが、それでも「いまどんな状態なのか」を想像しながら飛ばします。
空撮の場合なども、「どんな映像が撮れているのか」を予想する必要があるのです。

その点、柔軟な想像力を持っている人であれば適性があると言えるでしょう。

ドローン操縦士になる方法

ドローン操縦士になる方法

ここまで読んで、「自分もドローン操縦士になれそうだ」「ドローン操縦を仕事にしたい」と思った人も多いでしょう。
では、どうすればプロのドローン操縦士になれるのでしょうか?

その主な方法は、3つあります。

・ドローンスクールに通う
・未経験OKの求人に応募する
・経験を積んでフリーランスで仕事を受ける

具体的に説明しましょう。

ドローンスクールに通う

多くの人が選ぶ方法として、「ドローンスクールに通う」ことが挙げられます。

ドローンスクールの中には、空撮やドローン測量など、仕事としてのドローン技術に特化したコースを設けているところがあります。
それらの中から、自分が携わりたい仕事を選んで受講することで、必要なスキルや知識を身につけることができるでしょう。

その上で、卒業後に就職先を探すのもいいですし、スクールや講師によっては、卒業後に就職先を紹介してくれるケースもありますので、相談してみてもいいでしょう。

未経験OKの求人に応募する

ドローン事業を行っている会社の中には、「未経験OK」の求人を出しているところもあります。
採用したあとに、働きながら必要な技術や知識を身につけていくわけです。
たとえば、最初は空撮カメラマンのアシスタントとしてつき、のちに自分も撮影を任される、といったケースです。

自分が携わりたい仕事内容で、未経験OKの求人がないか探してみるといいでしょう。

フリーランスで仕事を受ける

あるいは、フリーランスのドローン操縦士になるという方法もあります。

たとえば、いまの仕事にドローンを導入し、経験を積んだ上でフリーランスのドローン操縦士になるというルートです。
広告会社や不動産会社などで業務の一環としてドローンで空撮を担当し、十分な経験ができた時点で独立するのです。

その場合、「こんな実績があります」と自分の手がけた空撮映像をクライアントに提示することができますし、もとの職場関係で仕事をもらうこともできるかもしれません。

あるいは、ドローンスクールを卒業したり、資格を取ったりした人が、そのままフリーの操縦士になるケースもあります。
この場合は、クラウドソーシングサイトなどで「ドローン操縦士」「空撮カメラマン」などとして仕事を募集するとよいでしょう。

もちろん最初はなかなか依頼がこなかったり、きても副業程度しか稼げなかったりするでしょうが、徐々に経験と実績を積み重ねていけるはずです。

実際にこれらのルートでフリーのドローン操縦士になった人もいるようです。
選択肢のひとつとして考えてみてください。

ドローン操縦士は副業でもできる?

ドローン操縦士は副業でもできる?

一方で、「専業のドローン操縦士になるのはまだ不安、まずは副業で始めることはできないか?」という人もいるでしょう。

結論からいえば、それも可能です。
技術があれば、たとえば休日だけ以下のような仕事を請け負うこともできます。

・空撮
・農薬散布
・スクール講師
 など

必要な技術や資格があれば、測量や点検を単発で請け負うことも可能でしょう。

仕事は、求人サイトで「ドローン 副業」と検索すれば出てくるものもありますし、仕事のマッチングサイトで募集する方法もあります。
また、ドローンスクールに通った場合は、スクールに「副業でできる仕事を紹介してもらえないか」と相談してみる手もあるでしょう。

ただ、ドローンは天候に左右されるものです。
副業で受けた仕事が雨で中止になり、クライアントが希望する日時までに自分が対応できない、という恐れもあります。
そのようなことがないよう、スケジュールには余裕を持って仕事を受けるようにしましょう。

ドローン副業にしたい場合は、別記事「ドローン副業でできる4つの仕事|初心者でもできる始め方や報酬を解説」にくわしく解説していますので、そちらもぜひ読んでください。

まとめ

いかがでしたか?
ドローン操縦士についてよくわかったかと思います。

ではあらためて、記事の要点をまとめましょう。

◎ドローン操縦士(ドローンパイロット)の主な仕事内容は以下

仕事内容

その詳細

たずさわる主な業種

空撮

カメラを搭載したドローンで、空から写真や動画を撮影する。

・広告制作
・テレビ番組、MVなど映像制作
・不動産
など

点検

橋やダム、とんねるなどのインフラ設備や、ビルや住宅といった建築物などを、赤外線カメラを搭載したドローンで上空から点検する。

・建設
・電力、エネルギー
など

測量

カメラを搭載したドローンで、空から土地や建物を測量(写真測量またはレーザー測量)する。

・建設
・測量
など

農薬・肥料散布

農薬や肥料を入れたタンクをドローンに積んで、上空から田畑に散布する。

・農業
など

スクール講師

ドローンスクールで講師として指導する。

・教育
・アミューズメント
など

◎ドローン操縦士に必要な資格・スキルは以下

仕事内容

必須資格

持っているといい資格

求められるスキル

空撮

なし

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・飛行スキル
・撮影技術(画角・構図)
・動画編集技術
・マーケティング力

点検

<建築基準法第12条による定期点検の場合>
・一級建築士
・二級建築士
・建築物調査員資格者証の交付を受けている者
のいずれか

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

<太陽光パネル点検の場合>
・太陽光パネル点検ドローンオペレーター
・太陽光発電メンテナンス技士
・PV施工技術者(太陽光発電施工者)

<屋根点検の場合>
・屋根点検ドローンオペレーター

<ビル外壁点検の場合>
・赤外線建物診断技能師
・ドローン建築物調査安全飛行技能者

・各点検の専門知識
・専門的な点検スキル

測量

<公共事業の場合>
・測量士
・測量士補
のいずれか

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・写真測量のスキルと知識
・レーザー測量のスキルと知識
・画像編集のスキル

農薬散布

<クボタなど技能認定を義務付けているメーカーの機体を使用する場合>
・メーカーの技能認定

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・農薬に関する知識
・農業に関する知識

スクール講師

<登録講習機関の場合>
・ドローンの国家資格

<民間資格を取得できるスクールの場合>
・該当の民間資格

・一等無人航空機操縦士
または
・二等無人航空機操縦士

・ドローンの高度な操縦技術
・実際の飛行経験、飛行時間
・ドローンの機体、構造についての知識
・ドローンに関する法律の知識
・ドローンに関する許可申請の知識
・コミュニケーション能力

◎ドローン操縦士(ドローンパイロット)の年収目安は以下

仕事内容

年収の目安

空撮

350万〜640万円程度

点検

300万~550万円程度

測量

330万〜600万円程度

農薬散布

320万〜510万円程度

スクール講師

270万~450万円程度

◎ドローン操縦士に向いている人は、
 ・ドローンの操縦技術が高い人
 ・緊急時に適切な判断ができる人
 ・交渉力、調整力がある人
 ・想像力がある人

◎ドローン操縦士は副業でもできる

以上を踏まえて、あなたが希望通りにドローン操縦士として活躍できるよう願っています。